PlamoでLinuxを学んでみよう

中谷千絵<jeanne@mbox.kyoto-inet.or.jp>

Oct 15, 2000


「PlamoでLinuxを学んでみよう」は、ソフトウェアデザイン2000年11月号に 掲載したものです。

−インストール後にまず何をすべきか? Linuxはインストールしてみたものの,その先の一歩が踏み出せないユ ーザ.インストール後何をしていいかわからないユーザ,Linuxへの親 しみ方や,そのためのヒントを提供する.

1. PlamoでLinuxを学んでみよう!

2. Linuxと遊ぼう

3. 一般ユーザ

4. ホームディレクトリとそこにあるファイル

5. Plamo Linuxの基本的な設定

6. エラーに遭遇したときの心構え

7. カーネルの再構築

8. Linux文書と英文文書の読み方、使い方のヒント

9. アプリケーションのインストール

10. まとめ


1. PlamoでLinuxを学んでみよう!

1.1 はじめに

この章は、インストールはなんとか出来たけれど、さて、次のステップはど うしたらよいのかとふと立ち止まった方のためのものです。これまでにMS-DOS を使った経験がほどんどない、Windows95/98しか使ったことがない、そして、 一度もUNIX系のマシンをいじったことがない、Linuxを使うのは不安がいっぱ い、けれどこれからぜひLinuxを使っていきたいと意欲と希望に燃えた方々の ために、<見逃しやすい基礎知識>をピックアップしてまとめました。 まず最初に、もしいままでWindowsを使ってこられたのなら、Windowsのこと はしばらく忘れましょう。これから先はLinuxの世界です。郷に入れば郷に従 え、Linux使いになる最も良い秘訣は、Linuxの世界の「流儀」を身につけるこ とだと思います。急がば回れ、これからLinuxと仲良くするために、最初に 少し準備運動の時間を持ちましょう。

1.2 すこしだけ私の思い出を

前置きが長くなりますが、私の思い出話しを少しだけ。私が初めて自分のマ シンにLinuxをインストールしたのは1995年の秋頃でした。その頃はいまのよ うに選ぶのに困るほどたくさんのディストリビューションなどありませんでし たから、そこで悩むことがなかったのは幸いだったかもしれません。私が始め て出会ったLinuxは、「Linux入門PC互換機の最新UNIX環境」(発売:星雲社、 現在この本は絶版になっています)の付録のCDに収録されていた (Slackware2.1,kernel1.1.59)でした。思いおこせば、インストールはしたも のの、さてどうしたら良いの?という状況に陥ったのは私自身でした。なんだ かでっかい魔物が自分のマシンに住み着いてしまったようで、しばらくの間は マシンの周りに見えないバリアが出来てしまったような気分に陥ったこともあっ たのです。その頃の私にはdaemonという文字がまさしくdemonに見えていたの かもしれません。 けれど、何かきっかけをつかんでしまえば、Linuxは使えば 使うほど自分なりの開拓をしてみたいと思うようになる不思議な魅力を持った OSかもしれません。

1.3 ディストリビューション選び

現在、Linuxのディストリビューションは本当にたくさんあります。どれも それぞれ特徴があります。何を選んでよいか迷っている段階なら、ディストリ ビューションとパッケージについての一般的な情報はこちらを見てください。 http://www.linux.or.jp/link_distributions.html どのディストリビューションを選択しても、Linuxであることには変わりはあ りません。もしもあなたがこれからLinuxを学びたいと思っておられるなら、 まずはシンプルでクリアなPlamo Linuxを体験してみることをお勧めします。 Plamo Linuxのインストールについては次のページも参考にしてください。 Plamo Linuxのインストール作業について、詳しくまとめられています。 http://www2.ocn.ne.jp/~zebra/linux/plamo/index.html

2. Linuxと遊ぼう

2.1 Plamo Linuxの基本姿勢

Plamo LinuxのPlamo(プラモ)はプラモデルから取られた名前です(「第1章Plamo のここが知りたい」を参照してください)。プラモデルを組み立てるように、 自分であれこれやっていく(やってみる)のがPlamoの基本です。Linuxを始める ためのHOWTO文書やキットはパッケージのなかに全部揃っています。失敗を恐 れず学びましょう。調べてもわからない時はplamo MLで質問をしてみましょう。 そして、自分の好みのLinuxに仕立てていくおもしろさを味わいましょう。せっ かくLinux を選ぶなら、Linuxに苦しめられるのではなく、Linuxと遊んで、 その醍醐味を味わいましょう。 Plamo Linuxについての詳しい説明は、/usr/doc/plamo/Old/plamo-faq.txt.gz を見てみましょう。 また、Plamo Linux のホームページも参照してください。 http://www.linet.gr.jp/~kojima/Plamo/index.html

Plamo Linuxをインストールすると、plamo関係の文書は、/usr/doc/plamoと、 その下のディレクトリ/usr/doc/plamo/Old にインストールされています。イ ンストールの前後に必要なものは次の文書です。

(FAQ)plamo-faq.txt.gz のようなファイルはどのようにして見ることができますか。

すでにXが起動しているなら、コマンドプロンプトから次のように入力 します。

$ tknamazu & 

tknamazu を起動しましょう。強力な(全文検索エンジン)文書検索ツールです。 ▲(Fig.1)tknamazu を開いた画面 tknamazuのkeyword の窓で、たとえばplamoと入力すれば、関連文書がピック アップされますので、どれかを選択すれば文書を読むことができます。 日本語のキーワードで検索したいときは、Shift+リターンキーで、 kinput2が起動します。

または、次のようにしても読むこともできます。 たとえば、kterm のコマンドプロンプトから次のように入力します。

$ /bin/zcat /usr/doc/plamo/Old/plamo-HOWTO.txt.gz

一画面に入り切らないときは、次のようにmoreコマンドを併用します。

$ /bin/zcat /usr/doc/plamo/Old/plamo-HOWTO.txt.gz |more

moreコマンドを使ったとき、 一画面の最後の行に、--続ける-- という表示 がでますから、リターンキーを叩いていけば好きな場所で止めることができま す。終了するときは q を入力します。

