事務所ニュース


2024 DEC.




☆ マイナ保険証の利用登録の解除について ☆



○ マイナ保険証の登録は解除できる!

現行の健康保険証の廃止とマイナ保険証への一本化に伴い、マイナンバーカードを取得していない方や
マイナンバーカードを健康保険証として利用する登録をしていない方などには、
保険者から資格確認書が交付され、それを医療機関に提示することにより、これまでと同様に保険医療が受けられます。

そして、いったんマイナンバーカードに健康保険証の情報をひも付けた後で、
情報漏洩が不安などの理由により、その登録を解除した方にも資格確認書が交付されます。
当初、マイナ保険証の登録は原則として解除できないことになっていましたが、
2023年に政府は、利用登録自体が任意で行われることなどを踏まえ、登録後の解除を認めることに方針変更しました。

○ マイナ保険証の登録解除の流れ

その後、厚生労働省は、2024年10月に「マイナ保険証の利用登録解除の運用について」という
保険者(全国けんぽ協会、共済組合、健康保険組合及び市町村など)向けの通知を出し、
10月28日から医療保険者等向け中間サーバーで保険者からの解除申請の登録を受け付けるので、
保険者にも加入者からの解除申請の受付を開始するよう求めました。
皆さんの所属する保険者のホームページに告知が出ているか確認してみましょう。

詳しいことはこちらから

厚生労働省「マイナ保険証の利用登録解除の運用について」




☆103万の壁の他にもある壁☆

先の総選挙の結果、与党である自公が過半数を取ることが出来ませんでした。
その結果、キャスティングヴォートを握ったのが議席を4倍に増やした国民民主党です。

その国民民主党は103万の壁と言われる、いわゆる被扶養者の所得の上限額を173万円に引き上げることを主張しています。

このほかにも壁と呼ばれるものがあって、すぐに思いつくだけでも被保険者等が50人以上の企業における106万円の壁、
社会保険の被扶養者(65歳未満)の130万円の壁などがあります。

そもそも、バブル崩壊から30年の間はデフレ状態だったので、あまり賃金が上がらず、
これらの壁が問題になることもそうそう多くはなかったのですが、
ここ数年の最低賃金の引き上げやデフレからの脱却が進んだ結果、パートアルバイトの賃金が上昇し、
改めてこれらの壁に注目が集まっています。

これらの中で最も大きな壁は130万円の社会保険の壁で、
これを超えると一気に社会保険料(健康保険、厚生年金・国民年金)の負担が発生します。
これをカバーするためには20万以上所得を増やさなければならないので、
たとえ所得税の扶養の上限が173万円になっても、実際には130万円が大きな壁になると思われます。

であれば、いくつもの壁が存在すると言う分かりにくい状況を改善して、
130万円を税と社会保険両方の壁にするというのもありかもしれませんね。


☆ 社保の適用拡大 ☆



10月から、従業員数51人~100人の企業等で働くパート・アルバイトが新たに社会保険の適用になりました。
ここで言う従業員数については注意が必要です。
従業員にカウントされるのは
フルタイムで働く者と1週間の所定労働時間及び1か月の所定労働日数がフルタイムの4分の3以上の従業員です。
上記要件を満たす正社員や有期職員等だけでなく、パート・アルバイトも含まれます。

ただ単に従業員数が51人以上の企業が対象となるわけではないのです。
例えば、フルタイムの従業員が40人、週3日労働のパートが20人の企業の場合は対象にはならないので注意が必要です。
このような企業でも、従業員と企業等が合意することで、51人以上の企業等と同じ加入要件にすることはできます。

新規に社保の適用となった企業では
2か月以上雇用の見込みがあり,
週の所定労働時間が20時間以上30時間未満、
所定内賃金(残業や交通費は含まない)が8万8千円以上であれば社会保険の適用対象となります。
なお、全日制の学生は対象外です。

さて、厚生年金保険料ですが現在は88000円の所得の場合16,104円となっており、
これを労使で折半しますので本人負担は8,052円となります。

ところで国民年金保険料はというと16,980円となっています。
国民年金の給付は老齢基礎年金ですが、厚生年金は2階建て構造で老齢基礎年金の上に老齢厚生年金が加算されることになっているので、将来の給付を考えれば国民年金に入るより厚生年金に入った方が割安で得ということも言えます。

しかし、国民年金より安い保険料で受け取れる年金額が多いということになると、その差額はどこから出てくるのでしょうか?

10年、20年あるいはもっと先の話とは言え、よく考える必要がありますね。


☆ 令和6年度 地域別最低賃金  ☆

近畿の府県別最低賃金(時給)は以下の通りです。

実施日はいずれも10月1日から

    府  県  名   令 和 5 年 度
 令 和 6 年 度
  大  阪  府
     1,064
    1,114
  兵  庫  県
     1,001
    1,052
  京  都  府
     1,008
    1,058
  滋  賀  県
       967
    1,017
  奈  良  県
       936
      986
  和 歌 山 県
       929
      980
                                                             単位円

その他の地域についてはこちら





☆個人データの漏えい事案が大幅増加

~個人情報保護委員会「令和5年度年次報告」より

◆個人データ漏えい事案の増加

個人情報保護委員会は令和5年度の年次報告(個人情報保護法168条の規定に基づき、
委員会の所掌事務の処理状況について毎年国会に報告するもの)を行っており、
それによれば、令和5年度においては、個人情報取扱事業者等の個人データの漏えい等事案について
12,120 件(前年度7,685 件)の報告処理を行ったとしています。

◆漏えいした情報の種類

同報告書によれば、委員会に対し直接報告された事案について、漏えい等した情報の種類としては
「顧客情報」が83.5%と最も多くなっています。その形態別に見ると、
紙媒体のみが漏えい等したもの(82.0%)が、電子媒体のみが漏えい等したもの(12.2%)より多くなっています。
また、個人情報保護法律施行規則7条で定める報告義務の類型による分類において、
最も多くを占めたのは「要配慮個人情報を含む個人データの漏えい等」(89.7%)、
次いで「不正アクセス等、不正の目的をもって行われたおそれのある個人データの漏えい等」(8.1%)となっています。

◆漏えい等事案の発生原因の多くがヒューマンエラー

 報告書では、上記のような傾向となった要因として、漏えい等事案の発生原因の多くが
誤交付、誤送付、誤廃棄および紛失といったいわゆるヒューマンエラーであったことにも触れられています。

個人情報の取扱いに関しては厳しく法規制されていくなか、
最近では不正アクセス等による漏えい事案も増加しているところです。
漏えい事故が発生した場合の影響の大きさを考えると、
企業としては、ハード面、ソフト面あらゆる角度からの対策が必要になってくるでしょう。


