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1000ヤード(900m)標的射撃
Palma Trophy Match, America's Cup of Shooting Game

正式名称 The World Long Range Shooting Championships,
Individual and Palma Team Matches

- パルマ トロフィーマッチに行こう! -

C4_Yoshi_Sticledown

ロンドン近郊の、ビスリー陸軍基地内にて
長距離射撃の第2ステージ、900ヤード(800m)試射2+15発を撃ち終えて1000ヤード(900m)へ
移動中の英国ライフル協会長(Lt. Col. Colin Cheshire 陸軍中佐, 通称 c4)と櫛風沐雨
背景は最大150射座(50標的)×最大1100ヤード,うち60射座(20標的)×1200ヤードを誇る、
スティックルダウン射場(Stickledown Range)

'00.08.06作成 '01.06.16更新


  1. 1000ヤード射撃を知る
  2. パルマ トロフィーマッチを知る
  3. パルマ マッチとは
  4. 2003年パルマ トロフィーマッチ開催地、ロンドン近郊のビズリー(Bisley)基地訪問
  5. ビズリーでの見聞要約
  6. スティックルダウン射場(Stickledown Range)
  7. Palma Rifle, ライフル、弾薬
  8. ISSF 300m射撃用ライフルのパルマライフルへの転用
  9. パルマ マッチの標的
  10. 英国流1000ヤード射撃の運営
  11. 先込式ライフルで1000ヤード射撃!
  12. 終わりに - パルマ トロフィーマッチに行こう! -
  13. パルマ トロフィーマッチ紹介ビデオのダウンロード

  1. 1000ヤード射撃を知る
  2. 1999年8月、Col. Frank Briggs が能勢射撃場に来て3日間の講習をしました。 私にはとても新鮮な講義内容でした。特に彼のKneelingのコーチングは、いつもこれでいいのかと 不満を持って膝射をしていたので、衝撃的でした。20年も間違っていた......。
    4日目、東京に行くという月曜日、大阪日本橋の電気街を1人で彼を案内していろんな話をしました。 ちなみに、彼は自称プロフェッショナルカメラマンにしてソニーとニコン大好きな買い物魔です。 東京では巨大な最新式のパチンコ台を買ったそうです。
    その時の話で、USAMUの本拠地であるジョージアのフォートベニング基地の射場の話になったのですが、 電子標的では世界最大の射場で300m25射座、50m75射座、10m120射座,25m50射座 という途方もない大きさであり、そのうえ1000ヤードや600ヤード射場もあるという事でした。

    そのあと、USAMUのホームページで、300Win,Mag,(ウィンチェスターマグナム)を使った1000ヤード射撃で USAMU が 世界記録を持っていることも知りました。参考までに弾頭重量は240grのHPBTです。1000ヤード=約900m=約1km先の標的を撃ち抜く,,,, 撃ちたい...ということで、京都の小林銃砲店に出かけて番頭さんに聞きました。300 WIn.Mag.って どんな薬莢でどんな銃? 売り気満々の番頭さんが中古銃ですけどいい銃ですよ、 と出てきたのは自動銃で確かにいい猟銃でした。でも薬莢の太さ長さを見てビビリました。 なんじゃ、これ。番頭さんに,これのボルトアクションで伏射で60発って撃てます?と きくと、それはやめときなはれ、という予想通りの答えで、諦めました。

    それから半年近く経った2000年2月頃、アメリカのヤフーで出来心で、「1000 target shooting」で検索すると ヒットして出てきたのが、Bill Poole氏のBill Poole's Shooting Page でした。ここから、アリゾナ州ライフル協会のパルマ マッチのページを見て、パルマ トロフィーマッチのページPalmaも見つけました。

    そして知ったのは、国際競技としてのPalma Matchはシエラの155grHPBT弾頭のみを用いて軍用弾規格の弾薬が使えるくらいルーズな 薬莢寸法の 308Win をつかうということです。これなら、費用面からも私にも練習できそうそうです。
    300Win.Magを使うのは、F-Class 或いは、アメリカ国内ルールの競技のみであることも分かりました。


  3. パルマ マッチを知る
  4. インターネットのウェブでこれらのページを読み、いろんな人達に質問しているうちに、 「パルマって私にも出来るんじゃないか」という結論に達しました。

