e-mail 版 三月書房販売速報(仮題)
旧号合冊 第6B冊[56号〜60号]
通巻051号 2001.10.15発行 通巻056号 2002.05.06発行
通巻052号 2001.12.10発行 通巻057号 2002.06.18発行
通巻053号 2002.01.10発行 通巻058号 2002.07.31発行
通巻054号 2002.02.10発行 通巻059号 2002.09.16発行
通巻055号 2002.03.10発行 通巻060号 2002.10.19発行
※各号の最終版を一部修正して掲載しました
  ※非営利目的の転送は歓迎します
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三月書房販売速報[056]  
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2002/05/06[04-04-56]  (c)SISIDO,Tatuo     

     e-mail版 三月書房 販売速報(仮題) 056号
     
      ※いちおう出版業界向けに制作してます※
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[#00] パソコンが不調でかなり間が空いてしまいました。定期的に発行
   するつもりはぜんぜんないのですが、いちおう月に一度は発行し
   たいと思っています。パソコンは2年前に買った安物で、どうも
   ADSLの常時接続にはパワーが不足らしく、セキュリティーの
   常時監視ソフトを入れてからはいつも不安定でした。それにして
   もパソコンも生き物だなと思うのは、ここ1月ほどファンがうな
   りっぱなしで、しょっちゅう強制終了したり、セーフモードになっ
   たりしていたのが、どこも治していないのに、新しいパソコンの
   見積書をメールで発注したとたんに機嫌良く動き出したことです。
   ちかごろネズミを捕らなくなったが歳かしら、と悪口をいうとす
   ぐに捕ってくる、というよくある猫話にそっくりです。
   
   4月から火曜日を定休にして1月過ぎましたが、下水工事の臨時
   休業が1日余分にあったにもかかわらず、前年同月に比べて店頭
   現金販売はわずかに数万円ですが、とにかく増えてましたから、
   けっこうなことでした。なぜこんな簡単なことに、もっと早く気
   がつかなかったのか、いまとなると不思議です。土曜日曜祝日が
   繁盛する傾向は、この連休中さらに顕著になってきて、6時閉店
   予定が、連日7時過ぎにまで遅れています。次は週休二日とか平
   日の営業開始を1時間遅らせてるとかの研究を始めたほうがいい
   かもしれません。なにしろ少々売上が増えたといってもしれたも
   ので、バイトすら雇えるような状況にはほど遠いので、のんびり
   無理せずに働くのが一番ですから。
   
   きっちりとした定休日ができたので、ワールドカップまでに久し
   ぶりに東下りして、<ゾッキ本>の聖地巡礼に行く予定です。ちょ
   うどお向かいには鈴木書店の遺跡もありますが、東下りするのは
   鈴木書店の元会長のお葬式以来です。ほんとはジュンク堂の「バ
   ベルの塔」あたりを見学すべきなのでしょうが、新刊屋よりも神
   田の古本屋のほうが好きなので、たぶん行く暇はないでしょう。
   それよりも1500坪級のブックオフとかダイソーを見学したい
   ような気がします。京都にはどちらも100坪級しかありません
   から。今回は日帰りですが、<ゾッキ本>の仕入れが電車賃に見
   合うだけの値打ちがあるようなら、毎月とか隔月とかに東下りし
   たいと考えています。