【個人情報保護委員会「令和5年度個人情報保護委員会年次報告」】

 


☆「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(令和5年)からみる現場の対策



厚生労働省が5月31日、令和5年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確定値)の取りまとめを公表しました。

◆全体の約4割が建設業と製造業で発生
令和5年の職場での熱中症による死傷者(死亡・休業4日以上)は1,106人(前年比279人・34%増)であり、全体の約4割が建設業と製造業で発生していました。死亡者数は31人(前年比1人・3.3%増)で、業種別では、建設業で12人と最多になりました。

◆熱中症の死傷者数の約8割は7月または8月
2019 年以降の月別の熱中症の死傷者数をみると、7月または8月に約8割が発生していました。
時間帯別にみると15時台が最も多く、次いで11時台が多くなっていました。
このほか、日中の作業終了後に帰宅してから体調が悪化して病院へ搬送されるケースも見られました。
また、年齢別にみると、全体の約5割が50歳以上でした。

◆厚生労働省の対策キャンペーンと現場の対策
熱中症とは、高温多湿な環境下において、体内の水分と塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れたり、体内の調整機能が破綻したりするなどして発症する障害の総称です。
厚生労働省では、「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を5月1日から9月30日まで実施しています。

それぞれの現場では、
①暑さ指数(WBGT)の把握とその値に応じた熱中症予防対策を適切に実施すること、
②作業を管理する者および労働者に対してあらかじめ労働衛生教育を行うこと、
③糖尿病、高血圧症など熱中症の発症に影響を及ぼすおそれのある疾病を有する者に対して
医師等の意見を踏まえた配慮を行うこと、

について重点的に取り組むようにしましょう。


【厚生労働省「令和5年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確定値)を公表します」】
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40473.html



☆ 雇用保険法改正 ☆

改正雇用保険法が成立しました。
改正項目は、育児休業に関する給付新設、教育訓練やリ・スキリング支援の充実や雇用保険の適用拡大など、多岐にわたります。
(育児休業に関する給付新設を含む子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案は参議院で審議中)。

施行はまだ先の話ですが、予備知識として知っておいて損はないでしょう。

◆自己都合退職者の基本手当の給付制限の緩和

 令和7年4月1日から要件を満たす公共職業訓練等を受ける受給資格者は給付制限なく基本手当を受給できるようになります。
 また通達の改正により、正当な理由のない自己都合離職者への基本手当の給付制限期間が1カ月に短縮されます。
ただし、短期で入退社を繰り返すのを防止するため、
5年間で3回以上正当な理由のない自己都合退職を行った人の給付制限期間は3カ月とされます。

◆育児休業に関する新給付

 令和7年4月1日から、育児休業に関する2つの給付が創設されます。
 出生後休業支援給付は、子の出生後間もない期間に両親がともに14日以上育児休業を取得した場合、
休業開始前の賃金の13%が最大28日分、支給されます。

 育児時短就業給付は、2歳未満の子の養育のため所定労働時間を短縮して短時間勤務を行う場合の
賃金減額分の一部を補助するもので、短時間勤務を開始する前の賃金の約10%が支給されます。

◆雇用保険の適用拡大

 令和10年10月1日から、「31日以上継続して雇用されることが見込まれ」
かつ「1週間の所定労働時間が10時間以上」の労働者が
雇用保険に加入することとなります。被保険者資格取得手続を行う機会が大幅に増えるほか、
基本手当の受給や離職票の作成にも影響が及ぶため、今後の情報を注意深く確認する必要があります。


☆ 障害者雇用者数が初の100万人超え ☆


                      ~厚生労働省調査

厚生労働省は、昨年6月に実施した「令和5年度障害者雇用実態調査」の結果を公表しました。この調査は、企業における障害者雇用の実態の把握と今後の障害者雇用施策の検討や立案に役立てることを目的に、5年ごとに実施しています。

これによると従業員規模5人以上の事業所に雇用されている障害者数は110.7万人(以下、すべて推定値)で、
前回(平成30年)の調査より25.6万人(30.1%)増加となり、初めて100万人を超えました。
障害の種類別にみると、身体障害者は約52万6,000人(前回42万3,000人)、
知的障害者は約27万5,000人(同18万9,000人)、精神障害者は約21万5,000人(同20万人)、
発達障害者は約9万1,000人(同3万9,000人)となっています。

○平均賃金、平均勤続年数も増加

職業別にみると、身体障害者と精神障害者は事務的職業が最も多く、
知的障害者と発達障害者はサービスの職業が最も多くなっています。

平均賃金(令和5年5月)は、身体障害者は23万5,000円(前回は21万5,000円)、
知的障害者は13万7,000円(同11万7,000円)、精神障害者は14万9,000円(同12万5,000円)、
発達障害者は13万円(同12万7,000円)となっています。
平均勤続年数は、身体障害者は12年2か月(同10年2か月)、知的障害者は9年1か月(同7年5か月)、
精神障害者は5年3か月(同3年2か月)、発達障害者は5年1か月(同3年4か月)と、
すべての障害種別で増加しています。

○ 雇用にあたっての課題・配慮事項

障害者を雇用する際の課題として、「会社内に適当な仕事があるか」という項目が最も多くなっています。
また、雇用している障害者への配慮事項として、「休暇を取得しやすくする、勤務中の休暇を認める等の休養への配慮」(身体障害者、発達障害者)、「能力が発揮できる仕事への配置」(知的障害者)、
「短時間勤務等勤務時間の配慮」(精神障害者)と回答しています。

厚生労働省「令和5年度障害者雇用実態調査の結果を公表します」



☆ 66歳以降も生活のために働く人が増加 ☆

~内閣府「生活設計と年金に関する世論調査」より

◆生活設計と年金に関する世論調査

 内閣府は3月1日に「生活設計と年金に関する世論調査」の結果概要を公表しました。
これは、今後の施策の参考とすべく、老後の生活設計について、また公的年金制度や私的年金制度への意識・ニーズについて調査したものです(全国18歳以上の男女対象、有効回収数2,833人)。
前回は平成30年に実施されており、5年ぶりの調査となりました。

◆66歳以上も生活のために働く人の割合が増加

老後の生活設計について、「何歳まで仕事をしたいか(またはしたか)」という設問では、
61歳~65歳が28.55%と最多で、66歳~70歳(21.55%)、51歳~60歳(14.88%)と続きます。

66歳以降も働きたいという人は42.66%に上り、前回調査より5ポイント上昇しています。
その理由は「生活の糧を得るため」が75.22%と最多です。
老後の生活資金となるべき年金の不足分を働くことでまかなわなければならない現状がうかがえます。

また、厚生年金を受け取る年齢になったときの働き方についての設問では、
「年金額が減らないように、就業時間を調整しながら会社などで働く」(44.44%)という回答が最も多くなっています。

