クリスチャンの結婚・クリスチャンのアイデンティティ



クリスチャンの結婚というテーマで書きすすめてきました。
しかし、未信者にとってクリスチャンというものは、
どのようなものなのかということが見えていないように思えます。

ここでクリスチャンの日々の心がけというよなものを聖書・バイブルから見てみたいと思います。

使徒パウロは、今のギリシャの北部にあり、
ローマ帝国の植民地として栄えていたピリピにヨーロッパで最初の教会をつくりました、
そのピリピ教会のクリスチャンに対して、イエス・キリストを信じる喜びを、
キリスト者にふさわしい生活の勧めを、
イエス・キリストに従う者としての心がけを詳しく手紙にしたためています。

「・・従う者であってください。畏れおののきながら、自分の救いを力を尽くして達成しなさい。
あなたがたのうちに働きかけて、
ご自分のよしとするところを望ませ、実行に移させるのは神だからです。
何事も、不平を言ったり理屈をこねたりしないで行ないなさい。
あなたがたが、とがめられるところのない、潔白な者となり、
ゆがみ、ねじ曲がった世代でありながらも、非のうちどこのない神の子となるためです。
そして、命の言葉を自分のものとすることによって、
人々の中で、この世に輝く星のように光り輝きます。」

(新約聖書・ピリピ人への手紙・2章12〜16節・フランシスコ会訳聖書)

イエス・キリストに従う者として、自分の救いに力を尽くせとパウロは語り始めます。
何か自分の力に頼って、何か自分の努力によって達成しなさいと言っているように聞こえますが、
すぐ後ろの文節に、私たちに働きかけて、仕事をなさるのは神ご自身だと語っています。

ここで語られる、従うということは、イエス・キリストに聞き従うことを言っているわけです。
キリストの声に聞こうとさえしていれば、事を行われるのはキリストご自身なのです。

「実に、信仰は聞くことにより、
しかも、キリストの言葉を聞くことによって始まるのです。」

(新約聖書・ローマの信徒への手紙・10章17節・新共同訳聖書)

つまり、私たちは、
私として、何をすることを神が望んでおられるのかということを知ろうとさえすれば、
つまり、神が望んでおられることを知りたいという気持ちさえ持っていれば、
私たちの上に何か不安になるようなことが起きても、望んでいないような、
好ましく思わないようなことが起きても、実は、それは神のビジョンの中に組み込まれた、
神の道筋の一部なのだということが分かり、
なにも不安がったり心配したり、不平を言わなくてもいいのだと語っています。

まず未信者はここでつまずくことでしょう。
願ってもいないことが起きれば、落胆し、不平を言い、怒りもするのが普通です。
信じがたいことでしょうが、
キリストご自身が人の心の内に働きかけて、
志しを立てさせ、事を行わせてくださるのだと語っているのです。

そして、「非のうちどころのない神の子となる」という表現によって、
神と人間との関係というものを歌っています。

日本の民俗信仰なら、
神を、何か得体の知れない存在として見るというのが普通の感覚でしょう。

しかし、キリスト教信仰というものは、
神というものを非常に近い存在として、
神に愛された存在として自分を感じ取ることができるのです。
「神が共にいる」という表現がなされます、臨在感とも言います。

そして「命の言葉」という表現は、「ロゴス」とも言われ、
神の言葉が(聖書に書かれている言葉が)生きたものとして、
私たちの生活の中で生き生きと命を持ったものとなると語っています。

実に未信者にとっては理解しがたいことではないでしょうか。

そして、キリスト・イエスを受け入れて生きていさえすれば、
どんな小さな存在であっても、
この世に光り輝く星のような存在になると語っています。

私たちは、小さい存在であるということに、どんなにも抵抗していることでしょうか。
社会に職場に家庭に自分の存在感が乏しいことに悩み、
自分の存在を知って欲しいと、認めて欲しいと、どれほどまでに苦悩していることでしょうか。

しかし聖書は、そのような努力は求めてはいません。
キリストなるイエスに聞き従えば、心の内に働きかけて、事を成させてくださると語っています。
神の意志に耳を傾けながら生きることによって、この世にあっても光り輝く存在になれるのです。

クリスチャンの真髄は、神の意志に耳を傾けながら生きるということです。
まさしくこれがクリスチャンのアイデンティティなのです。


北白川 スー

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Wrote up on January 22, 2005.