長篇漫画
このページの作成日:1998年 12月 19日 土曜日
このページの最終更新日:2000年 8月 30日 水曜日
このページでは、最近お気に入りの漫画のうち、長篇漫画を紹介します。
- イティハーサ
- 水樹和佳
- 現在書き下ろし執筆中
- 単行本全15巻発売中
- 目に見えない神、目に見える神、そして人間の創世を描く壮大なSF。善性のみの人間の否定をテーマに据えているこの作品はその点では、「ワン・ゼロ」と共通するものではありますが、人間の悪を正面から見据えている点では、その上をいくかも知れません。
この話は登場人物が非常に丁寧に心情描写されているので、どの登場人物にでも感情移入は可能ではないかと思います。たとえ、それが目に見える神であっても……。
- 銀河英雄伝説
- 道原かつみ(田中芳樹原作)
- 徳間書店「コミックCHARA連載中」
- 単行本全11巻発売中
- 原作については説明不要でしょう。原作に必ずしも忠実ではなく、外伝や本編の後側の内容もチョコマカと付け加えていて、話の厚味は原作以上だと思います。漫画化するのはキルヒが亡くなる2巻最後までというのが少々残念でもあります。
- エデンへおいで
- 猫山宮緒
- 白泉社「ララ」連載中(1998年2月号〜)
- 単行本全4巻発売中
- デビュー作以来のシリーズ「今日もみんな元気です」の連載を終えた後、この人は一体どんな話を描くつもりなのか、とある種の不安すら覚えたのですが、その不安は払拭されました。相変わらず漫画でしかできない構図、画面展開が素晴らしいです。
- 彼方から
- ひかわきょうこ
- 白泉社「ララ」隔月連載中(1991年3月号〜)
- 単行本1〜9巻発売中
- 良い意味で少女漫画らしいSF。普通の女子高校生がある日突然異世界に行って、という話。細かい設定も(言語、風俗など)もしっかりしていて、毎回毎回ヒキが上手いのは流石にベテラン。
- マダムとミスター
- 遠藤淑子
- 白泉社「花とゆめ」不定期掲載中
- 単行本1〜4巻発売中
- 財産目当てで孤独な老人と結婚し、今ではめでたく(?)未亡人となったグレースと、その家の有能な執事グラハムは実は?遠藤節のたっぷり利いた人情コメディ。遠藤さんは大好きな漫画家のうちの一人です。
- 下弦の月
- 矢沢あい
- 集英社「りぼん」連載中(1998年4月号〜)
- 単行本1巻発売中
- 矢沢あいひさしぶりのシリアス路線です。CGを大胆に利用したその絵の余りの説得力に引きずり込まれます。
- ベイビイLOVE
- 椎名あゆみ
- 集英社「りぼん」連載中(1995年9月号〜)
- 単行本1〜7巻発売中
- 「りぼん」を代表する典型的な少女漫画の王道。ヒロインが元気でくじけないってのは、少女漫画の必須条件の一つでしょう。
- カードキャプターさくら
- CLAMP
- 集英社「なかよし」連載中(1996年6月号〜)
- 単行本1〜7巻発売中
- CLAMPは必ずしも好きな漫画家(彼女らの場合は漫画集団か?)ではないのですが、やはり、ツボを押さえた作り方をしているこの作品は外せないかと。魔法の使える小学生、さくらちゃんが魔力を持つクロウカードを集める、ドタバタコメディ。
- 夢幻伝説タカマガハラ
- 立川恵
- 集英社「なかよし」連載中(1997年2月号〜)
- 単行本1〜4巻発売中
- 前作の聖なるしっぽとはガラリと変わったシリアスなこの話は、最初なんで、小学5年の女の子に世界が?っていうお約束な理不尽な感じを受けたのですが、それさえ受け入れてしまえば^^;、なかよしに連載しているのがちょっと勿体無いくらいの世界観、神話を見せてくれています。日本神話のアマテラスのひきこもりをベースに北欧、ヒンドゥー神話などからも素材を求めていて、神話の背景を探るという楽しみ方もできます。もちろん、アマテラスの現身たる女主人公と、スサノオの現身たる男の子の可愛らしくも激しいラブストーリーとしても。
