TPPと日本の秩序とキリストの福音



TPPとは、「環太平洋戦略的経済連携協定」、
Trans Pacific Strategic Economic Partnership Agreement.
太平洋を取り巻く諸国の戦略的な経済的なパートナーシップを言っています。

戦略的な連携とは、
相手が何を考えているのか探りあうとでも言えばいいでしょうか。

戦略とは、相手に勝るために、
全体の成り行きを考える総合的な方法や計略、
自分のとって都合の良いように事を運ぼうとするためのはかりごとであるわけです。

あえて、すでにある日本の産業を守るために設けられた壁を取り除くというTPPは、
人や産品や資金などが、
関税や制度の壁なしに日本に入ってくることになります。

ですから、
TPPが日本の、すでにある農業や商工業に大きな影響を与えると言われています。

消費者や人手不足で苦しんでいる現場にとっては、
安く商品が提供されるなら、それは喜ばしいものであるし、
必要な働き手が確保されるのなら歓迎されるものと見ます。
大手企業にとっては新たな利益を手にすることになるかもしれません。

日本の現状を見ますと、
減反政策に代表される農政や生産調整。
転作奨励金という補助金。
食料自給率の決定的な低さ。
農業の高齢化。
いつまでたっても改善されない人手不足・・。
小市民的などんぶり勘定の商工業・・・。

これらにたいしてTPPは決定的な影響を与えることになるでしょう。

言い方を変えれば、
今まで守られてきた日本の社会の秩序を根底からひっくり返すことになるかもしれないのです。

さて、日本のキリスト教は、長い年月にわたっての布教や宣教の歴史があるわけですが、
しかし、教会の礼拝に集まる信者の数は、
いつまでたっても人口比にして1パーセントを超えることはありません。

キリストの福音を受け入れることのない、
日本の社会の共同体の秩序や、
日本人の感情がそこに存在していると考えることができます。

長い年月、そうすることになっている、
めずらしくない日本の習慣は、
世界から見れば、
日本的な特別なものなのです。

TPPが世界的なグローバル・スタンダードなら、
キリストの福音も、世界的なグローバル・スタンダードですが、
TPPも福音も、やはり、大きな抵抗感を持って迎えることになるでしょう。

TPPの具体的な内容も、
キリストの福音の内容である、
イエス・キリストの十字架の死による贖いのわざ(あがないのわざ)という出来事も、
私たち一般的な日本の社会に解き明かされることはないのですから。

仮に、

何もしなければ滅亡する状態を切り開いて生き延びる方法が、
TPPやキリストの福音なら・・・・。

日本の特別な農政や商習慣をひっくり返さなければ生き延びていく道を見出せないとするなら・・・。

律法とは別に、律法の外に、
福音が明らかにされているのです。

「わたしは福音を恥としない。
福音は、ユダヤ人をはじめ、ギリシア人にも、
信じる者すべてに救いをもたらす神の力だからです。」

 (新約聖書・ローマの信徒への手紙・1章16節・新共同訳聖書)


北白川 スー

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Wrote up on March 25, 2013.