クリスチャンへのプロポーズ



仮に未信者がクリスチャンの女性に次のようにプロポーズしたとします。
・・「僕を信じてついて来てほしい。」とか「僕を信じられないのか。」・・
この言葉は、いかにも美しく頼もしげな告白かもしれない。
しかし、クリスチャンにとっては、それは相い容れない価値観の違いを表すものでしかないのです。

では聖書・バイブルはどのように語っているのか聞いてみましょう。
「キリストに対する畏れをもって、互いに仕え合いなさい。
妻たちよ、主に仕えるように、自分の夫に仕えなさい。
キリストが教会の頭であり、自らその体の救い主であるように、夫は妻の頭だからです。
また、教会がキリストに仕えるように、妻もすべての面で夫に仕えるべきです。
夫たちよ、キリストが教会を愛し、教会のために御自身をお与えになったように、妻を愛しなさい。」

(新約聖書・エペソ人への手紙・5章21〜25節・新共同訳聖書)

クリスチャンというものは、
自明のごとく主イエス・キリストに仕える生活を一生涯送ることを心に決めた人間たちです。
信仰の対象がイエス・キリストであり、
何事にあっても信頼する対象は、イエス・キリストなのです。
夫も妻も共にクリスチャンなら、
「主に仕えるように、互いに仕え合う」ということが生活の柱となり得るでしょう。

つまり信じる対象は、お互いの主人であるイエス・キリストということになりますし、
すべての基準はイエス・キリストにあることになります。

ここで聖書の語る基準を見てみましょう。
すべての人間は、神の前では罪の体質にあり、罪人だということです。
ですから神と罪人である私たちとの和解の出来事、
イエス・キリストの十字架の出来事を信じる信仰がすべての源泉となるわけです。
クリスチャンは、至高の存在である、普遍的な価値観である主イエスに基準を置きます。
それは人間というものは頼りない存在だということを知っているからです。

ですから、先に問題とした、
クリスチャンに対する「信じてついて来てほしい」とか「僕を信じられないのか。」
という言葉は信じるに足らない言葉なのです。
「互いに主イエスを信じて共に歩もう」と言うのなら、
聖書の基準に少なくとも適合することでしょう。

また、キリスト教というものは、一切の奴隷的な隷属関係を認めません。
ただひとつ奴隷となることを認めるのは、私たちが「神の奴隷」となる場合だけだからです。

「あなたがたは罪の僕であったが、
伝えられた教えの基準に心から服従して、
罪から解放され、義の僕となった。」

(新約聖書・ローマ人への手紙・6章17〜18節・口語訳聖書)

キリスト者というものは、かつては世俗の縄目に縛られていた存在でしたが、
伝えられたキリストの教えを受け入れ、それに心から従うようになり、
世俗の縄目からは解放されたのです。
そうでなければ、キリスト・イエスが十字架の上で死という代価を払って、
私たちを罪の奴隷から買い取ってくださったことが無となります。
クリスチャン、すなわちキリストによる洗礼を受けた者が、主以外に信じるものを持つということ、
すなわち今まで通りの非キリスト的な生活を送るとなれば、どういうことになるのでしょうか。

キリスト教徒になるということは、
信仰によって、今までの生活を新しくされるという約束を信じているということです。
ですから、生活を新しくされた者に対して語られる、
主イエス以外の「僕を信じて」は、
主イエス以外の何に信頼する値打ちを見いだすのでしょうか。
何を信じるに足りるというのでしょうか。

(新約聖書・コリント人への第二の手紙5章を参照してください。)

「というのは、キリストの愛が私たちを取り囲んでいるからです。
私たちはこう考えました。
ひとりの人がすべての人のために死んだ以上、すべての人が死んだのです。
また、キリストがすべての人のために死なれたのは、
生きている人々が、もはや自分のためにではなく、
自分のために死んでよみがえった方のために生きるためなのです。」

(新約聖書・コリントの信徒への第二の手紙・5章14〜15節・新改訳聖書)

その未信者の青年に対して言わなければならない。
何よりも、彼女がクリスチャンであることの意味を理解するところから始まるのだということを。
そして、あなたも神の前では罪人だということを。

「僕を信じて」という言葉ほど信じられないものはないのです。

このエッセイを読んでいただいている
長い結婚生活を経験している未信者の男性であっても、女性であっても、
自らの人生を振り返れば、「僕を信じて」という言葉の欺瞞性をよく承知しているはずです。
うそで塗り固められた言葉であることを。


北白川 スー

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Wrote up on January 18, 2005.