- Papa tole me
- 榛野なな恵
- 集英社「Young You」連載中
- 単行本1〜21巻発売中
- 男の読者に娘幻想を持たせる凶悪な作品(^_^;。小学生の知世(ちせ)ちゃんと父親の父子家庭を中心に据えた現代のお伽話。マイノリティから見た社会というのも、時に考えさせられます。
- 観葉少女(プランツ・ドール)
- 川原由美子
- 朝日ソノラマ「ネムキ」連載中
- 単行本1〜3巻発売中
- 男の読者に少女幻想を持たせる凶悪な作品(^_^;。少女の形をした植物を育てるのは貴族のたしなみだったのだけど、今ではいろんな人が育てるようになりました。でも植物として育てるのは大層難しくて、枯れることもあれば、別のモノになることもあります。川原由美子さんの絵をヌキにしては成立しない漫画です。
- パーム・シリーズ
- 伸たまき
- 新書館「Wingz」連載中
- 単行本1〜24巻発売中
- 長い長いこの物語を一言で云えばメロドラマ。といっても、狭義の愛憎ドラマじゃなくて、人生のあらゆる局面を描いているという意味でのそれ。そういう意味では大河ドラマ。但し、肩は凝りません。多分、基本はスラプスティック。ヴォネガットがお好きな人にはお奨め。連載未完ながら、文庫化されます。
- YASHA夜叉
- 吉田秋生
- 小学館「別冊少女コミック」連載中
- 単行本1〜4巻発売中
- BANANA FISHタイプのサスペンスストーリーですが、今回は遺伝子、バイオテクノロジー関連を扱っています。2巻ではまだ登場人物が出そろった程度で、お話はまだまだこれから。それでも十分面白いけど。
- 新世紀エヴァンゲリオン
- 貞本義行
- 角川書店「少年エース」連載中
- 単行本1〜4巻発売中
- 何を今さら?ってことになるのでしょうが。キャラデザの貞本が漫画化。庵野版とはキャラの性格もかなり変わっていますが、個人的には貞本版の方がよさげです。現在、アスカが登場し、ようやく話が本題に入ったところ。テレビ版の第2部はかなり端折られると見た方がよいかな?
といいつつ、現在長期休載中。
- エース!
- 佐々木潤子
- 集英社「りぼん」掲載
- 集英社文庫全4巻発売中
- 「アタックNO1」以来、少女漫画には確実にバレーボール漫画の流れっていうのがかつてはあって、この「エース!」のその正当な後継者です。
この漫画を読んでいて何よりも気持ちがいいのは、主人公のノーコンエース(笑)真奈美を初めとした登場人物がトコトン前向きってことで、たとえ、一セット目を0封されても2セット目はなんとかなるって、希望を捨てずにやってくれます。
あと、みんな一生懸命で一途なのがすごくいいです。今じゃ流行らないのかもしれませんけど、それでも一度読み出したら、登場人物達のひたむきさに引きずり込まれるようにして最後まで読みすすめてしまうでしょう。
世界への雄飛の前で話が終わっていますが、このての話は続け過ぎるとライバルのインフレ化現象を起こし、一部の少年漫画みたく収集がつかなくなるので、これは好判断だと思いました。連載当時は、これで終わり?と拍子抜けしましたけど^_^;
- 神に背を向けた男
- 浜田翔子(原作:和田慎二)
- 白泉社「セリエミステリー」掲載
- 単行本全5巻発売中(白泉社文庫1〜2巻発売中)
- 掲載誌からお分かりのように、バリバリのレディーズコミックです。エッチシーンも多いです^^;。が、やっぱり原作の和田慎二テーストが入ってて、ピカレスクロマンしてて、読んでいて面白いです。
単行本に未収碌だった掌編「君は僕の勇気」が文庫2巻に収録されています。
- デリシャス!