[#01] 最近売れてるような気がする本

 ◆「(歌集)梅園」小池純代 思潮社
 ◆「ゴーシュの肖像」辻征夫 書肆山田
 ◆「川瀬達郎今様花伝書」 新潮社
 ◆「現代詩手帖4月号:特集・谷川雁」 思潮社
 ◆「中井英夫全集:黒衣の短歌史」 東京創元社
 ◆「ときめきJAZZタイム コンプリート」ラズウェル細木 英知出版
 ◆「やっぱり京都人だけが知っている」入江敦彦 洋泉社
 ◆「吉本隆明のメディアを疑え」 洋泉社
 ◆「別冊太陽:川瀬達郎四季の花手帖(1)」 平凡社
 ◆「夢ムック:岡崎京子」河出書房
 ◆「天国」安部慎一 ワイズ出版
 ◆「銭金について」車谷長吉 朝日新聞社
 ◆「暖炉」野溝七生子 展望社
 ◆「BOOKISH 1:特集稲垣足穂」 ビレッジプレス
 ◆「2マイナス2号:特集ドラッグ」 ステュディオ・パラボリカ
 ◆「東京喫茶店案内」沼田元氣 ギャップ出版
 ◆「なぜ『丘』をうたう歌謡曲がたくさんつくられてきたのか」
   村瀬学 春秋社
 ◆「老いの手前にたって」芹沢俊介・米沢慧 春秋社
 ◆「チェーホフ 短編と手紙」山田稔編 みすず書房
   大人の本棚シリーズは地味渋味なのにどれも意外によく売れてる。
   売れてると言ってもせいぜい3〜6冊程度ですが。
 ◆高野文子の「黄色い本」がたくさん売れていることは前号に掲載済
  みですが、この本につられて過去の本が全部売れ始めています。最
  近新刊が出ていなかったので、旧刊を揃えていない書店が多いらし
  いおかげです。いまどき感心なことに、どこの社もこの数年間在庫
  を切らしたことはないのですが。
  

[#02] これから売れそうな気がする本

 ◆「自伝と回想」杉浦茂 筑摩書房 ※入荷済
 ◆「モモタロウは泣かない」永井陽子 ながらみ書房
 ◆「『書く』ということ」石川九楊 文藝春秋
 ◆「緑の資本論」中沢新一 集英社
 ◆「夢ムック:白洲次郎」河出書房 ※入荷済
 ◆「ディープコリア2002(仮題)」根本敬
       ブルース・インターアクションズ
 ◆「一日一書」石川九楊 二玄社
 ◆「整体入門」野口晴哉 筑摩書房(文庫)
 ◆「琉球共和国」竹中労 筑摩書房(文庫)
 ◆「京都人だけが食べている」入江敦彦 WAVE出版


[#03] 「販売年報(仮題)」発行のお知らせ

   前号でお知らせしましたように、紙の「販売情報(仮題)」を改
   題年刊化した「販売年報(仮題)」をやっと4月に発行しました。
   従来の倍の8頁になったのでかなりめんどうでしたが、それなり
   に業界向け宣伝物としての役に立ちそうなので、しばらく続けて
   みるつもりです。毎年2月か3月には出したいものですがあてに
   はなりません。
   
   主な内容は
   「2001年の概況」(略)

   「店頭現金販売指数:1993〜2001」
     100→104.5→99.4→110.7→105.7→98.4→98.3→108.1→107.4
     となっていて、ようするにプラマイ5%程度の幅でほぼ横這い
     が続いている。

   「2001年出版社別総合売上冊数☆TOP50」
     53号にて上位10社を速報済みです。以下では13位の砂子
     屋書房、15位の猫々堂、18位のリブロポート、20位の新
     学社、23位の短歌研究社、24位の短歌新聞社、26位の雁
     書館あたりが、世間では少し珍しいでしょう。
     
   「たいへんよく売れた本:1年間のTOP20」
     53号にて10位まで速報済み。
    
   「返品率について」
     これは1993年以来の書籍と雑誌の年別返品率。書籍は20
     %弱だが雑誌は30%くらいもある。これはやたらにムック類
     とか創刊雑誌が来るからだ。売上比率は書籍9の雑誌1くらい
     だから総返品率は常備抜きで22%程度とまずまずである。
     
   「かなりよく売れてる本」(略)
   
   「2001年の『吉本隆明』本」
     ちかごろはシリーズものが数種あるため、発行点数は24点も
     あった。最高は「心とは何か」の79冊。
     
   「2001年の三木成夫の本の売上」
     亡くなって10年近く、最近は新刊が出てないのにいまだに安
     定して売れ続けている希有な本ばかり。
     
   「2001年の現代短歌の本の売上」
     『出版社別』ランキングでは砂子屋書房が343冊で圧勝。
     『現代短歌関係書の売上TOP19』では「永田紅:日輪」が
     61冊で一位。ただし累計では1999年に出た「河野裕子:
     家」が75冊、「齋藤史:風翩翻」が73冊。
     
