高速料金区分とETC


高規格幹線道路
昭和62年6月26日の「道路審議会答申」を受け、第四次全国総合開発計画(四全総)により高規格幹線道路網が定められた。高規格幹線道路は、既に規定されている国土開発幹線自動車道等(約7,600km)、本州四国連絡橋公団の管理する本州四国連絡道路(約180km)、これらに接続する新たな路線(約6220km)を合わせた約14,000kmの道路からなる。新たな路線のうち、約3,920kmが国土開発幹線自動車道に指定され、残りの約2300kmが国土交通大臣指定に基づく高規格幹線道路(一般国道の自動車専用道路)とされた。日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団および本州四国連絡橋公団を道路関係四公団と称し、これらは平成17年10月を目標に民営化の予定。

高速道路 分 類 道路の例
高規格幹線道路(14,000km)
高速自動車国道(11,520km) 国土開発幹線自動車道法(11,443km)
その他の高速自動車国道(77km)
新東京国際空港線など
一般国道自動車専用道路(2,480km) 本州四国連絡道路(180km)
本州四国連絡道路
その他の一般国道(2,300km) 高速自動車国道に並行する一般国道の自動車専用道路
ネットワークを形成する道路として整備される一般国道のバイパス
その他の高速道路 首都高速道路
阪神高速道路

高速道路
高速道路には、高速自動車国道自動車専用道路がある。
高速道路の要件  分 類 定 義 道路の例 走行できない車両
■自動車(125ccをこえる自動二輪を含む)の通行に限る。
■出入りはインターチェンジに限られる。
■往復車線が中央分離帯によって分離されている。
■他の道路、鉄道等との交差方式は立体交差である。
■自動車の高速通行に適した線形になっていること。
高速自動車国道
(高速道路)
高速自動車国道は俗にいう高速道路のこと。東名高速・中央道などが相当するが、これらは正式名称と通称が異なる場合が多い。「名神高速」は正式には「中央自動車道西宮線」である。
「○○高速」と「○○自動車道」の名称の違いについては、初期に建設された名神、東名のみが「高速」であり、その他の道路は「自動車道」となっている。
東名高速、名神高速など。正式名称はそれぞれ「第一東海自動車道」、「中央自動車道西宮線」。
通行料は普通車の場合、走行距離1キロあたり24.6円で計算されている。
ミニカー、125cc以下の普通自動二輪、原動機付自転車、小型特殊自動車、故障車をけん引している自動車
農耕トラクターなど構造上50km/h以上でない自動車や他の車をけん引しているため50km/h以上でない自動車
自動車専用道路
(自動車道)
市街地やその周辺の地域の交通の円滑を図るための道路
自動車専用道路では制限速度を掲示することとなっている。これに対して高速自動車国道では制限速度を掲示する必要はない。
主都高速、阪神高速などの都市高速道路、圏央道、アクアライン、横横道などがある。 ミニカー、125cc以下の普通自動二輪、原動機付自転車
小型特殊自動車、故障車をけん引している自動車は通行できる。首都高速は自動車専用道路なので、法律上は小型特殊自動車の通行が可能である。最低速度は高速自動車国道でのみ適用されているので、時速15km/hまでの小型特殊であっても自動車専用道路の走行が可能となる。道路交通法によると、自動車専用道路では、小型特殊自動車は通行できるが、125cc以下の自動二輪車は通行できない。車両運送法によると、小型特殊自動車は、自動車扱いで、125ccのバイクは第二種原動機付自転車であり、原付(第一種原動機付自転車)と同じ扱いとなるためである。事実、阪神高速の料金表には小型特殊車両が普通車料金として掲載されている。実際には走行は不可能であったり、事実上通行不可となっている場合が多い。

