金融サイエンティストの時代がやってきた

村中 健一郎

ESP(Economy Society Policy) 1988年8月号 104頁

要旨

ブラックマンデイの後、レーガン大統領はブレイディー委員会を編成。市場のメカニズムは専門家によって調査された。委員会の報告書は、「現物、先物、オプションはひとつである」と結論したが、ブラックマンデイの教訓は何であったのか。コンピュータによってシステム化された運用手法が暴落の引き金となったのか。市場でのボラティリティーは高まったのか。もしそうだとしたら、犯人は先物なのか。オプションなのか。オプション理論を基盤に先物でリスクをヘッジするダイナミックな投資戦略、現物と先物間でサヤ取りを行うアービトラージ戦略などの基本的概念の構造が徹底的に見直されることが期待される。特に、我が国に於ては、オプションや金融先物のマーケットは発展途上にある。金融サイエンティストの需要は高い。金融の自由化は日本人の論理性と独創性が世界的舞台の上で試される正念場であろう。