    今持っているアンシュッツ(See Hueber の OEM)の223Remでは物足りないなぁ、 308か6mmBRが欲しいなと思っていました。そこで、なんのかんの言っても、パルマを知るためには、 銃を買って海外に練習試合に行ってみようと思い、日本国内を始め様々な人達に質問を始めました。 これが標準的な仕様である(後述)というモノに行き当たりましたので、次回のパルマ トロフィーマッチの ルールに詳しくて、英国の選手や銃器係として何度も選手団に入ったことがある人が主催して いる銃砲店に依頼することにしました。パルマ トロフィーマッチのルールは、安全規定やトリガーの重さ、 薬室寸法など開催国の恣意に任されている部分が多くあり、開催国の人にルールを聞くのが 一番なのです。これは、開催国がつい最近まで弾薬を供給し、その前は銃さえも供給していた伝統によるモノです。

    次回はイギリスですから英国ライフル協会が細則を決めています。標準仕様と違うのは、最近SBでアンシュッツの アルミストックを使い始めて気に入りましたので、ジェミニのアルミストックにしました。 頑丈な銃ケースも含めて約35万円でした。

    参考ウェブ : アリゾナ州ライフル協会 ビル プール氏によるパルマ マッチ 長距離ライフル射撃の「アメリカズ カップ」

    銃やパルマ マッチを知るために、いろんなルートから海外の人脈を発掘していきました。また、 国内でも引き合いを含めて色んな人に質問し、ものすごく勉強になりました。有り難うございました。


  5. パルマ トロフィーマッチとは
  6. Palma_Trophy_Minuture シエラのリローディングブックで155grHPBTには、"Palma"と書いてあります。Palmaというのはラテン語で 勝利という意味だそうです。パルマ マッチ トロフィーは有名なティファニー製の銀の独特の価値をした盾で 1876年に米国ライフル協会(NRA)の寄贈です。原形は、第2次世界大戦中に陸軍省で目撃されたのが最後で 紛失してしまい、パルマ マッチ トロフィーの謎として関係者に知られています。現在のトロフィーは、 1988年にウィスコンシン州 オウクレア(Eau Clair)の医師の ハーバート エイトキン氏(Dr. Herbert M.Aitken)が費用を出してティファニーに注文して2/3の大きさで複製した物です。

    国際長距離射撃競技 Palma Match は,1876年にニューヨークのクリードモアで始まり、 米国ライフル協会が創設されるキッカケの一つとなりました。当時は、火縄銃のような 先こめ式のライフル銃だったのです。今は4年ごとに開催されています。 主な参加国は Commonwealth 圏内(旧大英帝国領土)の国です。 射撃の America's Cup と呼ばれています。

    日本からの参加は今までにはありませんが、1985年にオーストラリア大会に 参加するという噂があったそうです。

    Palma Trophy Matchは、団体戦(16名)と個人戦があります。団体チームには、キャプテン、射手6名、銃器係(発砲は許されない)、 渉外係、主任コーチと4名のコーチ、2名の補欠選手が入ることが出来ます。
    次回の大会の要項によると、800ヤード(700m)で練習後、試射2発+15発、 900ヤード(800m),1000ヤード(900m)で試射2発+15発を25分で撃ち、得点とXの数で競います。
    団体戦は、2日で各1ラウンドを撃ちます。

    標的の大きさは黒点が8点、直径44インチ(約110cm),Xは10インチ(約25cm)、10点は20インチ(約50cm), 9点は30インチ(約75cm),白地に7点が60インチ(約150cm)、6点は72インチ(約180cm)四方の標的紙上です。 的外は0点。

    個人の優勝スコアはおよそ満点450点です。
    団体戦は1人で1標的ですが、2003年の個人戦は団体戦終了後に、参加人数によっては最大4人で交互に撃って 1標的を使うイギリス方式が使われます。この場合、1発は45秒の限秒射撃になります。