今回の調査からは、就労、公的年金、貯蓄を組み合わせて生活設計をしなければならないという方が多いことがわかります。

人口減少が加速する中で、企業任せではなく政府としても、働く人々のこうした意識をくみ取りながら、
安心・安全な老後を送れる制度を考えていく必要があるでしょう。

【内閣府「生活設計と年金に関する世論調査」の概要】
https://survey.gov-online.go.jp/r05/r05-nenkin/gairyaku.pdf

 

☆令和6年度の健康保険料率について ☆

令和6年3月からの保険料率が発表されました。

近畿2府4県すべて引き上げとなりました。

新料率での控除が始まるのは4月支給の賃金からになります(翌月控除の場合)


近畿の主な料率は以下の通りです。


  府 県 名
    令和5年度
  令和6年度
  大  阪  府
   10.29%
   10.34%
  兵  庫  県
   10.17%
   10.18%
  京  都  府
   10.09%
   10.13%
  滋  賀  県
    9.73%
    9.89%
  奈  良  県
   10.14%
   10.22%
  和 歌 山 県
    9.94%
   10.00%

※40歳から64歳までの方(介護保険第2号被保険者)は、これに全国一律の介護保険料率(1.60%)が加わります。

その他の都道県の料率はこちら




☆ これは手放しで喜んでいいことなのか ☆


70歳までの就業機会を確保する企業は約3割
~厚生労働省「令和5年高年齢者雇用状況等報告」より

「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」では、65歳までの高年齢者雇用確保措置を講じるよう企業に義務付けているほか、70歳までの就業機会の確保を目的として、「定年制の廃止」や「定年の引上げ」、「継続雇用制度の導入」という雇用による措置や、「業務委託契約を締結する制度の導入」、「社会貢献事業に従事できる制度の導入」という雇用以外の措置のいずれかの措置(高年齢者就業確保措置)を講じるように努めることを企業に義務付けています。

 厚生労働省は、今年6月の時点で高齢者の雇用状況について従業員21人以上の全国の企業23万社あまりを対象に調査し、
その結果を公表しました。主なポイントは次のとおりです。

◆65歳までの高年齢者雇用確保措置はほぼ100%達成されています

その内訳は、「継続雇用制度の導入」により実施している企業が7割「定年の引上げ」により実施している企業は3割弱

◆70歳までの高年齢者就業確保措置を実施している企業は3割弱ですが、大企業が2割強で中小企業が3割と、中小企業のほうが実施率が高くなっています。これには人手不足が深刻であるという事情が関係していると思われます。法律の施行以降、就業機会を確保する企業は増加していて、引き続き制度の導入や環境整備を働きかけていきたい」としています。

◆企業における定年制の状況
・65歳以上定年企業(定年制の廃止企業を含む)は30.8%

◆66上まで働ける制度のある企業の状況
・66歳以上まで働ける制度のある企業は43.3%
・70歳以上まで働ける制度のある企業は41.6%

ということなのですが、手放しで喜んでいいことなのでしょうか?

70歳まで働ける社会と70歳まで働かなけばならない社会の違いはとても大きいです。



☆ 「こども未来戦略」プランで少子化は防げるの ☆




12月12日に「こども未来戦略」と銘打ったプランがこども未来戦略会議で公開されました。

少子化は、我が国が直面する、最大の危機である。と冒頭で述べられていますが、少子化は今に始まったことではなく、
はるか昔から言われていたことで、いまさら感がぬぐえない感じがします。

このプランの中で、2030年までが少子化問題を解決する最後のチャンスであるとされています。
このチャンスを生かすためには次元の異なる少子化対策が必要とされています。

具体的には、

(1)構造的賃上げ等と併せて経済的支援を充実させ、若い世代の所得を増やすこと

(2)社会全体の構造や意識を変えること

(3)全てのこども・子育て世帯をライフステージに応じて切れ目なく支援すること

以上の3つを基本理念として抜本的に政策を強化する。

とされています。

正直に感想を述べるとやたら修飾語の多い割には具体性に欠けるように感じます。


〇 労働人口の減少にどう対処するか

我が国の労働人口は、2024年には団塊の世代が全て後期高齢者となり、
ほとんどがリタイアしてしまいます。
労働人口の減少を食い止めるためには即効性のある対策も必要ですが、
少子化を克服してもすぐには労働人口の増加にはつながらないという問題があります。

少子化対策もやらないよりはやったほうが良いに決まっていますが、
それだけではすまされない問題があるのです。


☆ 「年収の壁」への当面の対応について ☆


 厚生労働省は、労働者が社会保険料の負担による手取り収入の減少を避けるために就業調整をする、
いわゆる「年収の壁」問題への当面の対策として、支援強化パッケージの詳細を発表しました。
パッケージは、10月から順次実施されます。

この内容は

1.106万円の壁への対応
2.130万円の壁への対応
3.配偶者手当への対応

の3点ですが、1については対象企業が従業員数101人以上であり、
3についてはすべての企業で取り入れられているものではないので、
2の130万円の壁への対応が最も対象が広くなります。

◎ 130万円の壁とは

社会保険に加入しているサラリーマンなどの配偶者が被扶養者となる場合は、
年収130万円(障碍者と65歳以上の高齢者は180万円)以下であることが必要になります。
パートで働いてこれを超えた場合、配偶者は被扶養者から外され健康保険や年金を自分で収めなければならなくなります。
これを嫌って、収入が130万円を超えないように勤務時間を調整して働く人が多く、
これが働き手不足につながっていきます。

これを緩和するための措置として、直近の年間収入が、被扶養者の認定の要件である130万円を超える見込みとなった場合、
過去の課税証明書、給与明細書、雇用契約書等に加えて、
人手不足による労働時間延長等に伴う一時的な収入変動である旨の事業主の証明を添付することで、
直ちに被扶養者認定を取り消されることはなく、
総合的に将来収入の見込み額から判断し、迅速な認定を受けることができるようになります。

その他の措置について詳しいことはこちらを参照ください。


☆ 年収の壁 いくつある ☆


従来は税扶養の範囲から外れる103万円と社会保険の被扶養者から外れる130万円の壁がよく知られていました。
ほかにも税金の特別控除がなくなる141万円の壁と言うのもあったようです。
これらの壁を越える収入があると不利だから、これを越えないように働く人が多いというのが問題とされていました。