有料道路の料金区分
有料道路の料金区分は、高速道路によって分類が異なる。東名・名神などの日本道路公団では「5車種分類」であるが、首都高速や阪神高速などの都市高速道路では、料金システムは料金収受の簡素化のために「2車種分類」にされている。よってマイクロバス(2ナンバー)は阪神高速では「普通車」扱いであるが、名神では「中型車」扱いで値段が少し高くなる。トラックについて述べれば、最大積載量2t以下の小型トラックは「普通車」、2〜5tの中型車は中型車、5t以上または車両総重量8t以上の大型車は大型車、車両総重量20〜25tの大型トラックは特大車となる。

高速自動車国道は東名高速道路、中央自動車道など都市間を結び全国的なネットワークを形成している高速道路で、道路公団により運営されている。料金は原則として対距離料金制で、全国画一の料金水準となっている。走行距離によって変わる部分と利用1回ごとにかかる固定部分により定められる。走行距離によって変わる部分は5つの車種区分があり、比率が異なる。走行距離が100〜200kmでは25%、200km以上の部分には30%の割引が行われ、長く利用するほど1km当たりの料金は下がる長距離逓減制が導入されている。逆に建設費が高い都市近郊の一部の区間では、全国画一の料金水準より高い特別料金が設定されている。
本四道路は本州と四国を海上の連絡橋で結ぶ3つのルートからなる自動車専用道路で本四公団により運営されています。通行料金は高速自動車国道と同じ対距離料金制、車種区分を用いているが、陸上部と海峡部では1km当たりの料金が異なる。
首都高速、阪神高速はそれぞれ首都公団、阪神公団により運営されている自動車専用道路です。都市圏の交通を処理する必要があり、出口に料金所を設けるスペースの確保が難しいこともあり、料金体系は他の高速道路と比較してシンプルになっている。車種区分は大型車、普通車の2区分となっており、料金圏は3つのエリアに分け、それぞれの圏内では均一料金制になっている。ただし、料金区界(料金圏と料金圏の境)などの特定の区間では、均一料金制の下で短距離利用者の負担を少なくするため、均一料金より安い特定料金が設定されている。

通行料金の計算(普通車の場合)/確認中
◆高速自動車国道
24.6円/km×走行距離(km)+150円)×1.05(消費税)
◆本四道路
39円/km×陸上部走行距離(km)+351円/km×海峡部走行距離(km)+125円)×1.05(消費税率)
上記計算式で算定後、24捨25入により端数処理を行い、すべての区間で50円単位の料金が設定されている。明石海峡大橋については、1km当たりの料金は1.6倍割増し、本四道路については、平成15年6月までは20%割引、平成15年7月からは上記28%割引の特別料金が設定されている。

高速道路の料金区分(二輪車を除く)
車種区分 車種区分 料金比率 車種区分
5車種 4車種 3車種 2車種 番 号 普通車比 トレーラ トラック(貨物自動車) バ  ス(乗用自動車)
普通車 普通車 普通車 普通車 1 1.0 軽自動車又は小型特殊自動車が車両(1車軸)を牽引 小型自動車 最大積載量2t以下 -
普通乗用自動車 最大積載量2t以上5t未満
中型車 4 1.2 小型自動車又は小型特殊自動車が車両(2車軸以上)を牽引
小型自動車又は普通乗用自動車が車両(1車軸)を牽引
普通貨物自動車 車両総重量8t未満かつ最大積載量5t未満で3車軸以下(中型トラック) マイクロバス(小型バス) 定員11人以上29人以下、車両総重量8t未満
軽自動車 5 0.8 - 小型特殊、軽自動車、自動二輪 自動二輪は125cc超(側車付を含む) -
大型車 大型車(T) 2 1.65 小型自動車又は普通乗用自動車が車両(2車軸以上)を牽引
中型車に区分される普通貨物自動車又はマイクロバスが車両 (1車軸)を牽引
大型車に区分される普通貨物自動車又はバスで2車軸のものが車両(1車軸)を牽引
大型貨物自動車 車両総重量8t以上、最大積載量5t以上で3車軸以下(大型トラック)
4車軸車両で制限令まで
中型バス 定員30人以上又は車両総重量8t以上の路線バス
定員29人以下かつ車長9m未満,車両総重量8t以上
特大車 大型車(U) 大型車 3 2.75 中型車に区分される普通貨物自動車又はマイクロバスが車両 (2車軸)を牽引
大型車に区分される普通貨物自動車又はバス牽引し、車軸数合計が4軸以上
大型特殊車が牽引するもの
大型貨物自動車、大型特殊 4車軸で車両制限令を超える(特車ワッペン)
5車軸以上
大型バス 乗用定員30人以上のものおよび車両総重量8t以上で車長9m以上のもの(路線バスを除く)

