簡単な株価のシミュレーション

 

■ 方法

シミュレーションの方法は、「標準偏差」の講義で使った、サイコロの目と株価を対応させる方法である。株価は以下のように、サイコロを振って出た目によって決まることにする。(表-1)

(表-1)

実際にサイコロを振ってもよいが、確率とは何かを使って、サイコロを振ることにする。

また、表-1に出ている、平均や標準偏差は、銘柄AとBの「理論値」である。

 

■ シミュレーション結果

確率とは何かを使って、サイコロを10回振り、銘柄AとBの株価をシミュレーションした結果である。(乱数を発生させてのシミュレーションなので、シミュレーションごとに結果は異なる。)

(表-2)

表-2を見ると、平均や標準偏差などが「理論値」から乖離していることがわかる。この表から、直ちに、「銘柄Bの方が高い収益率が期待できる」といえるだろうか?

そこで、もう一度、サイコロを10回振ってみよう。

(表-3)

今度は、銘柄AもBも、平均が同じになった。

したがって、サイコロを10回振っただけでは、どちらの銘柄の期待収益率が高いかは、わからない。しかし、標準偏差と変動係数を見ると、銘柄Bの方が価格変動が大きいため、投資リスクが大きいことはわかる。標準偏差の値をよく見ると、平均値に比べて、「振れ」が小さいことに気付く。

 

■ 試行回数を増やす

では、確率とは何かを使って、サイコロを60回振ってみた。以下が、シミュレーション結果である。

それぞれの目の出方が「同様に確からしい」ならば、試行回数をもっと増やすと、「相対度数」はすべて

1/6=0.1667

に近づくはずである。

このように、サイコロを60回投げても、「相対度数」は1/6から乖離している。

試行回数がかなり多くなければ、サイコロの目に対応する株価の平均などは「理論値」には近づかない。

では、「真」の値(「理論値」)はどのようにして推定すればよいのか。

 

■ 問題の提起

実際のデータの数には限りがある。特に経済や金融などでは、最近の相場のデータの方が意味がある。ブレトンウッズ体制が崩壊した直後の為替レートを使って、2000年以降のドル相場の平均や標準偏差などについて述べても意味はないだろう。

問題: データ数が少なくても、「真」の平均値を知ること(推定すること)は、できないのか。

答えは、「できる」のである。

次の講義からは、この問題を念頭に、受講していただきたい。

そして、確率論の素晴らしさにぜひ、出会ってほしい。

 

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