  7. 2003年パルマ トロフィーマッチ開催地、ロンドン近郊のビズリー(Bisley)基地訪問
  8. 今回の世界一周海外出張先が決まったとき、ロンドンでバンクホリデーという休日がありました。
    「1日あればエディンバラ周辺とロンドン周辺ならばいけるな。ビズリーってどこにあるんだろう。」 と考えました。インターネットで見ると、ビズリーはロンドンの近くです。誰を訪ねていけばいいのかな、 そうだ、彼に聞いてみようと、カツ丼が好きで米海軍通信将校として日本勤務2年で ケッタイな日本語を話す人物に訊くと、「NRA-GBの責任者のc4に聞け。奴はいい奴だ。パルマの歴史の本も書いている。 高いけどもいい買い物だ」、彼の手紙の最後に曰く「キヲスケテ」

    そこで、c4 こと Lt.Col.Colin C.C. Cheshire コリン チェシャー中佐 に手紙を出してご都合を伺うと、その日は 大きな大会で射場にいるから楽しみに待っている,グレートブリテン(英国の別名、歴史的背景を 説明すると面倒なので省略)ライフル協会「会長」とあるじゃないですか。まさしく、「あちゃー, 会長だったのか。でも、待っている人をすっぽかすわけにはいかんしな。」

    参考NRA of Great Britain

    バンクホリデーの祝日、その前夜ロンドン到着直後に、ロンドン西南西近郊1時間の 英国女王陛下の夏の居住地ウィンザー城からの南へ30分のビスリー陸軍基地に自動車で 行ってきました。電車で行けば、ロンドン中心のWaterloo駅から48分ほどのBrookwood駅(Woking駅から一つ目) に着いてタクシーで入ることもできます。入場料が7ポンド必要です。
    ここは広大です。そして、英国ライフル協会の本部だけではなく、非常に沢山のライフルクラブのハウスが並んでいます。

    ビスリー基地内のクラブハウス多数、ライフル協会本部、売店(Gunshop Fulton, NRA直営の土産と弾薬店)の配置

    射場の配置図を下に示します。STICKLEDOWN RANGE というのが1200ヤード(1.1km)×50的あるスティックルダウン射場です。 CENTURY RANGE は600ヤード×108的あるセンチュリー射場です。
    1的で3人をイギリス方式では撃ちますから、それぞれ、1回に150人、324人が撃てます。

    Range_Arrangement_Bisley


  9. ビズリーでの見聞要約
  10. ビズリー基地で見聞したことを要約すると、

    Gate_Bisley ビズリー基地の入り口の看板
    左の道が入り口、右の道が出口
    この写真は通りがかった射手に取っていただきましたが、彼が言うには、「驚いたな。日本では銃は完全にBangged(禁止)されていると思った。 射撃をする人がいるんだね。ピストルが英国では3年前に禁止されたけど、日本のようになるぞって言っていたんだ」
    日本の射手は絶滅したと世界中から思われないためにも、ライフル射撃の交流を進めなくてはいけませんね。

    Gate_Bisley_NSRA 右の看板はビズリー基地内の案内図
    左奥の建物は、英国小口径ライフル協会の本部。英国ライフル協会の傘下で、エアライフルや小口径ライフル、ピストルを統括し、オリンピックへの選手へ派遣を行っています。
    参考ウェブ : The National Small-bore Rifle Assoc.

    New_Pistol_Range 今年出来たばかりの25mピストル射場
    ビズリー基地は、2002年を目標に設備を増設中である。ピストル射場の他に2人部屋が1階に56、2回に35部屋ある宿舎、 電子標的を備えた、1階が50m×72射座、2階が10m×50射座あるISSF競技用の射場、 トラップ・スキート用射面が合計4つあるクレー射場を作る。
    また、既に電子標的を備えた300m×20射座の射場をセンチュリー射場の左側に建築済である。彼らは、ISSFスタイルの 300m射撃を「スイス・マッチ」と呼ぶ。


  11. スティックルダウン射場(Stickledown Range)
  12. ビズリーには数え切れないくらいの様々な射撃場があります。どの射場も整備が行き届いています。 射場の規格としては、少々古くさくなってきていますが、前述の2002年完成の計画が 完了すれば、オリンピック射撃としては、電子標的のライフル(10m,50m,300m)、ピストル(25m)、クレー射場(Trap,Skeet)が出来ます。