■5ナンバーの乗用車で 1軸のボートトレーラーを牽引している場合は中型車。(中型車の区分が無ければ普通車)になる。
■普通車のキャンピングカーなどが中型車(貨物自動車)に間違われる可能性がある場合は、車検証を添えて料金所へ申し込むと、高速道路車種区分証明書を発行してくれる。
■4軸であるトレーラが、リフトアクスル機構で、1軸を浮上させると高速料金は特大車から大型車に区分され、通行料金が約40%安くなる。


国道の分類
国道は、いわゆる国道である「一般国道」と、「高速自動車国道」その他に分類される。前者は昭和27年公布の道路法に基づき、桁数2桁までを一級国道、桁数3桁の国道を二級国道と分けていたが、昭和39年に道路法が改正され、一級国道・二級国道を一般国道に統合し、現在に至る。

法 律 道路の区分 内 容
道路法(高速自動車国道法) 高速自動車国道 道路法は広く「道路」に関する基本的、中心的な法律として道路の種類、指定・認定手続きを定めると共に、その管理、費用負担等の方法を規定している。高速自動車国道法は、道路法の特別法として高速自動車国道に関する道路法の特例を規定したもの。
一般国道
都道府県道
市町村道

都市高速
首都高速、名古屋高速、阪神高速、福岡高速、北九州高速などがあり、それぞれの公団によって運営される「自動車専用道路」。阪神高速道路は、大阪、神戸、京都とその周辺の地域に路線網を有する有料の「自動車専用道路」である。国土交通大臣が指示する建設計画に基づいて、「阪神高速道路公団」が建設・管理を行っている。通称「阪神高速」と呼ばれているが、道路法上は各路線は府道や県道、または市道となる。つまり正式な法定路線名は「○○府(県・市)道高速○○線」となる。

高速道路の正式名称
現在JH(日本道路公団)が建設・管理している道路は、31路線、6,452kmあるが、高速道路には法律によって定められた路線名以外の通称もあり、道路地図などにはむしろ通称の方が多く使用されている。
公団が管理する高速道路の通称で、「高速」と表現される道路は、「東名高速道路」と「名神高速道路の2つのみであり、その他の道路は「○○自動車道」となっている。東名と名神高速は、初期に建設され、通常の道路との区別をするため「高速道路」という名称をつけたことが定着したまま、現在でも「高速道路」という名称が残っているのである。正式名称はあまり知られていないが次のようになる。


高速道路雑学 (知っていて損はないでしょう)

SA、PAの設置間隔
サービスエリア(SA)、パーキングエリア(PA)の設置間隔はそれぞれ、SA約50km、PAは約15km間隔を目安として設置されている。PAは駐車場、トイレ、休憩スペース、売店などの設備をもつ休憩施設であり(休憩スペースや売店がないPAもある)、SAは駐車場が大きく、トイレ、休憩スペース、売店に加えてレストラン、給油所などの施設を備えている(レストランや給油所がないSAもある)。例外もあるので、とりあえずSAとPAの違いは規模の違いと思っておればいいだろう。基本的にPAには給油所がないが、SA間の距離が長い区間では、途中のPAに給油所が設置されている場合もある。

白線の長さと間隔
線をひいている長さは8m、間隔は12m、線と間隔をあわせて一つの単位が20m。

ガソリンスタンドの設置間隔
原則として高速道路上にある給油個所はSAに設置している、立地条件によってPA設けている場所もあるが、100kmを超えないよう配置されている。

