トラック豆知識@(分類と積載量など)


貨物自動車の分類
貨物自動車、いわゆるトラックは次のように分類される。
「道路運送車両の保安基準」により、大型トラックと中型トラックは車両総重量で分けられ、中型トラックと小型トラックは寸法と積載量により分けられる。

トラックの分類 (道路運送車両の保安基準による分類)
名 称 全長×全幅×全高 定 義 ナンバープレート 免 許
大型トラック 12m×2.5m×3.8m以内 最大積載量5t以上または車両総重量8t以上 1,8 大 型
中型トラック 大型・小型に当てはまらないもの 普 通
小型トラック 4.7m×1.7m×2m以内 最大積載量2〜3t以下かつ総排気量2000cc以下(ただしディーゼル車、天然ガス車は排気量無制限)
4,6,8

トラック業界においては、トラックメーカーの区分に従って、標準積載量によって4t以上の普通トラックと4t未満の小型トラックに区分され、普通トラックは更に中型と大型に区分することがある。小型トラックと普通トラックの違いを最大積載量2tとする場合もある。

トラック業界の分類(トラックメーカーの区分による分類)
名 称 標準積載量による分類 通 称 免 許
普通トラック 大型 5t以上 5t以上 10t車、20t車、25t車 大 型
中型 4t以上5t未満 2t以上5t未満 4t車 普 通
小型トラック 2〜3t程度(4t未満) 2t未満 2t車

「一般」って何?
よくトラックのドアなどに「一般」と表記されているけど、何を意味するのだろう?営業用トラックの事業形態(貨物自動車運送事業)のことである。正式には一般貨物自動車運送事業といい、「普通トラックを使用して、荷主の荷物を運送する事業」のことで、トラック運送事業者全体の約9割を占めている。軽トラックを使用して、荷主の荷物を運送する事業は貨物軽自動車運送事業という。一般貨物自動車運送事業は、荷主の方から運送依頼を受けて運賃を受け取る。これに対して営業用トラック輸送以外に、荷主企業が自社の製品の配送をトラック運送業者に委託せず、自らがトラックを保有し配送を行う場合があり、これを自家用トラック輸送という。輸送量としては全体の約2割に過ぎない。運送に使用する普通トラックは小型貨物車(4ナンバーのトラック)、普通貨物車(1ナンバーのトラック)、冷凍食品、石油類などの運送に使用する特種車(8ナンバーのトラック)などがある。

トラック運送事業の事業形態による分類
分 類 名 称 内 容
特 積 特別積合せ貨物自動車運送事業 不特定多数の荷主の貨物を積み合わせてターミナル間での幹線輸送等を定期的に行う。
最終目的地に到着するまでに、集荷、発ターミナルの仕分け、幹線輸送、着ターミナルの仕分け、配送といったように、複数の異なるトラック輸送と貨物の積み替えを行う。宅配便はこの事業に含まれる。
一 般 一般貨物自動車運送事業 まとまった荷物を車両単位で貸し切って目的地まで直接運ぶもの。貸し切りが主体であるが、積み合わせ輸送を行うこともできる
特 定 特定貨物自動車運送事業 品目ごとに荷主企業を限定して特定の貨物を輸送する。基本的には、一般貨物自動車運送事業と同じだが、荷主企業が限定されている点で異なる
霊 柩 霊柩運送事業 文字通り、霊柩車など遺体を専門的に輸送する


速度表示灯について
大型トラックの、屋根についている緑色の三つのランプ。道路運送車両の保安基準(昭和26年)第48条の3の規定(昭和42年8月追加)に基づいて、大型貨物自動車(従ってバスは除く)速度によって3段階に点灯する黄緑色のランプ3つの速度表示装置の装備が義務付けられている。大型トラックは見た目に速度がわかりづらいので、車外から接近速度が把握できるようにしたもの。点灯の順番は、時速40km以下で1つ目助手席側(○○●)、時速40km超〜60km以下で2つ目運転席側(●○●)、時速60km超で3つ目真ん中(●●●)の順。規制緩和、速度抑制装置の装備義務化、海外への輸出の関係で平成11年に廃止された。

