跡取りとの結婚・クリスチャンの結婚



少子化が進み、1組の夫婦に子どもが1人というケースが珍しくなくなりました。
子どもがふたり生まれても、ひとりだけが男子という家庭もあります。

今回の話しは、未信者の彼がひとりっ子であったり、長男である場合は、
彼はその家の跡取りだということについてです。

彼が跡取りであるという重みは、彼の家族の意識がどうなのかによって変わってきます。
その家族が一世一代で終わってしまうなら、跡取りは必要はないでしょう。
しかし、守らなければならないものがある場合は、そうはいきません。

日本人は「御先祖様をおまつりする」ことを大切にしています。

すなわち、祖先の霊を守るために、跡取りがいるというのです。
跡取りの第一の仕事は、祖先をおまつりし、法事をすることです。

これを怠ると、必ずや親族や親戚から問題にされることでしょう。
この義務者は、どんなにたくさん兄弟姉妹がいても、やはり長男でなければいけないのです。
この長男を中心に親戚や弟や妹が集まって法事を営むということは、
宗教的な体裁を取ってはいますが、
実際には一家や一門という生活共同体としての再確認のための祭事でもあるのです。

日本では「民俗」として、
「家の宗教」というものが、宗教的な衣をまとってはいますが、
生活共同体としての家族一門の結束を保つという役目をはたし、
生きた生活の知恵として機能しているのです。

その跡取りとクリスチャンとが結婚するとなると、
この「祖先をおまつりする」という「家の宗教」という生活共同体にとって
もっとも大切な事柄にすきま風が吹くことになりそうです。

実際のところ、クリスチャンの嫁をむかえようとしている家族は、
クリスチャンの嫁をむかえることによって、
家族の再確認という作業じたいに問題が起きてくることになるとは、
前もって考えもしていないはずです。

クリスチャンは、それが偶像崇拝・異教的・悪霊的・宗教的なものと考えますから
「祖先のおまつり」を問題視し、なおかつ拒否するわけです。

しかし当の家族にとっては、宗教的ではあるけれど、
それほど宗教に熱心というわけでもなく、
ただ家の宗教というだけであって、
家族があい揃って祭事をするという大切さのほうが重要なのです。

そう言われても、クリスチャンは、
日本人は霊的に(悪霊や偶像に)縛られていると考えていますから、
断固とした態度でのぞむことになります。

しかし、普段の日本人は、そのようには、わずかでも思っていないはずです。
悪霊や偶像に縛られているなんてとんでもない・・・。と、

「いや、彼らのささげる物は、神にではなく悪霊にささげられている、と言っているのです。
私は、あなたがたに悪霊と交わる者になってもらいたくありません。
あなたがたが主の杯を飲んだうえ、さらに悪霊の杯を飲むことは、できないことです。
主の食卓にあずかったうえ、さらに悪霊の食卓にあずかることはできないことです。」

(新約聖書・コリント人への第1の手紙・10章20〜21節・新改訳聖書)

ここで視点を変えてみましょう。
ここで、敵対するかのように、日本人のいまわしい状況を明らかにすることだけにこだわるのなら、
何かを忘れているのではないでしょうか。

イエス・キリストは、そのような日本人のためにも、死んでよみがえられたのではないでしょうか、
彼らのためにも十字架にかかり死に渡され三日目に復活されたはずです。

キリスト教は、決して家庭や家族というものを否定しません、
いや、最も家族というものを大切にします。

旧約聖書では、神は人間の父祖であるアブラハムを祝福して約束されました。
「あなたの子孫は、星を数えるほどになる」と。

「主は彼を外に連れ出して言われた。
「天を仰いで、星を数えることができるなら、数えてみるがよい。」
そして言われた。「あなたの子孫はこのようになる。」」

(旧約聖書・創世記・15章5節・新共同訳聖書)

クリスチャンは、ただ彼らの非キリスト的な事柄を並べあげるだけでなく、
新たなキリスト的な日本の家庭というものを、
神の義に根ざした、
福音に根ざした家庭というものを日本の家庭に示していかなければならないのではないでしょうか。

この日本において、クリスチャンの歩みというものは困難に満ちたものだと、
声を大きくするだけではなく、
クリスチャンというものは神によって祝福された人生を歩むことができるのだと、
誇りをもって言うべきなのです。

「自分のいのちを自分のものとした者はそれを失い、
わたしのために自分のいのちを失った者は、それを自分のものとします。」

(新約聖書・マタイの福音書・10章39節・新改訳聖書)


北白川 スー

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Wrote up on November 04, 2005.