非常電話の設置間隔
非常電話は1kmの間隔(トンネル内は200m間隔)で設置されている。非常時には電話が見当たらなくても、必ず1km以内に設置されているはずなので、非常時にはガードレールの外側などの安全な場所を歩いて非常電話を探す。


JCT (JUNCTION)
高速道路と高速道路が分岐合流するインターチェンジ。

IC (INTER-CHANGE)
立体交差する道路の相互間、または近接する道路相互間を連絡路によって立体的に接続する施設。首都高速ではJHの呼び方と紛らわしいという理由で、JHと同様にランプ→IC、IC→JCTと変更した。


高速道路の自動発券機について
高速入口の無人自動発券機では、ナンバープレートをリアルタイムで読み取る車両番号認識装置(Nシステムと同様、赤外線で認識)、車両分離器、車種判別用踏板、車高検知器、車長検知器などを連動させて車種判別を瞬時に行う。料金所手前のナンバープレートと同じぐらいの高さに、ナンバー読取装置があり、ここを通行する時に赤外線が光る。ナンバープレートの位置が特殊であったり、赤外線を通さないプレートカバーを装着している場合、雪でナンバーが隠れている場合、故意に一番左のレーンのさらに左寄りを通ったりして車種の判別ができなかった場合には、車種不明として×が表記されて発券されて、出口の料金所で該当料金を請求される。これを逆手にとって普通車のドライバーから普通車料金を受け取り、収受機には軽自動車と入力し、差額を着服するという事件がもあった。ETCの普及によって、これらの自動発券機もその役割が薄れていくであろう。

通行券の表示数字
自動発券機で発券された通行券の上側に印刷される数字の下2桁は自動車種識別で発券された車のナンバープレートの下2桁と一致している。SAやPAを利用したり、柵を乗越えて通行券を交換してキセルを行うことが予防できる。現実には、トラックなどは、手動発券時に車種区分を間違えられることは意外に多く、料金所で申告して訂正することがあるという。なかなかナンバーを確認してキセルをチェックすることは出来ないそうだ。

左ハンドルの場合
現在のところ、自動発券機で左ハンドルを自動認識していることはない。左ハンドルの場合には、左ハンドル車用のレーンに進み、発券機の丸いタンを押す。すると一旦出ていた右側の券が機械に吸収され、左側の機械から新たに発券される。よって1台で2枚の発券はあり得ない。逆に、右ハンドルの車でも助手席に座ってる人が左側の発券ボタンを押せば発券されるらしい


ETCについて(Electronic Toll Collection System)
料金所ゲートに設置したアンテナと、車両に装着した車載器との間で無線通信を用いて自動的に料金の支払いを行い、料金所をノンストップで通行することができるシステム。料金所のアンテナとクルマに装着した「車載器」との間で、通行料金に関 する情報などを無線で交信して自動的に支払いを行うため、料金所ではクルマを一旦停止せず にスムーズに通過できる。全国共通のシステムであり、 「ETCカード」と「車載器」があれば利用できる。

整備状況
平成13年3月から全国63料金所でETCの一般運用が開始された。平成16年3月末では、全国の料金所の9割以上にあたる895箇所でETCが整備され、平成17年1月末での全国のETCの利用率は30.2%となった。
道路公団としては、平成18年春までにはETC利用率を70%(首都高速、阪神高速では85%)を目標としているという。