   「人智学関係書の売上」
     全体としてはたくさん売れたが、あまり強力な新刊が出なかっ
     た。基本書に絶版が目立ち、やや過渡期的な印象が強かった。
     ネット通販がなければかなり落ち込んでいただろう。
     
   「2001年のネット通販」(略)
   
   「ペヨトル工房の本の売上」
     「ペヨトル興亡史」に載せたデータの続き。「興亡史」刊行以
     来、さらにペヨトル本の売上が増加したことがわかる。
     
   「新本特価について」(略)
     
   ※この「年報」は返信用封筒をお送りくださった出版社様にのみ送
    付しています。書店の方は出版社の営業の人にコピーをもらって
    ください。「無断複写&配布大歓迎。無断転載は不可」です。


[#04] お知らせ

   あいかわらず各種の雑誌などに店の紹介記事を載せていただく機会
   が増えています。
   
  ●装苑5月号 本の特集頁に「恵文社一乗寺」「メディアショップ」
         「紫陽書院」さんと紹介されてます。
         (文・恵文社 堀部篤史さん)
         「装苑」などという雑誌を開いたのは生まれて始めて
         のことで、洋裁雑誌という先入観があったため場違い
         に違いないと思っていたら、何かよくわからない雑誌
         になっていて、それほど場違いでもないようだった。
         
  ●別冊山と渓谷 ヤマケイ関西2002/02「京都北山*比良山」
         取材に来られたとき何の関係があって載せてくれるの
         かさっぱり見当がつかなかったが、「山岳書が充実し
         ている本屋さん」のとこに混ざっていた。
         「吉村大観堂」山岳書が豊富なことで定評ある古書店。
         「文祥堂」は山の本に強かった「海南堂」が閉店した
         ので、その変わりに在庫を増やされたそう。
         うちは辻まこと関係の本が揃っているというだけの理
         由で選ばれたようで、ちょっと得した気分。
         
  ●季刊 本の永遠「ブッキッシュ1号」 ビレッジプレス
         「彷書月刊」のスタイルを狙うと聞いてました。よう
         するに前半が書誌関係の特集記事で後半が古書店の目
         録広告。そこにうちはただで載せてくれるということ
         でしたが、いくら古書店が好きとはいっても、そんな
         ややこしいことはしたくないといったら、新刊屋は別
         立てだということだったのでお願いしました。「恵文
         社一乗寺」、「タコシェ」、「ナワ・プラサード」、
         「ピースランド」、「模索舎」と一緒に半ページづつ
         新刊案内を載せてもらってます。
         この宣伝効果はまだ不明ですが、創刊号の稲垣足穂の
         特集はたいへんに読み応えがありよく売れています。

  ●「やっぱり京都人だけが知っている」入江敦彦著 洋泉社新書
         同じ著者のよく売れた「京都人だけが知っている」の
         続編。「本屋」の章に「恵文社一乗寺」やたくさんの
         古書店と一緒に取り上げて貰ってます。とくにこのメ
         ルマガの「<天に唾する>京都の書店のうわさ」を大
         傑作とほめていただきました。残念ながら今回もこの
         コーナーはネタ不足でお休みですが。

  ●ペヨトル工房の西部講堂大イベントにて出張販売します。
         ネットでは公開できないレア本も出品予定です。
         詳しくは下記の案内をごらんください。
===================================================
 ペヨトルイン西部講堂2002★メモリー
"""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""
 【会期】2002年5月11日(土)/12日(日)
 【時間】 11日/PM4時〜9時 *終演後、朝までヴィデオ上映会
      12日/PM5時〜PM10時まで     
 【会場】 京大西部講堂
 【入場料】 1日券3000円、通し券5000円/定員各日500人限定
 【チケット取り扱い】
 *専用オンライン申し込みフォーム(推奨!) ↓
 http://thought.ne.jp/cgi-bin/csvmail+no/csvmail+no.html
 *チケットぴあ発売中 http://t.pia.co.jp/  
 (「ペヨトル」で検索してください)
 *三月書房、アルケミーブックストア(ともに京都)
 【出演】
 abe"M"ARIA/浅野つかさ/池宮中夫/角 正之/DJ SASUKE
 丹野賢一/野村 誠 /畠山直哉 /藤本由紀夫 /森村泰昌 with見崎
 典洋+PETER GOLIGHTLY+ELIZA+SPIRTEK+ 砂連尾理+寺田みさこ
 *12日のみ、笠井叡/チルドレン・クーデター/田中 泯 (予定)
 飛び入りスペシャルゲストあり。その他、若手アーティスト多数。
 【主催】ペヨトルイン西部講堂2002実行委員会
 【お問合せ】 電話 075-752-0340
       メール peyotlfan@thought.ne.jp
 【参照】 ペヨトルイン西部講堂2002臨時WEB
 http://www.yo.rim.or.jp/~hgcymnk/peyotl/index.html

