この日記は、医院での診療の様子をお伝えするものです。ホームページを見て、受診した患者さんから、日頃の診察の様子や、医者がどんなことを考えているかがわかると、受診する時の参考になるということで、このコーナーを開設しました。
6月X日
医院での話し合いのとき、鍵っ子が家でお留守番をしていて、帰ってくるお母さんが遅れた時の会話の話が出ました。
子供から「どこへ言っていたの?」
と聞かれて、
「・・・・ よ。」
と言うより、
「どこへ行っていたと思う?」
と聞く方が親子のコミュニケーションが図れて良いという話です。
その時、院長から
「まあ、それは良いけど。診察室から、『次の患者さんは誰ですか?』
と聞いて、
受付の人から『さあ、誰でしょう?丑年の人です。』
なんて言われたのでは仕事に成らんね。」
との声が出ました。
なるほど、ということになりました。
さて、午前の診察も終わり頃。
「次の患者さんは誰ですか?」
との質問に、
「さあ、誰でしょう?寅年の人です。」
の返事。
それじゃあ、朝の確認はどうなるのか。
「あの。丑年じゃありません。寅年です。」
「???」(そんな問題か!)
6月X日
郵政民営化で、精神障害者に何かの影響が出るとはあまり考えていませんでしたが、簡易保険に関していくつか影響が出ているようです。
以前は、生命保険の疾病特約などの関して、精神疾患が例外規定されているものが多かったため、保険金をもらえないというケースがありました。
これに対して、郵便局の簡易保険はそういう例外がないのが特徴で、時には患者さんにとって非常に助かりました。
その後、一般の生命保険にも例外をはずす動きが出て、精神科医の団体でも、それを後押しして、一般的な流れになろうとしていました。
精神疾患を、一般の疾患と分けて考えようとすることは、一つの差別だと思います。
精神疾患をはずつという考えの背景には、精神疾患の再発が多いこと、入院期間が長いことがあるのでしょう。
しかし、差別であることは事実です。
さて、今度郵政民営化一年後の改訂で、簡易保険の免責事項に「被保険者の精神障害の状態を原因とする事故」「被保険者の泥酔の状態を原因とする事故」が加わることになるそうです。
この10月からのことです。
これは、精神障害者の事故死には保険金が支払われない、病気による自殺には保険金が支払われないということを宣言しているようなものです。
また、自殺の免責期間も加入から一年だったのが、三年になるそうです。
国がやっている保険事業だったので、障害者にとって助かる面もありましたが、民営化によって、そういうものはかなぐりすてられるようです。
民営化、競争原理で、活力ある社会をというかけ声は、結局弱者切り捨ての方向へ、社会をかりたたていくものだと思います。
6月X日
随分昔のニュースですが、「アメリカ:個人破産の半数は高額な医療費が原因」という記事を見付けました。アメリカの調査で、個人破産の半数が医療費支払いが原因であることがわかったそうです。
アメリカでは医療保険が充実していないので、そのせいかなと思ったのですが、「病気に罹患した際に保険に加入していた者は75.7%」だというのですから、保険に未加入だったわけではないようです。
保険に入っていても、破産するほどの医療費がかかるということなのでしょう。
「クレジットカード破産は破産者全体のわずか1%以下」だそうですから、カードが破産につながるというイメージは誤りのようです。
中産階級の破産の原因は、病気と離婚だそうです。
現在の日本は、医療費の高騰を抑制することが必要として、次々と医療費削減策が出されています。
そして、アメリカの医療がモデルになりうるという宣伝がなされています。
しかし、アメリカの医療は、医療費があまりにも高いこと、乳幼児死亡率が高いことなどからも、質が優れているとはとても言えません。
日本で現在の健康保険制度を破壊すれば、アメリカ型の医療になってしまうでしょう。
お金がない人は医療を受けられない、お金のある人も長期の医療を受ければ破産するという、恐ろしい事態となってしまうでしょう。
6月X日