ETCレーンの設定

ETC通過の実際

ETCレーンには開閉バーが設置されており、ETCカードの車載機への未挿入、不完全挿入、直前挿入などの原因により正常通信ができない場合、開閉バーが開かないことがある。開閉バーが開くまでは、いつでも安全に停止できるよう時速20Km以下で走行するのが望ましい。
開閉バーの本来の目的は不正通行の防止や非ETC車との速度差が大きくなるのを抑制するのが目的であるが、最近はバーが取り付けられていないか、装備されていてもオープン状態であるETCレーンが多い。
筆者の経験によると両開バーは60km/h、片開バーは100km/h以上のスピードで進入すると実質的には危険である!あくまでも推奨されている20km/hで走行しましょう!私の知り合いで何名かが、バーを壊したことがある。かつて現場の料金所の係員に尋ねてみたところ、約3日に1回はバーに激突する車があるそうだ(だからオープンにしている料金所が散見されるのか)。衝突の実態は、普段ETC慣れしている運転者が、ETCのない発券所から通行券で入った場合に、出口でうっかりETCレーンに突入するパターンが多いそうだ。

ETCレーンの信号灯は、一般車が誤ってETC専用レーンに誤進入することを防ぐためETC専用レーンに限っては、進入許可の「青信号」を消灯している。一般レーンとの混合レーンでは「青信号」が点灯している。また、信号灯上部の表示板に紫色のETC専用と表示されていれば、青信号が点灯していなくてもETC車は利用できる。ETC利用者としては、進入路の「青信号」が点灯していないことは、やや不安材料となるが...。ただし、装置のトラブル、不正侵入車両があった場合はしっかりと「赤信号「」が点滅する。


ETCの通過パターン
入 口 出 口 通 行 手 順
通行券を受け取り、通行券を提示して料金を払う。通行券を提示してETCカードでの支払いも可能。)
通行券を受け取り、出口では「ETC/一般」または「一般」のレーンで通行券を提示して料金を払う。通行券を提示してETCカードでの支払いも可能
通行券を受け取っているので、通行券を提示して料金を払う。通行券を提示してETCカードでの支払いも可能
入口料金所でETCレーンを利用した場合には、出口で係員にETCカードを渡す。
普通にETCが利用できる。

原則としてETCは専用レーン
ETCレーンの車線運用は、ETCの導入効果が発揮されるよう基本的に「ETC専用」レーンとなる。ただ他の一般レーンで渋滞が発生し、これが料金所広場を越えてETC利用車も渋滞に巻き込まれてETCレーンへの到着が遅くなる場合がある。このような場合には、ETCレーンを止むを得ず「ETC/一般」の混在運用としている。また、一見渋滞していないのに混在運用している場合もあるように思うが、実は、ETC専用運用に切り替えると直ちに渋滞が発生する微妙な状況にあったり、たまたま車群の切れ目にあたる瞬間である場合が多く、原則として、ETCは専用レーンとしての利用が原則である。
実際にはETC利用の増加により、24時間専用でのレーン運用を実施する料金所が増加している。現在は、各公団の本線料金所においては、ほぼ全ての料金所において24時間専用レーン化が施行されている(185本線料金所中183料金所)。

ETCのメリット

ETCバー衝突の実態
日経新聞によると、ETCが作動せず、ゲートのバーに衝突するなどのトラブルが、日本道路公団が管理する道路では平成13年11月〜平成15年3月の1年5ケ月の間に539件発生しており、1日平均では約1.1件発生したことになる。実際には負傷者は出ていないとのこと。首都高速道路公団でも、開閉バーに接触して当事者が特定できたものだけを集計すると、平成14年からの2年間で752件(平均1.03件/日)という。また、バーが開かずに寸前で停止したケースを含めたトラブルは、日本道路公団によるとETC利用者のうちの約0.18%(560台に1台)で発生しており、その原因の大半は、ドライバーによるETCカードのセットミスと考えられる。一方では利用者の0.025%(4000件に1件)ではゲート側の感知電波が、周囲の車に乱反射するなどの理由でトラブルが起きたという。また、非ETC車が誤ってETC専用レーンに侵入する誤侵入は、日本道路公団によると、平均で1レーンあたり1時間に0.8台あるという。最も早くETCが導入された千葉エリアでは誤侵入は1レーンあたり1時間に0.2台しかないので、広報や新システムへの馴れなどの学習効果で、この割合はく減ると見込んでいる。非ETC車両が、ETC専用レーン誤侵入したときに、あわててバックされたりした場合に、後続のETC車と接触する事故が多いようである。