=====================================================
  ペヨトル☆レトロスペクティブ
""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""
 −ペヨトル・イン・西部講堂2002関連企画−
 ウルトラポスターハリスターコレクション展vol.4

 【会期】2002年5月3日(金・祝)〜13日(月)
 【会場】京都芸術センター/カフェ・アンデパンダン/
 アスタルテ書房/パララックス・レコード/etw(エトワ)/
 ほんやら洞/ZAPPAほか多数
 http://www.yo.rim.or.jp/~hgcymnk/poster/index.html

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三月書房販売速報[057]  
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2002/06/18[04-05-57]  (c)SISIDO,Tatuo      

     e-mail版 三月書房 販売速報(仮題) 057号
     
      ※いちおう出版業界向けに制作してます※
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[#00] ワールドカップがけっこうおもしろいので仕事がはかどりません。
   ただ残念なのは、実況と解説が三流なことで、カモ某とかオカダ
   某の解説はつまらなさすぎます。ストイコヴィッチ氏とかベンゲ
   ル氏が通訳無しでしゃべれるといいのですが、日本語による国際
   水準の解説は、中田英氏の引退を待つしかないのかもしれません。
   もちろん日本のサッカー・マスコミの水準が上がらないかぎり、
   中田氏が引き受けない可能性が大きいことは言うまでもありませ
   んが。
   
   店の売上は5月まではそこそこ好調でしたが、6月に入ってから
   はほんの少々不調です。しかしこれはW杯とは関係なくて毎年お
   なじみの傾向です(12月〜5月がよくて、6月〜11月がよく
   ない)。予選のベルギー戦もロシア戦も営業時間外でしたし、チュ
   ニジア戦のときは営業中でしたが、少し来客が途絶えた程度で、
   あまり売上には響いていないようです。なお、W杯便乗出版物の
   売れ行きについては、うちの店にはその手の本や雑誌の配本が、
   幸いなことにほとんどないので、ぜんぜんわかりません。
   

[#01] 最近売れてるような気がする本

 ◆「『書く』ということ」石川九楊 文藝春秋
 ◆「一日一書」石川九楊 二玄社
 ◆「京都人だけが食べている」入江敦彦 WAVE出版 
 ◆「パンツが見える」井上章一 朝日新聞社
 ◆「未知の言葉であるために」川野里子 砂子屋書房
 ◆「リサ伯母さん」山田稔 編集工房ノア※入荷済
 ◆「米沢時代の吉本隆明 6」齋藤清一・編集/発行
 ◆「吉本隆明が語る戦後55年 8」 三交社
 ◆「百珠百華」塚本邦雄 砂子屋書房
 ◆「自伝と回想」杉浦茂 筑摩書房
 ◆「ナルシスの祭壇」 山本タカト E.トレヴィル(発売・河出書房)
 ◆「海の空虚」石井辰彦 不識書院
 ◆「花束で殴る」藤原龍一郎 柊書房
 