医院のホームページにはセカンドオピニオンのことを書いていますが、セカンドオピニオンを理解している人は少ないと思います。
セカンドオピニオンを求めて受診したとおっしゃる方もありますが、実際は転院依頼の人が多いです。
転院したいという希望を、セカンドオピニオンという言葉で表現するのです。
ところが、先日、はじめてセカンドオピニオンを正しく理解した方が受診されました。
主治医を変える気持ちはないけれど、現在の治療内容が妥当なものかどうかを質問されました。
極めて妥当な質問をされて、感心しました。
転院希望を、セカンドオピニオンを希望していますという表現で述べる人は、今受けている治療がいかに自分に合っていないか、主治医が自分の意見を聞いてくれないかと述べる人が多いです。
しかし、治療というものは、患者と治療者が共同して作り上げる面を持っているので、どちらかが100%悪いということはありません。
また、前の治療者を批判することによって、その関係の中で作り上げられた良い面までも否定するのは、あまり得策ではありません。
そもそも、治療者によって、治療内容がまったくかわってしまうというのは、現実的な話ではありません。
治療内容の60〜70%は治療者が誰であっても、そう変わらないものです。
前の治療者を悪く言うと、その共通部分まで間違っていたと受け取る人が出てくる可能性があります。
そこらを配慮すると、そんなに極端な話はそうあるものではありません。
こういう話をすると、医者仲間のかばい合いだと受け取る人もいますが、そんな単純はものではありません。
セカンドオピニオンを求める人が、そうした面を理解して、色々な治療者の意見を求めるということは、良いことだと思います。
6月X日
インターネットを見ていると、ときどき拾いものがあります。
最近見付けたのは、無料で読めるデジタルマガジンです。
無料ですから、それほどの内容は期待できませんが、写真が美しいのと、しゃれた記事に会えることもあるので、何となく閑なときなどには一読をおすすめです。
manyoという雑誌には、2008年のサミット開催地に決定した洞爺湖のホテルが特集されています。
他にもいくつかの雑誌を読むことができます。
最近、研修医や若い医者向けの雑誌も出ましたので、そうした人たちに関心のある人にはお勧めです。
雑誌を読むには、専用ソフトが必要ですが、無料でダウンロードできます。
6月X日
最近マスコミに取り上げられる、「ハニカミ王子」「集団的自衛権」を読んでいて、「ハナカミ王子」「集団的自殺権」と読み違えてしまいます。
ハナカミと王子がどうしてもつながらなくて、目をこすると、「ハニカミ王子」と書いてあるのです。
「集団的自衛権」も同じで、会議を開いて「集団的自殺権」を主張するぐらいなら、自分で勝手に死ねば良いのにと思ってみたりします。
ところが、よく見ると「集団的自衛権」です。
何だか、うさんくさいなあと思います。
アメリカの軍艦と、日本の自衛艦が一緒にいるときに、アメリカの船が攻撃されたら、自衛艦はどうするのかというのですけど、そんなことが生ずる可能性はあるのでしょうか。
アメリカ国内が政治的に混乱し、武力衝突から内戦になったとき、日本はどちらを応援するのかを今から考えるほうが、まだ現実的でしょう。
6月X日
ジェネリック薬品のことを書きましたが、この前、先発品とジェネリック品を使い分ける患者さんが現れました。つまり、睡眠薬としては、先発品・純正品が一番で、不安発作が出たときは、ジェネリック品・後発品が効くというのです。
色々試してみて、そう結論が出たというのです。
理屈から言うと、同じ化学物質なので、違いは無いはずなのですが、実際に効き方が違う、それも使い分け可能な違いなのです。
まいりましたね。
理屈と現実の違いですね。
値段とは関係なく、両方必要だというのですね。
5月X日
松岡農林大臣が自殺してしまいましたが、その直前に政府は、自殺率の20%減少を目標とした対策案を作っていました。
すでに取り組みはあったのですが、自殺の増大に歯止めをかけられませんでした。
今回の自殺総合対策大綱案がそれです。
