電磁波は危険か???


最近携帯電話の急速な普及により巷で噂されるようになった電磁波の人体への影響。 さまざまな噂やなどがささやかれていますが、実際の所はよく分かっていないというのが 本当のところです。 しかし分かっていないからといって電磁波についてなにも知らなくてもいいというわけ にもいかないので、ここではあくまでさまざまな可能性について書いてみたいと思います。

さて、電磁波といってもさまざまな種類がありますが、大きく分けると3つに分けること ができます。周波数の高いものから並べると、

  1. ガンマ線やエックス線といった電離放射線
  2. 紫外線、可視光線、赤外線といった光の仲間
  3. 電波(約3テラHz(3000GHz)くらいまで)
という3種類に分けられます。
このうち人間の目に感じられる電磁波はいうまでもなく可視光線です。人間の目が可視光領域の 電磁波に反応するのはある意味当たり前で、太陽光線から発せられるさまざまな電磁波のうち 地上まで届く最も強い電磁波からだからです。
ちょっと話が横道にそれましたが、これら電磁波のうち周波数の高い電離放射線や紫外線などは ガンを引き起こすなどすでに人体に重大な影響を及ぼすことが分かっています。 エックス線やガンマ線は周波数が高く強いエネルギーを持っています。これらの電磁波が 細胞に当たると電磁波のあまりにも強いエネルギーにより原子の電子がはじき飛ばされたり (つまり電離する)、電磁波のエネルギーの一部が細胞に吸収されたり、さらには遺伝子に 傷を付けたりします。大量の電離放射線を被曝することは、白血病やガンの原因となります。 このように、電磁波においても波長の短い電離放射線などの人体への悪影響は以前から分かって います。

さて、電波も電離放射線同様に体を通り抜けますが、エネルギーは低く電離作用は持っていません。 しかし、高周波の領域では強い発熱作用を持っています。つまり電子レンジの原理です。 もちろん電子レンジの前でいたら料理と一緒に人間も熱せられてしまってはいけないので 法律で電子レンジの電磁波漏れに関する安全基準が定められています。
この発熱作用が人体にどのくらいどのように影響を与えるかは、はっきりした因果関係が 分かっていませんが、発熱作用に対しては、通常人体には血液が流れており少々の発熱は 拡散されてあまり影響がありませんが、血液の流れがあまりないところ(例えば眼球の水晶体など)は、 熱がこもりやすいとされています。 最近携帯電話などの影響として注目されているのはこのような 低周波の電磁波における発熱作用や、またその他の人体に対する影響なのです。 また、電波の強さは発信源からの距離の2乗に比例して弱くなるのですが、携帯電話の場合は 比較的頭に近いところで電波を発信しているので何らかの影響があるのではといわれているのです。 また電磁波の影響は電磁波の強さと、電磁波を受ける時間に比例するので、 携帯電話での長電話はどうか分かんないよと言われているのです。

携帯電話の急速な普及で、特に注目され始めた電磁波の影響ですが、 現在の世の中は電磁波だらけです。 交流が存在するところには基本的に電磁波が発生しています。 今あなたの見ているディスプレイも結構電磁波をだしてますし、 電線もいろんな所にあれば、電車の中も結構電磁波が強いし、 さまざまな電気製品から多かれ少なかれ電磁波は出ています。

さて、このように比較的低周波でエネルギーの弱い電磁波の人体の影響が結局まだよく分かっていないために さまざまな憶測が飛び交っているのです。
もちろん、人体になんの影響がないということはあり得ませんが、それがどのくらい、そして 危険なのかどうなのかが分かっていないところがあるのです。
正しい情報を集めて、正しく理解し必要以上に恐れデマにのせられてはいけない というのは言うまでもありません。

文明の発達、技術の発達というのは常に両刃の剣です。 本当に人間にとって幸せな方向に、いい方向に進んでいるかどうかは、 みんなが注意深く見ていく必要があります。

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N.Wakayama update December.15.1997