★★ アンタエウス・オオクワガタ ★★

飼育経験にもとずいて私(ツキノワグマ)がまとめていきます。そして、京都府・亀岡市・私の飼育室をステージとしてまとめていきます。したがって他の地域において同じ結果になるとは限りません。あくまで、参考にどうぞ。

アンタエウスオオクワガタの成虫ペアーDorcus antaeus HOPE

アンタエウス・オオクワガタの生息地域について。

古代大スンダ大陸を中心としてインド・ネパール・中国に至るアジアの広範囲に生息しています。生息地域によって個体差がありますが、それが、亜種にしたほうがいいのか、単なる個体差として扱う方がいいのか、解りません。近頃、特定の地域のアンタエウス・オオクワガタが高価に取引されていますが、日本国内のオオクワガタやヒラタクワガタでも個体差があるのだから、アジアのアンタエウス・オオクワガタ全てが個体差と考えても何ら不思議でないと思います。

☆ 生息温度と生息地域 ☆

「東南アジアのクワガタムシだから熱い国からきたのだ」と、考えてしまいます。しかし、赤道直下ではありますが、アンタエウス・オオクワガタの生息場所は、温度で言うと20度〜25度くらいの地域です。標高で言えば、1000メートル〜1500メートルくらいの高原地域です。その地域でアンタエウス・オオクワガタは、自分たちの適温をもとめて垂直移動しているようです。

アンタエウスオオクワガタの新成虫☆ 成虫飼育について。 ☆

☆ 成虫の適温について ☆

アンタエウス・オオクワガタは、「東南アジアのクワガタムシだから熱い国からきたのだ」というイメージですが、実は、国産のオオクワガタより高温に弱くて30度以上の高温が1週間も続けば、弱って★になります。おそらく適温は、22度〜25度くらいと思われます。産卵を目的に飼育する場合は、25度くらいがいいでしょう。また、長生きさすには、すこし低めの温度で飼育してください。低温に関してですが、15度以下では、★になる可能性があります。また、長生きを目的に飼育するなら18度くらいが活動も抑えられていいようです。私が飼育していく時の問題点は、やはり夏場の高温です。くれぐれもお気をつけください。

☆ ペアリングと産卵について ☆

産地によって個体数が増える時期があります。これは、ある程度産卵時期にも偏りがあることをあらわしています。11月〜12月ごろに個体数が増える地域がありますが、人工的に飼育していく場合は、国産オオクワガタのように、活動期と休眠期があまりはっきりしないようですので、温度管理ができれば、いつでもペアリングが可能です。ただ、国産オオクワガタより気性が荒く、オスの交尾意欲も盛んですので交尾確認後は、オス・メスを分けてメスには産卵に専念してもらいましょう。そして、メスには、国産オオクワガタにも見られますが、交尾後に産卵地を求めて移動しようとします。飼育ケースのマットの上へ出てきているメスは、産卵場所を探している場合がありますのでご注意いただきたいです。さて、産卵ですが、産卵材をセットしておくと、産卵材をメスがマット状にかじってそこに産卵する事が多いようです。よく言われている「○○菌○○材を使用しないと産卵しない」ということはないと思います。また、「○○産のアンタエウスオオクワガタはマット産卵で、○○産は産卵材に産卵します。」というのは、飼育を難しくします。マニアックな方は、こだわっていただいて結構ですが、個体差も多々ありますのであまり気にしないほうがいいと思います。注意する事は、「温度管理」と「オスがメスを★にする」ことだと思います。

アンタエウスオオクワガタの卵と初令幼虫☆ 産卵と幼虫飼育 ☆

☆ アンタエウス・オオクワガタの卵と初令幼虫 ☆

アンタエウス・オオクワガタの産卵は、そんなに難しいものではありません。産卵材にも産卵しますし、マットにも産卵します。アンタエウス・オオクワガタのメスは、非常に適応力が強いようです。オスの交尾欲によるメス殺しに気をつけていただけたら50〜100個とはいかないまでも、20〜30個の卵を採る事はできるでしょう。ごく普通に産卵して基本的に15日〜20日で孵化します。よく、「どうしよう」と言う話を聞きますが心配しないで、自然に近い環境を整えてやってください。そういう面では、アンタエウス・オオクワガタは、ごく普通のクワガタムシであると言えるでしょう。

アンタエウスオオクワガタの幼虫アンタエウスオオクワガタの蛹

☆ 幼虫〜蛹になるまで。 ☆

幼虫は、孵化後約1月ぐらい(初令後期から亜終令前期ぐらい。)で産卵ケースより取り出して飼育してください。マット飼育・材飼育・菌糸ビン飼育とれでも適応します。

a. アンタエウス・オオクワガタの材飼育。

    うまく幼虫の回収ができたら、つぎは、その幼虫を無事に成虫にするために幼虫飼育をしていきます。まず、一番自然に近い形として、飼育材を使った材飼育について説明していきます。 (市販の飼育材をつかって。)