大綱案の中には「自殺予防は社会的要因と心の健康問題について総合的に取り組むことが必要」と指摘されています。
失業、多重債務など社会的要因への対策強化やうつ病の早期発見・治療、自殺・精神疾患に対する偏見をなくす取り組みなどを挙げています。
ところが、松岡大臣に死に関して発言する政治家の中には、こうした政府の取り組みに触れて発言している人は一人もありません。
そもそも、自殺対策の先頭を走らなければならない政府の中枢から自殺者を出したのですから、もっと深刻に考えるべき事態です。
自殺者の行動は、どれほど覚悟の上の様に見えても、正常な判断でなされるものではありません。
病的な判断の結果です。
安倍総理大臣も「自殺は決してしてはならない。困ったときに、何故適当な相談機関に声を掛けてくれなかったのか。」とテレビで呼びかけてもらいたかったと思います。
何故か、政治家の発言は、政治的な意味や影響ばかりを配慮していますが、そうした言動は不適切な上、決して自殺を防止する役には立ちません。
自殺した松岡大臣を「侍だ。」言った政治家もあるそうですが、もってのほかです。
5月X日
今日は休みなので、相国寺に伊藤若沖展を見に行きました。
明治時代に相国寺が、経済的に苦しくなったときに、宮内庁に買い上げてもらった、伊藤若沖の絵が、140年ぶりに還ってくる。
次はいつになるかわからないというのですから、大変な人気です。
120年と言えば、ハレー彗星2回転分に近いですね。
すごい人で、列に並んでから、入場までに二時間かかりました。
以前、上野でルーブル美術館の展覧会を見に行った時につぐ待ち時間でした。
ずっと立ち続けですから、結構体力が必要です。
入場したら、力が抜けました。
絵の方は期待どおりで、天才的なオーラがありますね。
6月3日までですから、京都に住んでおられる方は、是非覗かれると良いでしょう。
ただし、土日はやめた方が良いでしょうね。
行けない人は、ホームページのパノラマプレビューをご覧下さい。
5月X日
最近の日本は、アメリカ型の自由競争経済をモデルにして、社会全体が大きく変化していくのを感じます。
アメリカが理想の社会だと考えるのは、毎年移民が大量に流入して、その貧富の差を活力に転化する社会的装置を設定することと不可分でしょう。
そのような装置を作らないまま、格差を生み出せば、社会全体が不可逆的な損傷にさらされると思います。
私などは医療現場にいるので、競争社会の拡大が、日本の医療を崩壊させる可能性を持つことを感じます。競争社会が拡大すれば、100円ショップと高級店が平行して存在するという形になっていくでしょう。
医療もそういう形になるでしょう。
お金のない人のための最低限の医療と、世界トップ水準の医療がそれなりの費用を要求する形で存在する。アメリカがそうなっているようにです。
その場合、お金のない人は、最先端の医療を受けられません。
病院に長く入院することもできません。
最低期間の入院が認められるだけです。
そもそも入院すら出来ないかも知れない。
そういう医療状況になっていくでしょう。
最近の日本の医療状況を見ていると、国民皆保険が意識的に破壊されていっていることがわかります。
おそらく、アメリカの保険会社に医療分野を明け渡すための方法なのでしょう。
産婦人科や小児科が現場で成り立たなくなって来ている状況です。
僻地に赴任する医者も減少して、その対策が立てられていますが、やればやるほど、状況が悪くなるような対策ばかりです。
耳に聞こえのよい話が多いのに、対応不可能な事態に道をひらいているだけのように思います。
一体いつになったら、国民はこうした状況に腹を立てるようになるのでしょうか。・・・・
5月X日
インターネットを見ていると、おもしろいものを見付けますね。
今日はおにぎり100選というのを見付けました。
日本には色々なおにぎりがあるのですね。
それにしても、私は石川出身で、今は京都に住んでいますが、
「イカの炊き込み飯おにぎり」も「鞍馬おにぎり」も、食べたこともなければ、
見たこともありません。
松村邦洋のものまね。
小泉純一郎、麻生太郎、安倍晋三もおもしろいです。
一度ごらんください。
5月X日