ETCの通信エラー
ETCにも通信エラーが一定の確率で起こる。通信エラーが発生すると、開閉バーが開かず、進入した車両がバーに衝突する可能性が生じる。高速で開閉させるため、バーはある程度は硬い材質でできているので、ぶつかった場合には車体に傷つける恐れがある。そのエラー発生確率は、約10,000回に3回であるという。すると全国約900ケ所にETCが設置されるているとすると、ETCで1回のエラーが発生する確率は全国のETCゲートを3.7台が通れば、どこかで1回は通信エラーでゲートが開かない事故が生じる計算となる。

ETCの事故
 ETCの事故
月平均利用台数
年間事故台数
100万台あたりの事故発生件数
平成14年度
462万台
398台
7..2件
平成15年度
1,567万台
571台
3.0件
平成16年度(10月まで)
3,150万台
556台
2.5件

ETCレーンでの料金所員の事故
料金所の収受員が作業中にはねられる事故が相次いでいる。運用開始から約4年で、13件の事故が起き、3人が死亡したという。機械の誤作動などを処理するため、道路を横断することが原因となっている。
収受員は各道路公団の直接雇用でないため、現行法では公団に労災事故を防止する義務がない。

事故原因の内訳
事故原因(平成16年4月〜10月)
割合
車載器へのカードの差し忘れなど
61%
不適切な車載器の取り付けなどにより無線交信が正常に行われなかったことによるもの
24%
車載器を搭載していない車両が誤ってETC車線に進入してきたことによるもの
8%
その他/原因不明
7%

ETCの乗り継ぎなどの利用方法
阪神高速道路の料金体系は阪神西線、阪神東線、阪神南線の3系統の料金体系がある。同一圏内は均一料金である。ただし一部区間のみ走行する場合に安目の特定料金設定がある。よって1つの料金圏内で、高速道路を乗継ぐ場合は、指定された料金所で「乗継ぎ券」を受け取れば、これを持って次の高速に乗る場合に均一区間内を走行しているとみなされ、同一料金で走行可能なルートがある。これもETCを利用すれば自動的に、乗継ぎと判断され、乗継いだ先のETCでは科金は0円となるただし、30〜120分の利用制限時間がある。


最近ETCを用いた社会実験などが駐車場や有料高速道路の乗り継ぎなどを中心に行われている。いわゆるETCゲートを通らずとも急に車載器から「○○円還元しました」と突然言われてちょっとびっくりすることがある。ご覧のように簡易げーよのようなもので降り口などによく目にする。ふと思う。たまたま車線変更しようとして、両方のど真ん中を通過したらどうなるのであろうか。


二輪車のETC利用について
二輪車は振動や防水対策などの車載器の構造や、ゲート走行上の安全性の問題があるため利用できなかった。振動や防塵、防水、盗難対策等の関係でバイク用のETC車載器の開発が難しいことと、通信エラーでバーが上がらなかった場合に、二輪運転者の転倒のリスクを考慮したものである。しかし、やはり自動二輪にこそノンストップ方式が必要であるとの声が強く、平成17年2月には「バイク便」や「白バイ」などのプロのドライバーを対象にモニターを募集することになった。3月から車載器の取り付けを行った。
国土交通省及び東日本高速道路株式会社等の各高速道路会社は、二輪車ETCの実用化に向け、平成17年4月より首都圏で、平成18年2月より近畿圏、中部圏において、モニターによる試行運用を連携して実施した。モニターへのアンケート結果では、二輪車ETCの必要性と要望が約97%と多数を占めた。これを受けて二輪車用ETC車載器の市販化にあわせて平成18年11月より二輪車ETCが導入されることになった。