    ビズリーで見た射場は、新と旧ピストル射場、もうひとつの新ピストル射場、エアライフルのフィールドターゲット射場、ランニングディアとランニングボアの射場、300m×20射座の射場、600ヤード×108標的(最大324射手可能)のセンチュリー射場、そしてパルマの会場となる 最大1200ヤード(射座は、800、900、1000、1100ヤードにもある)×50標的(最大150射手可能)のスティックルダウン射場である。その他にも、リトルシベリア射場や陸軍の練習射場、旧のスモールボア射場などがある。

    Stickledown_wind_flag c4に会う前日の夕方19時頃の最大1200ヤードを誇る、スティックルダウン射場
    地上5mの高さに3角形の風旗がある。この風旗の読みが勝敗を握る。ただし、国毎に風旗の形は違い、吹き流しのような形をしていることもある。
    英国が強いのは、大会同時期の開催射場に数年前から射手とスポッター(観測手)を送り込み、気象と着弾の記録を付けたデータを作成するからといわれている。それを指揮しているのが、c4なのである。
    いかにも粘り強く、緻密な英国人らしい話である。
    次回のパルマは、英国の圧勝であろう。なにしろ、ここビズリーでしょっちゅう練習していて気候や風を知り尽くしているのだ。
    犬を連れて散歩していた人が風旗をずっと観察していた。射手であろう。私も同じ事をしていたから。 この人物の左に並んでいる杭に標的番号が書いてある。

    英国には、ビズリー以外にも1000ヤードの私有地内の射場が多数あるらしい。その他、陸軍の1000ヤード射場としては、 ランカシャーのアルトカー(Altcar, Lancashire)と、スコットランドのバリーバデン(in Scotland at Barry Budden)の2ヶ所にある。 またイスレイ(Isle of Iskay)には私有であるが2500ヤード射場がある。c4に言わせると、「なにを撃つためかは謎」 という射場だがもっともだ。約2.2km先をどんな銃を使って、何を撃つのであろうか。

    Stickledown_FiringPos_Step 1100ヤードの射座の30的から50的方向を見たところ。ビズリー名物の白い時計台が見える。
    この射場の特徴は、射座に高低差があることである。即ち、左手の第1的から50的にかけて約50cm〜1mの階段状に射座が並んでいる。1ステップに5〜8 的くらいである。即ち、3mくらい50的の方が高いため、 50的の方が風が強くなり不利である。c4も右ほど難しいと言っていた。彼は、試合では当然右の方で撃っていた。

    Stickledown_1200 スティックルダウン射場の最遠方1200ヤード(約1100m)の射座から標的方向を見たところ。
    この射座は20射座(60射手)分が30〜50的まで並んでいる。さすがにこの距離では、 .308Winでは苦しく、6.5×284などのより強力な弾薬を使う。この右手にトラップやスキート射場が作られる。


  13. Palma Rifle, ライフル、弾薬
  14. パルマ マッチに使う銃は、Palma Rifle と言えば、Commonwealth(英語圏、旧大英帝国領土)圏内で通じます。仕様は、下記の通りです。

    Ms_Doran_from_GPalmaアメリカの女性射手 ドラン シュエルさん。
    パルマ マッチのフォーラムに掲載されたものです。
    サムホール付のストックを使っています。着弾を記録するノートを記入しています。

    Palma_Rifle
    イギリスの協会長、c4所有のパルマライフル。アクションはどこのモノかは不明。リアとフロントサイト、トリガーはRPA製。JHC製のビポッドを付けている。ストックは木製のカスタムストック。

    GeminiStock_from_CenterShotSports RPA製アクションにジェミニのスタンダード用ストックを付けたパルマライフル。センターショットスポーツのウェブから引用。JHC製のビポッド。
    イギリスの試合ではアルミストックは見かけませんでした。

    WaltherStock_from_GPalma ワルサーストックを付けた例。パルマのフォーラムより。バーナードアクション、バリヤードの銃身、RPA製のリアサイトとフロントサイト。

    US Goddwill Team to British Columbia パルマのフォーラムより。豪州遠征の米国チームの集合写真。前列右端2名のストックはジェミニ製のアルミ