▲(Fig.2)zcat でplamo-HOWTO.txt.gz を表示した画面

ディレクトリやディレクトリの移動方法やパスなどについては後述します。

2.2 Xウィンドウの設定

Plamo Linuxのインストールが終了したら、Xウィンドウの設定をしましょう。 plamo-HOWTO.txt.gzの「11.1. Xウィンドウの設定」を参考にしてください。 お使いのビデオカードの種類、ディスプレイの解像度など、設定に必要なこと をあらかじめ手もとのノートなどにメモしておきましょう。 「お勧め」パッケージでインストールし、お使いのビデオカード用サーバと VGA16 用のサーバがインストールされていればXウィンドウ設定用ツール XF86Setupが使えます。root でログインし、XF86Setupを実行します。 XF86Setupは、/usr/X11R6/bin にあります。設定ファイルは/etc/XF86Config というファイルに保存されます。X についてのさらに詳しい情報は、 /usr/doc/JF のディレクトリに次のような文書があります。

(FAQ)XF86Setupを起動して無事にXの設定をすることができました。ところが 設定をやり直そうとすると、XF86Setupがうまく起動してくれません。

前回の設定が/etc/XF86Configに書き込まれていますので、このファイルを一 度削除するか、リネームしてやれば、XF86Setupは起動します。

Xの設定が完了したら、次のようにして、Xを起動してみましょう。

# startx 
もしXがうまく起動できないのでエラーログを取りたいとき、あるいは、ちゃ んと起動するが、ログを見たいときなどは、一般的には次のようにします。
$ startx >& log
log は書き出すファイル名になります。

X の解像度を変更したいときは、たとえば次のようにします。
$ startx -- -bpp 16
$ startx -- -bpp 32
Xが起動した後 Ctrl+Alt+<+>または<->キーを使って解像度を
変更することもできます。
startxについての詳細は、オンラインマニュアルで確認してみましょう。
$ man startx

2.3 シャットダウン

システムを安全に停止させるにはshutdownコマンドを使います。いきなり電源 を切ればシステムにどんな損害を与えるかはわかりません。システムの再起動 のためにリセットボタンを使うのもよいことではありません。目には見えてい なくても稼働しているシステムでは多くのプロセスが働いています。 psというコマンドを使うとプロセスの状態を表示させることができます。

$ ps ax (すべてのプロセス)
$ ps ax |grep *** (何か特定のプロセスを見たいとき)
オンラインマニュアルで ps、 grep について調べてみましょう。

システムを停止する一般的な方法は、一般ユーザでログインしている場合は一 度ログアウトし、rootでログインし、次のようにします。

# /sbin/shutdown -h now
再起動したい時は、
# /sbin/shutdown -r now
テキストベースのコンソールで使っている場合は、キーを同 時に押します。なお、シャットダウンで電源も同時に落したいなら、APMオプ ションを使えるようにカーネルの再構築をしなければいけません。カーネルの 再構築については後述します。 shutdown についての詳細は、オンラインマニュアルで確認してみましょう。
$ man shutdown 

3. 一般ユーザ

3.1 一般ユーザの登録

adduser というコマンドを使って、まず自分自身を一般ユーザとして登録しましょう。

# adduser

(FAQ)私のマシンは私がひとりで使っています。rootのままで使ってはいけな いのですか。なぜ一般ユーザの登録が必要なのでしょうか。

root権限での作業は思わぬミスがシステムの破壊を招くこともありますから、 可能なかぎりroot権限での作業は少なくして、一般ユーザ権限で使うように しましょう。通常はrootではなく一般ユーザでログインし、必要な場合は su(スーパーユーザ)でroot になって作業をするようにします。 パスワードの変更にはpasswdを使います。

筆者はrootで作業をしていて、/usrをディレクトリごとばっさり削除してしまっ たことがありました。まだLinuxに慣れていない時、ホームディレクトリの下 に/usrというディレクトリを作ったことがありました。作ってしまってから、 こんな場所に/usrというディレクトリがあるのはまぎらわしいと思い、/home の下にある/usrというディレクトリを消すつもりで、rm -r /usrと入力してし まったのです。せめてrm -r /home/jeanne/usrとでも入力していれば被害はな かったのですが。結果は悲惨です。/usrというディレクトリ以下を全部削除し てしまいました。こうなるともう使えるコマンドはほとんどありません。慣れ ないとふとした勘違いはつきものだと思っておくほうが良いですね。けれど、 転んでも落ち込んだりしてはいけません。エラーや失敗にぶつかってこそ学ぶ ことができるものですから。

一般ユーザの登録は次のように行います。例として、一般ユーザ名Harry Potter(ハリー・ポッター)というユーザを登録してみましょう。一般ユーザ の登録はroot権限で行います。一般ユーザの登録が完了すると、ユーザのホー ムディレクトリに必要な設定ファイルがコピーされます(どのようなファイル があるかについては後述します)。

# adduser
Plamo Linuxでの一般ユーザの登録では、いくつかの質問の最後に、登録する ユーザが使うWM (ウィンドウマネジャー)の種類を尋ねてきますので、どれか 好きなもの、よくわからなければ1を選択しておきましょう。変更する方法は 後述します。

harry が使う WM は? [afterstep]: 
1 : AfterStep(お勧め)
2 : qvwm(Windows95 風)
3 : twm(ごくシンプル)

今後いろいろな設定をしていく時、どのような設定をしたのか、何をして何を しなかったのかなどについて記憶しておくか、場合によったらノートにメモを しておきましょう。エラーやトラブルに出会ったときの大事な資料になります。

ユーザ登録が完了したら、一度Xから抜けて、ログアウトし、一般ユーザでロ グインし直し、Xを起動してみましょう。Xの終了はマウスを左クリックして ポップアップメニューを出し終了を選びます。なお、ユーザ登録はコンソール からもできます。 コンソールからユーザ登録をする場合、日本語を使いたい場合は、 先にkonを起動してから行います。

 # kon
 # adduser

無事にアフターステップの画面が起動しましたか。画面の右端にいくつかのア イコンが整列して並び、画面の上にktermが開いていますか。これがPlamo LinuxのデフォルトでのXウィンドウです。ここまで何もないと寂しいですか。 筆者はSimple is Bestなので、いまでも初期画面はシンプルなままです。そ れでは寂しいと思う方は、これからXの環境設定や、ウィンドウマネジャーの 設定ファイルのいじり方をマスターしましょう(いじり方のヒントは後述しま す)。たとえばXの起動時に音を出すとか、アイコンを増やすとか、画面の背景 の壁紙の種類や色を変えるとか、いろいろにぎやかになるようにしてみて ください。またWindowmakerのような別のウィンドウマネジャーをインストー ルするとか、もっとがんばってKDEやGnomeを入れてみるなど、ディスクトップ の改良に挑戦してみるだけでも、とてもたくさんのことが学べるはずです。