平成18年11月1日より全国の高速道路で二輪車のETC利用が可能となる。最近、ETCレーンに破線が追加されていることにお気づきの方は多いであろう。そう、その破線の延長にはバーのかからない所、つまり自動二輪のための誘導レーンとなっているのだ。当然のことだが、万が一バーが開かなかった場合には、首を跳ねられる形となる自動二輪にとってはバーは凶器だから。


ETCゲートの種類
将来的には、本線料金所におけるETC専用運用レーンの位置やETCレーンの閉鎖状況を、ETC車線「運用状況予告板」として料金所の手前で表示する。料金所直前での無理な車線変更を防止することが目的。
2〜3車線以内の路線では基本的にETCレーンは右側に誘導するようだ。当然のことながら、ETC普及率が100%でない以上、ETC専用の出口しか設定していないゲートは存在しないし、ゲートが5ヶ所以上ある料金所では、ETCが利用可能なゲートが2箇所以上は存在するようだ。
道路の車線数とゲートの数 ゲートの数が1 ゲートの数が2   ゲートの数が3 ゲートの数が4 ゲートの数が5以上 備 考
料金所の手前が1車線
未確認

六甲北
神戸三田南行LP

山陽道
三木東入口

阪神7線
柳谷入口

六甲北
柳谷北行LP
     
料金所の手前が2車線以上
未確認

山陽道神戸
北入口

中国道
神戸三田入口

六甲北
柳谷南行入口

舞鶴若狭自動車道
春日出口

六甲TN
北入口

中国道
滝野社入口

山陽自動車道
三木小野出口

名神
京都南出口

中国道
滝野社出口

山陽道
神戸西出口

中国道
吹田出口

新神戸TN
箕谷入口

新神戸TN
箕谷入口

新神戸TN
箕谷入口 
側同が同じ料金所に合流してくる場合は手前の車線数として側同を加えた。

ITS(高度道路交通システム)
ITSとは、最先端の情報通信技術を用いて人と道路と車両とを情報でネットワーク化することにより、交通事故や渋滞などの道路交通問題の解決、運転負荷を軽減する道路交通システムを目的にした新しい交通システムのこと。具体的にはカーナビのVICSやETCシステム、AHSなどが含まれる。将来的には次のような便利な機能が期待できる。

ETC(ノンストップ自動料金収受システム )Electronic Toll Collection System
日本では、平成12年4月より首都圏を中心に試行運用を始め、平成13年3月からサービスを開始した。平成13年11月から全国に拡大した。

◆DSRC(狭域通信)Dedicated Short Range Communication)
数百メートルまでを目的にした無線通信。ETCで用いられる5.8GHzの電波を用いるシステム。現在利用されているETCのような料金受領システム以外にも、高速な大量データのやり取りによる情報提供、道路状況に関する情報提供、地域のイベント情報の提供、娯楽施設情報の提供、緊急災害時の情報提供などに利用できる。1つの基地局からカバーできる通信エリアが半径15メートルと狭い反面、高速移動中でも大量のデータを瞬時に(最大通信速度は4Mbp)やりとりできる。

◆AHS(走行支援道路システム)Advanced Cruise-Assist Highway Systems
道路上に設置したセンサーから収集した情報を、道路と車両の間で通信することにより、安全運転を支援するシステム。将来的には「自動運転」を実現する研究が進められている。

ASV(先進安全自動車)Advanced Safety Vehicle
IT革命に対応して自動車に最新のエレクトロニクス技術を装備することによって、自動車が高度な情報収集、情報処理とこれに基づく車両制御 ができる研究開発を行うものである。車両周辺の交通環境や路面の状況などの情報を各種センサーや情報通信装置を用いて収集し、収集した情報を基にドライバの安全運転を支援するものである。自動車の安全性を格段に向上させ、毎年1万人近い交通事故死者数を削減することが期待できる。

VICS(道路交通情報通信システム)Vehicle Information and Communication System
運転者の利便性の向上や渋滞の緩和などを図るため、渋滞状況、所要時間、工事や交通規制等に関する道路交通情報を、道路上に設置したビーコンやFM多重放送により、ナビゲーションシステムなどへ車載機にリアルタイムに提供するシステム。平成8年から世界に先駆けてサービスを開始し、現在はほぼ全国で24時間利用できる。