    Gilkes Ross Aluminum Stock and Action ガンスミス、ギルケ・ロスのウェブより。独特の形状をしたアルミストック


  15. ISSF 300m射撃用ライフルのパルマライフルへの転用
  16. 300m用フリーライフルやスタンダードのパルマ マッチへの転用ですが、精度さえ気にしなければ、 6.5kg以内,トリガー1.5kg以上で、バットプレートをスタンダード用にすれば使えます。
    1000ヤード先で超音速を保てる銃口部での弾速 2850FPS =870m/s以上 が155grHPBTで出ているか 弾速計と弾道ソフトでチェックして下さい。この速度が出ないようだと、銃身長30インチ/13インチツイストに 銃身交換が必要です。

    アクションは、レミントン700以上のしっかりしたボルトアクションなら使えますので、 日本のライフル協会で活動している人の銃なら大丈夫です。

    リアサイトはアンシュッツなどでは、横風による偏移を調節しきれない、 といわれました。ワーナーやRPAなど調節幅が大きいものに交換しないと 難しいそうです。まだ,手元に実物がないので、どんなサイトレールに適合 するか分かりません。

    フロントラダーサイトがないと、こまめにチークピースをリアサイトの高さに合わせて調整 する必要があります。その時、姿勢が崩れないようにする必要もあります。また、通常の300mやSB用のサイトでは、練習の100ヤードや200ヤードから1000ヤードまでの上下調節が、高さが変えられるサイトブロックを使ってギリギリできるか、どうかというところです。したがって、フロントラダーサイトは、長距離射撃では必須装備です

    Illustalation of Ladder Sights from OK weber left Is for Palma and right Is for AR15

    また、リアのピープホールと目の中心を合わせるために銃を傾けていると、距離が変わると、 上下だけでなく左右も弾着が変わります。2発しか試射できないパルママッチでは不利です。 サイト軸線が銃身軸線の真っ直ぐ上で平行になるように構えるよう、 チークピース周りを変更する必要があります。距離を変えて撃つライフル射撃競技では、銃を傾けていけません。

    AbshuetzStock1913?from_Gpalma アンシュッツのフリーライフルストックを使った例。パルマのフォーラムより。


  17. パルマ マッチの標的
  18. パルマ マッチは、米国NRAルールに定める、LR規格の標的が使われます。 標的の大きさは黒点が8点圏、直径44インチ(約110cm)です。

    撃つと観的手がマーカーを当たったところに付け、点数を的枠周辺に 赤いマーカーで示して、いったん下げた標的を上げてきますので、 それをスコープで見て点数と着弾点を判断します。
    着弾点を示すマーカーは黒点内なら白色,白紙上なら黒色です。
    点数を示すマーカーは

    PalmaTargets_from_BillPoole 1000ヤード射撃場の観的壕と標的。
    ビル プール氏のウェブより
    左の標的は、弾着が10点(下の真ん中の赤いマーカ)の12時(黒点内の白いマーカ) であることが示されている.
    左から3番目の標的は、赤いマーガが右上にあるので、0点、即ち標的外に着弾したことを示す。
    10秒間、標的は上げて射手やコーチに弾着と点数を示したら、 また下げられて、治痕紙が貼られて上げられて撃たれるのを待つ。
    採点を行う審判長も壕内にいるため、多くの人がいることに注目

    銃身のところで述べたとおり、Sierra の弾道ソフトで計算してみました。

    155grHPBT を,300mでゼロインして 2950fps(899m/s) で撃ち出すと、 1000m先で、1209cm降下し、1.8秒後に着弾します。この12mもの ドロップ量に比べると300mは直射です。チャレンジしがいがあります。

    風を走るくらいの強さ(時速15km/h)で横に吹かせると、 1000m先では約1m,7点圏に飛びます。意外に少ないと思います。 サイト移動量は0.1mmです。やはり10点をいくつ撃つかの勝負だと思います。 ちょっと風が吹いたら、枠外というのはないと思います。
    パルマの練習には、22LRでの練習が大事だと言われています。50mでもいいのですが、 100mや150mでの練習が効果的です。米国では、100mでの22LRの競技が パルマ マッチの廉価版で行われています。


