カバード・コールは儲かるのか?

カバード・コールとは、保有している株のコールを売りプレミアム益を狙う戦略である。英語の正式名は、covered call writingである。これは本当に儲かるのか?

残存日数が30日、金利0.5%、配当率1.2%、ボラティリティー30%、行使価格250円の株券オプションを想定して検討してみよう。ヨーロッピアン・タイプとする。

株を250円で買い、同時にこの株のコールを売る。プレミアムは10円としよう。ヨーロッピアン・タイプなので、満期において250円以下ならばプレミアム益が出る。

そして、次の限月でもコールを売り、株が250円以下ならばプレミアム益が手に入る。これを繰り返せば、大金持ち?

Traderを使って検証してみる。

以下の図に入力結果を示した。



満期における損益は、以下のようになる。



なるほど、確かに、プレミアム益は入る。

ここで、ちょっと考えてみよう。コールを売らなければ、相場が上がったとき、購入した株は値上がりする。このキャピタルゲインによる利益を失っているのではないだろうか?

しかし、相場が下がったときは、プレミアム分だけ損失は減る。このメリットはあるだろう。

バブルの時代に500円で購入した株を塩漬けにして持っているならば、どうだろう。この株のオプションが東証か大証の株券オプション市場で取引されているならば、この株のコール売れば、プレミアム益は、ほぼ確実に狙える。株価がバブルの時の水準に戻ることは、ほぼありえないからである。Traderを使って検証してみよう。

以下に、以前に500円で株を購入して保有している株のコールを10円のプレミアムで売った場合の損益を示す。



満期において塩漬けの株を売ることを前提とするならば、相場が上がると、トータルの損失が240円で止まることがわかる。

コールを売らなかったら、どうなるのか?相場が上がれば上がるほど、保有している株の価値が上がるので、損失は240円よりも減っていくではないか。

カバード・コールは本当に儲かるのか?

答えは見方によるだろう。バブルの時代に高値で買った塩漬け株のコールを売るということは、インザマネーにならない限り、プレミアム益が手に入るので、オプションによる利益を第二の配当金(インカムゲイン)として考えるのが、ベストだと思う。塩漬け株を手放したくない投資家にとって、短期的に小額のインカムを稼ぐには、よい戦略といえよう。

Traderでシミュレーションし、考えてみてください。


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