- あゆみゆい(原作:小林深雪)
- 集英社「なかよし」掲載
- 単行本1〜7巻発売中
- 「なかよし」ではとりあえず、これ。やはり少女漫画の王道をつっ走ってます。元気な主人公、主人公が好きな幼なじみの男の子、主人公が憧れているアイドル、うーん、登場人物だけで少女漫画していますね。
主人公のりんごちゃんは、何もしなくても二人の男性から好かれていましたけど、こーゆーシチュエーションって、やっぱり女の子の憧れなのかな?
- 東京心中
- 東宮千子
- 秋田書店「ボニータ」掲載
- 単行本全2巻(多分絶版)
- 東宮千子のドラマチックな話づくりと、涙を搾り取るうまさってのは、初期作品(多分、初連載作品)のこの頃から、変わっていないなぁと、改めて感心させられます。
主人公藤吉志保子は女子高生で将来は女優をめざし、現在は素人劇団「遡原」に籍をおいている。彼女を見い出しのはその劇団の座長であり、脚本も手掛ける前田良一。公演をうてば、台風に祟られたりとウンのなかった彼等にある日、幸田竜ノ介という青年があらわれ、全てがうまく動き出すように見えたのだが、彼等にはそれぞれ抱えているものがあって、という話。
- アリーズ
- 冬木るりか
- 秋田書店「プリンセス」掲載
- 単行本全20巻発売中
- かなり前に完結した漫画ですが。
冬木るりかの解釈によるギリシャ神話転生モノ。キャラクターの造型が非常にハッキリとしていて、絵にも迫力があって読んでいるうちに物語世界に引きずり込まれて行きます。勿論、設定が少々破綻しているところがあったりとか、最後の方に出てくるガイアは余分だとか、欠点もありますが、それを十分補ってあまりあるストーリー展開であり、キャラクター造型だと思いますです。
- 少女少年
- やぶうち優
- 小学館「小学六年生」掲載
- 単行本全1巻発売中
- 連載中とどっちに入れるかに迷いますね。学年誌掲載作品って。現在、主人公を代えて連載されています。
少年が女装してアイドルデビューっていうそのテが好きな人にとってはたまらない設定だんでしょうけど、嫌悪感を示す人にもこれはお薦めでないかと思います。キャラがみんな可愛いです(笑)。せめてちゃおあたりに掲載して欲しかったなぁというのが正直なところ。
- こどものおもちゃ
- 小花美穂
- 集英社「りぼん」連載
- 単行本全10巻発売中
- こーゆー話が「りぼん」に掲載されているというのが、信じられないです。今の社会問題も絡めながら、決して重すぎないようにストーリーを進める作者のセンスには脱帽。高々少女漫画と思って舐めてかかると痛い目にあいます。
- 寄生獣
- 岩明均
- 講談社「アフタヌーン」掲載
- 単行本全10巻発売中
- 80年代の終わりから連載が開始されたこの作品は、90年代の「デビルマン」ともいえます。しかし、永井の作品のように人類について大上段にふりかざすことなく、主人公はあくまで市井の一高校生という立場を貫いていますし、安易に人類が悪いという弾劾だけにも終らせてはいません。それだからといって、この作品が社会性を失っているのかといえば、決してそうではないところが流石でしょう。あと、圧倒的な描写力と。
- ミストルティンの魔法
- 天原ふおん
- 白泉社「花とゆめ」掲載
- 単行本全2巻発売中
- 決して上手な絵じゃないし、ストーリーも、唸らされるほど上手いわけでもない。でも、なぜかしら魅かれる、とても可愛らしい絵であり、ストーリーなのです。と、云っている間に連載終了してしまいました(花とゆめ1997年18号)。
- 花と狼の帝国
- TEAM D.O.C.(藤田貴美、山下友美)
- 白泉社「セリエ・ミステリー」掲載
- 単行本1〜3巻発売中
- 第二次世界大戦中のドイツ・ミュンヘン。ナチスによる反ユダヤ人政策が進められる中、それに反対する結社があった。実在の政治結社「白薔薇」を舞台にしたサスペンス。掲載誌休刊のため、連載が中断した後、角川歴史ロマンDXで特別読み切りとして、一度掲載されただけでした。非常に残念です。