速度抑制装置について
国土交通省は、高速道路で起こる死亡事故の約23%は大型トラックが原因となっている(平成10年)。死亡事故の、約51%が大型トラックによる追突事故であり、その約85%は法定制限速度80km/hを超えた速度で発生している。このような事情から高速走行に対応した事故防止等を目的として大型トラックヘの速度抑制装置の義務付けを行うこととした。大型トラックの最高速度を時速90km以上出せなくする速度抑制装置の装着義務付けが平成15年9月1日から始まった。
平成6年排出ガス規制以降の排出ガス規制に適合する大型トラックに対して、9月以降に発売される大型トラックについては装着が義務付けられ、すでに走っている車も3年間で取り付けないと車検証の更新ができなくなる。
国土交通省は最初の1年間で約30%が装着車になり、大型トラックの死亡事故は2〜4割削減できると予測している。高速道路で相次ぐ事故を防止するねらいだが、輸送時間が長くかかることに加え、納期の時刻も予想が難しくなるため、トラック輸送から、鉄道、海運、航空に輸送を切り替える動きが出始めているという。


排気ブレーキについて
エキゾーストブレーキとも呼ばれており、ほとんどのトラックやバスに装備されている。ハンドル左側のワイパーのレバーを前後(奥に押せば作動)させることで操作する形が多い。アクセルを踏んでいない時だけ、エンジンブレーキの効果を高める補助ブレーキとして、排気管の途中に設けられたバルブを閉じることでエンジン内の排気圧力を高め、制動力を発生させるもの。エンジンブレーキと異なって、オートマチック車でも作動することと、ギア比に関係なく一定の減速効果があり、実際の運転では長い下り勾配でよく用いる。排気ブレーキを使用すれば、10tトラックの場合はエンジンブレーキの単独使用に比較して制動力を約1.8倍に増強する効果があるという。
以前は、排気ブレーキの制動時にはブレーキランプが点灯せず、後続車が通常のエンジンブレーキより強力な排気ブレーキにびっくりすることもあった。高速道路などでも、排気ブレーキに起因する追突事故が多かった。このため、排気ブレーキを利用するとブレーキランプが連動して点灯する車両が登場した。ところが、長い下り坂などで排気ブレーキを作動したまま走行していると、後続車に対する制動灯の警告効果が減って、かえって車間距離がつまってしまう傾向があることが分かった。
そこで、排気ブレーキがブレーキランプと別個の緑ランプが点灯する車両なども登場したが、この部分に関しては一定の基準が存在していなかった。速度表示灯の設置義務の廃止と同時に、排気ブレーキ作動時の作動灯の点灯義務も廃止された。

最大積載量について
最大積載量の決め方は、道路を守るために次の基準が定められている。一般に、燃料タンク、ボディ、その他の特装装置などの二次架装によって車重は増えるので、メーカーの純正による一次架装状態での理論上の最大積載量に対して、1割程度過積載になってしまうことはよくあるという。

車両総重量について
車両総重量は車体の構造から規定されており、これから車両重量を引いた値が最大積載量となる。よって、車両重量が軽いほど最大積載量が増える計算となるため、近年、シャーシやキャブを軽量化したモデルが各社で設定されている。車両総重量はGVWと呼ばれ、メーカーによってはGVWによってトラックのクラス分類をしている場合もある。

10t、4tトラックとは
4tトラックといえば4t分の荷が積載できると思われがちだが、実際はそうではない。道路交通法により車両総重量は各車両ごとに決められている。いわゆる2t車なら4t、4t車なら8t、10t車なら20t、25t車とは車両総重量25tの3〜4軸の大型トラックのことを指す(最近規制緩和によって10t車の車両総重量が20→25tに引き上げられた)。
しかし、トラックには必ず減トンの要因が含まれおり、積載量通りには積載できないのが現状である。例えば、車両総重量から車体重量とウイングボディやパワーゲートなどの付加装備を引いた値が実際の最大積載量となる。
例えば4tトラックといっても、標準積載量が4t程度という意味で、最大積載量4,000kgということではない。4t車は一般に車両総重量8t未満(ちなみに8t以上は大型トラックで大型免許が必要となる)の普通トラックのことをいい、これに例えば1,100kgのクレーンが装備されている場合には、この分が減tされて最大積載量は2,900kgとなる。