3.2 一般ユーザのホームディレクトリ

一般ユーザでログインし、Xを起動します。すると、ktermが開いて、コマンド 待ちの画面になっているはずです。あるいはマウスを動かしてポップアップメ ニューからktermを起動してみましょう。さて、いま、私は<どこ>にいるの でしょうか。一般ユーザでログインし、特にどこもいじらずにXを起動したの なら、現在いる場所(カレントディレクトリ)はホームディレクトリということ になります。cdというコマンドで作業ディレクトリを変更できます。現在ログ インしているユーザを調べるコマンドはwhoです(またはwho am i と入れてみてく ださい)。

(FAQ)コマンドプロンプトに $ や # が使われていますが、 何か意味があるのですか。

$ や # 、あるいは % はシェルプロンプトと呼ばれます。 ユーザからのコマンドを受け付けるシェルプログラムのコマンド待ち画面です。 たとえばbashシェルなら、 $ は一般ユーザであることを示します。 スーパーユーザになるにはsuというコマンドを使います。

  $ su
  # 
このようにプロンプトは # になります。

一般ユーザは /home 以下に固有のホームディレクトリを持ちます。 < >チルダで表示される場所が /home以下を表しています。 ですから次のコマンドは同じことを意味しています。

  $ cd ~
  $ cd /home/harry

3.3 ファイルシステム

コマンドプロンプトで次のように入力し、/ (ルートディレクトリ)にある ディレクトリの探検をしてみましょう。コマンドプロンプトで次のように入力します。 $ cd / これでルートディレクトリに移動します。/ はルート(根)ディレクトリの意味です。

ではテストです。次のコマンドの意味は、もうわかりますね。

   jeanne:~$ cd /
   jeanne:/$ cd ~
プロンプトの先頭にあるjeanneは、筆者のマシンのホスト名です。ネットワー クの設定でホスト名の設定が終了していれば、あなたの設定したホスト名がつ いてきます。あるいは、スタンドアローンのマシンでネットワークの設定がさ れていないなら、darkstar: のようになっているかもしれません。インストー ル後にネットワークの設定をするには、rootでログインするか、suでrootになっ て、netconfigを起動して設定します。netconfigについては後述します。
 $ su
 # /sbin/netconfig &
ルートディレクトリに移動し、lsというコマンドでディレクトリのなか を見てみましょう。通常はコマンドプロンプトでlsと入力すれば、そのディ レクトリにあるファイルを表示してくれます。lsというコマンドに どんなオプションがあるのか、よくわからない時は、lsというコマンドにつ いてhelpコマンドでもう少し詳しく教えてもらいましょう。
 # ls --help

lsというコマンドについてのオプションをずらりと説明してくれます。
もし間違って
 # ls -help
と入力してしまった。そんな場合でも Linux は親切にちゃんと「それは間違い。
こうしましょ」と教えてくれます。たとえばこんな風に。
  # ls -help
  ls: invalid option -- h
  Try `ls --help' for more information.

コマンドの使い方がわからない時は、まずは上述のような簡易の画面情報を利 用すれば、help情報を得ることができます。もう少し詳しく知りたいときは、 たとえば、man lsのようにman のあとに知りたいコマンドと入力してオンライ ンマニュアルを表示します。なお、man manとすればオンラインマニュアル自 身のマニュアルを表示します。オンラインマニュアルの多くは日本語化されて いますから、画面のヘルプだけでよくわからない時は man *** ととにかくやっ てみることです。せっかく助けを求めたのに、情報が画面からはみ出てしまっ て肝心のところが行けない、戻れない。そんな場合はmoreコマンドを活用しま しょう。

では、ルートディレクトリにどんなディレクトリやファイルがあるか、見てみ ましょう。たとえばこのようなものが見えるでしょう。

$ ls /
dev/          lost+found/   root/         bin/         
etc/          mnt/         sbin/         vmlinuz
boot/         fastboot      tmp/          win98/
cdrom/        home/         usr/          lib/ 
proc/         var/         

 dev/  各種のハードウェアを操作するデバイスファイルを集めたディレクトリ
 bin/  システムの運用用の基本コマンドを集めたディレクトリ
 boot/  lilo用の設定ファイルなどを収めたディレクトリ
 cdrom/ CD-ROM をマウントするためのディレクトリ
  etc/ システムの設定ファイルを集めたディレクトリ
 home/ ユーザのホームディレクトリ
  root/ root(superuser)用のホームディレクトリ
 lib/ 各種の共有ライブラリを集めたディレクトリ
  mnt/ 作業用のディスクやパーティションなどをマウントするためのパーティション
 proc/ 現在稼働中のカーネルの情報やプロセスの情報を見るための proc ファ
        イルシステムと呼ばれる特別のファイルシステム
 lost+found/
        これはそれぞれのパーティションごとに作成されるディレクトリで、そ
        のパーティションにあるファイルのうち、何らかのトラブルで迷子に
        なったファイルが格納されるディレクトリ
  sbin/ 主にroot が使うシステムの運用用のコマンドを集めたディレクトリ
  tmp/  各種の作業ファイルなどを一時的に保存するためのディレクトリ
  usr/  一般ユーザ用の各種のコマンドや設定、マニュアルなどを収めたディレ
        クトリ
  var/ ログファイルなどシステムの運用につれて大きくなるファイルを収めた
        ディレクトリ

文字列の後ろに/ がついているものはディレクトリを表し、何もついていない ものはファイルです。 ただし、/root はrootのホームディレクトリになりますから、 一般ユーザが /root 内に入っても、そこにあるファイルを見ようとすると 当然ながら拒否されます。

jeanne:/root$ ls
/bin/ls: .: Permission denied
それぞれのディレクトリの詳しい説明については、install-plamo.txt.gz を 見て確認しましょう。*.gz のようなファイルを見る方法はもうわかりますね。 コマンドラインから次のように入力するか、tknamazu を起動しましょう。

$ /bin/zcat /usr/doc/plamo/Old/install-plamo.txt.gz |more

cdとls またはls -lというコマンドを使って、それぞれのディレクトリに移 動し、ディレクトリのなかをとにかく覗いてみましょう。たとえば/binとい うディレクトリに入るなら、次のようにします。

$ cd /bin
/binから出て、いきなり/sbinに入るのは、
$ cd ../sbin 
となります。(.) はカレントディレクトリを表す記号ですから、
現在自分が/sbin にいるなら、
jeanne:/sbin$ cd .
これは現在の位置そのままで変更はありません。
jeanne:/sbin$ cd ..  と入力すると、1つ上のディレクトリに移動すること
になります。
また、/sbin から/に戻るには、次のように入力してもよいです。
$ cd /

