京都俳句推敲指導経過とその解説    
磯 野 香 澄
原句小倉山定家の跡や照り紅葉  寿 一
この原句で何が伝えられているかと言いますと「小倉山の定家の跡に紅葉が日に照っていた」これでは『それでどうなの』と言う事になって作者が感じた事が何も書けて居ません。そこで情感が出せる様にするにはどうすればよいか。

小倉山定家の史跡紅葉照り
「跡」も「史跡」も同じ事なのですが「跡」では無機質な感じで「史跡」とすると情が加わります。『小倉山は紅葉の名所で美しく映える定家の史跡。その昔和歌の色々が詠まれたのだろう』と表面的にはすらりと体裁よくまとまっている様に見えるのですが、これではまだ無駄な言葉や書けていない事等俳句としての表現が出来て居ないのです。

小倉山峰の紅葉葉定家の史
そこで定家の歌を詠い込んでみます。しかし下五では舌足らずで中途半端になってしまいました。そして一番言いたい照っている美しい紅葉が表現出来ていないので、省略を効かせて現実の情景に戻す必要があります。

◎紅葉照る定家の史跡和歌口に
これで定家の史跡を訪ね照り紅葉の中で<小倉山峰のもみじ葉心あらば今一度の御幸待たなん>と、定家の歌を口にして詩的情感を体感している様子が書けました

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