数年に渡って、治療を続けている患者さんから、突然、この医院で治療を受けていることに家族が反対していますといわれることがあります。
理由を聞いてもあまりはっきりしないことがあるのです。
家族の反対理由もよくわりません。
角が立つから言いたくないのか、何となく変更を考慮したのかもよくわからないことがあります。
患者さん本人との関係はそれなりにうまくいっているようなので、様子を見ていて、その後、良いように発展するかというとそうでもないのです。
家族との関係が率直さに欠けてしまいます。
家族は家族なりに治療経過を見ていて、納得がいかないのでしょう。
治療機関を変えてみたらどうかということになります。
それに、患者の方が反対して、家族を説得できないと、関係がこじれてしまいます。
そういう時は、家族の意志を尊重する方が良いことが多いです。
家族との関係は一生ですが、治療者との関係は一時的なものです。
一時的な関係を押し通すのは、無理があります。
長い紆余曲折の中で、本人も家族も納得がいく方が望ましいでしょう。
長い治療経過の中で、治療を担っていた家族が変わることがあります。
母親が努力していたのに、効果があがらず、父親がしびれをきらして登場することがあります。
そう言うときは、治療関係を一新しようと言う気分になります。
総理大臣が変われば、大臣もみんな変わるようなものです。
治療者が変わると、過去のやりかたも一掃されるので、患者にとってはたまりません。
しかし、案外そういうことが、治療関係のマンネリズムを打破することもあります。
精神科の治療では、治療者との信頼関係が大事だと言われますが、
それ一本槍で良いのかというと、そんな単純なものでもありません。
5月X日
就任後はじめてアメリカを訪れた安部首相は、キャンプデービットでブッシュ大統領に迎えられました。
ランチのメニューが、チーズバーガとオニオンリング、それとブルーベルのアイスクリーム。
これって、一国の総理大臣に出すような食事なんですかね。
アメリカのハンバーガーは一口で食べきれないので、安部総理も開いた口がふさがらなかったのでは。
ハンバーガーが出たのは、アメリカ産牛肉を食べてもらうためだったとか、
イラク戦争にお金がかかるので、満足な食事もできないという説とか、
形式張った食事ではなく、率直な雰囲気で個人的な繋がりを作ろうとしたとか色々な説があります。
どれが本当かわかりませんが、あまり大事にされたという雰囲気はありませんね。
安部総理大臣も、アメリカ大統領の訪日の際には、
「美しい国、日本」の食事はこれだと、日の丸弁当で、歓待してもらいたいものです。
4月X日
インターネットで「日本の医療があ・ぶ・な・い〜聖域なき財政再建のツケ」という記事を見ました。
日本の医療が現場から、崩壊の危機に迫られているということです。
こういう印象記は、全体の一部をとらえて、否定的に考えすぎているのか、全体を象徴している出来事を確実に捉えているのか、なかなか判断できません。
たとえば、精神科医療では、短期入院が支配的になって、急性症状が改善するとすぐに退院させるようになっています。
荒っぽいやり方で、傷ついてしまう患者さんもあります。
そういう人は、入院治療に対して、否定的になっています。
一方で、無理矢理退院させられて、しかたなく家で生活している内に、何とかなっていく人もあります。
長期的に見ると、全体像がどうなっていくのか、予想が難しい感じがします。
時代の流れの中にいると、全体像はとらえにくいと思います。
しかし、より大きな目で見たとき、日本の医療が今、大きく変化しようとしていることは間違いないでしょう。
それも、医療費圧縮の圧力の元に、需要抑制が強引になされていることに気づきます。
日本中、どこに行っても、同じような医療が、大きな負担なしで受けられる時代は終わりつつあります。
それでいて、そのことに対する、危機感は乏しいようです。
4月X日
最近、医薬品のジェネリック品がマスコミの取り上げられるようになりました。
先発品の製造特許が切れた後に、後発メーカーから発売されるものをジェネリック品と呼んでいます。
以前は、そういうクスリを「ゾロ品」と読んでいました。
