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ガレキに花を咲かせましょう・その後


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大道通のひまわり。
つぼみがつき始めた

 5月の終わりごろから始めた、 阪神市街地緑花再生プロジェクト第1段階「ガレキに花を」の“がれきの花畑化”はみごとに花を開きました。 きんもくせいの12号でお約束しました西の地域のお便りから始めます。

 長田区海運町、 日吉町、 若松町。 ひまわりブレンドは撒いた日にちの差がありますが、 最初の海運町(5/28)ではすっかり大きくなったひまわりが7月19日にはつぼみを4つ見つけました。 種の配合や技術面でもすっかりお世話になった第一園芸の北島さんや児玉さんがこっそり何度も足を運んでくださったのでしょう、 後から撒き足してくださったらしいペチュニアのピンクのかわいい花がひまわりの下で咲き乱れ、 黄色い蝶々がしきりにまわりをふわふわ飛んでいました。

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大道通まちづくり相談所
周りのペチュニア

 腕塚町は撒いたのが最後だったのと残った家の真ん中にぽつんと空いた広場のためかまだあまり大きくなっていませんが、 やはり撒き足した(これは最初から混ぜていました)ペチュニアの小さな花が咲いています。

 大道通の復興まちづくり相談所のまわりはハウスを建てるために焼け跡に土を盛り、 地均しをしたために、 すっかり堅く締まっていた土地でした。 耕すにも骨が折れ、 街区の復興まちづくりの世話役をなさっているお向かいの高山さんと松原さんがとうとう見かねて、 電動ドリルを貸してくださいました。 その甲斐あってかものすごい花ざかり、 お近くの方はお訪ねください。

 それぞれの地区の花の成長の様子をお知らせするに際して各地区を訪ねてみますと、 鷹取の焼けてしまった商店をプレファブで再生しようと頑張っておられる人々が笑顔でお水をやってくださっていました。 そして2ケ月程のあいだにあんなに無残だった土地がすっかり蘇っていることに気づきました。 六甲でもたまたま『知人が知らせてくれましたので私の土地に撒いてください、 ただし今他の方に貸していますのでじゃまにならんとこだけ』と最初に(5/26)申し出て来られて方がありました。 そこは話の行き違いでほんの少ししか撒けなかったのですがお隣の方が水をやって下さったり、 毎日声を掛けて下さったりとお世話を惜しまずにして下さったお陰でみごとに成長しました。

 まちづくりはあくまでも自分たちの手によるものというのが基本で私たちの活動はそのお手伝いの部分です。 勝手に人の土地に花の種を蒔くなんて叱られないかと心配しましたが、 「咲きましたねありがとう」「きれいですね」「少し分けてもらってもいいですか」というたくさんの声に励まされています。 秋にはもう少し準備を整え、 種を蒔きたい地域を募集し、 その町の人々のご希望も盛り込めるようにして、 春にもっとたくさんの花盛りを迎えたいと思います。

 今回は準備不足の性急な取り組みにもかかわらず多くの方々の知恵と力で助けられました。 大阪の第一園芸株式会社をはじめ、 東邦レオ株式会社、 都市環境デザイン会議関西ブロック、 東京の生活文化同人の会から暖かいご支援をいただきました。 お金もないのによくあれだけの量の種を蒔いたもんだと我ながら心細かった当初を思い出していますが、 これらのご支援をもとに基金をお願いし、 もっとたくさんの方々が利用できるものにできればと考えています。 みなさんもいろいろなところへ声を掛けてくださいますようお願いいたします。

 (天川 佳美、 7/20記)

図・花の種をまいた地区(GIF 29K)


阪神大震災復興市民まちづくり
支援ニュース『きんもくせい』第13号95年7月25日より



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