そこへ加わったのが106万円の壁というものですが、
じつはこれは勤務している会社の規模によって消えたり現れたりするものなのです。

壁となるのは厚生年金の被保険者数101人以上の企業に勤務する人だけで、
それ以下の小規模な企業で働いている人にはこの壁は存在しません。

これを詳しく説明すると、厚生年金の被保険者数101人以上の企業に勤務する人の中で
賃金額が8万8千円(×12≒106万円)を超える人は社会保険の被保険者とされます。
(年収以外にも、2か月を越えて雇用される見込みがある、
週の所定労働時間が20時間以上である、学生でないなどの要件もある。)

たとえ年間収入が130万円以下という被扶養者の要件をクリアしていても、
それにはかかわりなく被保険者として取り扱われることになり、社会保険料の負担が必要になります。

これに対して厚生年金の被保険者数100人以下の企業で働いている人の場合は、
そのような取扱いがされませんので106万円の壁は存在しないことになります。
ただし、令和6年10月からは厚生年金の被保険者数51人以上の企業へ適用が拡大され壁ができます。


ここで重要なもう一つの点が、従業員数ではなく厚生年金の被保険者数101人以上の企業が対象という点です。
つまり、従業員が120人いてもその半分が短時間のパートタイマーで厚生年金の保険者になっていないような場合は、
106万の壁の対象企業にはならないのです。

会社の経営者も労働者も、この点には十分注意することが必要です。


なお、厚生年金の被保険者数が基準に持たない場合でも、被保険者の同意に基づいて、
短時間労働者の適用拡大事業所、つまり106万円の壁のある企業になることもできます。


☆ 令和5年度 地域別最低賃金 答申状況 ☆


近畿の府県別最低賃金は以下の通り答申されました

    府  県  名   令 和 4 年 度
 令 和 5 年 度
実施日(予定)
   大   阪   府
   1,023
    1,064
  10月1日
   兵   庫   県
     960
    1,001
  10月1日
   京   都   府
     968
    1,008
  10月6日
   滋   賀   県
     927
      967
  10月1日
   奈   良   県
     896
      936
  10月1日
   和 歌 山 県
     889
      929
  10月1日
兵庫県はBランクのため本来は40円アップされるのところ、1円追加されています。

その他の地域の最低賃金についてはこちらから
 

令和5年度 地域別最低賃金 答申状況




☆ 障害者差別に関するハローワークへの相談が大幅に減少 ☆
 


障害者雇用促進法では、すべての事業主に対して、
「障害者であることを理由とした障害者でない者との不当な差別的取扱いの禁止」、
「障害者に対する合理的配慮の提供義務」、
「障害者からの相談に対応する体制の整備・障害者からの苦情を自主的に解決することの努力義務」
を規定しています。

事業主による法令違反等に対しては、ハローワーク等が行う助言、指導または勧告により是正を図っています。

障害のある労働者と事業主の話し合いによる自主的な解決が難しい場合は、関係当事者の申立て等に基づき、
 
①都道府県労働局長による助言、指導または勧告

②障害者雇用調停会議による調停により、紛争の早期解決

などの支援策を講じています。

厚生労働省の調査によると
 ハローワークに寄せられた障害者差別に関する相談件数は371件で、
551件だった前年度に比べて32.7%減となり大幅に減少していることがわかりました。




☆ 大丈夫ですか? 5類移行に伴う新型コロナに対する考え方 ☆



5月8日から、新型コロナウイルス感染症は感染症法上の位置づけを「5類感染症」に引き下げられたことにより、
マスクの着用や外出自粛の要請は季節性インフルエンザと同様に、企業や個人に委ねられることになりました。

そのうえで、厚生労働省は、新型コロナウイルスに感染した場合、
これまでの分析結果や諸外国の事例を踏まえ、以下を推奨しています。

○発症後5日を経過し、かつ、症状軽快から24時間経過するまでの間は外出を控えること
○発症後10日間が経過するまでは、マスクを着用し高齢者等との接触は控えること

また、濃厚接触者として保健所から特定されることはなくなり、外出自粛を要請されることはなくなりました。

家族や同居者が新型コロナウイルスに感染した場合は、可能であれば部屋を分け、
感染者の世話はできるだけ限られた人のみで行うことなどは従来同様に注意する必要があります。

また、感染者の発症日を0日として、特に5日間は自身の体調に注意し、7日目までは発症する可能性があるため、
マスク着用等の感染対策や周囲への配慮が必要です。

5類になったからといって、ウィルスの性質が変化したわけではありません。
症状も季節性インフルエンザとは問題にならないほど激しい、後遺症が残るなどの問題もあるようです。

引き続き十分な注意が必要です。


☆令和5年度の健康保険料率について ☆

令和5年3月からの保険料率が発表されました。

大阪・兵庫・京都・奈良の2府2県が引き上げ、滋賀と和歌山は引き下げとなっています。

新料率での控除が始まるのは4月支給の賃金からになります(翌月控除の場合)


近畿の主な料率は以下の通りです。


  府 県 名
    令和4年度
 上 下   令和5年度
  大   阪   府
   10.22%
  ↑
   10.29%
  兵   庫   県
   10.13%
  ↑    10.17%
  京   都   府
    9.95%
  ↑    10.09%
  滋   賀   県
    9.83%
  ↓     9.73%
  奈   良   県
    9.96%
  ↑    10.14%
  和 歌 山 県
   10.18%
  ↓     9.94%

※40歳から64歳までの方(介護保険第2号被保険者)は、これに全国一律の介護保険料率(1.82%)が加わります。
介護保険料は引き上げられました。

それ以外の地域の料率についてはこちらから



協会けんぽ



☆ DX? リスキリング? ☆

最近よく目につく言葉がDXとリスキリングです。
DXというと20世紀にはデラックス(Deluxe)の略語として用いられることが一般的でした。
自動車では高級仕様を表すものとして使われていました。マツコ・デラックスなんていうタレントもいますね。

しかし、最近使われているDXはというとデジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略語なんだそうです。
DはともかくXってスペルのどこにも出てこないんですが?という疑問は置いとくとして、
デジタルトランスフォーメーション(以下DX)っていったい何なのでしょう?。

その前にもうひとつ、割とDXとセットで使われることが多いのがリスキリングReskillingです。
「DXのためのリスキリングが求められる」とか言われると、意味不明だけど何となくわかったような気になってしまうかも。

リスキリングと一息で読むと、何かを殺すのかなって思ったりしますが、
リ スキリングと分けて読むと意味が理解しやすくなりますね。
このリ(Re)はリストラのリと同じ意味です。
合理化や人員削減みたいな意味で使われてるリストラですが、略さずに書くとリストラクチャリングrestructuringです。
どちらも最初の2文字がReですが、これが付くと再び・・・するという意味になります。

バス釣りの好きな人はストラクチャーという言葉を聞いたことがあると思いますが、
ストラクチャーの意味は構造物でそこへReがつきingがつくと再構築するというような意味になります。

