フェルディナン・ド・ソシュール
一般言語学第一回講義
(1907年)
リードランジェによる講義記録
小松英輔編
(原テキストの掘り起し)
相原奈津江・秋津伶訳
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音声変化・交替・類推的創造・膠着・民間語源説
永劫に変転する言語
「語の下位にある生きた諸単位を私たちは求めている」
(ソシュール)
付
――エングラ−版批判――
小松英輔
記号学の実践的展開!
1. はじめに ●言語学と民族学●言語学と文献学 ●言語学と論理学●言語学と社会学
2.言語学の誤りの分析 ●音声的な異変●音声変化の区分 ●音声変化の原因 ●音声変化の結果、あるいは影響 ●類推的な変化 ●類推、言語創造の一般的な原理 ●内的分類 ●接頭辞 ●語根 ●類推の保守的な役割
3.インド・ヨーロッパ諸言語の家族の、内的及び外的歴史の概要 ●諸語形の再建と出来事の再構成 ●再建の目的、その確実性 ●音節の消失の結果
たった六人の学生を前に、こうして伝説の講義が始まった。
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■大修館書店、月刊『言語』7月号、「言語圏α」
1907年にジュネーブヴ大学で僅か6人の学生を相手に行われたソシュールの一般言語学第1回講義が邦訳されたことは慶賀に耐えない。バイイ・セシュエ
による改竄的編輯の所産たる『一般言語学講義』が20世紀言語学を席巻したとすれば、ソシュールは生誕150年を経て、21世紀にようやく真に読み解かれ
始めたと言っても過言ではないだろう。この第一回講義の特徴は、同時代の主流であった歴史言語学を平易に説きながら、その内在的批判へ一歩一歩向かう点に
ある。そこに第2回講義の前半や第3回講義の第二部(『一般言語学講義』の土台となった)の理論的展開とは趣を異にする独自の味わいがある。19世紀以来
の言語学のなかで、言語学に抗して、ソシュールが言語と取り組んでいるその思考の劇を、例えば音声変化から交替を識別するに至るスリリングなプロセスの裡
に窺うことができる。心ある人の手によって刊行された本書は、最良の、比類のないソシュール入門書なのである。(松澤和宏)
■読売新聞、4月11日・朝刊・文化欄
「近代言語学の祖」といわれるフェルディナン・ド・ソシュールが晩年に行った「一般言語学」全3回講義の初の全訳が、完結した。ソシュールの思考を正確に理解する上で重要な手がかりとなる本書翻訳の意義は大きい。
ソシュールの代表的著作として知られている『一般言語学講義』は、ソシュールの死語、弟子が学生の講義ノートなどを参照しながら再構成したもの。これに
対して今回刊行された『一般言語学 第1〜3回講義』(全3冊)は、その後の新発見資料も参照しつつ校訂した講義ノートをそのまま訳出したものだ。
(以下
略)(松本良一)
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