では /dev に入ってみましょう。 $ cd ./dev (カレントディレクトリ/からdevというディレクトリに入ります。 /から/devに移動するのは、cd /dev と入力するのも、cd ./dev と入力するの も同じ意味になります。. はカレントディレクトリを表します。) いろいろ入力してみて慣れていきましょう。もし間違っても注意を表示してく れます。ディレクトリの移動をするときは、常にいま自分がどこにいるかを認 識しておきましょう。コマンドプロンプトの部分にも情報が隠れています。

jeanne:/usr/doc/plamo$ 
$ より前の部分に注意してください。カレントディレクトリが示されています。

MS-DOSではハードディスクのパーティションやフロッピードライブごとに、た とえばCドライブやDドライブと呼ばれるドライブが存在しますが、Linux(ある いはUNIX)にはドライブに相当する概念はありません。MS-DOSでドライブに相 当する概念をLinux(またはUNIX)ではファイルシステムと呼びます。ファイル システムはよく「木」の構造にたとえられます。ひとつの根(ルート)から木が はえて、枝分かれをしている構造を考えてみてください。ファイルシステムを ディレクトリの木につなぐことをマウントすると言います。そしてさらに便利 なことは枝をつなぐ(リンク)こともできます。

一時的にファイルシステムを加えたい時は次のようにします。

CD-ROM をマウントしたい時(一般的には)、

# mount -t iso9660 /dev/cdrom /mnt
PlamoLinux では、
# mount /cdrom  でCD-ROMをマウントできます。
アンマウントは、
# umount /cdrom
アンマウントしようとした時、次のようなエラーが出るなら、
umount: /cdrom: デバイスを使用中です

エラーでの警告通りですから、CDのなかのファイルを開いたままにしていない か、自分が/cdromのデバイスの上にいないか、あるいはまた一般ユーザでマウ ントしたのに、rootでアンマウントしようとしていないか、いろいろな場合が あります。いずれにしろ原因はとても単純なことですから、ひとつひとつ思い あたることを試してみましょう。なお、これもよくある質問ですが、音楽のCD はマウントする必要はありません。

Linuxの他のパーティション(たとえば/dev/sdb3)を加えたい時は、 次のようにします。

# mount -t ext2 /dev/sdb3 /マウントするディレクトリ名

/etc/fstab に書式に従って編集して書き加えておけば、起動時にマウントされます。

それではテストです。

 フロッピーディスクをマウントしたい。さてどうしましょう。
 # mount /dev/fd0 /mnt

オンラインマニュアルで次のものを調べてみましょう。
mount fstab link  symlink more less cd 
$ man mount のように入力します。

知らない土地に行く時の必需品のひとつは道路地図でしょうか。Linuxに慣れ るために、ディレクトリ散歩をして自分なりのLinux Mapを頭にいれておきま しょう。cdとlsコマンドだけでも、かなりの情報が得られます。どこにどん なディレクトリがあるか、どんなファイルがあるかをざっと見ておきましょう。 とりわけ/usr/doc 以下にはLinuxに関わる文書とすでにインストールされてい るアプリケーションなどの関連文書が揃っています。何かわからないことがあっ たら、この文書倉庫をのぞいてみるのは大きな助けになるはずです。 fileというコマンドで簡単にファイルの種類を調べることもできます。 たとえば、XF86Setupで作成したXの設定ファイルは/etc/XF86Configです。

$ file XF86Config 
XF86Config: English text
オンラインマニュアルでfile、findなどを調べてみましょう。

(FAQ)ディレクトリとファイルを扱うツールはないのですか。

tkdesk というとても便利なツールがあります。 $ tkdesk & で起動してみてください。

(FAQ)Plamoに付属しているアプリケーションパッケージを追加したのですが。

Plamo Linux付属のパッケージを追加インストールしたい時は、
# mount /cdrom
# cd /cdrom/contrib (目的のディレクトリに移動して)
たとえばWindowsMakerを追加したいなら、
次のようにinstallpkg でインストールします。
# cd /cdrom/contrib/WM
# installpkg wmaker.tgz

3.4 ファイルの許可属性

コマンドプロンプトでdateと入力すると、今日の年月日を表示してくれます。 dateという実行ファイルは/binにあります。

$ ls -l /bin/date
-rwxr-xr-x   1 root     root        24060  2月 20日  19:37 date*
(1)         (2) (3)     (4)         (5)    (6)             (7)

(1)-rwxr-xr-x はファイルの許可属性を示しています。
   最初の記号はファイルのタイプを示す。d であればディレクトリです。
  -    rwx     r-x       r-x
       所有者 グループ  それ以外の他人
r読みだし可、w書き込み可、x実行可を示します。
dateというファイルは所有者、グループ、他人ともに読みだしと実行ができますが、
書き込みができるのはrootのみという設定になっているということです。

(2)ハードリンクの数
(3)ファイルの所有者
(4)ファイルの所属グループ
(5)ファイルサイズ
(6)データの最終更新の日付
(7)ファイル名(最後についている*はこのファイルが実行ファイルであることを
   示します)。

ファイルのモードの変更はchmodで行います。
chmod  setuid setgid などをオンラインマニュアルで調べてみましょう。

(FAQ)/etc にあるprofile というファイルを開こうとしたのですが、 書き込みができません。どうしてですか。 ファイルの許可属性を調べてみましょう。

-rw-r--r--   1 root     root         1800  4月 22日  13:02 profile
グローバルな設定ファイルに対して、一般ユーザが誰でも変更できるような許 可属性をつけてはいけません。このようなファイルを開くときはsuでrootになっ てファイルを開きましょう。

4. ホームディレクトリとそこにあるファイル

一般ユーザの登録時に、WM(ウィンドウマネジャー)について、例では1のア フターステップを選択しました。qvwmやtwmに変更する方法と環境変更方 法にヒントになることを説明しながら、ホームディレクトリにある基本的なファ イルの扱い方を説明します。次のコマンドでホームディレクトリに戻って みましょう。ここでは先ほど一般ユーザ登録をしたharryという名前のユーザ を例にしています。

$ cd ~  (harryのホームディレクトリに行きます。)
/home/harry になにがあるか見てみましょう。
$ ls
Mail/      Sample/    desktop/
 / はそれがディレクトリであることを表します。

もう少し詳しくみてみましょう。
$ ls -lではいかがでしょう。
こんな風に表示されました。
drwx--x--x   3 harry    users        1024  8月 25日  09:36 Mail/
drwxr-xr-x   2 harry    users        1024  8月 25日  09:36 Sample/

