はしがき・あとがき(「基本編」から抜粋)
オプションは、デリバティブ(派生資産)の一種である。あるモノをあらかじめ設定された価格で「買う権利(コール・オプション)」又は「売る権利(プット・オプション)」である。期限を切って、このような権利は金融・資本市場で売買されている。
拙著「初めてのオプション理論・もうオプションなんかこわくない!」は、通算18版の「日本一やさしいオプション理論の教科書」となった。
本書(基本編・実務編)は、続編の「もっとやさしいオプションの教科書」「2度目のオプション理論」である。が、今回は理論より実践を重視した。
本書は全部で、「基本編」と「実務編」の2冊から成り立っている。まず基本編で入門者は、
1. オプション取引の損益計算
2. 金利とおカネの時間的価値に関する計算
3. 現代ファイナンスの基本概念「アービトラージ」
4. オプション価格の基本公式
などと、オプション・トレーダーにとって不可欠な基本事項を習得することができる。
さらに練習問題によって自分の力を試すこともできる。すべての問題について詳細な解説を用意した。
実務編では「ブラック・ショールズ論文」を、難解な数学を使わずに解説する。このノーベル賞論文は、道場の「マニュアル」だ。最もシンプルな取引を例に、論脈を伝授する。本書ほどブラック・ショールズ理論を安易な表現で徹底的に説明した教科書は存在しない。
さらにオプションの理論価格の計算およびリスクについては、電卓一つで理解できる。このため、オプション取引の実務家として必要なリスク管理の基本は、実務編を読み進むだけで頭に入る。
実務編では、なぜオプション価格は変動するかを手計算で体得する。そして、この技をリスク管理に応用する。
オプションの市場価格は、複数の要因によってリアルタイムに動く。リスクは「デルタ、ガンマ、ベガ、セータ、ロー」によってダイナミックにコントロールされる。リスク管理の技術は受け身と同じで、基本の基本だ。実務編では、受け身を完全にマスターする。
試合で勝つには相手を知る必要がある。トレーダーの対戦相手は相場だ。実際の価格データを使って、日経平均株価指数が持つうねりや特異性を掘り下げ、勝つためのパターンを探った。
また、日経225オプションの場合、満期においてアウト・オブ・ザ・マネーとなるオプションの方が多い傾向がある。オプションを売り建てたときの「ダイナミック・ヘッジング」という技も具体的に披露した。
リスク管理をマスターし相場を知れば、もうオプションなんかこわくない!
実務編を読んで、「技あり一本!」