[#02] これから売れそうな気がする本

 ◆「日本精神分析」柄谷行人 文藝春秋
 ◆「老いの流儀」吉本隆明 NHK出版
 ◆「岡本太郎の東北」岡本太郎A 毎日新聞社※入荷済
 ◆「自由の哲学(文庫版)」シュタイナー 筑摩書房
 ◆「文壇アイドル論」斎藤美奈子 岩波書店
 ◆「歩く仏像」渡辺松男 雁書館※入荷済
 ◆「ブント書記長 島成郎を読む」 情況出版※入荷済
 ◆「豪定本ディープコリア」根本敬 B.I.A.※入荷済
 ◆「吉田健一 友と書物と」清水徹編 みすず書房※入荷済
 ◆「現代思想の遭難者たち」いしいひさいち 講談社※入荷済
 ◆「たましいの場所」早川義夫 晶文社
 ◆「旅のなかの旅」山田稔 白水社
 ◆「土方巽を読む」清水正 鳥影社
 ◆「佐伯俊男初期作品」青林工藝舎
 ◆「須賀敦子のトリエステと記憶の町」岡本太郎B 晶文社
 ◆「だれも書かなかった部落(3)」寺園敦史 かもがわ出版
 ◆「戦争とプロパガンダ(2)」サイード みすず書房
 

[#03] 東下りの記

   去る5月7日の定休日に日帰りで東京へ行きました。結論からい
   うと、1泊するよりも日帰りの方がうんと楽なようでした。3泊
   とか4泊できるのならともかく、1泊だけだと誰彼と遅くまでお
   酒を飲むことになり、その翌朝に帰るのはかなり疲れます。誰彼
   とお酒を飲まないのなら、ほとんど泊まる意味もないですし。
   
   8時すぎに家を出て、昼前にお茶の水に着き、鈴木書店の廃墟を
   ちらと見てから八木書店で1時間ほど仕入れ。ここは5年ほど前
   に冷やかしてみたことはありましたが、仕入れに行ったのは初め
   てです。5年前はもっとムックや実用書類が多かったような記憶
   があったのですが、現在はうち向きの本が多くなったような感じ
   でした。毎月の目録に載らなくなった在庫僅少品を少々ゲットで
   きたし、目録だけでは見当のつかなかった本の現物も確かめられ
   たので満足しました。ここには毎月行くほどのこともなさそうで
   すが、2、3ケ月に一度くらいは足を運ぶ値打ちがありそうです。
   
   すずらん通りの「はちまき」とかいう江戸前天ぷら屋にて昼食。
   昼食にはお酒を飲まないことにしているので、ビールでも飲めば
   もっとおいしいだろうにと思いつつ食べたのでちょっと不満。
   
   書肆アクセスを見学しましたが「半畳日記」刊行前だったので、
   ここで仕入れができるとは知りませんでした。気になる本がたく
   さんあったので、次回は仕入れもしたいような気もしますが、重
   たい本を持ち歩くのもいやなので、知らない方がよかったような
   気もします。この「半畳日記」は界隈の食べ物屋案内としても役
   立ちそうなので、次はこれで勉強して昼飯屋を探すつもり。なお
   店長さんはご不在でした。
   
   神保町の古書店を何軒か回りましたが、雨がひどくなり傘を開け
   閉めするのがめんどうなので打ちきって、予定を早めて出版ニュ
   ース社へ。今年1月からコラムを書かせてもらってるので、清田
   編集長を表敬訪問。居心地が良かったのでついつい長居をしてし
   まい、雨も激しいままだったので、今回は1500坪クラスのブッ
   クオフとかダイソーの探索は中止にして、水道橋から池袋のジュ
   ンク堂へ。
   
   旧知の福島君が外遊中だったので、田口さんに珈琲をごちそうに
   なる。主に自由価格本の情報交換。新刊屋の人とゾッキ本の仕入
   れについて話ができたのは始めてでうれしかった。ジュンク堂そ
   のものは広すぎてよくわからないので見て回りませんでした。ど
   うせ1時間や2時間では何もわからなくていらいらするばかりで
   すから。あれだけ広くて多階に分かれていると、お客として何回
   も利用しない限り、全体の情況を把握することは難しいでしょう。
   
   池袋から中央線で東京駅へ戻り、夕食の駅弁を購入したが、土佐
   の地鶏弁当というのはあまりおいしくなかった。それにしても、
   弁当屋が何10軒もあり目移りすることはなはだしいが、次回は
   おいしい弁当を引き当てたい。7時台の電車に乗り帰宅は11時
   前だった。次回は7月の終わりか、8月初めの予定です。


[#04] <天に唾する>京都の書店のうわさ(その26)