ではテストです。
drwxr-xr-x この意味はもうわかりますね。

/home/harryにmemoというディレクトリを作成するなら、次のようにします。

$ mkdir memo

ちゃんとできているかls またはls -lで確認してください。 そのディレクトリを削除するときは、

$ rm -r ./memo
/home/harry にはディレクトリはこれだけしかないでしょうか? 次にlsのオプションを使って、
$ ls -la 

と入力してみましょう。すると、画面からはみ出るほどたくさんのファ イルが表示されるはずです。moreというコマンドを併用してみます。

$ ls -la |more

このようにすると画面が停止してくれますので、続いている部分を見るために はリターンキーをたたいてやります。どうでしょう。ぞろぞろとファイルが表 示されますね。これらのファイルの名前に注目してください。ファイル名の前 に . がついているので、ドットファイルと呼ばれるもので、個人用の設定ファ イルです。たくさんのファイルがありますが、いまは次の3つに注目してみま しょう。なお、.emacsはEmacs(Mule)を利用するために必要な設定ファイルで す。

 .Xdefaults
 .xinitrc_step
 .xinitrc -> .xinitrc_step

.Xdefaults というファイルは X上で使う各アプリケーション用のデフォル トの設定値です。何が書いてあるかファイルのなかを覗いてみましょう。

$ mule .Xdefaults &

muleを保存しないでそのまま終了するのは Ctrl+x,c というキーを使います。 muleを開いて、デフォルトの画面にファイルを読み込みたいときは、

 $ mule & 
mule を開いて Ctrl+x,i とすれば、ミニバッファにファイルを指定して読み 込むことができます。この場合、カレントディレクトリのファイルがデフォル トになりますから、別の場所にあるファイルを読み込むときはフルパスで指定 してやります。muleのさまざまなキーは、ツールバーの[help] または M-x helpとすればミニバッファにヘルプがでますので、参考にしましょう。

(FAQ)kterm (あるいはxterm)上でコマンドが入力できなくなってしまった。 とえば kterm のような画面上から入力したキーコマンドが 見えなくなってしまった場合、復旧するためには次のようにしてください。

 $ reset [Ctrl+J]
 $ Ctrl + Mouse2  で リセット.
.Xdefaults には、フォントに関する設定やEmacs/Muleに関する設定などがあ ります。いじれそうなところをいじって見ると楽しいですよ。その場合、オ リジナルの.Xdefaultsをバックアップしておきましょう。ファイルのコピーは cpを使います。
$ cp .Xdefaults .Xdefaults.org

オリジナルの設定が残っていれば、いつでもデフォルトの状態に戻せます。単 純な変更から複雑で高度な変更をする場合も、何か変更を試してみるときの基 本は、デフォルトの状態を押えておくこと(デフォルトの設定ファイルをバッ クアップしておく)、それから、できるだけひとつづつやることです。特に慣 れていないときに、一度に複数のことをすると、何かエラーに遭遇した時に何 が原因でそうなったのかが判別しにくくなります。これは.Xdefaultsのような 設定ファイルをいじるときも、カーネルの再構築をする時も通じる姿勢です。

それでは次の2つのファイルに注目してみましょう。

lrwxrwxrwx   1 harry    users          13  8月 25日  09:36 .xinitrc -> .xinitrc_step
-rw-r--r--   1 harry    users        1024  8月 25日  09:36 .xinitrc_step
 (1)        (2)(3)      (4)           (5)   (6)            (7)

ファイル名の前に表示されているモードや所有者などについてはもうわかりま すね。 .xinitrcを見てください。 ls -la というコマンドで表示させた時、 .xinitrc -> .xinitrc_step このようになっているのが見えるはずです。 .xinitrcというファイルは、startx でXを起動したときに実行されるファイル です。harry を一般ユーザで登録した時に、harryはWMにアフターステップを 使うように設定しましたので、X起動時にアフタステップ用の .xinitrc_step を読み込みたいので、ここでちょっとしたマジックをしているのがわかるでしょ うか。もう一度一般ユーザの登録のときにしたことを思い出してください。

harry が使う WM は? [afterstep]: 
1 : AfterStep(お勧め)
2 : qvwm(Windows95 風)
3 : twm(ごくシンプル)

このような選択をしましたが、これに対応するファイルがホームディレクトリに 揃っています。

lrwxrwxrwx   1 harry    users          13  8月 25日  09:36 .xinitrc -> .xinitrc_step
-rwxr-xr-x   1 harry    users        1222  8月 25日  09:36 .xinitrc_qvwm
-rw-r--r--   1 harry    users        1024  8月 25日  09:36 .xinitrc_step
-rw-r--r--   1 harry    users         912  8月 25日  09:36 .xinitrc_twm

現在は、アフターステップ用の.xinitrc_stepを.xinitrc として使えるように シンボリックリンクをはっているわけです。ですから、qvwm(Windows95 風) にしてみたいなら、.xinitrc_qvwmが.xinitrcとしてX の起動時に読 まれるように次のようになるようにしてやればよいわけです。

 .xinitrc -> .xinitrc_step(現在)
 .xinitrc -> .xinitrc_qvwm(変更後)

$ rm .xinitrc (まず最初に.xinitrc を削除します)
$ ln -s .xinitrc_qvwm .xinitrc (シンボリックリンクを作る)
$ ls -la .x* (確認)
 .xinitrc -> .xinitrc_qvwm
Xを起動し直してみてください。次回はqvwm(Windows95風)で起動してきます。

シンボリックリンクの削除はrmで行います。リンク先のファイルを消しても 実体は残りますが、間違ってもとのファイルを削除してしまわないように注意 してください。このような関係になっているファイルはとてもたくさんありま す。ディレクトリ散歩で見つけてください。

cp(ファイルをコピーする)、 rm(ファイルを削除する)等のコマンドはとても 基本的なもので頻繁に使います。オンラインマニュアルでよく研究して おきましょう。

(FAQ)アフターステップの設定ファイル/usr/X11R6/lib/X11/afterstep/system.steprcを 一般ユーザのホームディレクトリに.steprcとしてコピーしました。 変更したいのですが、一般ユーザで書き込みできません。 .steprcの許可属性を調べてください。

-r--r--r--   1 harry    users       24237  8月 25日  15:24 .steprc
所有者に書き込み許可を与えたいのですから、rw-r--r--にしたいわけですか ら、chmodを使います。chmodを実行できるのはそのファイルの所有者とスーパー ユーザです。この場合は所有者がchmodを実行します。8進数を使う場合は次の ようにします。記号を使う方法もあります。オンラインマニュアルで、chmod chown chgrpを調べてください。