後発品は、色々なメーカーからゾロゾロと発売されるので、「ぞろ品」であったわけです。
その当時は、「ゾロ品」を使うことは品がないとされていました。
それは、ゾロ品をつかうと、保険点数と実際の価格の違いから、薬価差益が生ずるので、クスリを出せば出すほど、医療機関に利益が出るので、儲け主義の印象があって、嫌う人が多かったのです。
「ゾロ品」という名前にも、何となく、品のなさが感じられます。
クスリを出して、それで儲けようなんて考えない人は、ともかく純正品、先発メーカーのクスリを使ったものです。
ところが、最近は「ジェネリック品」などというしゃれた名前が作られて、「お薬は、ジェネリック品でお願いします。」と指定する患者さんも現れています。
ところが、製薬会社の人の話などを聞くと、ジェネリック品の純度は、純正品に比べると、かなり低いようです。同じ成分だと言っても、不純物の濃度などに違いがあって、建前上は同じでも、効果は必ずしも同じではないようです。
何十人かに一人は、純正品でないと効かないという人もいます。
ところが、先日やってきた人は、有る会社のジェネリック品しか効果がないと訴えました。
純正品に変えたら効果がない。
別の会社のジェネリック品では効かない。
有る会社のものだけが効くというのです。
不思議です。
たぶん、その会社のクスリの配合が一番あっているのでしょう。
考えてみると、精神科医の中でも、あの人は名医だと思えるような先生に対して、「あんな先生は嫌だ。ヤブだ。」という患者さんもあります。
また、どうもあの先生は・・・と思うような人であっても、「あの先生こそ名医です。」と評価する患者さんもあります。
中には、「名医だから治らない。」「ヤブ医者だから治る。」ということもあるかもしれません。
患者さんにとっては、実際に効くクスリが良いクスリであり、治してくれる先生が名医であるのでしょう。
周囲が、どう評価しているかは、別の問題でしょう。
4月X日
厚生労働省の「医師の需給に関する検討会報告書」(2006年7月)というのを読みました。
現在の医師数が十分足りているという話なのですが、昨今医師不足が言われるのはどういうわけなのでしょう。
医師数が足りているというのは、統計上の医師数が増えたか減ったかを検討しているだけで、
医療内容の検討が全く為されていないのです。
医師が増えれば、医療需要が掘り起こされるので、医療費の拡大を防ぐには、医者を増やさないことが一番だというのでしょう。
人口10万人対150人というのが、基準のようですが、医療技術の進歩、患者からの要望の拡大、訴訟のリスク、書類や記録の増加。そういうものに対応するには、医師数の増加を実行するしかありません。
養成に力を入れても、実際に働けるのは最低10年後ですから、10年、20年先の医療を考えて養成しなければなりません。そんなことが、今の政治家にできるのでしょうか。
「報告書」には、日本の医療制度のもとでは、医師の仕事は生産性が低いと書いてありました。
退院患者数などが基準なのですが、社会制度や医療制度の違う国の医療状況を、
そういうことで計るというのは、とんでもない思いこみです。
4月X日
外来で、受付からカルテが回ってくるとき、受付の女性が、ちょっとコメントを付けることがある。
「次の方は、急いでおられます。」とか、
「今、新患の予診を二人取っているところです。」とか。
今日は、「次の患者さんはお爺さんです。」と言われた。
カルテを見ると、私と同じ年の生まれだった。
私も受付嬢から見ると、お爺さんなんだろうなあと思いました。
4月X日
ある患者さんから「13日の金曜日は良いことがあるのですが、わかりますか。」と聞かれた。
「キリスト教が嫌いだとかですか。」
「いえ、違います。」
皆目見当がつかない。
「それは、障害年金と関係があります。」
「・・・」
「障害年金は偶数月の15日に銀行に振り込まれます。ところが、15日が日曜日だと、振り込みが13日の金曜日になるのです。年金が二日早くもらえるので、ラッキーです。」
それを聞いていた別の患者さんが、
