・・歴史の表舞台とその舞台裏・・(下)
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吉田 隆
現在世界には独裁国家と呼ばれる国々が 20 以上あります。 しかも、ロシアはその中に入っていません。しかし、プーチン大 統領の権力は強く、ウクライナに侵攻しました。周辺国はウク ライナを助けたくてもむずかしい状況があります。同じようなこ と(大国が小さな国に戦争をしかけること)が、世界の他の地 域でも起こる可能性がある、ということを私たちは知らなけれ ばなりません。ソ連を始めとする社会主義国が崩壊していった 1990 年代、国々は民主化すると思われました。しかし 30 年 後の今日、世界では信じられない状況が展開されています。
「定められた日に、ヘロデは王服をまとって王座に 着き、彼らに向かって演説をした。集まった会衆は、 『神の声だ。人間の声ではない』と叫び続けた。すると、 即座に主の使いがヘロデを打った。ヘロデが神に栄光 を帰さなかったからである。彼は虫に食われて、息絶 えた。神のことばはますます盛んになり、広まっていっ た。」
(使徒の働き 12 章 21 節〜 24 節)
高慢になったヘロデを神は除かれた
新約の教会が前進しようとした時、当時の支配者で あったヘロデ・アグリッパ一世はそれを阻もうとして、 ヨハネの兄弟ヤコブを殺害した後、ペテロをも捕らえ ました。群衆は彼を神のように祭り上げましたが、高 慢になったヘロデを神は打たれました。
21世紀の世界情勢
冒頭にも書きましたように、第二次世界大戦後に世 界は全体的に民主化していくのかと思われたのです が、今日、独裁者によって指導されている国が依然と して多くあります。しかも多くの場合、その独裁者に よって国民は苦しめられているのです。
20 世紀には、社会主義・共産主義は人々に幸福を 等しくもたらすだろうと、中国・ソ連・東欧など少な からぬ国々が、革命によってこれを採用しました。し かし、独裁者に大きく依存する社会主義がうまく行か ないことが分かってくると、これを止めました。指導 者の中にも、市民の中にも罪があり、自分中心である ことがその原因でした。
現在もなお共産主義である国は、5つ。中国、北朝鮮、 ベトナム、ラオス、キューバです。その4つはアジア にあります。そして、それらは真の神を否定し、クリ スチャンを迫害する国なのです。
初代教会の時代に、神はイエスを信じる者たちの拡 大を阻止しようとしたヘロデ・アグリッパ一世を虫に 噛ませたという記事を紹介しました。今日も全能のみ 手の中にあります。
四人組の江青とクリスチャン
同様に神は、私たちがうとましく思う独裁者であっ ても、主のみ業を進めて行くために、敢えて用いるこ とができる可能性について、前号で紹介しました。そ れは、神は毛沢東を用いて、中国 14 億人の民に効果 的に福音を伝える基礎を備えてくださったということ でした。毛沢東の妻であり、文化大革命の指導者であっ た四人組の一人である江青が、1970 年代に「中国に クリスチャンはいますか?」と外国の記者に尋ねられ た時、「ああ、クリスチャンねえ、それなら博物館に 行ってご覧なさい」と笑って答えたと言われています。 彼女は、中国からキリスト教も信者たちも取り除くこ とに成功したと思っていました。しかし、四人組はそ の後中国共産党内部から否定され、死刑判決を受けて 行きます。今日、中国の若者は江青を知らないことで しょう。「江青ねえ、それなら博物館に行ってください」 ということになります。
中国はこの 30 年間に大きく変化しました。都市では、至 る所に監視カメラが置かれています。キャッシュレスで買 い物が行われています。そのような中で福音は前進しています。
中国教会に与えられた使命
初代教会の時代に「ヘロデは虫に食われて、息絶え た。神のことばはますます盛んになり、広まっていっ た」ように、中国でもクリスチャンの数は多くなり宣 教が展開されて行きました。
エルサレムから福音が東に向かって広がっていった ように、神はイエス様を信じる中国の弟子たちに「こ の福音をエルサレムに向かって返して行きなさい!」
という幻を与えました。戦争と共産化でとだえた、と 思われたこの幻は、中国に与えられたリバイバルの中 で、再び復活してきました。今、中国の教会から派遣 された宣教師たちが、アジアやアラブの国々に遣わさ れています。
しかし、現在の中国最高指導者である習近平の政治 の元で、再び大きな迫害が中国のキリスト教会に課せ られました。この中国の政治的、経済的な侵略が中国 近隣の国々だけではなく、アフリカ大陸にも及んでい ます。私は、2018 年秋にエチオピアを訪問して中国 企業の進出をこの目で見て驚きました。
一方、アメリカ合衆国の国力が減退することは、日 本ばかりではなく世界にとって不安なことです。しか し、もし神がそれを一時的に許されることがあるとす るならば、それは大宣教命令達成のために中国の「一 帯一路政策」をも用いられる可能性があるのではない か、と考えます。
中国の教会は大きな2つの目標を掲げています。1 つ目は国内伝道であり、すべての町々村々に教会を開 拓することであり、2つ目はエルサレムへのシルク ロードにある国々を福音化することです。イエス様の ご再臨を前に、大宣教命令が行き届くために、神はご 自身の方法で計画を実行なさいます。そのためには、 敵と思われる者をも、お用いになる可能性があること を歴史は証明してきました。
イエスを信じる私たちは、日々「御国を来たらせた まえ。みこころの天になるごとく、地にもなさせたま え。」と祈りつつ、世界の情勢について関心を持たな ければなりません。表舞台で起こる出来事を知りなが ら、舞台裏でそれを操られる全能の神のお働きがサタ ンによって妨げられることなく達成されるように、祈 りによって執り成して行かなければなりません。 T
ニュースレター「グレイト・コミッション・第93号」 2022年3月27日・発行
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