車両系建設機械(整地)


車両系建設機械(整地・運搬・積込・掘削)運転技能講習
車両系(整地)の技能講習は機体重量3t以上の油圧ショベルなどの建設機械を運転するための資格である。労働安全衛生法施行令別表第7に掲げる建設機械で、12種類が存在する。技能講習に対して特別教育とは限定資格であり、機体重量3t未満などの運転する建設機械に質量などの制限が付くものである。工事現場で最もよく見かけるパワーショベル(ユンボ)もその操作には機体重量によりそれぞれに資格が必要である。油圧ショベル(掘削)とホイールローダ(積込)は目的が異なる車両であるが、車両系(整地)の資格で共に運転できる。実際の技能試験では、いずれかの車両の試験のみを受けるのでホイールローダで試験を終了した人は、パワーショベルに乗ることもなく技能講習を修了することになる。また、パワーショベルのフロントアタッチメントを取り替えることにより、様々な作業目的の車両に変化する。例えば、ブレーカを装備すれば解体用車両になるが、この操作を行うための別の資格が必要であるし、最近はやりのハイリーチクレーンなどの吊り上げフック付きの油圧ショベルは、移動式クレーンに相当するので、その操作には車両系整地ではなくて移動式クレーンの国家試験(吊り上げ5t未満なら小型移動式クレーンの免許が必要となるので注意を要する。

車両系建設機械の操作資格
技能講習 特別教育
労働安全衛生法に基き、安全衛生教育が義務付けられており、運転技能講習を受けて、修了試験(学科・実技)に合格すること。 主に機体重量3t未満の小型車両系建設機械を運転するための資格。講習(学科と実技)を受講する。
車両系建設機械(整地・運搬・積込・掘削) 機体重量3t以上 小型車両系建設機械(整地・運搬・積込・掘削) 機体重量3t未満

車両系建設機械(整地)の特別教育・技能講習の例
18歳以上 コース区分 資格など 学科時間 実技時間 日 数 費用概算
技能講習
(車両系建設機械)
38時間コース 下記の資格に該当しない者 13時間 25時間 6日間 85,000〜96,000
14時間コース
大型特殊自動車免許所持者
9時間
5時間
2日間
36,000〜45,000
普通または大型自動車免許を有し建設機械の特別教育(整地等)を修了し、
3t未満の建設機械の運転経験が3ヶ月以上ある者。(会社代表者の証明が必要)
特別教育
(小型車両系建設機械)
13時間コース 免除なし 7時間 6時間 2日間 15,000〜25,500

技能講習(整地)の光景
実際には、車両系建設機械(整地)は、油圧ショベルまたはホイールローダーのいずれかにて試験が行われる。どちらで試験を受けるかは、その時の運であり、実技試験はいずれかの車両のみの試験となる。技能教習の技能試験の内容は実際に地面を掘削し、埋め戻すという内容のもの。試験のポイントはブームとアームの複合操作を利用して、一定の深さで掘削する水平掘削。2回ほど練習して技能試験に挑む。
車両系建設機械油圧ショベル 車両系建設機械ホイールローダー

油圧ショベルの規格
油圧ショベル、いわゆるユンボ(バックホウ)の大きさはバケットの容量(立方メートル)や機械質量(t)、出力(ps)で表現する。最近では同じ機種でも様々な容量のバケットを選べるものが増えている。
メーカーによって異なるが、一般には機体質量30t以上を大型、15〜30tを中型、6〜15t程度を小型といい、機体質量6t以下、バケット容量0.22立米以下のものをミニショベルと呼ぶ。日本で一番大きな油圧ショベルは日立建機EX5500で、運転質量515t、バケット容量29立米という巨大なもので、主に鉱山などで活躍している。
前述のように車両系建設機械の運転資格には、機体質量によって特別教育(3t未満)、技能講習(3t以上)を修了する必要がある。
さて、機体質量とは、作業に必要な作業装置(ブームやアーム)を装着した状態の質量であって運転質量ともいう。これに対して作業装置を取り除いた本体の乾燥重量は機体重量という。油圧ショベルの名称が機体質量を表している場合もある。例えばビートル30SR(コベルコ)、SH200-3(住友)の30や200はそれぞれ機体質量が3t、19.1tである。
標準バケット容量(JIS)とはバックホウの場合はバケットの上縁から45度の勾配で掘削物を盛り上げたときの容量をいう。
概算だが、機体質量に対して標準バケット容量は約20分の1となる。機体質量20tクラスの中型パワーショベルは、標準バケット容量は約1m3となる(右グラフは各メーカーの仕様から機体質量とバケット容量をグラフ化したもの)

クレーン付き油圧ショベル
便利な機械として注目を集めながら、法令上での解釈で見解が分かれていた「クレーン付き油圧ショベル」での吊荷作業は、労働省労働基準局より「移動式クレーン」として扱い、油圧ショベルによる吊荷作業(用途外使用)〉には該当しないこととする書面が平成12年2月28日各都道府県労働基準局へ連絡された。クレーン作業を行うにはモードを切り替える安全装置や旋回スピードを減速する装置など、構造的に安全が確保できる仕組が定められている。
実際にクレーン付油圧ショベルとして認められるためには、日本クレーン協会規格「JCAS 2205-98」(油圧ショベル兼用屈曲ジブ移動式クレーン過負荷制限装置)に合致している荷重3t未満の「移動式クレーン」であることが条件となる。(1)クレーンモードにした際に点灯する外部表示灯(橙色)、(2)取り外しができないフック格納式フック、(3)日本クレーン協会(JCA)の規格に適合した過負荷制限装置、(4)水準器などを備えていなければならない。
クレーン付き油圧ショベルのクレーン作業を行うには、車両系建設機械の資格以外に、吊り上げ荷重に応じた移動式クレーンの免許が必要となる。
  左操作レバー 走行レバー 右走行レバー
(1)アーム押し 前 進 (5)ブーム上げ
(2)アーム引き 後 進 (6)ブーム下げ
(3)右旋回 - (バケット掘削)
(4)左旋回 - (バケット放出)
( )内はバケット作業時のみ

ショベル作業時、輸送時などクレーン作業時以外には格納状態にしてあるフックをバケットリンクから取り出す。
エンジンを始動し、運転室のクレーン/ショベル作業選択スイッチでクレーンモードを選択し、過負荷防止装置が0となっていることを確認する。クレーンモードを選択するとバケット操作ロック、作業速度を減速、外部表示灯点灯、ディスプレイ表示切替(クレーン表示)の安全装置が作動する。クレーンモードでは、バケットの掘削、放出は作動しない。