「でも、次にもらうのが、二日遅れる関係になるので、お金をすぐに使ってしまう者から見ると、逆に苦しいのですよ。」
4月X日
すすめられて、イチローの本を読んでいます。
「第三者の評価を意識した生き方はしたくない。自分が納得した生き方をしたい。」
「成績は出ているから今の自分でいいんだ、という評価を自分でしてしまって
いたら、今の自分はない」
「自分が見えていない経験からは、客観的に自分を見なければいけないという
結論に達したんです。地に足がついているかどうか、ちゃんと見ていなければ
ならない。」
「自分のやっていることは、理由があることでなくてはいけないと思っているし、
自分の行動の意味を必ず説明できる自信もあります。」
「これでいいやってならない理由は、ぼくの場合は、野球が好きだから、です。」
何でも、一流になる人は違いますね。
言葉の一つ一つに重みがあります。
「自分の行動の意味を必ず説明できる」という目標など、どんな仕事にも当てはまるでしょうね。
「今の自分でいいんだ、という評価」は自分をつぶしてしまうだけでしょう。
3月X日
東京都知事選をインターネットで見ていて、
今注目の、外山恒一という候補者のことを知りました。
朱斑羽通信
きまぐれ情報探索ページです
外山恒一氏の挑戦を見守ろう
この中にリンクがありますが、
前衛政治家・外山恒一のブログ
「青年は仕事をやめる。」という曲を歌っているのですが、
これは日本の未来への希望なのか、絶望なのか。
まあ、頭の光り具合には、パワーを感じますね。
ホント。
政見放送も見ることができます。
有権者に対して、「私は諸君を軽蔑している」と言い切るのだから、
かなりすごい人ですね。
3月X日
どこの保健所にも、精神保健相談という窓口があって、月に何回か、精神科医がよろず相談に乗っています。以前であれば、未治療の統合失調症患者の受診や入院の相談が多かったのですが、最近では精神科受診のしきいも下がったのか、相談の中心はひきこもりや、家庭内のいざこざが多いようです。
相談内容の変化に反応しているのかどうか、この相談事業にかかわる精神科医が減っているようです。
なり手がいなくなっているのです。
精神科医が地域へ出ることが減少しているのでしょう。
手当が安いという声もあるそうです。
さらに、国家公務員の兼業禁止が強くなって、大学で働く医者が地域に出にくくなっているようです。
保健所は、自治体の公益的な活動なのですから、兼業禁止にあてはまるのでしょうかね。
不思議ですが、大学病院が地域活動から手を引く理由になっているようです。
かっては、医者の社会的責任とか使命とか受け止められて、
当然のごとくにやられていたものが、段々なり手がなくなるというのは、不思議な気分です。
現在の医療は、健保の赤字の圧縮、患者へのサービス向上、医療内容の向上、などが当然とされています。
それらの多くは、今のところ、医療関係者の努力や無理によってこなされているように思います。
その無理がきかなくなると、医療全体が無理のかかっている部分から崩壊していくと思います。
すでに、その兆候は、産科や小児科から現れています。
3月X日
最近の精神医療に関して、関係者と話していて、病院が早期退院に力を入れているという話題が出ました。
今から20年ぐらいまでは、症状が改善しても、長期に精神病院に入院している患者が多すぎて、
それが、病院依存の生活を強めるとして、批判されたものです。
ところが、最近は、早期退院が行き過ぎて、急性症状が少しでも取れるとすぐに退院させてしまう。
症状が取れたのはよいけれど、入院を機会に、生活態度を考え直すとか、服薬について振り返るとの折角の機会を、持たないまま退院に到るケースが多い。
病状が悪くなったら、また来て下さいと言うのだけれど。
もう少し、患者の生活全体を考えなくてよいのか。
そういう話が出ていました。
その時、「こういう話を、ちゃんと話せるのは、昔の先生だけですね。」と言われてしまいました。
「自分も古い考えの医者になってしまったのか。」といささかの感慨がありました。
3月X日
外来での話。
私「今日の調子はいかがですか。」
患者A「母親が廊下を走っています。」