- グラン・ローヴァ物語
- 紫堂恭子
- 潮出版「コミック・トム」掲載
- 角川書店から単行本全4巻発売中
- グラン・ローヴァとは放浪の賢者のこと。人が未だ精霊達と暮らしていた頃の話。自らの不注意から、大陸や海をも動かす力を持つと云われる銀晶球をその身に宿してしまったサイアムと、一見そうは見えないグラン・ローヴァ、そして銀晶球の力を欲するヘビの精霊のイリューシアの銀晶球を葬るための旅。単純なハッピーエンドじゃないところも好感が持てます。
残念ながら、角川から再刊されたコミックは表紙がイマイチ。潮出版社の南伸坊さんのデザインがやはり良かったと思います。
- 降っても晴れても
- 藤村真理
- 集英社「別冊マーガレット」掲載
- 単行本全5巻発売中
- なんというか、読み終わった後、主人公達の辿った道のりにため息が出るような話です。少女漫画にしては珍しく男女間の愛情より少女同士の友情にウエートのかかった作品。裏切り、恋愛、その他諸々を経て大人になって行くのね(^o^)
- 少年は荒野をめざす
- 吉野朔実
- 集英社「ぶーけ」掲載
- 単行本全6巻発売中
- 不思議な作品です。この作品以降、吉野さんの描かれる作品は、抽象度を増し、時についていけなくなるのですが、この作品はそのギリギリのところで踏みとどまっていました。下手な純文学よりよほど純文学している作品です。
- So What?
- わかつきめぐみ
- 白泉社「ララ」掲載
- 単行本全6巻発売中
- 今まで読んだ漫画の中で、最も気に入ったエンディングがこの「So What?」のエンディングだったりなんかします。単なるハッピーエンド、アンハッピーエンドという括りでは捉えられない、自然な終わり方でした。
- ヨコハマ物語
- 大和和紀
- 講談社「少女フレンド」掲載
- 単行本全8巻、講談社漫画文庫版全4巻発売中
- 「はいからさんがとおる」が一番メジャーだと思いますが、大和和紀さんは明治対象浪漫を描くのが上手いです。
- あきひ火華姫
- 佐伯かよの
- 小額館「プチコミック」掲載
- 秋田書店漫画文庫全10巻発売中
- 新谷かおるの奥様ですね。父の遺作を探すため、瀬名生あきひは昼の女子高校生、夜の美術商の顔を使い分ける。さりげなく美術の蘊蓄も語れるようになります。
- 星くず
- 大谷博子
- 集英社「別冊マーガレット」掲載
- 集英社文庫全2巻発売中
- もう今から20年ほど前の作品ですねぇ。初めて読んだのは15年ほど前になります。古本屋をめぐり、単行本をかき集めたのも思い出です。「砂の城」を皮切りに復刻ブームを起こした集英社ガールズコミックスペシャルなどで再刊を待っていたのですが、まったく気配もなく、半分あきらめていたところでようやく文庫化されました。
絵は古いし、本人も認めているようにデッサンもところどころ狂っているし、台詞はクサイし、ストーリー展開も強引ですが、それでもやっぱり、名作だと思います。‘泣ける漫画’の筆頭に置いています。
この作品が良ければ、主人公の娘を主人公にした「由似へ……」と「由似、きみの青春」を読むべきでしょう。同じ文庫から「由似へ……」上中下となっています。
- ピアニシモでささやいて
- 石塚夢見
- 小学館「プチ・コミック」掲載
- 単行本全8巻発売中
- この話、タイトルに魅かれて読んだのです。なんかいかにもしょーじょまんがな甘甘ラヴストーリーだと思って。それは良い意味で思っきり裏切られてしまいました。もちろん、タイトルと内容は密接に繋がっているのですが、どっちかというと重い話ではあります。
- ワン・ゼロ
- 佐藤史生
- 小学館「プチフラワー」掲載
- 単行本全3巻発売中(小学館漫画文庫)
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