2015年度(平成27年度)間淵ゼミ:募集要項の補足説明

このページを訪問してくださり、嬉しく思います。ゼミ募集要項の「指導概要」だけでは、このゼミで具体的に何をするのか全然わからなかったと思いますので、以下若干の補足説明をするとともに、応募課題についてもお知らせします。
 なお、不明な点については、直接私に尋ねていただいても結構ですし、メール(mabuchi@kansai-u.ac.jp)で問い合わせてくださっても構いません。

2015年度間淵ゼミ応募課題

課題)下記2点の両方をゼミ志望理由とともに応募用紙に記入の上、教務センターにご提出ください。

(1)下記の絵本を読解し、筆者が読者に伝えたかったと思われることを推測し、推測の根拠とともに説明してください。なお、推測の根拠は、それが記載されているページ番号とともに具体的に示してください。

 篠塚かをり(作)、安井淡(絵)、1979、『ちいさな くれよん』、金の星社。

(2)自己PRをしてください(自分が間淵ゼミに入るとどのようことでゼミに貢献できるのかにも言及してください)。

注)上記書籍は、関大図書館には収蔵されていないので、私が個人的に購入し、社会調査実習準備室の白木さんに預けました。ですから、皆さんが購入したり探 したりする必要はありません。ただし、間淵ゼミに応募しようと考えている他の人も読むので、貸し出しは不可とし、学生証と引き換えに社会学部棟2階の社会調査実習準備室(会議・授業で使用していない場合のみ)・社会調査実習室(授業で使用していない場合のみ)・社会調査集計分析室(同前)のいずれかのみで 閲覧してもらいます(どこで閲覧すべきかは、その日によって異なりますので、白木さんの指示に従ってください)。閲覧は、ゼミ募集要項配布日〜第1次申込締切日まで可能とします。お早めにどうぞ。なお、公共図書館で借りたい人は、以下のサイトで検索してみてください。皆さんの家の近くの図書館にあるかもしれません。

 大阪府Web-OPAC横断検索  京都府図書館総合目録ネットワーク  滋賀県図書館横断検索システム  兵庫県内図書館横断検索 

 奈良県内図書館横断検索  和歌山地域コンソーシアム図書館

2015年度間淵ゼミの予定

1.間淵ゼミの目標

これまで私は、日本人の意識(世論)の同質性/異質性(画一性/多様性)について分析・研究・発表してきました(間淵2001、2002a、2002b、2003、2004a、2004b)。「社会学総論」という科目でも例年その概要を紹介しており(「日本人の世論の多様性」)、皆さんも1年生のときに概要を聴いているはずなので覚えている人もいるかもしれませんね。
  2002年の論文では、1981年〜1997年にかけて計3回実施されたWorld Value Surveys(世界価値観調査)と、1993年〜1998年に計6回実施されたInternational Social Survey Program(国際社会調査プログラム)という世論調査のデータを分析しましたが、このゼミでは、これを以下のように「深化」&「拡大」したいと考えています。以下では、これら「深化」「拡大」について順に説明します。

(1)深化について

まず、「日本人の世論の多様性」についてですが、その後の時間の経過に伴って、1999年以降に実施された国際世論調査のデータがすでに入手可能な状態になってきています。また、1980年以前に実施された国際世論調査で分析可能なものがないか今一度検索してみる必要があると感じています。すでにその作業に着手していますが、私が見落とした世論調査があるかもしれません。ゼミで は、公開されている各種世論調査データの検索・入手方法や二次分析(その調査の実施に関与しなかった第三者が調査データを分析すること)の方法について学んでもらうとともに、分析可能な調査データを見落としていないか調べてもらいます。

(2)拡大について

日本人の同質性/異質性を明らかにするためには、意識(世論)という主観的側面だけでなく、客観的側面についても比較検討する必要があるでしょう。我々は、人生において様々な事柄について複数の選択肢の中から何らかの意思決定をしていかなければなりません。進学・就職・結婚・出産・老親介護・…等、また、日常生活において も、たとえば経済的には、消費・貯蓄・投資について選択し、行動していく必要があります。そして、これらに関する選択的行動は、それが「選択」であるかぎり人それぞれです。これらの同質性/異質性についても国際比較をすることができれば、人々の意識を分析するだけでは把握することができない側面についても明らかにすることができるのではないか、と考えています。しかし、考えるだけならば誰でもできます。問題は、具体的に何に着目して、いかなるデータソースからデータを入手して分析するかです。ゼミでは、皆さんと一緒に、この点について追求していきたいと考えています。


以上の作業をとおして、研究に必要となる能力と技術を皆さんに身につけてもらい、4年次の卒業研究の際にそれらを活用してもらいたいと考えています。

2.授業時間について

間淵ゼミは、正規の授業時間(1コマ90分間)だけだと不十分なので、連続2コマ(正規1コマ+非公式1コマ)とします(途中、休憩時間を設けます)。ゼミ生は、必ず連続2コマ、ゼミに参加してください。ただし、授業時間割表には、正規授業の1コマ分しか表示されません。