英語の解説はここらへんにして。

というわけで、DXの意味はというと経産省のHPには
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、
顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、
組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」と書かれています。

このために必要なのがリスキリングつまり「そのために必要な能力の再開発、再学習」ということなんですね。

英語で言われると、なんだかよくわからないけど、すごいことなんだろうって思わされてしまいますね。
最初から日本語でそう言えばいいのに・・・・。



☆ 「令和3年パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査の概況」から ☆

○企業におけるパートタイム・有期雇用労働者の雇用状況

パートタイム・有期雇用労働者を雇用している企業は75.4%となっています。
そのうち無期雇用パートタイムを雇用している企業は51.4%、有期雇用パートタイムを雇用している企業は 27.1%、有期雇用フルタイムを雇用している企業は23.2%となっています。

○パートタイム・有期雇用労働法の施行による待遇の見直し

 同法が施行された令和2年4月(中小企業は令和3年4月)以降のパートタイム・有期雇用労働者と正社員の間の不合理な待遇差の禁止の規定への対応については、見直しを行った企業の割合が28.5%、待遇差はないとの回答が 28.2%となっており、合わせて6割近くになっています。また、見直しは特にしていない企業の割合は36%となっています。
パートタイム・有期雇用労働者の待遇の見直しを行った企業については、
見直した待遇の内容は基本給が45.1%と最も高く、次いで有給の休暇制度が35.3%となっています。


詳しくは、下記厚生労働省のホームページをご覧ください。
【令和3年 パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査の概況】



☆ 
月60時間超えの時間外労働割増率に関する猶予措置の廃止 


2023年4月1日から、月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率を5割以上の率とする規定が、
中小事業主にも適用されます。
2010年4月1日施行の改正により、月60時間を超えた場合は、
5割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならないとされていました。
ただし、この改正は中小事業主(労働者の数が300人
(小売業については50人、卸売業またはサービス業については100人以下)である事業主には
適用が猶予されていたのですが、2023(令和5)年4月1日から猶予措置が廃止されます。

ここで注意が必要な点として、この月60時間を超える時間外労働にはいわゆる残業だけではなく、
1週40時間を超える労働つまり、土曜日や祝日などに出勤させることにより1週の労働時間が40時間を超えた場合の
「法定休日以外の休日出勤」の時間も含まれるということです。
残業だけで考えれば月60時間を超えるには毎日3時間程度の残業をさせることになりますが、
月に2回土曜日や祝日などに出勤させて1週40時間を超えることがあると、
毎日2時間程度の残業でも60時間ラインに接近・超過する場合もあります。


☆ 増える高齢者の就業者 ☆


我が国の65歳以上の高齢者の就業状況について取りまとめた2012年の総務省の労働力調査によると、
高齢者の就業者数は909万人(前年比6万人増)で、18年連続で過去最多を更新しています。

高齢者の就業率(65歳以上の人口に占める就業者の割合)は25.1%(前年と同率)となっています。
年齢階級別では、65~69歳の就業率は、10年連続で上昇し50.3%(前年比0.7ポイント増)で初めて50%を超え、
70歳以上の就業率は、5年連続で上昇し18.1%となっています。

高齢就業者を従業上の地位別にみると、役員を除く雇用者が517517万人(57.6%)で最も多くなっています。
さらにこれを雇用形態別にみると、非正規の職員・従業員が393万人(75.9%)となっています。
非正規の職員・従業員は、2011年の168万人から10年間で225万人増加しています。

 国際的にみると、日本の高齢者人口の割合(29.1%)は世界で最も高く、
主要国における高齢者の就業率についても、日本(21.5%)は韓国(34.9%)に次いで高い水準となっています。

高齢就業者は今後も増加することが予想されますが、
それが生活のためというのでは、あまりに寂しい問題といえます。



☆10月から始まった社会保険制度の適用拡大の注意点☆


10月から社会保険の適用が拡大されました。
今回対象となったのは被保険者である従業員が100人を超える事業主が同一である事業所となっています。
1つの事業場で100人を超えていなくても、2つ以上の事業場がある場合は
それらの合計人数が100人を超える、つまり101人以上であれば該当します。

これは先月お伝えした通りなのですが、そのほかに事業所の規模に関係なく適用される事項があります。

従来は雇用期間が2か月に満たない者は社会保険の適用対象外とされていました。
今回の変更では、雇用期間を2か月として雇用した者に関しても
労働条件通知書等で契約の更新される可能性がありとされている場合や、過去に雇用契約の
更新などで2か月を超えて使用された者がいた事業所については、適用の対象とされます。

これにより、最初は2か月間の雇用契約にして、社会保険の適用を逃れるということができなくなりました。



☆ 社会保険の適用拡大 ☆


令和4年10月から短時間労働者の社会保険適用範囲が拡大されます。

特定適用事業所(※)で働くパート・アルバイト等の短時間労働者は、一定の要件を満たすことで、健康保険・厚生年金保険の被保険者となるとされていますが、10月からは特定適用事業所の範囲が拡大されます。今回の措置により、従来は社会保険の被保険者に該当しなかった適用対象外の人が被保険者となるケースが増えてくると予想されます。



「短時間労働者」の適用要件
    変 更 前         変 更 後 (令和4年10月以降)
被保険者(短時間労働者を除く)の総数が
常時
500人を超える事業所
被保険者(短時間労働者を除く)の総数が
常時
100人を超える事業所
雇用期間が1年以上見込まれること
雇用期間が2か月以上見込まれること
1週の所定労働時間が20時間以上であること
賃金の月額が88,000円以上であること
学生でないこと


    変更なし


(※)特定適用事業所とは


業主が同一(法人番号が同じ)である一または二以上の適用事業所で、
被保険者(短時間労働者を除く)の総数が常時100人を超える事業所となります。
事業所単位ではなく事業主単位なので、本社、支店、工場など各々の事業所では100人に満たなくても、
全ての事業所の人数を合計して100人以上となる場合は特定適用事業所に該当することになります。


☆ 中小企業にも必要なパワハラの防止措置 ☆



パワーハラスメント防止のため、事業主に相談体制の整備等の雇用管理
上必要な措置を講じることを義務付けた改正労働施策総合推進法が、本年4月から中小企業にも適用されています。


・職場におけるパワーハラスメントとは

 職場において行われる、
①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えた
ものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、
①〜③までの要素を全てみたすものが該当します。

なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、
該当しないとされています。

・具体的な対応策は

就業規則等にパワーハラスメントに関する規定を追加する必要があります。
ハラスメント全般に対する事項を追加するのが一般的ですが、
実効的なものとするためには服務や懲戒などの規程との関係も調整する必要があります。
ハラスメントに関しての相談窓口の設置などの措置も必要になります。


