第20回サロマ湖100kmウルトラマラソン完走記
 『Blue,Sky Blue』 


 
  制限160

平成17年6月26日午前5時。自身にとって4回目となる100kmウルトラマラソンは、 過去3回出場の鳥取県・にちなんおろちから、 舞台をここ北海道・サロマ湖に初めて移してのスタートとなった。


当初予想された曇時々雨の予想は早々と夜半に過ぎ去ってしまったらしく、 午前4時前に会場に向かう車中で見た水平線から昇る太陽が、 この時間では既に明るさを増し、今日の気温が上がることを示唆していた。


フラットで走りやすいと言われるコース、 距離も正確であろう公認大会というお膳立てのもとでの最大の目標を、8時間切りに据えた。 キロ4:30で行けるところまで行き、あとは粘ればチャンスはある、そう踏んでいた。


最初の1kmのラップは4:33。直後の渋滞を考えれば、上々だ。 ところが、2kmでのラップが4:02。いかん、いくらなんでもこれは速すぎ。 サブスリーしてしまうではないか。あわててペースを抑えたつもりでも、 4:04、4:20と思ったよりも若干速いペースになっていた。


しかし、そこで心拍計を見ると160は超えていなかった。 そうか、これなら大丈夫だ。オーバーペースではない。 今日はどのみち暑くなって後半ペースは落ちる。それならば涼しくて体の動く今のうちに、 オーバーペースにならないギリギリの最高速度で稼いでおくのは、戦略として正解だろう。


というわけで、心拍計を見ながらHR160を超えない限りは、 キロ4:30より多少速くても許可する方針とした。そうこうするうち、10km地点通過、42分26秒。


程なくして、持って走っている携帯にGT-mailの速報が届く。 もちろん開けて見るだけの余裕はないが、これと同じものが掲示板にも中継される。 無様な走りを見せるわけには行かない。


それにしても、この距離になっても周りにたくさんのランナーがいることに驚いた。 ありがたいことだ。今まで出ていたにちなんおろちでは、 このぐらいの距離になると前後に誰も見えなくなりほとんど一人で走っているような状態になったものだが、 さすが参加人数の多さとワールドカップ併催もあって集団が形勢されている。 集団に乗っていってラクをしよう。 フルマラソンでは当然となっているセオリーを、このウルトラにも当てはめた。
 

   早すぎる暗雲

サロマ湖を囲む左腕にあたる部分、竜宮台を折り返す。数えてみたら、60位くらいか。 その後、FRUNの仲間たちを含む多くの知り合いとエールの交換を行う。


ところが、今までほぼ周りのランナー集団と等速でで走っていたのが、 20kmを過ぎるあたりから徐々に抜かれ始めるようになった。 見るとほとんどがワールドカップ参加の国際ランナー。


そうか、連中にとっては20kmぐらいまではウォーミングアップ代わり、 ここから本領発揮ということなのか。さすがは世界の走りだ。


…とこの時は思っていたのだが、実はあとで調べてみると、 このあたりからごくわずかではあるが自分のペースが落ちていたことがわかった。 等速ではなく、心拍数を一定に保つ走りに専心していたので、そのことに気が付かなかったのだ。


そしてようやくコースがサロマ湖周遊に向かおうとする頃の34km付近で、 左足裏の親指付け根あたりにブシュッという鈍い痛みが走るのを感じた。


まずい、もうマメが出来始めたのか。まだこんなに距離が残っている状態でマメとは、 先が思いやられる。今のところは走りに大きな影響はないが、 そのうち痛みで走れなくなってしまうのではないかと、暗澹たる思いにかられた。 レースはまだ3分の1を消化したばかりだった。


40kmを過ぎ、サロマ湖沿岸に出た。いい天気だ。湖面が輝いている。 思わず携帯のカメラでその風景をパチリ。記録を狙うという割にはずいぶんと余裕のあることだ。


なぜか42.195kmの標識があり、通過タイムは3時間5分ほど。 きっとフルマラソンでもこれより遅い人がたくさんいるのだろうなとは思ったが、 さらに先を急がせてもらうこととした。
 

   秘策の予備タンク

コースが車両通行を規制していない国道の路側帯へと舞台を移すにつれて、 意外と大きなアップダウンが続くようになってきた。 この区間には結構上り下りがあることを前日に車で通って認識はしていたが、 やはりフルマラソン以上の距離を走ってきた身には堪える。


だが、それでも妙見山仕込みの上りの強さには自負がある。 実際、前方でペースダウンしてきたランナーをぽつぽつと捕らえるようになってきた。 しかもワールドカップの外国人選手が結構いる。


案外大したことない奴らも走っているものだな。 数カ国のランナーたちを撃破しながら、足取りを強めた。 心拍は一時170を超えたが、上りではこの程度は許可しよう。士気は上がった。


ついに中間点通過。3時間41分42秒。ここまで目標である4分半ペースを守れた。 これで、残り後半はキロ5分で維持できれば、8時間を切れる。


55km付近のレストステーション、ほとんど長居をせずに、補給した物資は、 追加のカーボショッツと、350mlの空のペットボトル1本だった。


カーボショッツは言わずと知れたエナジーゼリー、 スタート時からも携行し30kmあたりから約10kmごとに1本のペースで「空中補給」を続けていた。 これならエイドでは給水のみで済み、給食のための時間のロスを防げる。


そして空のペットボトルは、今日の気温が上がるであろう事を予測し、 これが役に立つかもしれないとふと思いついて、中間点行き荷物に加えたものだ。 早速、この55km地点の給水所で、冷たい水を入れてもらった。


長丁場のラン、しかも暑い中では、だんだん水を飲んでも体に吸収されなくなってくる。 こういうときは飲むよりもむしろ汗の代わりとしてかぶってしまった方が手っ取り早く体を冷やせる。


もちろんこのコースには2.5kmごとぐらいにかぶり水も用意してくれてはいるが、 もっとこまめに、1kmごとにこの水を少し飲み、そしてかぶる。 こうして頭と体のオーバーヒートを少しでも防ごうというものだった。


55kmを過ぎて程なく、見慣れない色のゼッケンに抜き去られた。緑色のゼッケン。 女子トップが来た!。ついにここで抜かれてしまった。 ワールドカップの日本選手であった。決して速いというわけではないのだが、 上りでも着実に進み徐々に差を開けられてしまった。さすがこれが世界の走りか。

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