少し前から、 ギャル御輿、 ギャルだんじりといったものが出てきたのですが、 これが示していることは、 女性の社会参加だと思います。
女性がだんじりに参加できるようになった結果、 本当の意味で、 みんなが参加できるようになり、 また女の子が多いということで、 うそか本当か知りませんが、 高校生の参加が増えてきました。 このようなメリットもあるのです。 逆に、 これまでの伝統に反しているということで、 苦虫をつぶしている人達もいます。 このあたりが、 難しいところだと思います。
しかし、 最近は、 曳き手不足もあり、 昔と比べると新旧住民にこだわらなくなってきました。 少子化の現在、 新しい住民を祭りに取り込まないところは、 だんじりを曳くこと自体難しくなっていきます。
うまく新しい住民を取り込んでいる地区はどうしているかというと、 例えば新しいマンションが建つ場合、 まず建設中のうちから施工業者に「うちの地区にはだんじりがある」ということをアピールします。 それから、 マンションが建ち人が住み始めると、 ビラを配って「うちの地区にはだんじりがあって、 毎年この時期には、 心ばかりの御祝儀をいただきますが、 よろしく。 」という挨拶回りをします。 こうしていくことで少なくとも祝儀の額に、 他地区とは百万円ぐらいの差が出ます。
ですから、 新しい住民に、 どんどんアピールすべきだと思います。 新しい住民の人はだんじりのことを分かっていないのですから、 理解を求める努力はしていくべきです。 その為の新住民を取り込んでいくシステム、 ノウハウについては、 地区ごとに考えていくべきです。 今、 どの地区を回っても、 新しい住民を受け入れない地区は、 ほとんどありません。 うまく新住民を取り込まないと、 曳き手が不足してしまいます。 そういった意味で、 知恵を出し合いたいと思っています。
もう一つは、 やはりお酒の問題です。 酒と喧嘩は、 昔から付き物なのです。 しかし、 徐々に無くなってきています。 ですから、 だんじりが止まった原因として先程、 娯楽の多様化による曳き手の不足、 交通事情の悪化と申しましたが、 事故と喧嘩も多くの地区でだんじりをストップさせた要因となっています。
いやなことが多い今日、 どこかでストレスは発散させなければなりません。 そういう意味では、 祭りはその発散の場であり、 騒ぐための場でもあるのです。 ただ、 その騒ぎ方をうまくするべきなのです。
御影の場合は、 昔からこじんまりとまとまった祭りでした。 そういう地域はいいんですよ。 多少、 くすぶっていながらも、 「御影は一つ」という感じでまとまっています。 しかし、 そうでない地区も少なからずあります。
今後この二つの問題を、 いかにして解決するのかを考えていかないと、 祭りを続けることがしんどくなると思います。
震災で失ったものも多いですが、 だんじりの組織など、 コミュニケーションの大切さというものが、 新たに見直されたのではないかと思っております。 ですから、 私はだんじりは、 これからの地域のコミュニケーションの核になると思います。 だんじりがない地域も中御影、 西御影、 都賀といった新たにだんじりを始めた地区でも成功していますから、 うまくやれば大丈夫だと思います。
確かに、 お金はかかります。 しかし失うものよりも、 得ることの方が多く、 みんなで知恵を出して、 コミュニケーションの場としてだんじりの輪が地域全体に広がっていければと思っております。
新しい動き
女性の参加
だんじりに関する掟は、 昔は結構厳しかったのです。 まず、 女の子はだんじりに乗れませんでした。 だんじりは神聖なもので、 女性にはふれさせませんでした。 他にもいろいろ厳しい掟があったのですが、 言い換えると自分達の伝統を守る、 ということだったのだと思います。
新住民の参加
新住民のだんじりへの参加についてですが、 かっては、 だんじりは村の物で、 根っからの村の人でなければ、 なかなかだんじりを曳かせてもらえませんでした。
祭りの新しい問題
ただ、 祭りには二つ問題があります。 一つは、 やや不良っぽい若者の扱いです。 統制が取りにくいので排除してしまうやり方と、 そういう人たちも取り込んで、 みんなでパワーを示していくやり方です。 このことは非常に難しい問題で、 青少年の健全育成の面からもだんじりは意味があるのですが、 本当にそういった若者たちを取り込んでやるには強い指導力を持った人と、 地区の人たちの共通理解がいります。
地域の核としてのだんじり
震災でだんじりの組織が見直されています。 おそらく、 だんじりの組織に代わるものはないという評価も受けています。 震災で地域の人の消息を確かめる時に、 だんじりの組織は非常にうまく機能しました。
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