☆ 改正育児介護休業法の一部が施行されます
 ☆

昨年成立した改正育児介護休業法が今年から3回に分けて施行されます。

4月からは

雇用環境整備、個別の周知・意向確認の措置の義務化
有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和

10月からは

男性の育児休業取得促進のための子の出生直後の時
期における柔軟な育児休業の枠組みの創設
  育児休業の分割取得

令和5年10月1日からは
常時雇用する労働者数が1000人を超える事業主に対し、
育児休業の取得の状況について公表することが義務化されます。

〇 4月から実施される改正法の内容

 社員に対する研修や育児介護休業法の制度の周知のための措置を取ることや、
本人やその配偶者の妊娠・出産の報告があった場合には、
育児休業制度について周知するとともに、
休業することについての意思確認を行うことが必要になります。
なお、育児休業をさせないような形での意思確認は法の求める
意向確認とは認められませんので注意が必要です。

このほかに育児介護休業の取得のための要件であった
「事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者」が廃止されます。
ただ、従業員の過半数を組織する労働組合、それがない場合は従業員の過半数を代表する者との間で
労使協定を締結した場合には、
引き続き雇用された期間が1年未満である労働者を対象から除外することが出来るようになっています。


☆令和4年度から傷病手当金の支給期間の取り扱いが変更されます


傷病手当金は、健康保険の被保険者が病気やケガ(傷病)の療養のため4日以上仕事に就くことができず、
給与が支払われないような場合に、4日目以降の仕事に就けなかった日の日数に応じて支給されます。
 この支給期間は、支給を開始した日から最長1年6カ月ですが、1年6か月間分が支給されるのではなく、
支給期間の途中でいったん出勤した場合には、その期間も1年6か月の期間に含んで計算されます。
このため再び同じ傷病により仕事に就けなくなった場合、支給開始から1年6か月経過した時点で打ち切られます。

極端な例をあげれば、傷病手当金の支給開始から3か月で回復して復帰したものの、
1年後に同じ傷病で仕事を休むことになった場合、
傷病手当金を受給出来るのは支給開始から1年6か月間ということになるので、
3か月たてば支給が打ち切りになり、実質的な受給期間は6か月ということになってっしまいます。

 令和4年1月1日からは、
傷病手当金を受給した期間だけを通算して1年6か月間支給されるように取り扱いが変更される予定です。

☆ 令和3年度から年金手帳の交付が廃止に ☆

年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律
(令和2年法律第40号、令和2年6月5日公布)
の施行により令和3年度から 新たに国民年金第1~3号被保険者となった者
(20歳到達者、20歳前に厚生年金被保険者となった者等)に対する資格取得のお知らせ方法が、
国民年金手帳の交付から基礎年金番号通知書の送付に切り替えられることになりました。

年金手帳から新制度に移行する際の経過措置として、年金手帳の再交付申請は廃止となりますが、
法律施行までに送付された年金手帳については
引き続き基礎年金番号を明らかにすることができる書類として利用できることになっています。

新規雇用者の健康保険・厚生年金の被保険者資格取得手続きを行う際には、
基礎年金番号または個人番号を記載することとされていますが、
個人番号を記載した場合は現住所の記入が省略できるなど、
手続きが簡素化されているため、今後も基礎年金番号の必要性が薄くなっていくと思われます。



☆中小企業に「同一労働同一賃金」の義務化を適用☆


正社員と非正規社員の不合理な労働条件の相違を禁止する「同一労働同一賃金」が、
今月から、中小企業に対しても義務化されます。

ここで誤解してはいけないのは、「同一労働」とは単に同じ作業をしてるという意味ではありません。
入社10年目の社員と1年目の非正規社員が同じ作業をしていても、
それだけで直ちに同じ賃金を支払う必要があるわけではないのです。
なぜならば、それらの間では習熟度や作業能率などが異なっているのが通例だからです。
同様に、非正規社員同士でも入社10年目と1年目の賃金を同一にする必要性もないのです。

これらのような合理的な理由があれば賃金に差があっても問題はないと言えます。

さしたる理由もなく、ただ単に正社員だからというだけで、
非正規社員との間に賃金だけでなく諸手当や賞与に差がある場合などは
「同一労働同一賃金」に反するとして問題となる可能性が大きいので注意が必要です。


もっと詳しいことはこちらから

厚生労働省同一労働同一賃金ガイドライン



☆令和3年4月から改正高年齢者雇用安定法が施行されます


70歳までの雇用をめざし、改正された高年齢者雇用安定法が来年3月に施行されることになっています。

その内容は65歳までの雇用確保の義務化と、70歳までの
就業確保に努めること(努力義務)が中心となっています


◎ 対象となる事業主は以下の通りです。

・定年を65歳以上70歳未満に定めている事業主
・65歳までの継続雇用制度(70歳以上まで引き続き雇用する制度を除く。)を導入している事業主



◎ 必要な措置について主なものは

70歳までの定年引き上げ
定年制の廃止、70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入などです。

このほかにも70歳まで継続的に業務委託契約を結ぶ制度の導入など、直接雇用から外れるものもあります。

なお、今回の改正では70歳までの就業確保措置についてはあくまでも「努力義務」とされているため、
「導入を検討したが無理でした」ということでも、問題はありません。


☆熱中症には気をつけて☆


毎年夏になると心配なのが熱中症です。
特に戸外での作業が多い業種では対策を立てておられると思いますが、
今年はコロナ対策でマスクを使用することも多く、
換気のためにエアコンに効き具合も悪くなることから、
いままでは熱中症とは無縁と思われていたような屋内作業を中心とする事業所でも、
熱中症対策が必要となってきます。

戸外の作業中心の事業所と違って、
事業主も従業員も熱中症に対する関心も予備知識もあまり高くなくことが多いので、
一層の注意が必要です。

以下のサイトもご参考に

環境省熱中症予防情報サイト

https://www.wbgt.env.go.jp/



☆ 複数の会社で働く人の労災補償は合算で ☆

非正規雇用の人で複数の会社で働いている人もそう珍しくはなくなってるようです。

これらの人が労災に遭遇した場合、現行制度では就業中(事故が発生した)の会社の賃金をベースに補償が行われています。

このため、休業補償を受けることが出来ても、金額面で不利な状況に置かれていました。

今般、労災保険法が改正されたことにより、

施行日である本年9月以降は、複数の勤務先の収入を合算して給付が行われるようになりました。

実務についてはいろいろ詰めなければならない点がありますが、労災補償の点では1歩前進と言えるでしょう。

☆ 新型コロナウィルスへの対応 ☆



新型コロナウイルスに関する事業者・職場のQ&Aが公開されています。

異本的には2009年の新型インフルエンザウィルスのときに発表されたものと変わりはありません。


2月1日付けで、新型コロナウイルス感染症が指定感染症として定められたことにより、
労働者が新型コロナウイルスに感染していることが確認された場合は、
感染症法に基づき、都道府県知事が就業制限や入院の勧告等を行うことができることとなりますので、
それに従っていただく必要があります。
   労働安全衛生法第68条に基づく病者の就業制限の措置については対象となりません。


