短篇漫画
このページの作成日:1998年 12月 19日 土曜日
このページの最終更新日:1999年 2月 28日 日曜日
このページでは、牧神の午後の最近のお気に入りの漫画のうち、短編漫画を紹介します。
- 音匣ガーデン
- 山口美由紀
- 白泉社「花とゆめ」1989年3〜4号掲載
- 単行本「音匣ガーデン」所収
- 同年のぱふの短編ベスト1に選ばれた作品ですので御存知の方も多いと思います。とりあえず、思いきり泣きたい時に読む作品の一つ(もちろん、下の「緑の頃わたしたちは」もその中には含まれていますが)。
SFとして見るならタイムパラドクスが解決されていないという問題点はありますが、そんなこと気にする読み方して楽しい?と言いたい。この話はあくまでレイそしてハンスのマリアへの想いを読むべき作品であり、マリアが苦渋の末ヴィルを選んで幸せになった物語を読むべき作品なのですから。
- 緑の頃わたしたちは
- 谷川史子
- 集英社「りぼんオリジナル」1991年初夏の号掲載
- 単行本「きもち満月」所収
- 谷川史子さんも短編しか描かない方で、たまの連載もオムニバス形式の話が多いです。数ある短編の中で一番泣けるのがこのお話。中学生と図書館の司書さんとの、本当に淡い恋のお話ですが、あくまで前向きの女の子と、彼女によって笑えるようになった彼と悲しい別れ、彼女に片思いする男の子と、なんか、あまりにはまった舞台装置ですけど、やっぱり、いいです^^;
- GONDWANA
- やまざき貴子
- 白泉社「LALA」1989年10月号〜1990年1月号掲載
- 単行本「GONDWANA」所収
- 現在は「ッポイ」で有名な作者さんですが、個人的にはこのお話が一番お薦めです。近未来のアカデメイアという宇宙大学を舞台にしたタイムマシン・‘ムシ’シリーズの一作です。
自らの招いた事故で恋人を6500万年前の過去に送ってしまったラギは彼女を迎えに行くため、自らも過去へ旅立つのですが、そこで見たものは恐竜と、そして、アトランシュの人々。絶滅に向かうアトランシュの人々とラギ、そしてその恋人アディの悲しい交流のお話です。
- 心の旅路
- 遠藤淑子
- 白泉社「花とゆめ」1997年4月号
- 単行本「心の旅路」所収
- 義理と人情を描かせたら多分この人の右に出るものはいないと思われる遠藤淑子さんもまた短編の名手です。私が知る限りこの人は短編しか描いたことがないです。
アメリカを舞台にしたこの話でも遠藤節は全開で、舞台が西海岸なのも多分、マリファナの所持と、その処罰としての奉仕活動という舞台設定のためだけで、登場人物の思考はまるっきり日本人。
んでも、そんなことはどうでもいいのです。死期の近い若者とその従兄弟、そして彼等の下にボランティアで通う主人公の人情が切なくなるお話なのですから。
- DANCE AWAY
- 橋本みつる
- 白泉社「花とゆめ」1990年5号
- 単行本「夢を見る人」(ソニーマガジンズ)所収
- ほんとに何気ない話なんですが、印象的なシーンの連続。コマ割は崩れていて、どこからどう読んでいくのか、少々判りづらいのが逆に魅力になっているこのお話は、単に男の子の片思いとその成就がテーマのなんということはない話なのです。
それでも、大学時代にこの話を読んだとき、泣きたくなるような懐かしさを感じ、それは今回ソニーマガジンズからようやく発行された単行本で読んだ時にも感じたのでした。
- シルエット
- 相模なつき
- 集英社「別冊マーガレット」1992年11月号
- 単行本「笑ってよ」所収
- 短編に優れた人というのはいるもので、相模なつきさんもその一人です。
昔の特に中学や高校の時のことをふと思い出したとき、懐かしいような、恥ずかしいような、そうした気持ちを抱くことがあって、その時の気持ちを思い出させるのが、この「シルエット」という作品だったりなんかします。
- 十日物語
- 山中音和
- 白泉社「花とゆめ」1994年12号
- 単行本「少年帝王」2巻所収
- 山中音和さんは心情描写に長けたひとで、ハマった時には、涙が出てくるのですが、その中でもこれはイチオシです。成長してから出会った、双子の兄妹。コトが露見するまでの十日間の思い出。「会ったってよかったんだ。…兄弟だから…。でも…でも、好きになっちゃいけなかった…」という十日間を象徴する台詞、所々に挿入されるモノローグが効いてます。そしてエンディング。単純なハッピーエンドじゃないところがいいですね。
この人の作品であとは、『天誅の樹』(1991年花ゆめプラネット増刊9月号掲載)もいいんだけど、多分、単行本には収録されないんだろうなぁ。
- いつか、ね
- いなだ詩穂
- 白泉社「ララDX」1994年7月10日号
- 単行本未収録
- 『幻影綺憚』で初めての単行本が出て以来、この人はこのテの話を描かなくなってしまった感がありますが、個人的にはこ〜ゆ〜話のが好きです。
「自分で――自分の立つ場所が決められるようになったら 多分大人になれるよ」っていう、最後のネームがちょっと耳に痛いです。
内容はいなくなってしまった親友を捜しあて、子供っぽいと思っていたその親友が、実は……っていう話です。ぎりぎりのところで少女漫画ですねぇ。この話。
- ひかりのかけら
- ささだあすか
- 白泉社「ララ」1996年2月号
- 単行本「日向で昼寝」所収
- 何気ない心情描写と風景描写、ほのかな思いと別離、未来を感じさせるエンディング。この作品でささだあすかさんの特質が開花した感があります。最初に読んだときに、すんげぇ懐かしい感じがしたのを覚えています。
この人は、猫山宮緒さんと同時期にデビューされているのですが、ブレイクしたのは彼女よりもちょっと遅かったですね。
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