  19. 英国流1000ヤード射撃の運営
  20. 米国式の運営では、1人が1標的をうち、標的下ろして上げて段着をマーカーで示して貰い、 スコープで覗いてメモを取って、標的が下がって上がったときに風などのタイミングをみて 撃つことが出来ます。
    英国式の運営では、3人が1つの標的を、1人持ち時間45秒で左から順に撃って,弾着を観測して、次の人が 撃っていきます。場所のと時間の節約にはなりますし、多くの人がほぼ同じ時間に撃つので 公平性が高いのですが、45秒で必ず撃たなければならいので、風などの具合によってはとても難しいのです。
    c4は英国式に誇りを持っているようでした。

    Lovely_Woman_Shooter 今日は寒いのに、どうして美人は肌を露出したがるのでしょうか。短めのジーンズに裸足で髪が長い女性射手。 女性も数多く参加していました。16名のパルマ マッチ団体代表射手のうち、2、3名は女性が入ります。
    よく見て欲しいのですが、全ての射手が手元にノートを置いています。天気、気温、風向、風速、そして弾着を 一発毎にメモしているのです。

    c4_on_Fire英国ライフル協会の会長が、 自分も昨年1999年に引き続き代表選手になるべく第2ステージの900ヤードを撃っています。右から3番目の人物です。 手元の木製の小物入れには,c4とマジックで殴り書きしてあります。私と試合の射座移動中に話していると、 「c4、今日は調子はどう?」 と通りかかる人々が聞いてきます。近年になく当たっていなかったそうです。でも、皆同じさ、と答えていました。
    ザッとビスリー基地の案内をc4から受けましたが、周辺の森は危険地域として立入が禁止されているため、自然も保護されているそうです。 そういえば、ウィンザー城の周辺もこんな森でした。また、c4がいうには砂金民間人のピストルの所持が全面禁止されBanged)、警官と軍人 だけになってしまい、ピストル選手の養成が難しくなってしまったそうです。ただ、 銃身が長いピストルは民間人でも所持できるため、銃身の長いピストルでライフル並の距離を撃つ 競技が英国内で流行っているそうです。ワルサーGSPのロングバレルってそのための銃なんですね。

    標的を示す杭の間に3人が並んで、一組となって撃っています。
    c4の左側の人物の青いズボンはビニール合羽です。少々寒いせいもあります。 雨でも試合は露天射場ですが中止になりません。だから、RPAクアッドロックのアクションは、 耐候性が考慮されているそうです。

    Fire_OverView射座を50番から1番の方向へ見たところ。 今日は約200人が射手として参加しているそうです。
    1番の方向に行くに従って階段状に下がっています。風のコンディションが一定ではないのです。 赤いバックの後ろに立っている緑色の人物が後述の副射場長。

    Three_Brothers右端の看板には「900yards」(約800m)とかいてあります。
    ここは、スティックルダウン射場の右端で、一番高いところです。即ち、一番風が強く当たって難しい。
    右端の3人は兄弟だそうです。後ろにいたお母さんと話をしました。「今日は調子が悪いわ。風がホラこんなに難しいでしょ。」 と射手ではないけど、よく風旗の見方が分かっていらっしゃる。母は偉いですね。5mほど上空にある風旗は、 風が不規則に吹いたり止んだり方向が変わっているのを示していました。

    Woman_Range_Officer 右手に観的壕との交信用のトランシーバー、耳にはイヤーマフラー、レインコート兼用のオーバー、足にはゴム長靴、 胸にはNRAのバッジ、Yシャツにネクタイで若い射手やおじさん達をどやしつけながら、 試合進行をしていた副射場長のオバサン。日本にも、こういう逞しい人が沢山いるよな。
    あっ、深谷雅子さんの事じゃありません。

    Woman_Winner_NRA_Millenium_Meeting 2000年6月の NRA Millenium Meeting で優勝した Miss Jo Hossack を担いで、ビスリーの時計塔の周りを練り歩く。パルマのフォーラムより。

    英米の長距離ライフル射撃の試合では、このように、優勝者を銃を持たせて椅子に座らせて参加者が 御神輿のように担いで練り歩く習慣があるようです。よくこの手の写真を見ます。

    日本でもやればいいのに。

    Woman_Winner_NRA_Millenium_Meeting2 上と同じく Miss Jo Hossack の御輿が 英国ライフル射撃協会の建物に着いたところ。パルマのフォーラムより。