  ○久しぶりですが、あいかわらずたいしたネタはありません。

  ○少々音楽雑誌を置いているので書店関係といえないこともない、
   河原町ビブレ地下1階と2階のヴァージン・メガストアが閉店を
   発表しました。京都から完全撤退なのか、いずれどこかに移転す
   るのかはまだ不明です。
   レコード業界の構造不況は出版業界どころではないようで、今後
   もあまり景気のよい話は聞けそうにありません。もはや物品とし
   てのCDにこだわっているのは、中年以上のLP世代ばかりで、
   カセット・ウォークマン以後の世代は、ジャケットやライナーノ
   ーツには関心が少なく、音楽さえ聴ければ、MDでもCD−RO
   Mでも音楽ファイルでも気にしていません。
   ヴァージンでは最高80%オフの閉店セールをしているのですが、
   若い人たちは割引のない新譜コーナーにしか興味がないような感
   じです。
   LDは完全に終了しましたが、DVDの寿命も長くはなさそうで、
   その次かその次の次ぎには、本格的なブロードバンドの時代にな
   るでしょうから、いわゆるレコード店はマニア向けの中古ショッ
   プを除いて全滅することになるでしょう。ハードやソフトの技術
   革新に振り回されているレコード業界に比べれば、ハード不要の
   出版業界は落ち目とはいえ、まだ当分は安泰でしょう。
   
  ○前号に大きく載せていただいた、毎日ムック「書店大活用術」の
   2002年版が出ました。京都市内で今号に大きく載っているの
   は、茶道関係の河原書房、佛教関係の谷書店、建築関係の大龍堂
   書店の3店です。うちも小さく載せていただいてます。
    <毎日ムック・アミューズ編 
     「2002年版 知を鍛える書店の大活用術」
              毎日新聞社発行 1429円>
   

[#05] ペヨトルイン西部講堂2002★メモリー

   このイベントは5月11日と12日に無事開催されました。
   うちの出張販売も20万円以上売れて順調でした。
   興業そのものは、11日が90%の入り、12日は札止めという
   大盛況だったのですが、なぜか大赤字だったとのうわさです。お
   そらく内容のわりには入場料の設定が安すぎたのでしょう。した
   がって観客はみな満足して帰られたようです。このイベントの模
   様が今月、NHK−BSの深夜番組で放送されるらしいのですが
   まだ日時は不明です。ちょっとインタビューも受けたのですが、
   どうせ映っても一瞬でしょう。

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三月書房販売速報[058]  
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2002/07/31[04-06-58]  (c)SISIDO,Tatuo      

     e-mail版 三月書房 販売速報(仮題) 058号
     
      ※いちおう出版業界向けに制作してます※
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[#00] 今年もずるずると半年過ぎましたが、上半期、うちの店の総売上
    (図書券を除く)は前年比10万円少々の増加でした。いくらう
    ちの売上規模が小さいとはいえ、これではコンマ以下もいいとこ
    ですが、とにかくプラスです。店頭現金販売もわずかですが1.8%
    ほど伸びてましたから、このデフレ状況下ではまずまずでしょう。
    とくに、4月から火曜日を完全定休日にしたのに、ぜんぜん売上
    が落ちなかったのはちょっと予想外でした。営業時間が12%減
    ですから、店頭販売は3〜5%くらい減少してもしかたないと考
    えていたのですが、まったく減らなかったということは、通りが
    かりの飛び込み客が、火曜日あたりはほとんど皆無だったという
    ことなのでしょう。
   
    ネット通販は昨年上半期に比べると20%ほど伸びてはいますが、
    同下半期に比べると1%の減少なので完全に伸び悩みです。それ
    でもこの7月は、久しぶりに金額も件数も月間記録を更新しまし
    たから、今後も少しは伸びが見込めるでしょう。それよりも伸び
    が著しいのが新本特価の売上で、昨年上半期と比べて127%増、
    下半期と比べても25%程の増です。まだまだ売上の1割にはほ
    ど遠いですが、利益率が高いので、そちらでは1割くらいになっ
    ているかもしれません。ただし、在庫が2000冊になり、今後
    も仕入れを続ける限りは増加が確実ですから、置き場所がいよい
    よ不足しそうです。しかし、在庫の増加を避けると、売上が先細
    りになる構造ですから、当分は気にせずに仕入れ続けるしかあり
    ません。結局、古書店のように倉庫があるわけではないので、販
    売価格を下げて、回転をよくするのがたぶん正解なのでしょう。
    少々販売価格を下げても、売れてさえくれれば、再販商品よりは
    はるかに利益率が高いですから。
   