$ chmod 644 .steprc
$ ls -l .steprc
-rw-r--r--   1 harry    users       24237  8月 25日  15:24 .steprc

複数のアプリケーションウィンドウが開いている時、筆者はそのウィンドウの 上部の枠をクリックして前面移動をするほうが好みなので、アフターステップ では、.steprcで、# Change 1 to 0 in order to get the "normal" ClickToFocus effectの設定をClickToFocus 1 としています。その他いろいろお好み に設定してみてください。

もしqvwmがうまく起動しない場合、 http://www.linet.gr.jp/~kojima/Plamo/index.htmlhttp://www.linet.gr.jp/ kojima/Plamo/index.htmlにqvwm(Win95風 WindowManager) 1.18 がありますので、qvwmをバージョンアップし、plamo2.1 のCD にある/contrib/Libs/libungif4.tgzを追加してください。

4.1 一般ユーザの環境を調べてみる

使用するシェルを変更するときはchshというコマンドで行います。 $ man chsh で確認してください。 コマンドプロンプトの記号は自分で変更することもできます。さらに興味があ れば「シェル」「シェルプロンプト」「シェル変数」「環境変数」「パス」な どをキーワードに何か参考書を調べてみましょう。

現在設定されている環境変数はprintenvというコマンドで調べることができます。

$ printenv
または、
$ printenv |more

リターンキーを押しながら画面に出力されたものを眺めてみましょう。

/etcというディレクトリにはprofile や csh.loginというファイルがあり ます。これらは環境設定ファイルです。suになってmuleでこのファ イルを開いてみましょう。

# cd /etc
# mule profile &

/etc/profile やcsh.loginには、パスをはじめさまざまな環境設定が書かれて います。じっくりながめておきましょう。そして、printenvで画面に出力され た結果と見比べてみてください。自分の環境を作るためには、いずれこのよう なファイルに何か必要な行を追加したり削除したりしなければいけなくなりま す。なお、/etc/profile やcsh.loginをホームディレクトリにコピーすれば、 一般ユーザ固有の設定を行うこともできます。

$ cp /etc/profile ~/.profile
または
$ cp etc/csh.login ~/.login
使用するシェルによって起動時の動作は優先順位があるので注意しましょう。 たとえば、bashの場合は、 (1)/etc/profile(2) /.bash_profile(3) /.bash_profileがなく、  /.bash_login があれば、 /.bash_loginが使われる。 /.bash_loginがなく、  /.profileがあれば、 /.profileを実行します。tcshの場合についても調べて みましょう。

5. Plamo Linuxの基本的な設定

5.1 Plamo Linuxの基本的な設定

plamo-HOWTO.txtの15,16 章にあたるplamo-config.txt.gzを参考に、plamoの 設定ツールを使って、プリンタやメールの送信受信のための設定などをしてい きましょう。

メールの送信受信のための設定
  $ imsetup
関連ファイルは次のところを調べてみましょう。
/usr/doc/mew-1.94.2/
/usr/doc/im-140/

プリンタの基本的な設定は、printersetupで行います。

  # /usr/bin/printersetup
printersetupを実行すると、/etc/printcapと/usr/local/bin/lp-if、 /usr/local/bin/ps-ifが更新されます。/etc/conf.modulesも確認しましょう。

通信するためには、ppxp(あるいはtkppxp)を使えるようにしていきましょう。 まずはやってみましょう。どうしてもわからない時、うまくいかない時は遠慮 しないでMLで質問しましょう。その際には、自分のマシン環境、使用している Linuxのディストリビューションの種類、カーネルバージョンなどとともに、 行ったことの記録やエラーデータなどを添付しましょう。

5.2 自分のマシンの環境を知っておく

まずはお使いのマシンのスペックを記録しておきます。CPU、マザーボード、 ビデオカード、ネットワークカードやサウンドカード、ハードディスクなどに ついて、たとえば次のような内容をいつでも出せるようにメモしておきましょう。

     CPU        Celeron400Mhz
     M/B        AX6B Plus (AIC7880,AHA-2940UW compatible)
     VidoeCard  G400 SH 16MB
     Memory     128MB
     HDD        IDE 8.4GB (Maxtor MXT90871U2)  UW-SCSI 9.1GB(IBM )
     SCSI CD-ROM (x36,pioneer 706)
     2mode FDD(Citizen OSDA-78L)
     NIC        DEC21041 10Base-T (Laneed)
     SoundCard  SoundBlasterAWE64 

さらに、それぞれのカードがどのように設定されているかをメモしておきます。 起動時の記録は次のようにすれば見られます。

$ dmesg 

以下簡単に設定情報を得るヒントをまとめておきます。

以上のように設定情報を得るためにさまざまなコマンドがあります。ここに書 いたものはほんの一部です。こそれぞれのコマンドの詳細についてオンライン マニュアルを見てください。

5.3 /etc/rc.d 以下にあるファイル

何をどこでどのように設定しているかがある程度わかっているとエラーにも対 処しやすいですね。ここではネットワークの設定を例にヒントになることをま とめてみます。ネットワークの設定はインストール作業中に基本的なことを行 いますが、netconfigを起動して行うこともできます。

▲(Fig.3)netconfigでの設定画面

netconfigで、マシンのホスト名、ドメイン、IPアドレス、ネットワークアド レス、ブロードキャストアドレス、ゲートウェイアドレス等を設定します。こ れらネットワーク関連についてさらに詳しく知りたいときは、 /usr/doc/JF/NET3-4-HOWTO.txt.gzなどを参考にしましょう。 netconfigで設定した内容は,次のようなファイルに書き込まれています。

/etc/hosts
/etc/host.conf
/etc/resolv.conf
/etc/rc.d/rc.inet1
またローカルネットワークに関しては次のファイルもチェックします。
/etc/hosts.allow 
/etc/hosts.deny

デフォルトではセキュリティの観点から、hosts.denyとhosts.allow に、 ALL : ALL 、 ALL : LOCAL という設定になっています。そのため、デフォル トの状態では外部からの接続は拒否されます。外部から接続したい場合は、 /etc/hosts.allow に接続を許可するホストやネットワークを指定します。 たとえば192.168.1.* という IP アドレスを持つホストからの接続のみを 許可する場合は、/etc/hosts.allowを次のように設定します。

ALL : LOCAL 192.168.1.

