京都俳句推敲指導経過とその解説    
磯 野 香 澄
原句献燈の揺れる間を縫い夏の蝶 寿 一
この字面の通りに読みますと、蝋燭の揺れる間とは炎があっちこっち揺れるそんな狭い間を通ると言う事は不可能です。そこで

献灯の間を縫いて夏の蝶
こう書く事で献灯が沢山並んでいる事が分かります。しかしこれではそれがどうなのと言う事になりますので、蝋燭の炎が目立つ様になるのは夕方ですので、そんな処に蝶がいる異様な感じを表現する必要があります。

軒下に揺れる献燈黒揚羽
「軒下に揺れる献灯」として並んでいるのか一つかははっきりしませんが、そこに黒揚羽が舞っている。「夏の蝶」と言わずにはっきり蝶の名前を書きます。これで不気味な様な嬉しい様な夕方によくある光景が分かる様になりました。

◎軒下の献燈を縫い黒揚羽
「献灯を縫い」で献灯が沢山並んでいる事が分かります。そして神社の怖い様な雰囲気が強調されそして何となく嬉しい様な、じっと見ているとそれなりの美しさに得した気分までが感じられます。

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