       
[#01] 最近売れてるような気がする本

 ◆「清陰星雨」中井久夫 みすず書房
 ◆「ルドルフ・シュタイナー 100冊のノート」高橋巌訳 筑摩書房
 ◆「現代思想の遭難者たち」いしいひさいち 講談社
 ◆「(歌集)歩く仏像」渡辺松男 雁書館
 ◆「ブント書記長 島成郎を読む」 情況出版
 ◆「シュタイナー学校の音楽授業」ムーヘ 音楽之友社
 ◆「文壇アイドル論」斎藤美奈子 岩波書店
 ◆「アナイス・ニンの少女時代」矢川澄子 河出書房
 ◆「少年あります。鈴木童話店」鈴木翁二 流星舎
 ◆「同和利権の真相」別冊宝島Real 宝島社
 ◆「中村哲さん講演録:平和の井戸を掘る」ピース・ウォーク京都
 ◆「着物リメイク」 日本ヴォーグ
 ◆「佐伯俊男初期作品」青林工藝舎
 ◆「ユリイカ7月号 特集・高野文子」青土社
 
 ◆「吉本隆明資料集(24)」猫々堂
 ◆「吉本隆明全講演ライブCD(4)」
 ◆「吉本隆明が語る戦後55年 別巻:高度資本主義社会」 三交社
 ◆「老いの流儀」吉本隆明 NHK出版
 ◆「資料・米沢時代の吉本隆明(7)」斎藤清一
   あいかわらず「吉本」本が多いですが、けっこうよく売れてます。
   とくにライブCDは9000円もするのに脱落者が少なくて、
   どの巻も20冊以上売れてます。このCDとか猫々堂とか米沢時
   代は、ネットで売ってる書店がほとんどないようなので、定期予
   約のお客も少なくありません。CDの40%位、猫々堂や米沢で
   30%位が通販ですが、NHK出版など、ふつうの流通本の場合、
   通販はせいぜい10%くらいです。
   
   
[#02] これから売れそうな気がする本

 ◆「グーグーだって猫である(2)」大島弓子 角川書店
 ◆「一杯の珈琲を飲むためだけに行きたくなる
   札幌・小樽カフェ喫茶店案内」沼田元氣 ギャップ出版※入荷済
 ◆「(歌集)芥子と孔雀」富小路禎子 短歌研究社※入荷済
 ◆「シュタイナー用語辞典」西川隆範 風濤社※入荷済
 ◆「シュタイナーを学ぶ本のカタログ」ほんの木※入荷済
 ◆「戦下のレシピ」斎藤美奈子 岩波アクティヴ新書
 ◆「岡崎京子研究読本」太陽出版
 ◆「つげ義春1968」高野慎三 ちくま文庫
 
 ◆「トムズボックスの本 30種類ほど」武井武雄ほか※入荷済
   トムズボックスとやっと連絡がとれて、ほぼすべての本を揃える
   ことが出来ました。なかでも武井武雄本はネットでも問い合わせ
   が多かったのに断り続けていましたから、これからたくさん売れ
   るでしょう。
   (トムズボックスの在庫リストはうちのHPをごらんください)
   
   
[#03] 1月から6月の出版社別の売上冊数 TOP10
   
    01 岩波書店   前年同期比9%ダウン
    02 筑摩書房   同16%アップ
    03 講談社    同8%アップ
    04 ペヨトル工房 同50%アップ
    05 小沢書店   同124%アップ
    06 新潮社    同19%アップ
    07 平凡社    同17%アップ
    08 中央公論新社 同22%アップ
    09 京都書院   同4529%アップ
    10 河出書房   同4%アップ
   