    楽しそうですね。Joの右足の辺りを担いでいる下を向いている男性は英国ライフル射撃協会会長のc4によく似ています。まぁ、見上げることはできんわな。

    いつか、日本でもこんな光景が見られるといいですね。


  21. 先込式ライフルで1000ヤード射撃!
  22. ビズリー基地に29日に着いたとき,最初に目を惹いたのが、射座に駆け寄って寝転び、撃つと モウモウと煙を上げて、また後ろに駆け戻り棒で銃口をつついている人達でした。近くにいた人にあれは 「Muzzle loaderか」と聞くとそうだと言います。カタログでは見たことはありますが、実物、ましてや撃っているのは初めて見ました。
    驚いたことに800m先の黒丸周辺に着弾しています。一番最初の100年前のPalma Match はMuzzle loaderで、 長距離射撃をしたのですから当然と言えば当然です。ライフル銃は、100年前に技術的には完成し、 真鍮薬莢の発明を経て、今に至るモノなのでしょう。

    Fire_Muzzle_Loader 発射の瞬間、音は308よりも大きい。白煙はご覧の通り。

    Running_Muzzle_Loader 3人で一つの標的を撃つ限秒射撃だから走り込むんでしょう。
    撃って、別の人に点数と着弾位置を教えて貰いながら、 銃腔を拭き取り、火薬を流し込み、紙でドングリ型の弾頭をお尻から包んで、洗い矢でトントンと詰めて、 と忙しそうです。

    Muzzle_Loader 先込め式ライフル(Muzzle Loader)の写真です。照門が思い切り上げられ、頬付けが上に外れないように、 皆、ストックに布を縛り付けています。布がアジャスタブルチークピースです。
    これで、700m,800m、900mを試射2発本射15発で撃っていくのです。


  23. 終わりに - パルマ トロフィーマッチに行こう! -
  24. Palma_Emblem

    日本には、1000ヤード射場はおろか、自衛隊の演習場を除くと、民間人が使える300mでさえ、インドアが長瀞に1ヶ所、屋外が北海道に1ヶ所だけです。 c4と話をしていると、熱心な民間人がライフル射撃を発展させ、軍や警察はそのれを援助しその成果を 取り入れるという考え方をしています。日本も予算を節約することを考えると そうならなければいけないのではないでしょうか。

    現状では、パルマ トロフィーマッチを目指す日本人は海外に練習に行かなくてはなりません。幸い、時間さえあれば、今はエコノミーチケットが安いので、 費用面からは大きな国内遠征5回分くらいで海外に行くことが出来ます。練習と国際試合を上手く組めばいいのです。

    ライフル射手なら皆分かるでしょうが、1000ヤードの練習を最低5日×遠征2回はしなくては 標的にすら当てることは出来ないでしょう。しかし、今の我々の経済力なら、 個人で費用を賄うことができると思うのです。

    今まであったスイス、オランダ、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツのライフル射手は、 男も女も良い奴等ばかりです。スポーツマンて良いな、と思える連中です。世界には我々の 受け入れ態勢が出来ているのです。パルマ トロフィーマッチの関係者は日本からの出場を今か次かと 心待ちにしてくれています。15年経った今でも、1985年にオーストラリアで 1000ヤードを撃った日本人射手たちの素晴らしい能力が噂に残っているのです。

    問題は、我々の組織です。自費で遠征費用を賄う自立心があって関心のある方は、 櫛風沐雨までご連絡下さい。 共に頑張って、2003年のイギリス、2007年のカナダのパルマ トロフィーマッチに出場し、上位に食い込んでみましょう。 そして、大和魂を持った日本人射手は絶滅なんぞしていないことを世界に見せつけなくてはいけません。


  25. パルマ トロフィーマッチ紹介ビデオのダウンロード
  26. 百聞は一見に如かず。米国の友人から送っていただいた、1999年南アフリカ共和国開催のパルマ トロフィーマッチ選手団派遣の米国パルマ推進委員会の資金募集ビデオです。 射手やライフル、標的交換の様子をご覧下さい。再生には、Real Player ver.8 が必要です。"うげげ"氏のご協力により提供します。

    パルマ トロフィーマッチに行こう!


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