◎ 労働者が新型コロナウイルスに感染したため休業させる場合に休業手当の支払いが必要となるか。

 新型コロナウイルスに感染しており、都道府県知事が行う就業制限により労働者が休業する場合は、
一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられます。
このため休業手当を支払う必要はありません
 

 新型コロナウイルスかどうか分からない時点で、発熱などの症状があるため労働者が自主的に休む場合は、
通常の病欠と同様に取り扱い、労働者からの求めに応じて有給休暇を付与したり、
制度があれば病気休暇を活用すること等が考えられます。

 発熱しており体温が高いなど一定の症状があることのみをもって一律に労働者を休ませる措置をとる場合など
使用者の自主的な判断で休業させる場合は、
一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当するため休業手当を支払う必要があります。


                                          
☆ 有給休暇の強制付与 対策は? ☆



有給休暇の強制付与制度が実施されましたが、先の平成から令和への移行期の連休期間中は
従来のGW連休に良くある飛び石状態がありませんでした。
このため4月30日、5月1日や2日などの休日の合間を有給で埋めるという方法がとれなかったのですが、
今年はその他の祝日でも飛び石連休になるところが殆どありません。
このため夏季休暇や年末年始休暇にあわせて付与するところも多いと思います。

有給休暇の強制付与については、発生(基準日)から1年以内に5日付与する事が必要となっています。
大企業のように4月1日に入社式を行っている場合は基準日もバラバラにはならないのですが、

途中入社の多い中小零細企業では、基準日もまちまちで、これを管理し、運用するのはかなりの負担になります。

しかし、計画付与で一斉に有給を付与する場合は、基準日がバラバラであっても問題は発生しません。
強制付与で求められているのは基準日(新規発生日)から1年以内の付与であり、
同一年度内での付与を求めているのではないからです。

問題は有給休暇が発生していない入社6か月未満の人への対応ですが、
その日については特別に有給の休暇を与えるのが一般的な対応になると考えらえれます。


☆いよいよ有給休暇の強制付与が開始に☆

4月1日から有給休暇の強制取得が実施になります。
ただ、すべての労働者に5日間の有給休暇を取らせる必要はありませんので、
そのあたりをもう一度確認して対策を立てる必要があります。

 強制取得の対象となるのは4月1日以降に有給が10日以上発生する労働者です。
有給休暇の発生日は最初が入社から6か月経過後、以後は1年経過するごとに発生するとされています。
この有給が発生する日を基準日といいます。
これは正社員でもパートタイマーでも同じですが、発生する日数については、
1週30時間以上、または年間勤務日数が217日以上の人は
最初の基準日(6か月後)に10日発生します。したがって強制付与の対象となります。

これ以下の日数や時間数が少ない場合も、まったく発生しないのではなく、
比例付与という1週間の労働日数に応じた割合で発生することになっています。

週4日勤務の場合は6か月経過後に7日、週3日勤務では5日発生し、
それぞれ3年6か月後と5年6ヵ月後から10日以上の年休が発生します。
強制付与の対象になるのはそれ以降です。
したがって、これらの人については勤務年数をしっかり把握しておく必要があります。

ここで、気になるのが基準日のばらつきです。
入社日から起算すると、特に途中入社の多い中小・零細企業では
基準日もバラバラになり管理に手間がかかってしまいます。
このため、基準日を一定の時期にそろえることが考えられます。
この場合注意が必要なのは、労働者に不利にならないようにしないと、
法律違反になってしまうことです。
つまり、企業にとっては不利になる条件でしか認められないのです。

たとえば4月1日を全労働者の基準日とした場合、3月20日に雇用された労働者は
10日あまり勤務しただけで10日の有給休暇をえることになります。
これでは、不公平な取り扱いとして、労働者から不満が出ることも考慮しなければなりません。

このため、基準日を半年に1度設けるとか、3ヶ月に1度にするなどの方法も考えられますが、
基準日を増やすたびに管理の手間も増えていきます。
どのあたりで折り合いをつけるかも考える必要があります。

なお、週2日以下の勤務日数の人については、
法律上年10日以上の有給休暇が発生することはないので、
この人たちについては何年勤務していても強制付与の対象とはなりません。

どうする!副業・兼業解禁への対応


いわゆる「働き方改革」への動きの中で、厚生労働省では兼業禁止規定を削除したモデル就業規則を作成し、
「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を発表しています。

いまだに多くの企業では就業規則で兼業の禁止を定めていますが、
今後はこの流れを受けて兼業禁止規定を廃止する企業が増加する可能性があります。
しかし、さきに述べたガイドラインを読んでも、いろいろな問題について有効な対応策が示されているかといえば、
まだまだ不十分な点が多く見られます。

兼業禁止規定を廃止して兼業を解禁しようという場合、
企業にはどのようなメリットがあり、どのようなデメリット(またははリスク)があるかについては
十分、考慮する必要があります。
安易に兼業や副業を解禁すると思わぬ問題が発生し、損害をこうむることもあります。

その前に、労働法制に詳しい弁護士や社労士の意見を聞く事が大切です。

というわけで、何回かに分けて、兼業・副業の解禁について知っておくべきことを述べて行きたいと思います。


☆ 会社が負うリスク ☆


   ☆ なぜ社員がアルバイトをするのを禁じたのか ☆

今までは殆どの会社の就業規則に兼業禁止規定が置かれていました。
なぜ、兼業が禁止されていたのか、その理由はというと、
別の仕事をすることによって休養にあてられるべき時間がなくなり、
疲労が回復しないままの状態で翌日就業することになると、
本来の仕事での作業能率が低下するのではないかということがあげられます。
同業他社で仕事をすることによる社内機密の漏洩のおそれがあることや、
会社の信用に関わる、忠誠心の低下なども考えられます。

その他に、別に仕事をしなければならないほど勤務先の待遇が悪いと思われるのではないかという、
いわば風評被害のようなものを懸念した結果ということも考えられます。

たとえば、入社間なしの社員が高価な車を買うためにアルバイトをする場合があっても、
ただちに給料が少ないなど、待遇面に問題があると考える人は少ないでしょうが、
40代、50代の中堅クラス以上の社員がアルバイトをしているというのは、
待遇面で問題があると思われても仕方ないかもしれません。
それが会社公認であるならばなおさらです。

