質異常症(高脂血症)
高脂血症(脂質異常症)とは
脂質異常症(高脂血症)には,以下のものがあります.
(1)総コレステロール高値 220mg/dL以上
(2)LDLコレステロール(悪玉コレステロール)高値 140mg/dL以上
(3)HDLコレステロール(善玉コレステロール)低値 40mg/dL未満
(4)トリグリセリド(中性脂肪)高値 150mg./dL以上
高脂血症は通常は自覚症状がありません.しかし,動脈硬化を引き起こし虚血性心疾患や脳卒中の原因となります.健診などで高脂血症を指摘された方は,医師に相談しましょう.
治療
治療は,食事療法と運動療法が中心ですが,目標まで改善しない場合は薬物療法を組み合わせます.ただし,すでに冠動脈疾患を起こした人ははじめから薬物療法も併用します.目標とする脂質の値はリスクをどのぐらい持っているかによって違います.その詳細はこのページの最後に示していますが複雑ですので理解できない場合は担当医に聞いてください.まずは食事療法と運動療法について説明します.
食事療法
一般的に洋食より和食が高脂血症の方に向いています.また,お肉よりお魚を食べましょう.もう少し詳しく説明すると以下の通りです.
コレステロールの高い方の食事
コレステロールの多い食品をなるべく避け,コレステロールの吸収を減らす食品を多く食べます.
※コレステロールの多い食品:
レバー(鶏,豚,牛),皮付きの鶏肉,いか,うなぎ,ししゃも,あんこうのきも,あなご,えび,
あゆ,きす,にしん,あわび,たこ,うに,卵(※),たらこ,すじこ,かずのこ,卵を使用した
菓子など
※: 卵は,日本人に不足しがちなカルシウムの摂取源ですので,2日に1個程度食べてください
コレステロールの吸収を減らす食品:
野菜,きのこ,海草,こんにゃくなど
中性脂肪の高い方の食事
脂肪以外,例えば炭水化物も体内で脂肪に変化します.したがって,中性脂肪の高い方は
カロリーを控えめにします.野菜と脂身の少ない魚はしっかり食べ,そのほかの食品は,全体に
すこしずつ量を減らして下さい.間食は極力しないようにしましょう.果物もカロリーが高いので,
食べ過ぎないで下さい.ジュースなど砂糖の入ったものにも注意です.アルコールは適量
(日本酒換算で1合以下)にしましょう.
運動療法
運動には,カロリーを消費するだけでなく,動脈硬化を予防する作用があります.
すでに,心疾患などを合併している方は医師に相談の上で行ってください.
激しい運動は避け,ウォーキング,サイクリング,水泳など持続的な運動をしましょう.毎日が
理想的ですが,少なくとも週に3回以上はしましょう.ウォーキングなら,脈は速くなるが呼吸は
荒くならず,少し汗ばむぐいのスピードが適当です.
動脈硬化学会より出されているガイドラインを下記に示します.①が管理区分ごとの目標値,②管理区分の決め方を示します.複雑なので理解できなくてもかまいません.医師にお任せください.
①リスク区分別脂質管理目標値
※nonHDL-C:コレステロールからHDLコレステロールを引いた値.※冠動脈疾患:狭心症や心筋梗塞
②カテゴリー分類
1)冠動脈疾患の既往 あり→二次予防 なし→2)に進む
2)糖尿病,慢性腎臓病(CKD),非心源性脳梗塞,末梢動脈疾患(PAD)のいずれか あり→カテゴリーⅢ なし→3)へ進む
※心源性脳梗塞:心臓にできたものでなく,脳の血管にできた血栓が原因で起こる脳梗塞.※末梢動脈疾患(PAD):手や足に行く動脈に動脈硬化がおこり手足の血行が悪くなる病気.
3)上記2)の該当疾患がない場合は下記の表を見てカテゴリー区分をします.
※耐糖能異常:糖尿病とは診断されないが,空腹時または食後の血糖が高い状態 ※30歳未満及び75歳以上は主治医が患者ごとに判断