FIASはForum for Infra-Architectural Studiesの略です。 土木をインフラストラクチュア、 すなわちインフラ“構造物”としてではなく、 インフラ・アーキテクチュア、 すなわち下部構造的ではあれ“建築”として捉え、 優れた土木デザインを通して、 美しい国土、 地域、 都市づくりを行うことを目指し、 官学民あるいは専門領域・立場を越えて連携していこうという会です。 建設コンサルタンツ協会のなかで7年間ほど研究を続けてきた景観委員会の流れを組むものですが、 インターネット等を活用して研究の輪を広げようと考え、 新たに設立しました。 URLは下記の通りですので、 是非アクセスいただいて、 ご興味がある方には参加いただければと思います。
まずCGプレゼンテーションとは何かをお話しします。
本の「まえがき」にも書きましたが、 CGP(CGプレゼンテーション)は単にCGを使ったプレゼンテーションだとは考えておりません。 都市・公共土木をつくる様々な主体、 それを利用し、 あるいは影響を受ける主体の間のコミュニケーションのメディアだと考えております。 そういった意味で、 系統だった理解のもとに、 CGPを利用していただきたいと考えています。
プレゼンテーションとは「認知、 理解、 賛同、 同意などの目的のために、 情報を表現したり提示すること」です。
このプレゼンテーションを、 デザインに関するものに限定して考えるとすると、 私は大きく二つに分けて考えるべきだと思います。 即ち
です(p10、 図4)。
前者は理解のための情報表現(とくにビジュアルな表現)であり、 後者は説得のための情報提示だと言った方が分かりやすいかもしれません。
特に前者の「表現プレゼンテーション」とは何かを図6、 8(p11)で詳しく説明しています。 簡単に言えば、 デザイン創造局面=デザインそのものをつくりだす、 あるいはデザイン生産局面=図面をつくり、 デザインを展開する、 生産するといったこととの関りで、 捉えるべき事柄です。
それはプレゼンテーションがコンピュータの種々の機能と結び付くことによって、 デザインを考える手段ともなり、 生産する手段ともなり、 管理する手段ともなりうるということです。 テキストでは協創のデザインとか、 コラボレーションといったキーワードを使っていますが、 そういったことが必要な世の中になってきており、 そのためにCGPがツールとして役立つという事です。 そういった意味でCGPはデザイン・ツールそのものであると同時にデザイン方法、 デザイン理念であると我々は理解しておりますし、 この機会に皆さんにもそのように理解していただければと考えております。
それは(1)デザインの表現媒体であり、 (2)伝達媒体でもあります。 たとえば私がこうやって話しているということを考えますと、 昨日、 こういうことを話そうと独り言を言っている場面では(1)の表現媒体でしかないのですが、 こうして皆さんを前に話しますと、 表現媒体であると同時に、 伝達媒体となっているわけです。 これは先ほどの表現プレゼンテーション、 伝達プレゼンテーションとも対応しています。
さらに(3)技術体系(利用体系)としてのメディアと(4)主体としてのメディアが考えられます。 たとえば新聞とか本とかを考えますと、 それらは単に表現媒体として、 あるいは伝達媒体として印刷された紙であるだけではなく、 新聞なら新聞、 本なら本という形にまとめあげられ、 読みやすく、 流通されるような一つの形として完成しています。 だから新聞をつくり、 役立てる技術・利用体系そのものがあるということです。 そして、 主体としてのメディアとはそういった技術・利用体系を駆使する新聞社とか出版社のことで、 これもまたメディアと呼ばれ社会的な影響力を持っています。
CGPについて言えば(1)(2)は技術的な問題であり、 (3)(4)がこれから重要な問題であり、 その役割を良く理解して正しく使っていかなければならないというのが、 我々の主張です。
「高度情報化デザイン環境」は「(2)都市・公共土木の人間化を可能にする」と思います(p15左参照)。 人びとに開かれた情報を提供し、 つくられるプロセスへの参加可能性を大きくするということです。
そのほかp16に書きましたように「(3)都市・公共土木の統合化管理を可能」にし「(4)合意形成を容易化する」ものと思います。 いずれも従来その必要性が言われながらも出来なかったことが出来るようになる。 それがCGPだと考えています。
これについては後ほどのパネルディスカッションでより詳しく取り上げたいと思います。
すなわち、
です(p17、 図12)。 ビジュアル・シミュレーションは空間実体(物理的なもの、 形)のデザインに、 ビジュアリゼーションは空間属性(機能、 性質、 量)のデザインに、 それぞれ対応しています。
これについは後程、 山中先生と吉川先生にそれぞれ詳しくお話しいただきます。
シェパードという人がシミュレーション利用の原則を5つあげています。 本の中では「シミュレーションの潜在的問題点の寄与要因」(p22、 図16)として紹介していますが、 シミュレーションには誤解を招いてしまうとか、 納得し難いものになってしまうなど、 種々の問題が生じる可能性が潜在しています。 そういった問題をクリアするには偏りのない、 信頼できるものでなければなりません。 そのためには代表性とか正統性といったことを備えていなければなりません。
どうすればよいかは、 図17に示しています。 私はメディアとしてのCGPを考えると4つの側面があると申しましたが、 それぞれに対応して、 なすべきことを書いております。
これらについては、 後の講義でチェックリストとしてより詳しく説明があると思います。
こういった様々な要件にしたがって、 CGPのビジュアル・シュミレーションとビジュアリゼーションのそれぞれについて、 なすべきことを24ページから書いております。 こういった基礎的な事柄の理解の上でCGPを活用していただきたいと思います。
あいさつ・総論
大阪産業大学・教授/著者
榊原和彦
FIASとは
CGプレゼンテーションとは
プレゼンテーションとは何か
そこでまずプレゼンテーションそのものについて考えてみたいと思います(テキストp9、 左側)。
(1)情報や意図を形成し表現する「表現プレゼンテーション」
(2)情報を伝達する「提示プレゼンテーション」
CGPとは何か
そういったプレゼンテーションにCGを使えばCGプレゼンテーションになるのです開をもたらすということです。 コンピュータ・グラフィックス、 あるいはコンピュータ・システムそのものが持っている可能性がプレゼンテーションの幅を広げるからです。
メディアとしてのCGP
もう一つ、 メディアとしてのCGPを考えてみたいと思います。
CGプレゼンテーションがもたらすもの
ビジュアル・シュミレーションと
ビジュアリゼーション
(1)ビジュアル・シュミレーション
ものごとの視覚的側面そのものをシミュレートする
(2)ビジュアリゼーション
視覚的ではない事柄を視覚化する
CGPの要件
CGPの今後の課題とあり方
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