けん引二種


けん引二種とは


【総論】15種類ある運転免許の中で保有者が最も少ない「大型特殊二種」に次いで保有者が少ない「けん引二種」は、実質的に使う機会がほぼないともいわれる。JR武蔵五日市駅(あきる野市)とつるつる温泉(日の出町)を結んでいた「赤バス」、「青バス」というトレーラーバスがあったが、「赤バス」の引退に伴い、国内唯一のトレーラーバスであった「青バス/青春号」が2023(令和5)年3月31日をもって老朽化のため引退したため、現在運転対象車両は実質上存在しない。
戦後復興期の昭和20年代から30年代に普及した「セミトレーラー式」は、長い車体の割に小回りがきき、都市部の公共交通として多くの鉄道系バス会社が採用したが、路線バスの大型化に徐々に減少した。
また1950(昭和25)年、横須賀で起きたトレーラーバスの火災事故も、客車内で火災事故が発生したのに、牽引車内の運転士がこれに気付かず暫く走行してしまったという事故があり、トレーラバスの安全性が問題視されたことも一因であろう。


次の目標は、「けん引二種免許」である。東播自動車教習所の車両に比べて、明石の試験車両はトレーラ(台車)が若干長く、方向変換の感覚もやや異なる。一般に、トレーラ部分が長い方が意外にも方向変換は簡単なのである。

明石の試験場では、けん引のコースは50、または51コースとなる。一種も二種も一緒に同じコースを同じ車両で受験する(都道府県によっては、一種と二種が別のコースになっている場合がある)。よって、例えば10人受験したとしても、2人目と4人目が二種で、あと8人が一種などということもあり、受験生同士では、誰が一種で誰が二種であるかなどは知る由もない。
9時からの受付の時に並んだ順が、そのまま受験の順番となるだけのことである。あくまでも二種といっても合格基準点と、二種免許に必要な動作確認の採点基準が異なるだけである。原則として、場内のコースは試験官が指示してくれるが、是非、心の余裕のためにも記憶しておいた方がよい。ちなみに50コースが右方向変換、51コースが左方向変換となっている。
けん引のコースには、S字やクランクや坂道発進などはない。最大のポイントは方向変換にあるといっても過言ではない。方向変換は、3回までは切り返しが認められるが4回となったら試験中止である。なかなか本番ではうまくいかないものだ。

試験の実際
それでは50コースを例に実際のシミュレーションをしてみよう。
手荷物は持って入ってもよいが、乗車時にキャビンの後部に置いたりするために無駄な動作が必要になるので、できれば手ぶらで乗車しよう。試験場の地下1Fには100円のコインロッカーがある。受験票も必要ないので、免許証だけ試験官に手渡せるように準備しておけばよい。最初の人は前から回って運転席でよいが、二人目以降は後ろから回って、前の人が降りたらすみやかに運転席に乗って、試験官に免許証を渡す。シートベルト、座席の調整、ルームミラーの確認をしてエンジン始動。ならし運転が終わったら、試験官は「ならし走行終わり。」と告げてくれる。このあと外周道路を50km/hの指示速度を云われる。4速にした方が良い。池の周囲を走り終わったら、40km/hの標識があるので、アクセルを緩めて40km/h以下にする。

最初の右折が難物で、曲がった先の信号のある交差点で赤信号で待つ場合、トレーラの後輪が白線を踏んでいたら減点となる。車線幅はトレーラの幅の30cmだけ広い。右折時にせいぜい大周りをすること。さて、庁舎前を右折しEの手前を左折し、信号を過ぎてこの先を左折してS字コース。S字では慎重になるあまりトロトロ走行をしてもダメ。ここまでは50・51コース共通である。あと、気をつけないといけないのは50コースで、方向変換に入るときは何となく直線に進むような変則な交差点ではあるが、厳密には幹線道路に右折で入り、こここから左折で曲がるという合図の2アクションを実行すること。しかし、帰り道は合図を出さないで直進すればよい。

それと50コースで、庁舎前を左折する時に次の信号機付交差点で右折するために左折後に右レーンに入ってはいけない。面倒でもきっちり左車線に入って、手順に従って進路変更をする必要がある。方向変換も3回以内に無事修了して、無事発着点に戻れば、停車処置をする。試験官がアドバイスをしてくれたら、忠実にこれを聞き、受験票と免許証を返してもらう。何も言わなければ、ラッキー。後方を確認して降車し、トラクターの前方を回って構わないので、助手席側に回って免許証のみを受け取る。「合格予定」と告げられる。こうなると、11:50、正式な合格発表がGであり、13:00からの合格者講習まで時間をつぶすことになる。

けん引二種取得記
平成15年2月14日 第1回技能試験/F(女性)試験官/51コース/2号車/13:00〜
左方向変換の後方確認不足、左折時に路側に詰め過ぎて試験中止。

平成15年2月21日 第2回技能試験/T試験官/50コース/2号車/9:00〜
左折時に、次に右折があるからセンター寄りに走ったのはダメ。

平成15年2月28日 第3回技能試験/N試験官/51コース/1号車/9:00〜
1号車はギアが入りにくく、指定速度が出ず。方向変換の後方確認不十分。

平成15年3月7日 第4回技能試験/I試験官/51コース/2号車/9:00〜
左折時に脱輪。しかし方向変換は試験官をうならせるほどの一発決め。
平成15年3月14日
第5回技能試験/N試験官/50コース/2号車/9:00〜
方向変換は1回の切り返しでOK。しかし後方確認不十分と左折時の大周りで30点引き。一種なら合格のところ、二種なのでダメです。見込みあります、上手です。のコメントがせめてもの救い。

平成15年3月28日 第6回技能試験/O試験官/50コース/1号車/9:00〜
2週間のブランクはやはりきついか。加速不良、左折時脱輪、方向変換は2回の切り替えし、最悪の結果。

平成15年4月3日
少なくとも1週間前には車両感覚を身につけておかなくては、そう信じて西脇自動車教習所で「けん引」の練習を1時間行う。けん引の免許を持っていてけん引の練習をする奴は初めてだろうな。(6,300円)
平成15年4月4日 第7回技能試験/T試験官/50コース/2号車/9:00〜/小雨
完走したものの、方向変換で3回切り返したため、半ば諦めモードであったが、後半はのびのび運転で見事合格予定。受験票を見ながら「えらい回数かかったな」というコメント。

(けん引二種、明石試験場でのコースについてはここを参照、けん引の方向変換の動画はここを参照)

諸費用