誰でも見れる! 超簡単 幻覚実験!!
すでにご承知のように、当サイトでは「体外離脱は幻覚である」と主張している。
もちろん異論もあると思うが、とりあえずココでは議論は抜きにして、幻覚という現象について、体脱とは違った視点で考えてみたい。

目次
幻覚って特殊な体験?
「書き込み」と呼ばれる幻覚
誰でも見れる! 超簡単 幻覚実験!!
なぜ幽霊は夜に現れるの?
お薦め本 「脳のなかの幽霊」
幻覚って特殊な体験?

幻覚というと、何か特殊な体験だと思っている人は多いはず。すぐに思い浮かぶのは、LSDやマジック・マッシュルームのような、幻覚性のドラッグによる体験だ。

幻覚性ドラッグの多くは、違法な麻薬として取り扱われているので、一般の人の目に触れる機会はほとんどないし、合法ドラッグにしても、サイケデリックな体験に興味のある一部の人達だけのモノというイメージが強い。
また、ドラッグ使用による幻覚体験や酩酊状態が引き起こす事件や犯罪などがしばしば起こるため、「幻覚=危険」というイメージを持っている人も多いはずだ。
体脱にしても、体脱経験のない人にとっては、「金縛り」という特殊な状態の特殊な体験だと思っている人は多いのではないだろうか。

しかし!しかしである!

じつは幻覚は、誰もが普通に、日常的に体験している現象だということが、現在の脳神経科学の研究で判っているのだ。

はたしてその幻覚とはどのようなモノなのか、次の章で詳しく解説して行こう!
「書き込み」と呼ばれる幻覚

人間の視覚には、誰でも視界の一部に欠けた部分があり、それは「盲点」と呼ばれている。しかし、おそらくは、ほとんどの人が、自分の盲点を自覚したことはないはずだ。

盲点を自覚しない理由は二つある。

一つは、もう片方の眼の視野が、死角になっている盲点の視野を補っているからである。両方の眼の視野が、それぞれの眼の盲点の視野を補っているので、両眼で見ている限り、盲点を自覚することはまずない。
しかし、片眼を閉じてみても、盲点がどこにあるのか、自覚するのはかなり困難なはずである。なぜなら、盲点の視野が、「書き込み」と呼ばれる幻覚によって補われてるからだ。

図1は、右眼の視野と「盲点」をイメージした図。図2は、「書き込み」と呼ばれる幻覚によって、盲点の視野が補われた状態をイメージした図。このような幻覚を、我々は日常的に体験していると考えられている。
(※注)この図はあくまでイメージ像です。実際にこのように見えるとは限りません。

この「書き込み」こそが、盲点を自覚しないもう一つの理由であり、このページにおける最重要テーマである。

では実際に、盲点と書き込みを、実験で体験してみよう!
0

0

なぜ幽霊は夜に現れるの?

実験で盲点は自覚できましたか? 書き込みは起こりましたか?

盲点の自覚と書き込みを体感できた人なら、幻覚というモノが、それほど特殊な体験でないことを理解していただけたのではないだろうか。

世の中には、病気や事故などで眼や脳の一部に障害が起こり、そのために、視野の広範囲が欠損した人達が存在する。すなわち、視野の広範囲が盲点になったのと同じ状態だ。 彼等の多くは、欠損した視野に、物や人物など、日常的に様々な幻覚を見ているという。よく、「自分の眼で見たモノしか信じない」という人がいるが、彼等にとっては、「自分の眼で見たモノさえ信じられない」という状態なのだそうだ。

このような事例を踏まえた上で、この書き込みという現象をよく理解していれば、怪談や不思議な話の多くも、たいていは説明が付く。

たとえば、なぜ幽霊は決まって夜に現れるのか?


当たり前だが夜は暗い。特に、真っ暗闇ともなれば、視界のすべてが盲点みたいな状況だ。盲点に幻覚が現れやすいのは、これまでに説明した通りである。すなわち暗闇は、視界を擬似的に盲点化し、幻覚(幽霊)が現れやすい状況にしているのだ。

視界の端に人影が見えたが、振り返ると誰もいなかった…。

このような話もよく聞くが、これも幻覚で説明できる。じつは視界の端というのは、盲点と同じような働きをすることが判っている。視界の端に人影が見えたので振り返ると、じつはハンガーに掛けた上着とズボンだった…というような経験は誰もがあるはずだ。基本的に脳は、視界の欠けた部分を補おうとする性質があるので、見えにくい視界の端も幻覚が現れやすいのである。

お薦め本 「脳のなかの幽霊」

このページで紹介した解説や実験は、ほとんどが「脳のなかの幽霊」(角川書店)という本の要約である。著者はV・S・ラマチャンドラン博士。

ラマチャンドラン博士は、脳神経科の臨床医であり、幻視や幻肢の研究において世界的に高い評価を得ている神経科学者である。最近は「特命リサーチ200X」とか、脳を扱ったTVの教養番組などにもよく登場しているので、知っている人も多いかもしれない。

本著では、病気や事故で視野に大きな欠損が生じた人達が、日常的に体験しているという「幻視」や、事故で手足を失った人達が、失ったはずの手や足が実際にあるように感じる 「幻肢」や「幻肢痛」と呼ばれる症例の、驚くべき実態を数多く紹介している。そして、それらの症例がなぜ起こるのかを、詳しく、解りやすく説明しながら、脳が持っている様々な機能や能力を解き明かしてゆく。

本著は、体外離脱とは直接の関係はないが、幻視や幻肢のメカニズムは体脱にも大いに通じるところがあるので、体脱を楽しむ人間にとっては非常に参考になる本である。


脳のなかの幽霊 脳のなかの幽霊

著者:V.S.ラマチャンドラン / サンドラ・ブレイクスリー
出版社:角川書店
本体価格:2,000円

ホームへ戻る
since 2003/10/14