私「??? それはどういうことですか。」
患者A「たぶん、風邪の引きかけでしょう。」
私「どうしてそうなるのですか。」
患者A「オカンが走る。」
私「そういうことを言っていると、いつまでもこの医院との縁が切れませんよ。」
3月X日
昔から、春が近づくと精神的不調に陥る人が多いと言われています。
多少その傾向はあるかと思います。
寒い日々が続いて、少し暖かくなると、縮こもった心や体が動きでして、時によると調整がつかなくなるのでしょう。
「木の芽立ちのころ」という言葉もあります。
ところが、今年は暖冬の影響か、一体いつから春に近づいているのかわからない日々です。
そのため、例年より早く不調になる人が多いです。
案外、気温のちょっとした変化にも、人の心というものは、敏感に反応するのでしょうね。
2月X日
最近、外来に通い出した患者さん。
落ち着かない状態が続いていて大変でした。
クスリがどんどん増えているのに、ちっとも効果がありません。
イライラして、夜中も眠れません。
ところが足下がふらついて、口はロレツが回らない。
クスリが合っていないのです。
色々変えてみても、落ち着きません。
お手上げ状態になってしまいました。
「もう、どうして良いかわかりませんね。」
そうつぶやいたとき、患者さんがポケットから紙切れを取り出しました。
「以前、別の外来を受診していたときに、このクスリが合っていました。」
見ると、現在使っているクスリよりはるかに弱いクスリです。
おまけに古いタイプのクスリです。
「う〜ん。これは昔のクスリだね。それに今使っているクスリに比べて弱すぎるね。」
「でも、今のクスリは効きませんから、こちらで試して下さい。」
「そんなに言うなら出してみるけど、弱いクスリだから、状態が悪くなっても、責任を持てませんよ。」
「わかりました。是非使って下さい。」
三日後、患者さんがやってきました。
「先生。クスリが効きました。こんなに元気になりました。」
確かに、表情も明るく、皮膚の色にも艶があります。
「先生は名医です。」
「貴方の言ったとおりのクスリを出しただけですよ。」
「普通の先生は、患者が言うと、うるさいと言って聞いてくれないのです。先生は聞いてくれたので、名医です。」
「それより、この処方を見付けた先生の方が名医だよ。」
「その先生はもう亡くなっています。」
「じゃあ、最初からの、このメモを出せば良かったのにね。」
「紹介状ならともかく、こんな患者のメモをそのまま信じる医者はいませんよ。プライドが許さないのです。」
(そこまで見抜いていたか。しょんぼり。)
2月X日
「過労死まで行くというのは、やはり本人の自己管理ですよ。」
「 はっきり言って、労働者を甘やかしすぎだと思います。」
「管理者も含めて、働いている一般労働者も含めて、全部他人の責任にするということは、甘やかしすぎですよ。」
「組合が甘やかしているからです。」
などという発言を繰り返しています。
この人は、人材派遣会社ザ・アール社長というのですから、自分なりに女性に働く場を提供する仕事をしてきた人のようです。
その経験から、意見を述べているのでしょうが、自分だけの経験にこだわって、
その延長で国の制度を決定するような、発言をしているのですから、びっくりします。
そういう意見の持ち主を、厚生労働省は立法推進のために委員として選んで、発言させているのでしょう。
「障害者自立支援法」の成立過程でも、同じようなやり方をしていたのだと思います。
国の審議会が、テレビのバラエティ番組のバトル並ではたまったものではありません。
国の政治がその程度のものになってしまったことに、暗然たる思いがします。
1月X日
医院のホームページを見て頂いた方のキリ番の方にプレゼントをお送りしています。
昨年末に12萬人目をゲットされた方が不明でした。
今日、その方がわかりました。
医院に出入りしているお薬屋さんでした。
取引関係なので、遠慮されていたらしいです。
色々な方にホームページを見てもらっているのだなあと思った次第です。
1月X日
薬を取りに来ている人は、二週間分の処方になる人が多いので、祝日の2週間後は患者さんが減ります。