/etc/rc.d以下のディレクトリには、さまざまな設定ファイルがあります。ど んなファイルがあるか、何を設定するファイルなのか、書き換えてしまうこと さえなければ大丈夫ですから、ファイルのなかを覗いてみましょう。

6. エラーに遭遇したときの心構え

6.1 エラーに遭遇したとき

 何かエラーに遭遇してしまったときは、あっさりあきらめて再インストールし てしまうなんて最悪です。原因の追求のためにはねばれるだけねばりましょう。 エラーこそ「学び」、そして、知識を身につける絶好のチャンスです。 原因を切り分けをしましょう。ハードに原因があるのか、ソフト次元の問題な のか。問題点をしっかりメモをしておくことです。何より大事なのは、自分の マシン状況を自分でしっかり把握しておく努力だと思います。 メッセージ、エラーメッセージの意味を考えましょう。使っていれば自然にわ かってくることと、学なければわからないことというのはたまごと鶏、どっち が先?とは言えないかもしれません。使いつつ、学び、学びながら使いましょう。 焦ってあわてる前に、dmesgで起動メッセージを確認し、/var/adm 以下にある ファイル、 messagesやsyslogの記録をあたってみましょう。

$ dmesg
または
# tail /var/adm/messages

何が起こったかわからなくて、状況によってはどうしてもパニック状態になっ てしまうものですが、致命的なことでない限りはほとんどの場合は解決できる と信じましょう。ミスはたいていは自分が作っていることが多いので、まずは 自分でやったことを振り返ってみることはとても大事です。どこでどういう設 定をしたか、何をしたかを知っていれば、どこまでは正しいか、どこを間違っ たかの判断がしやすいものです。メーリングリストなどで質問するときはこの 段階で、資料をつけて質問をすれば、解決出来ることが多いはずです。あわて て**がうまくいきませんだけのメールを投げるくらいなら、MLに質問するた めに問題点を整理しましょう。聞きたいことがはっきりしていれば一緒に考え てくださる方は多いです。何よりも問題を整理することで、聞く前に自分でお かしい点に気がつくことがあるということです。

7. カーネルの再構築

少なくともLinuxのカーネルに関しての作業ができるようになれば、Linuxとの おつき合いもずいぶん慣れてきたということですから、恐れず自信を持ってや りましょう。/usr/src/linux/READMEをぜひ熟読しましょう。英文の文書です が、とても短いものです。しかし、この文書にはLinux について、カーネルの バージョンアップの方法とコンパイルの方法、さらにレスキューディスクの作 り方について、はっきりいって一番知りたいこと!がとてもコンパクトにまと めてあります。カーネルの再構築はPlamoで体験するのがもっともシンプルで 簡単です。

最近のディストリビューションは多くのドライバがモジュールに設定されてい ますから、どうしても認識してくれないというような状況がない限りはカーネ ルの再構築はそれほど必要ではありません。しかしながら、新しいハードを追 加したり、何か都合があってデフォルトのカーネルではドライバに認識がうま くいかない等のことに遭遇することがあります。カーネルの再構築は絶対に必 要なことではありませんが、カーネルのチューニングができるにこしたことは ありません。さらに、カーネルのバージョンアップも必要に応じて挑戦してみ ましょう。

カーネルの再構築は、/usr/src/linuxに移動し、 make menuconfig、 make xconfig(いずれの方法でもかまいません)で行います。 ./.configファイルを読み込みたいときは make oldconfigで行います。 /usr/src/linux/Documentationに、カーネルの再構築についての資料がありま す。たとえば、Configure.help とその他さまざまな情報ファイルがあります。 Configure.helpには日本語訳があります。どのように選んでよいかわからない ときはぜひ目を通しましょう。 カーネルの再構築は一般的に次のように行います。

▲(Fig.4)menuconfig の画面
   # cd /usr/src/linux
   # make menuconfig
カーネルのコンフィグレーションが終ると、次のような画面メッセージが出ます。
*** End of Linux kernel configuration.
*** Check the top-level Makefile for additional configuration.
*** Next, you may run 'make zImage', 'make zdisk', or 'make zlilo.'

   # make dep; make clean;make
ここで、しばらく時間がかかります。
続いて、カーネルの書き込みをします。どこに書き込むかによって、
いくつかの方法があります。
   # make bzImage 
    /usr/src/linux-2.0.x/arch/i386/boot/bzImageに書き込みます
   あるいは、
   # make bzdisk
   フロッピーディスクに書き込みます。
  ここで作成したフロッピーディスクは緊急ディスクとしても代用できます。
  または、
   # make bzlilo 
   これがうまく動かない場合は、
  /usr/src/linux-2.0.x/arch/i386/boot/bzImage を /boot/vmlinuzにコピーし、/etc/lilo.confファイルのimage labelの部分を/boot/vmlinuzに変更します。LILOの再インストールを忘れないようにしましょう。
これで再起動できるのを確かめてから、モジュールのインストールをします。
   # cd /usr/src/linux
   # make modules; make modules_install
   # depmod -a

(FAQ)カーネルイメージのファイル名がいろいろありますが、どう違うのですか。 zImageとbzImageの違いはカーネルのサイズです。 zImageでうまくいかない時はbzImageで書き込んでみましょう。 zImageもvmlinuzも同じものです。

 コマンド      カーネルイメージの書き込み先
make bzImage  /usr/src/linux-2.0.x/arch/i386/boot/bzImageに書き込みます。
make bzdisk   フロッピーディスクに書き込みます。
make bzlilo   /vmlinuz 

(FAQ)モジュールって何ですか。 必要なすべてのドライバをカーネルに組み込んでしまうと、出来上がったカー ネルはとても大きなものになってしまうことがあります。そのドライバを必要 とするときにだけロードし、使用しない時は休ませておけばメモリをより効率 的に使うことができます。ローダブルモジュールにしておけば、カーネルが動 いている状態で動的にカーネルに組み込んだり取り除いたりすることができま す。モジュールの組み込みにはいくつかの方法があります。 オンラインマニュアルでlsmod kerneld insmod modprobe などを調べてみましょう。 /lib/modules/2.2.x/ 以下のディレクトリを見てみましょう。

7.1 簡単なレスキューディスクの作り方

Linuxに限らずコンピュータを使っていて一番心配なことは、起動しなくなる ということかもしれません。それが心配だから何かの設定変更もいじるのが恐 いと思ってしまうこともあります。もちろん「起動できない」ということには さまざまな状況があるわけですから対処方法はひとつではありません。しかし、 緊急の場合に使える起動ディスクを持っていれば、このような不安からは少し は解放されます。簡単な作り方を紹介しておきます。