ゼミは、月曜3限(正規授業)&4限(非公式授業)に開講する予定です。

3.当面の日程

あくまでも単なる予定ですが、現時点では以下のような日程を考えています。

春学期

第1週:今後のゼミの進め方、図書館書庫ツアー

第2週:お花見BBQで懇親会

学外の某所でバーベキュー兼懇親会をしたいと思います。買出しやセッティングに協力してくれる人がいると大助かりです。花見をしながら飲食・歓談できれば良いと思います。


第3週・4週:論理トレーニング(1):昔話・童話の批判的解釈

研究を進めていくためには、先行研究(誰かがそのテーマに関してすでにおこなった研究)の文献(本・論文など)を読み、その主旨を正確に把握す るだけではなく、先行研究の不足点や脆弱点を見つけ出し、先行研究とは異なる結論が導き出される可能性があることを立証することが必要となります。要する に、先行研究を素直に読んで、「なるほど、誠にもっともだ!」と感心していたのでは研究は成り立たず、先行研究を批判的に読んでいくことが必要となってき ます。

  そこで、このゼミでは、文献の批判的解釈の手始めとして、多くの人が知っている昔話・童話を読み、そこで語られていることを簡潔に纏めるとともに、通常は 意識されないけれども論理的にはそう考えざるを得ないという点を指摘する(簡単に言えば「ツッコミを入れる」)練習をしたいと思います。そして、このよう な昔話や童話が長い期間に亘って多くの人々の間で語り伝えられてきたことの社会的意味(昔話や童話の社会学的機能)についても検討したいと思います。この 作業を通じて、同じ間淵ゼミで学ぶ他の人々の「ものの考え方」が多少なりともわかるとともに、色々な考え方があるのだなと言うことにも気付くことでしょ う。こういうことに気付くのもゼミで一緒に学ぶ面白さの1つかもしれませんね。

予定:アンデルセン「裸の王様」(王の権威)

   アンデルセン「親指姫」(姫の価値観)

   アンデルセン「醜いアヒルの子」(白鳥の価値観)

   アンデルセン「マッチ売りの少女」(幸せとは何か)

   ペロー「おろかな願い(三つの願い)」(悪いのは誰か)

   グリム兄弟「ヘンゼルとグレーテル」(登場人物達の真意)

   グリム兄弟「ブレーメンの音楽隊」(その後の生活)

   グリム兄弟「狼と七匹の仔山羊」(狼はなぜ襲えたのか)

   楠山正雄「舌切り雀」(登場人物達の不可解な行動)


第5週:論理トレーニング(2):絵画を読み解く

童話も昔話も論文も言葉で表現されています。すでに言語化されている情報は、その意味を把握したり内容を批判的に解釈するのが比較的容易でしょう。しか し、我々の研究対象は、必ずしも既に言語化されているとは限りません。というよりも、むしろまだ言語化されていないものが大半でしょう。まだ言語化されて いない現象は、すでに言語化されている情報と比較すると、それが何を意味しているのかを把握するのが一般的に困難です。言語化されていないものを観察し、 そこに描かれている事柄を論理的に把握し、言語化していくという能力が研究には(人生においても)大いに必要となるのです。

残念ながら美術館に行く時間はないので、何枚かの絵のコピーを見てもらい、そこに描かれていることから論理的に推測しうる事柄を可能なかぎりたくさん指摘してもらいます。絵本の表紙も利用する予定です。


第6週:間淵(2002)の講読、統計学入門(1):変動の指標(標準偏差、質的変動指数)と分布の図示(箱ひげ図)

第7週:公開データ検索方法、統計学入門(2):二次分析の方法


「社会調査方法論」や「社会統計学」を履修していない人もいるので、ゼミでの作業に必要となる知識を集中的に勉強してもらいます。統計学といっても基本的には加減乗除(足し算・引き算・掛け算・割り算)にすぎないので、まったく心配無用です。


第8週以降:日本人論の批判的検討:著名な日本人論において日本人の同質性/異質性がどのように捉えられているのかを検討、分析可能な既存調査データの検索&分析

夏季休業中:中間発表@合宿?

 合宿をするかどうかは未定ですが、ゼミ生から希望があればしようと思っています。だから、場所も未定です。関西大学のセミナーハウスかもしれないし(2010年度は関西大学彦根荘、2011年度は六甲山荘でした)、どこか他に適当なところがあればそこにするかもしれません(2013年度は、ゼミ生が見つけてくれた滋賀県高島町にある宿泊施設でした)。

秋学期:

 ・日本人の同質性/異質性について分析する。

 ・年度内に各自が個人レポートを完成させる。

 ・ゼミ対抗ソフトボール大会(11月中旬)に出場する。2011年度は、関大在職8年目にして初めて優勝しました(笑)。ただし、優勝することが目的なのではなく、皆で楽しい時間を過ごすことが目的です。だから、スポーツが苦手でも全然かまいません。


4.連絡先

何か問い合わせや連絡をしたい場合は、メール(mabuchi@kansai-u.ac.jp)でお願いします。もちろん面談もOKです。私を捕まえるには以下の情報を参考にしてください。ささいなことでも遠慮なくどうぞ。月曜3限の卒業研究@社会調査実習室 、火曜3限のゼミ@B202は、いつでも見学可です。
  月曜2限:社会調査論@D501教室、昼食@第3学舎9階個人研究室、月曜3限:卒業研究@社会調査実習室
  火曜3限:ゼミ@B202
  水曜13時30分〜14時40分限:社会学専攻教室会議@社会調査実習準備室、14時40分〜終了時刻未定:教授会&大学院研究科委員会@第3会議室
  木曜:昼食@第3学舎9階個人研究室、3〜4限:学部社会調査演習・社会調査実習@A401(B)

以上

間淵領吾