今週は、年末年始から2週後で、患者さんが少ないです。
おまけに今日は雨も降ったので、外来は閑散としていました。
医院を開院した頃は、患者さんも少なくて、30分に一人という時もあり、あまり閑だと時間を持てあまし、デイケア室でテレビゲームをしていたこともあります。
そのころは、ぷよぷよというゲームに熱中していました。
あまり熱中して、患者さんが来ても、診察を「ちょっと待ってください。この面をクリアーしてからにしましょう・・・」などと言っていました。
あまり待たせると、デイケア室にいる患者さんから、「もうそろそろ、診察をしてあげなさいよ。先生、患者ストップです。」と言われたりしました。
ドクターストップならぬ、患者ストップということです。
昼食の時間が10分しかとれないというような今では、あり得ない、牧歌的な頃の話です。
思い返してみて、最初のころが閑だったと言っても、患者さんが一人も来なかったという日は、不思議なことに一度もありませんでした。
どういうわけか、そういうものなのでしょう。
1月X日
ホワイトカラー・エクザンプションという制度が法制化されそうになっています。
参議院選挙をひかえて、内閣支持率の低下を恐れて、先送りの気配ですが、
いつかまた復活するおそれがあります。
カタカナ文字で、何かしゃれた雰囲気ですが、実際は残業ただ働きの制度です。
最初は、年俸だとか、肩書きなどを条件にしていても、やがては無条件化していくのでは
無いでしょうか。
医院にも、過労のためうつ病になり、いつ衝動的に自殺しても不思議でないような人がやってきます。
月の残業100時間など当たり前。
帰宅は午前1時2時、出勤は朝の8時。
土日無し。
そういうことで、よく生きていられるなあと思える人が先日もやってきました。
そういう人がホワイトカラー・エクザンプションとかになったら、
いったいどうなるのでしょうか。
労働基準法違反でしょうね。
でも、タイムレコーダーは定時に押して、帰宅していることになっているのだとか。
本人も納得ずくなので、表には出ないのだそうです。
以前、労働基準法の話を聞いていて、そういう時は、たいがい奥さんが、
労働基準監督署へ相談するものだそうです。
それでも、証拠になるメモが必要らしいです。
独り者の場合は、どうなるのでしょうね。
結局自分の身は自分で守るしかないのでしょうか。
1月X日
成分解析というHPを見付けました。
色々な物質や人間が何からできているかを分析するソフトが設定されています。
「つかさき医院」は
つかさき医院の64%は花崗岩で出来ています
つかさき医院の15%は歌で出来ています
つかさき医院の8%は気の迷いで出来ています
つかさき医院の7%は理論で出来ています
つかさき医院の6%はミスリルで出来ています
という結果でした。
実際のつかさき医院は木造ですけど、花崗岩造りなら、耐震強度はまあまあでしょうね。
少しはたよりになるか。
院長の「塚崎直樹」は
塚崎直樹の95%は夢で出来ています
塚崎直樹の4%は税金で出来ています
塚崎直樹の1%は濃硫酸で出来ています
という結果です。
現実的助言をもとめるより、頭のマッサージを期待した方が良いかも。
有名人の成分分析を見ることもできます。
他に、このHPには成分解析占い。家族解析機。他人解析機。色ー成分分析。恋愛賞味期限。死亡推定日。などのソフトが150近くもありますので、お休みの日など楽しんでみてはいかがでしょう。
1月X日
お正月は、テレビにおもしろいものもなく、インターネットテレビで、月面で何が起こったかを見ていました。
アポロ宇宙船は月に行っていないというお話です。
色々、科学的にそれを証明するのですが、どちらでもよい気分で、見ていますと、結構時間つぶしになりますね。
皆さんは、どんな風に新年を迎えられたでしょうか。
1月X日
新年おめでとうございます。
(本当は、まだ2007年になっておりませんけど、書いておきます。)
今年もゆっくりとやっていきたいものです。
ストレス解消・呼吸法ソフトを使って、呼吸法からリラックスするのはいかがでしょうか。
では、今年もぼちぼちと。