実はこのガス冷房も、電気のエアコンと同じように基本的には気化熱によって
熱を奪って涼しくしているわけなのだ。ガス冷房には、2種類ある。
1つは電気のエアコンの仕組みと全く同じもの。ガス交換式のやつ。
違うのは、電気式ではガスの圧縮などのモーター部分を電気でやているのを
ガス式ではガスエンジンでやっているだけ。
もう1つは、吸収式。原理は同じなんだけど冷媒に水を使う。
まず、約100分の1気圧に減圧された部屋を作る。そこでは、水は約5度くらい
で沸騰しどんどん熱を奪っていく。ここで、各部屋に送る冷風を作る。
さて、蒸発した水、つまり水蒸気を回収しなくてはならい。
そこで臭化カリウムなどの水が溶けやすい溶液を準備し、溶液に水蒸気を吸収させる。
どんどん水蒸気を吸収した溶液は、どんどん濃度が薄くなってあまり吸収しなくなったら、
別の部屋に溶液を移動して、ここでガスを燃やして溶液を加熱する。
すると水蒸気は溶液から蒸発してゆき、濃くなった溶液は先ぼどの部屋に戻し再利用する。
この蒸発した水蒸気を屋外の冷却器で冷やして加圧して水に戻す。
これでサイクルが完成。
ところでこのガス冷房、電力消費の平均化に役立っている。 現在一年間で一番電力消費量が多いのは真夏に全国でみんなが冷房を使うときなのだが、 電気というものは基本的に貯めておくことができないので、瞬間最大需要量の 大きさだけ発電する必要がある。つまり、大げさにいうと夏のある瞬間のためだけに必要な 発電所が存在するというわけなのである。ある研究所の調べでは現在の日本の発電所は そういう意味では年間平均稼働率が50%くらいらしい。 結局、一番たくさん電気が必要な瞬間に必要なだけ発電できる施設がいるというわけ。 そういうことで、電力消費が時間によって大きく違うのは効率的でなく できるだけ電力消費量を平均的にしたいのである。 そういう意味で、ガス冷房はそんなに電気を使わないので夏の電力消費量を押し上げることもなく、 また、ガスの消費は主に暖房としての冬がピークなのでガス消費量の平均化にもなる。 国がガス冷房を支援している理由はここにあるのである。 ちなみに、一年間で最も電力消費量が少ないのは昔は冬だったんだけれど、 最近は5月のゴールデンウィークらしい。
N.Wakayama update October.4.1997