自閉症のこどもは、何かをこだわりを持つことがあります。毎日、毎日、ユウもアルバムがボロボロになるほど、眺めていました。
アルバムにある奈良に、かなり小さい時から、行きたいとおもっていたようです。しかし、それを伝えるコミュニケーションの能力がないため、奈良にでかけるまでに、何年もかかってしまいました。ユウに、場所の見通しを持たせるため、早くから京都の地図を貼っていました。奈良は、どうも南にあるとおもったユウは、その地図の南の端を指差ししたことがあります。1歳10カ月で行った奈良が、南の方向にあることを知っていたことは、いまだに不思議です。指差ししたあたりの地名を「宇治川」、「公園」と教えました。これも、全てが分かってから、やっとおもいだしたことです。
かなり時間がたってから、ユウがしつこく、「宇治川公園」と言うようになり、宇治川の公園に遊びにでかけました。しかし、納得せず、「宇治川公園」と繰り返します。2度3度、それらしき所へ行きましたが、ついに「宇治川公園」は、見つからず、親もおこって「宇治川公園」捜しを止めました。
それから、ほぼ1年が経ち、ユウがポロッと、「宇治川公園」と言いました。ずっとおもっていたのかと、また「宇治川公園」捜しを始めましたが、やはり見つかりません。「ユウちゃん、どこやの?」と強い口調で聞くと、アルバムの所へ行って、奈良の写真を指差ししました。
やっと奈良への日帰り旅行になりました。アルバムの写真を撮ったポイントに来ると、皆をひっぱり、並ばしたり、カメラの縦横も手で直しまして、写真を撮りました。その時は、写真を撮り直すために出かけたとはおもっていませんでした。
そのように撮影した写真の一部が、上の画像です。並べてみて、改めてその映像の記憶力に感心します。旅行には、アルバムは持っていっていませんし、またその場でスムーズに撮るためには、1歳10カ月で行った時の映像記憶があるのかとおもえます。