1. 一番簡単な方法は、/usr/src/linux/arch/i386/boot/のbzImageを
フロッピーディスクにコピーしておくことです。
# cp /usr/src/linux/arch/i386/boot/bzImage /dev/fd0

2. 現在使用しているカーネルをフロッピーディスクに書き出しておく。
# cd /usr/src/linux
# make bzdisk

3. LILOを使ったレスキューフロッピーディスクを作る場合は次のようにします。
これはカーネルの再構築後にmake bzliloで書き込む方法を応用したものです。
要するにLILOをフロッピーディスクにインストールしてやるのがポイントです。
(1)準備として、bzImageを/etcにコピーしておきます。
# cp /usr/src/linux/arch/i386/boot/bzImage /etc
(2)/etc/lilo.conf ファイルを書き換える。
インストールの段階でLILOをインストールしていれば、/etc/lilo.confが存在
していますが、もし、このファイルがない場合は、/sbin/liloconfig を起動
し、LILOの設定ファイルを新規作成します。この時LILOは「フロッピーディスクに
インストールする」を選択してください。
# /sbin/liloconfig 
(3)/etc/lilo.conf ファイルを編集する。
  (2)で作成したlilo.confでは、 
   image = /vmlinuz 
   このような行がありますので、この部分を/etc/bzImageを
使うように変更します。
(4)LILOを更新します。
# /sbin/lilo -q (現在の設定を確認します)
# /sbin/lilo -C /etc/lilo.conf (LILOの更新)

8. Linux文書と英文文書の読み方、使い方のヒント

Linuxがインターネット上で公開されたのは1991年10月ですが、ほぼ同じ頃か ら日本の先駆的なLinuxユーザによって日本語の文書整備活動は活発に行われ てきましたから、現在では、Linux関連の多くの文書は日本語で読むことがで きます。 (Japanese FAQ)Project(JF)は次のところです。 JFhttp://www.linux.or.jp/JF/ それでもLinuxを使おうとすると、どうしても英文文書を読まなければいけな いこともあるかもしれません。LinuxにはHOWTO文書と言われるものが多数存在 します。しかし、このような文書の多くは、実際の作業をどうしたらよいかに ついて書かれているわけですから、とっつきは悪くても、まずは自分がどうい う作業をしたらよいかを教えてくれます。習うより慣れろ、つまり、目的は英 語を読むことにあるわけではなく、マシンを前にして困っていることを解決し たいから読むわけです。何をどうしたらよいかを「知る」ことに目的があるわ けですから、日本語に訳をする必要などありませんし、まずは読んで、実際に やってみることが大事だと思います。

Linuxをインストールすると、自分のマシンのなかにたくさんの文書が同時 にインストールされています。また、Linux Documentation Project(LDP)をは じめネット上のさまざまな場所にLinuxの関連文書があります。 Linux Documentation Project(LDP)は次のところです。 LDPhttp://sunsite.unc.edu/mdw/linux.html 自分の目的に沿ったものを見つけ出すこともまた楽しみのひとつですし、自分 が関心のある文書を掘り出したら、ぜひねばり強く取り組んでみてください。 余力があれば、ぜひどこかの文書プロジェクトに参加してみてください。多く の発見があることでしょう。そして、Linuxの文書を通して多くの素晴らしい ことに出会えるはずです。

9. アプリケーションのインストール

自分で何かアプリケーションをインストールしようとすると、どうしても英文 文書を見なければいけないときがあるかもしれません。使いたいアプリケーショ ンのパッケージは入手したけれど、さてどうしたらいいかwhat do you do? について簡単にまとめておきます。

たとえばXAnimをインストールしてみましょう。
xanimのメインページは次のところです。
http://xanim.va.pubnix.com/
XAnimのダウンロードのページから、あるいはwgetなどを使って、
xanimのパッケージを入手します。
ftp://xanim.va.pubnix.com/xanim2801.tar.gz
xanimのインストールとコンパイルに関する解説は、次のところにあります。
http://xanim.va.pubnix.com/xa_compile.html
このページに、パッケージの解凍方法(Unarchiving)とコンパイルの方法が
詳しく書かれています。
このページでxanim2801.tar.gzの解凍方法として次のように書かれています。
まずはここをさっと見て、入手したパッケージを解凍します。
   1) "gzip -d < xanim2801.tar.gz | tar xvof - "
        OR alternatively:
                1a)  gunzip xanim2801.tar.gz
                1b)  tar xvof xanim2801.tar
あるいはまた、こんな風にもできます。
# gzip -dc xanim2801.tar.gz |tar tvf - (パッケージのなかみを画面上で確認する。)
# gzip -dc xanim2801.tar.gz |tar xvf - 

どの方法でやっても、出て来る結果は当然ですが同じです。 自分が一番やりやすい方法でやりましょう。 tarやgz、gzipなどについて調べておきましょう。

xanim2801.tar.gzを解凍し、xanim2801というディレクトリに入ります。

 $ cd ./xanim2801 
このディレクトリには、ソースファイルの他にMakefile、Imakefile、README があり、またdocs というディレクトリがあります。パッケージによっては必 ずしもREADMEやINSTALLという名前になっているとは限りませんが、インストー ルについての解説は、READMEやINSTALLといったファイルに書かれています。 また、READMEという名前のファイルには、CopyRight、最新版を置いている場 所、梱包されているファイルの説明、詳しいインストール方法、コンパイルオ プションの使い方、さらには、そのアプリケーションを使うためのハード条件 や環境的な条件などがまとめられているはずです。設定方法については Makefikeのなかに、コメントとして書かれていることもあります。 また、doc という名前のファイルやdocやdocsというディレクトリがあって、そのアプリ ケーションに関する情報が集めてあることもあります。たいていはFAQやエラー 集も添付されていいることが多いですから、アプリケーションのパッケージを 解凍したら、READMEなどのファイルを当たればどうしたらよいかが分かるよう になっています。とにかく見てみましょう。 たとえば、xanimのREADMEでは、3) Now What?という項目があり、どの文書か ら読んだらよいかまでちゃんと説明してあります。Linuxを使うことに慣れて きたら、ぜひ何か興味あるアプリケーションを自分でソースからmakeしてイン ストールしてみましょう。

10. まとめ

Linuxを使うのは初めて!という方が(この章はすでにplamoをインストール済 であることが条件ですが)、画面と向き合って実際にコマンドを入力してみる ことができるようにまとめてみました。「けっこういけるじゃない!Linuxっ て楽しそう」と思われたなら幸いです。