アンタエウス・オオクワガタの材飼育サイクル
   
ペアリング開始 相性がいいと一週間ぐらいで交尾する。
   
交尾後10日〜14日 ♀の産卵が始まる。
   
産卵後14日〜20日 孵化が始まる。
   
孵化後30日ぐらい 幼虫の回収をする。
   
  一本目の飼育材にいれる。
   
2ヶ月〜3ヶ月後に飼育材を確認する。食べ尽くしていたら交換する。
   
飼育材交換後2ヶ月ぐらい 飼育材の状況を確認する。
   
2回から3回の交換でアンタエウス・オオクワガタは、成虫になります。
   

材飼育は、幼虫の食欲とともに進行していきます。食欲があるのと大きくなるのとは、直接つながりませんが幼虫のエサが無くなると材の交換です。いい材を使っていると幼虫は、ゆっくりと落ち着いて材を食べていきます。複雑な話になりますが、普通は、2〜3ヶ月で材を交換します。ところが、いい材をいい条件で食べていると、一本の材でオスの60mmオーバーやメスの40mmオーバーが羽化する事があります。逆に、悪い材では、1ヶ月もしないうちに食べ散らかしてエサが無くなることもあります。ケースbyケースなのでそれぞれ確認して飼育してください。

b. アンタエウス・オオクワガタのマット飼育。

    添加剤マットや発酵マットの飼育は、あとで説明していきます。そこで、簡単マット飼育について説明していきます。最近は、品質のいい飼育材がありません、その代わりにマットを使って飼育していくのが簡単マット飼育です。飼育材の表を使って説明していきます。

アンタエウス・オオクワガタのマット飼育サイクル
   
ペアリング開始 相性がいいと一週間ぐらいで交尾する。
   
交尾後10日〜14日 ♀の産卵が始まる。
   
産卵後14日〜20日 孵化が始まる。
   
孵化後30日 幼虫の回収をする。
   
  一本目の飼育マットにいれる。
   
2ヶ月〜3ヶ月後に飼育マットを確認する。食べ尽くしていたら交換する。
   
飼育マット交換後2ヶ月ぐらい 飼育マットの状況を確認する。
   
2回から3回の交換でアンタエウス・オオクワガタは、成虫になります。
   

幼虫の回収までは、材飼育と同じです。 飼育マットは、ビン・飼育ケース・プラボトル・そのほか、何に入っていても結構です。だた、マットは、飼育材のかわりですので硬くつめてください。(木の代わりですのでカチカチにつめてください。)水分は、多い目です。握るとその形が残るくらいの水分が必要です。くれぐれも、乾燥に気をつけて飼育ケースならふたに通気穴を開けたビニールをはそんで下さい。ビン・プラボトルなら、口に紙をはそんで下さい。そうすると、ショウジョウバエやコバエも防げて乾燥にも役立ちます。

c. アンタエウス・オオクワガタの菌糸ビン飼育。

菌糸ビンは、アンタエウス・オオクワガタにあっているものと、あわないものがあります。幼虫がすぐにビンのくちへ出てくるものは、使用をすぐに止めてください。具体的にあっている菌糸ビンのメーカーと名前を出せません。出してもたまたま、私の飼育室であっているだけかもしれません。各自の飼育ステージで確認してご使用ください。

アンタエウス・オオクワガタの菌糸ビン飼育サイクル
   
ペアリング開始 相性がいいと一週間ぐらいで交尾する。
   
交尾後10日〜14日 ♀の産卵が始まる。
   
産卵後14日〜20日 孵化が始まる。
   
孵化後30日 幼虫の回収をする。
   
  一本目の菌糸ビンにいれる。
   
2ヶ月〜3ヶ月後に菌糸ビンを確認する。食べ尽くしていたら交換する。
   
菌糸ビン交換後2ヶ月ぐらい 菌糸ビンの状況を確認する。
   
2回から3回の交換でアンタエウス・オオクワガタは、成虫になります。
   

基本的に「菌糸ビンの交換」は、メーカー指導で2ヶ月です。しかし、現実には、各人で確認しながら順次交換してください。孵化から約1年で成虫になりますが、2ヶ月で菌糸ビンを交換すると、6本の菌糸ビンを使う事になります。各人で確認しながら順次交換する事によって少ないと(メスかもしくは小型のオス)2本で済みます。オスでも3本くらいで成虫に羽化します。注意しなければいけない事は、蛹化のときの蛹室が小さくなりやすいようです。小さいと羽化不全の原因になりますので人口蛹室を作って羽化させてください。

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最終更新日 : 2000/04/27.