ETC前払割引サービス中止
平成17年12月20日24時をもってETCの前払い(50,000円払って58,000分利用可能)が利用できなくなった。
これに変わる形で、旧日本道路公団(東・中・西高速道路株式会社)や本州四国連絡橋公団ではETCマイレージサービスが導入され、阪神高速はやや変則的なマイレージと独自の時間割引、首都高速は独自の割引制度を導入した。何となく、総合すると小口の個人利用者にとっては割引感が減少したような印象があるが、現在のETC割引制度についてまとめみた。(2006.6.1現在)

栗田の居住する播磨・阪神地域を中心に調べてます。

◆東/中/西高速道路(株)・本州四国連絡高速道路(株)で時間帯割引(深夜割引、早朝夜間割引、通勤割引)または障害者割引の適用を受けた場合は、割引適用後の支払額についてポイントは付く。
◆本州四国連絡高速道路ETC特別割引または障害者割引の適用を受けた場合は、割引適用後のお支払額についてポイントが付く。
◆阪神高速道路では平日時間帯割引/土曜・休日割引、環境ロードプライシングまたは障害者割引の適用を受けた場合は、割引適用後のお支払額について、ポイントが付く。

【東/中/西高速道路(株)・本州四国連絡高速道路(株)】 50円つにき1p(50円未満切捨て)
ポイント 還元額(マイレージ)
100p 200円
200p 500円
600p 2,500円
1000p 8,000円

◆通勤割引:ETCが整備されている入口料金所をETC無線通信により走行し、朝夕の通勤時間帯(朝6〜9時または夕方5時〜8時の間)に入口もしくは出口料金所を通過し、かつ総利用距離が100km以内の場合、対象区間の利用金額が約5割引になる。時間帯内の最初の1回について適応される。高速自動車国道以外の有料道路、大都市近郊は割引の対象とならない(約50%OFF)。
◆早朝夜間割引:ETCが整備されている入口料金所を ETC無線通信により走行し、 夜間22時〜翌6時までの間に 大都市近郊区間を利用し、かつ総利用 距離が100km以内の場合、利用区間の利用 金額が約5割引になる(約50%OFF)。
◆深夜割引:ETC利用の全車種を対象に高速自動車道を深夜時間帯(午前0〜4時)に走行した車両に対して、利用区間の通行料金を割引く(約30%OFF)。

【東/中/西高速道路株式会社の管理する一般有料道路】 50円つにき1p(100円未満切捨て)/平成18年4月〜
ポイント 還元額(マイレージ)
100p 200円
200p 500円
600p 2,500円
1000p 8,000円

◆一般有料道路とは、京都縦貫自動車道(京都丹波道路)、京滋バイパス、第二京阪道路、京奈和自動車道(京奈道路)、南阪奈道路、第二神明道路など
◆大都市近郊とは大阪近郊では、名神高速(大津〜西宮)、中国道(中国吹田〜西宮北)、近畿道(吹田〜松原)、阪和道(松原〜岸和田和泉)、西名阪道(天理〜松原)、京滋バイパス(瀬田東〜久御山淀)

【阪神高速道路株式会社】 100円つにき3p(100円未満切捨て)/平成17年10月〜
ポイント 還元額(マイレージ)
100p 100円 (最低500pから100p単位の交換)
月額利用額 別途加算、100円未満切捨て
10,000円まで 0p
10,001〜35,000円 3p
35,001〜70,000円 5p
70,001円〜 10p

二輪車の高速道路料金について
ご存知のように二輪車は、軽自動車(普通自動車の約80%)と同じである。道路公団としては次のような根拠を謳っている。

これに対して、全国軽自動車協会連合会と二輪車メーカによると現行の料金区分は次のような理由から不適切と考えている。