トラックの分類 大型トラック 中型トラック 小型トラック
最大積載量 5t〜20t程度 4t程度 2〜3t程度
車両総重量 8t以上 5t以上8t未満 5t未満

増トンとは
中型グラスをベースとして、軸許容荷重やタイヤ許容荷重に余裕を持たせて、積載量に余裕を持たせたもの。車両総重量が8tを越えたり、最大積載量が5t以上となると、大型免許が必要となるものの、大型車よりは価格が安くなる(3分の2程度)という。

減トンとは
減トンには積荷に対応した装備、荷台、シャーシの強化架装などが含まれる。また、乗車定員は一人55kgとして計算する。これらの総重量限度から車両重量を引いたものが最大積載量となる。スペアタイヤ、工具、積荷を固定する道具やシートなどの用具は運行の都度携行が一定していない積載物品扱いになるり、厳密には車両重量には含まれない。つまり積載重量を決定する車体重量には含まれない。

トラックの車種と標準積載量
トラックの種類 分類 最大積載量
平ボディー車 4t車 3.5〜3.75t
10t車 8.5〜9.5t
ユニック車 4t車 2.25〜2.75t
10t車 7.0〜7.75t
ウィング車 4t車 2.5〜3.0t
10t車 8.0〜9.0t
冷蔵冷凍車 4t車 2.3〜2.5t
10t車 6.0〜7.0t


日本のトラックの歴史
日本でトラックが最初に登場したのは1903年、東京の呉服店が輸入した2tトラックである。昭和33年、国産自動車振興の国策により、1.5tおよび2tトラックの量産がようやく始まったが、トラックの量産が軌道に乗る前に戦争に突入した。戦後は、本格的なトラック輸送時代に入り、大型を中心とした大型トラックが主流であった。昭和35年、小型自動車の排ガス規制が2,000ccに拡大されたため、各社が2,000ccクラスの車両を開発した。その後、高度経済成長の後押しで、トラック輸送が急激に発展した。特に、それまで生産の好くなかった中型車が各社から登場した。近年では、低公害車の開発に各メーカーは凌ぎを削っている。

中型トラック免許について
ご存知のように、現在、普通免許を持っていれば、5t未満のトラックは運転できる。一般的に諸外国では普通乗用車免許で運転できるトラックは最大積載量3.5t程度までであり、車両総重量8tかつ、最大積載量5tまでのトラックを普通免許で運転できる国は先進国の中では日本ぐらいであるという。普通乗用車で教習した人がいきなり4tトラックを運転するのは確かに無理がある。大型車には普通車にないエアーブレーキ、死角、オーバーハング、内輪差などの実践テクニックが必要なのに、これらを知らないまま試験車両より大きな中型トラックで街中で運転することには疑問を感じる。初心者マークを貼った4tトラックのそばには確かに近づきたくない。普通免許で運転できる中型トラックが大型自動車よりも事故比率が多い事実を受けて、平成17年に大型免許に関して、大幅な改正が行われる予定である。
現在、普通免許で運転できるトラックの最大積載量は5t未満であるが、これが引き下げられるとう。現行の中型トラックの運転に大型免許が必要になるとすると、一部の現行の中型トラック運転手に影響が出ることは必至である。つまり、現在普通免許で運転している中型トラック運転手にとっては、昨日まで運転していた車両が運転できなくなる可能性が出てくる。実際には、暫定処置があるだろうが、仮に皆に大型免許が与えられたとしても、適正検査で片眼の視力が0.5未満で矯正不可の人や、深視力が基準に満たない人は運転できなくなる。かつて普通免許で乗れていたマイクロバスの運転に大型免許が必要となった時、視力0.8以上、かつ深視力を満たさない人は欠格となったこともあった。このときは、大型免許のマイクロ限定は大型よりかなり取得しやすいという暫定処置が講じられたのは事実。改正のポイントは次の通り。あくまでも案であり、どのようになるか決定はしていない。(詳細についてはこちら