パワー・フォー・リビング、その後



2007年の初め、テレビや新聞や雑誌に突然流れだしたコマーシャル。
聖書・バイブルについて書かれた本、
「パワー・フォー・リビング」という名の本を
無料でプレゼントすること以外何も伝えないコマーシャルに、
多くの人は疑いの目で見ていたようだ。
クリスチャンとなった名の知れた歌手や、
元プロ野球監督、有名な元フィギュアスケーターが登場していた。
どうもキリスト教を広めるためにやっているらしい・・というぐらいの感想ではなかったかと思う。
日本では、結局のところ数百万部というオーダーで配布されたようだ。

さる財団の豊かな資金をバックに、
「パワー・フォー・リビング」という本の配布のためのコマーシャル活動が、
さまざまな国で行われています。
宗教思想を広めるためだとして、放送禁止になった国もあったほどです。
日本でのメディアを使って大体的に行われたパワー・フォー・リビング冊子の配布は、
ビジネスで財を成したアメリカの企業家の提供した資金が、その資金源となったわけだが、
この日本では、多くの人たちが、
キリスト教の布教と、アメリカの金持ちとの関係が理解されないどころか、
疑いの眼差しをもって見ていたようです。

金持ちが財を成したことにたいする後ろめたさからかクリスチャンになって・・・、
人に知られたくないやましいところをごまかすためにやっているかのように思った人もいたほどです。

しかし、冊子の内容は・・・・、
人は人生のなかでさまざまに困難や試練に出会います。
そのような状況に打ち勝つための生きる力を与える書物、
聖書・バイブル、すなわち、
神の言葉について書かれていたのです。

ここで明らかにしておかなければならないのは、
なぜクリスチャンが財をなすことが出来たのかということです。
この日本では、キリスト教のイメージと言えば、
自己の欲望をおさえた、清く貧しくであり、
利益とか経営とか、ビジネスからほど遠いものと思われています。
しかし、キリスト教の価値観からすれば、
節約や節制をし、暴利をむさぼらず、
合理的な経営を目指す生活態度がそうなのです。

日本では、キリスト教と言えば修道院をイメージしますが、
アメリカ的なプロテスタント信仰の思想は、
修道院の生活のような、閉鎖的で非行動的なものではありません。
もちろんキリスト教ですから、世俗的な欲望には敵対します。
その結果、持てるビジネスのエネルギーは、
世俗的な欲望を遠ざけ、また廃し、
ビジネスの目的追求のためにすべてを注ぎ込みます。
当然にしてビジネスは大きく成長します。
しかしながら、ビジネスの成長で得た財は、
自分の欲のために消費することを、クリスチャンとして良しとしませんから、
聖書・バイブルが言う「隣人愛」・となりの人のために使おうということになります。
 ”公に使おう”公に役立てようということになるわけです。
キリスト教精神により財団を作り、
「パワー・フォー・リビング」という名の本を無料でプレゼントしようということになるのです。

話し変わって、
ここ10年の中国経済のめざましい持続的な成長には、
キリスト教が、中国の多くのクリスチャン・ビジネスマンが関わっていると報告されています。
ビジネスすることとクリスチャンすることとが結びついているのです。
プロテスタントの信仰によって、
信仰が、人生のすべてのものを支え、また土台となるのです。
信仰で美とされる生き方の実践が、また行動力が・・、
合理的な経営へと導き、
ビジネスを成功へと導き、
経済を発展させ、持続的な成長へと導いているのです。
日本でも創業者がクリスチャンという大企業が数多く存在しています。
しかしながら、その創業の精神は、どこかへ忘れ去られて来たようです。
創業精神を失った日本の企業は苦戦しているのが現実のようです。

「 何よりもまず、神の国と神の義を求めなさい。
そうすれば、これらのものはみな加えて与えられる。」

(新約聖書・マタイによる福音書・6章33節・新共同訳聖書)

神のみを思い、さめた、迷いからさめた心の姿勢は、
すべてを変えるのです。
数多くのパワー・フォー・リビング冊子が配布されたのだけれど、
その結果、信仰を持つようになったクリスチャンは、
この日本で、どれぐらいの数になるのだろうか。
具体的な数字は伝わってはこない。


北白川 スー

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Wrote up on June 02, 2011.