緊急自動車について
緊急自動車の種類
緊急、道路維持作業用自動車は、申請に基づき公安委員会から指定を受けるもの(申請)、と公安委員会に届出を行うもの(届出)がある。
道路維持作業用自動車として
その他、緊急自動車としては次のような車両も定められている(抜粋)
緊急自動車の制限速度
パトカーや消防車などに速度制限はあるのだろうか。きっと誰もが一度は持った疑問であろう。ご存知のように緊急自動車も、普段は一般車両と同様に扱われる。患者さんを運んだあとの救急車は復路では当然渋滞に巻き込まれている。
事故や火災現場などに向かう「緊急時」は、道路交通法の適用から速度制限の規制は除外される。とはいっても最高速度は高速自動車道では100km/h、一般道では80km/hまでと上限は規定されている(道路交通法施行令)。ただし例外として、速度違反の車両をパトカーなどが取り締まる場合などには、この限りではない。今のパトカーは基本的に改造されておらずノーマル車両を用いている。180km/hでのリミッターは装備されているが、一部の高速隊の車両にはリミッターがカットされているらしい。現実には事故が起きても悲惨な結果とならぬよう、あまり無茶な追跡はしないようだ。
緊急自動車の優先
交差点やその付近で緊急自動車が近づいてきたときは、交差点をさけて、道路の左側(一方通行の道路で左によるとかえって妨げになるときは、右側)によって一時停止すること(法40-1)。
交差点やその付近以外で緊急自動車が近づいてきたときは、道路の左側(一方通行の道路で左によるとかえって妨げになるときは、右側)によって進路をゆずること(法40-2)などが規定されている。
緊急自動車がその任務を遂行しているときは、有料道路も顔パスである。救急車は、料金所の職員に手を上げるだけで、無料でパスしている。帰りは正規の料金を支払わなければならないが、手前500mほどから緊急者のサイレンを鳴らして、手を挙げて顔パスをした救急車を経験したことがある(もう時効)。
緊急自動車の色
消防車は一般に赤い。何故、赤色なのか。日本で最初に輸入された外国製の消防車が赤色だったとか、赤色は炎の色を連想させ、消防車を見た人に「火の用心」の気持を喚起する目的があるなど諸説があるが、実は、道路運送車両の保安基準第49条第2項により、「緊急自動車の車体の塗色は、消防自動車にあっては朱色とし、その他の緊急自動車にあっては白色とする」と定められているのである。
緊急自動車の運転資格(公安委員会の審査に合格した人、または自衛隊用の緊急自動車を運転する場合は別)
緊急自動車の運転資格の審査
道路交通法第85条第5項,第7項又は第8項に定める年齢又は免許を受けていた期間に達しない者で,緊急自動車を緊急用務のため運転しようとする者に対しては、公安委員会の技能試験にに合格すればよい。
例えば、病院の所有する救急車の運転には特に資格は要らないようだ。
救急車の運転資格
◆消防本部
消防法、消防法施行令第44条、消防法施行規則第50条、第51条には、緊急自動車たる救急車の乗務員に関しては、救急自動車1台に対して、救急隊員3名で構成される。隊員は、救急救命士、消防学校等で救急の課程を修了した者、もしくは消防庁長官がそれと同等の学識経験を有する者と認定した者と定められている。救急車を緊急車として運転するには、普通自動車第一種免許を受けて、通算2年以上経過した者であればよい。タクシーなどと違い料金を徴収する訳ではないので普通二種免許は不要。実際には、消防本部にて運転や整備につての消防学校で1ケ月近く、特別な研修を受講・修了し、「機関員」という資格を受ける必要があるようだ。選抜試験により選んだり、経験により技術を認める場合もあるようだ。
救急車が緊急走行できる条件は次の如くに定められており、たとえ救急車のようなマイカー車を購入したとしても、公安委員会の許可がなければ緊急走行はできない。
◆病院の救急車
とある日赤病院の所有する救急車の運転手さんに尋ねたことがあった。彼曰く、「普通一種免許があれば運転はできますよ。」そして、患者搬送のために赤色灯を回してサイレン鳴らして街中をずいずい進んでいたことを記憶する。
◆民間救急車
民間救急車は、一般乗用旅客自動車運送事業(患者等搬送限定)に属し、国土交通省の免許と営業所を管轄する消防本部の認定を受けている。病気や外傷のため、寝たままの状態で移動しなければならない場合などに利用できる。乗務員は、事業所を管轄する消防本部が発行する「民間患者等搬送事業に関わる乗務員適任証」を携行しており、看護師や救命救急師、日本赤十字社などで一定期間行われる救急講習を修了した資格証を有する。さらに、看護師や救急救命士が乗務して医療処置を続けたまま搬送することも可能だが、救急車両扱いではないので、 サイレンや赤色灯を使っての緊急車両としての走行はできない。 119の救急車を要請するほどではないが、マイカーやタクシーでは心配なときや、入退院や通院のときに利用することができる。
「消防救急車」を公開(千葉県松戸市消防局)
消防車と救急車の両方の機能を持った「消防救急車」の第1号が12月28日、霞が関の総務省消防庁で公開された。第1号消防救急車は平成17年1月に松戸市消防局に配備される。増加する救急出動に対応するため、消防車と救急車を合体させ、病院からの帰りに火災現場へ駆け付けることも可能。運営自治体のコスト削減も期待できる。定員は6人で、通常のポンプ車とほぼ同じ大きさ。車体の大部分は朱色で、側面前方から中央にかけて白の塗装が施されている。中央部には搬送用ベッドと医療器具を搭載し、後部には消火のためのポンプやホース、天井部にはしごを装備。サイレンは消防用と救急用の両方を鳴らすことができる。救急スペースが限られるため車両登録上および消防庁の基準でも消防車の扱いとなるという。
緊急車両支援情報通信システム(FAST)
国土交通省が推進しているITS(高度道路交通システム)プロジェクトの一環として現在研究が行われているもので、緊急車両の移動所要時間を短縮、事故発生率を抑制するためのシステム。具体的には、幹線道路の案内板などで緊急車両の接近を告知したり、緊急車両の進行方向にある信号機を優先的に青色にしたり、規制状況を考慮した緊急車両のナビゲーションを行なったりするもの。国土交通省がITS(高度道路交通システム)プロジェクトの一環として推進している。日本では平成7年から推進されており、渋滞情報のVICSやETCなども含まれる。(ETC関連ページへ)
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