兼業解禁についてはこういったことも考慮する必要があります。

                                  

どうする!副業・兼業解禁への対応 その1

 兼業・副業禁止規定の効力
 
 本来、会社が労働者の行動に関与できるのは就業時間中だけであり、
それ以外の時間をどう過ごすかは労働者の自由です。
終業後に小遣い稼ぎの仕事をしても会社が口出しできるという理由はなく、
それを理由に懲戒処分をすることは原則として認められません。
しかし、深夜までアルバイトをして本来の業務が満足に出来ないなど仕事に影響が出る場合や、
同業他社で仕事をするといった場合は、会社の事業運営に悪影響がでることが考えられるので、
こういった場合には処分が有効とされることもあります。

根本的な問題として、なぜ社員がアルバイトをする必要があるのかを考えてみることが大事です。



☆ 被扶養者の要件が変更になりました
  ☆

健康保険の被扶養者となるためのおもな要件としては。一定範囲内の親族であることが必要です。
そのほかに所得に関するものと一部親族については被保険者と同居していることは条件となっています。

この同居用件に関しては従来、被保険者の弟妹は同居用件の適用はなかったので、
その他の要件を満たしていれば別居していても被扶養者となることができました。
しかし、兄姉については同居していることが要件とされてきました。
10月1日からこの要件が廃止され、弟妹と同様に別居していても被扶養者となることができるようになりました。
もちろんその他の所得などの要件には変更はありませんのでその点は注意が必要です。


☆ 九州での地震被害に対する労働保険。労災補償の取り扱いについて ☆

九州での地震被害に関しては東日本大震災の対応に準じた取り扱いがされます。

仕事中に会社の建物が倒壊して被害にあった場合
のほか、出張中に被災した場合も基本的に労災補償の対象になります。

詳細については

「平成 28 年熊本地震に伴う労災・適用徴収に関するQ&A」が厚生労働省のWEBサイトにアップされています。

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10600000-Daijinkanboukouseikagakuka/0000123837.pdf

                                                   
☆  改正労働契約法の概要

1 有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換

○ 有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合(※1)は、労働者の申込みにより、
無期労働契約(※2)に転換させる仕組みを導入する。
(※1) 原則として、6か月以上の空白期間(クーリング期間)があるときは、前の契約期間を通算しない。
(※2) 別段の定めがない限り、労働条件は従前と同一となる。


2 有期労働契約の更新等(「雇止め法理」の法定化)

○ 雇止め法理(判例法理) を制定法化する。(※)
(※) 有期労働契約の反復更新により実質的に期間の定めのない労働契約(無期労働契約)と異ならない状態で
継続して雇用されている場合、
または有期労働契約の期間満了後の雇用継続につき、合理的期待が認められる場合には、
雇止めが客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、
有期労働契約が更新(締結)されたものとみなす。

3 期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止

○ 有期契約労働者の労働条件が、期間の定めがあることにより無期契約労働者の
労働条件と相違する場合、その相違は、職務の内容や配置の変更の範囲等を考慮して、
不合理と認められるものであってはならないものとする。

☆ 短時間就労者の支払基礎日数の取扱い」が変更になりました ☆


年間保険者算定に関する「短時間就労者の支払基礎日数の取扱い」が、平成23年6月16日に変更されたため、
全国の年金事務所で実施している“算定基礎届の説明会”でご説明した内容と違う場合があります。

変更内容は次のとおりです。

(これまでの説明)  
短時間就労者支払基礎日数は、15日以上の月の報酬の合計額、平均額を記入することになっていました。

(変更点) 
 ・当年4月~6月の支払基礎日数を17日以上の月の報酬の平均額とした場合は、
前年7月~当年6月も17日以上の月の報酬の平均額を記入してください。

・当年4月~6月の支払基礎日数が15日以上17日未満の月の報酬の平均額とした場合には、
前年7月~当年6月は支払基礎日数が15日以上の月の報酬の平均額を記入してください。


☆ 震災時の労災保険給付について

   ○ 基本的には天災による場合は業務起因性がないのですが 
   
  労災保険から給付が受けられる業務上の災害や通勤途上の災害については、勤務時間中や通勤の途中で発生した
事故すべてが該当するわけではないとされています。  
  具体的には業務上の災害については「業務遂行性」「業務起因性」の 二つが存在することが要件とされています。
地震や台風などの天災によって被災した場合は「業務起因性」(=業務との因果関係)がないこと
 から、労災給付の対象とならないと判断されることもあります。

  しかし、今回のように特に規模の大きな災害の場合には「業務起因性」 は問題にはならないことがあります。
今回の震災については「東北地方太平洋沖地震に伴う労災保険給付の請求に係る事務処理について」という
 通達が出されていますが、
内容としては過去の通達(伊豆半島沖地震に際して発生した災害の業務上外について)と同様、
広く業務上の危険を認め、労災給付の対象とすることになっています。

  この伊豆半島沖地震の際に業務上の災害として認められた事例としては

 ・事務所が土砂災害により埋没
 ・作業現場でのブロック塀倒壊
 ・作業場の倒壊
 ・バス運転中の岩石の落下
 ・足場からの落下
 ・避難する際の転倒事故

 などがあります。


☆ 新型インフルエンザが大 流 行のきざし ☆


☆ 新型インフルエンザ (A/H1N1)に関する事業者・職場のQ&A (厚生労働省 10月30日)☆

厚生労働省が新しい「新型インフルエンザに関するQ&Aを発表しました。
以前掲載したQ&Aに比べると、若干変更されている部分があります。
 
○休業を命令した場合、休業手当の支払いは必要か? 
  

 なお、賃金の支払の必要性の有無等に ついては、個別事案ごとに諸事情を総合的に勘案すべきものですが、法律上、労働基準法第26条に定める休業手当を支払う必要性の有無については、一般的に は以下のように考えられます。(※以下は現時点の状況を基にしており、今後の新型インフルエンザの流行状況等に応じて保健所の要請等が変更される可能性が ありますのでご留意ください。)

労働者が新型インフルエンザに感染した ため休業させる場合
 新型インフルエンザに感染しており、医師等による 指導により労働者が休業する場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと 考えられますので、休業手当を支払う必要はありませ ん。
 医師による指導等の範囲を超えて(外 出自粛期間経過後など)休業させる場合には、一般的に「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当たり、休業手当を支払 う必要があります。

後書き


ようやく平年並みの気温になってきたようですが、
これまでが異常に暖かかったので、平年並みでも十分な寒さに感じます。
コロナも流行りだしているようですが、5類に指定されてから警戒感も薄れてしまい、
飲食店でも消毒用アルコールを設置していない店が目立ちます。

くれぐれも注意してお過ごしください。


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なお現在は全く更新しておりませんので 

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