   ペヨトル、小沢、京都書院等「消えた出版社」の本がますます好
   調です。これらがなければうちの店も、世間同様に下降していた
   であろうことが確実です。一見すると筑摩、新潮、平凡、中公、
   河出は順調に増加しているように見えますが、実はここらの社の
   増加分には時限再版による新本特価の分が含まれています。おそ
   らく文庫新書を除くハードカバー類の、3%〜20%くらいを占
   めているでしょう。
   なお、ペヨトルと京都書院は大部分が旧定価販売ですが、小沢書
   店はすべてが特価本です。結局上記の出版社で特価と縁がないの
   はいまのところ講談社と岩波だけです。(いずれ岩波のショタレ
   セールを実施したいのですが、まだその時期ではなさそうです。
   講談社はほぼ全点フリー入帖してくれるので、ショタレセールの
   必要はまったくありません。返品不能品の特価販売については、
   「汚損本」ということなら現行の取り扱い基準でも可能なはずで
   すし、紀伊国屋さんが検討中という記事も、以前に業界紙で読ん
   だ記憶がありますから、いずれは可能でしょう)
   
   なお、今年上期の売上冊数トップは、京都書院の「旅する少女の
   憩い(沼田元氣)」94冊、2位は講談社の「黄色い本(高野文子)」
   61冊でした。まだ集計が終わっていないのでよくわかりませんが、
   3位はペヨトル本か吉本隆明本あたりのようです。
   

[#04] 雑、雑、雑、雑、……

  ○教養文庫の社会思想社が倒産しました。ときどき珍しい文庫が出
   て面白かったのですが、ちかごろはほとんど新刊が出ていないよ
   うでした。唯一画期的な出版物として、「横山源之助全集」があ
   りましたが、3冊ほど出ただけで中絶してしまいました。これの
   編集がどこまで進んでいたのかは知りませんが、どこかがぜひ引
   き継いでいただきたいものです。2000年大晦日の朝日新聞読
   書欄の業界人アンケートに出してもらいましたが、「今年最も印
   象に残った本は?」という項目があり、わざわざ本ではなくて
   「横山源之助全集の内容見本」をあげました。まだ刊行前だった
   のですが、この内容見本だけでもよい資料になると思ったのです。
   ほかの方々のように「停電の夜」だとか「東電OL」だとかを推
   薦するような素直な人間ではないといえばそれまでですが、ひょっ
   としたら完結しないかも、という気がしないでもなかったからと
   いうような記憶がないでもありません。
   
  ○7月初めの定休日に、三宮へ行って来ました。サンパルのジュン
   ク堂の跡に入店した古書店が面白いらしいと聞いたので行ってみ
   たのですが、伊勢のほうに本店がある「超書店 まんよう」とか
   の支店で、なかなかけっこうな店でした。とにかく量があり、9
   5円コーナーもさすがにブックオフの100円コーナーよりは充
   実していました。その分掘り出し物は少なそうでしたが、雑書を
   探すのにはなかなかよさそうです。古書店は何らかの専門店を別
   にすると、ある程度見やすく整理され、とにかく広くて量がある
   のが、いちばん面白いようです。残念だったのは、以前はワンフ
   ロワーを占めていた、「サンパル古書の街」の参加店が減少して、
   別の階のごく狭いところに、わずか数店が残っているだけになっ
   ていたことです。ここの古書街とか、梅田や難波の古書街のよう
   なものが京都にもできるといいなと昔は思っていたのですが、も
   うだめでしょう。それにしても、三宮はセンター街もかなり寂し
   い状態でした。火曜日だったためかもしれませんが、夕方の6時
   台でも人通りがまばらで、駸々堂が消えたセンタービルなどは、
   大阪駅前第1〜4ビルやゼスト御池などと同じような寂れ方でし
   た。古書店とレコード店以外にはあまり興味がないので、ジュン
   ク堂はちらとしか見ませんでしたから、とくにどうという感想は
   ありません。なお、後日に配信された「本のメルマガ」にて「三
   宮ブックス」がよいと南陀楼センセが書いておられましたが、こ
   の時はこの店の存在を知りませんでした。
   
  ○共同通信の取材を受けた記事が配信されました。名古屋の「ちく
   さ正文館書店」及び、東京の「往来堂書店」とご一緒でした。6
   月26日に沖縄タイムスに掲載されたのを、沖縄の某出版社さん
   がFAXしてくださいましたが、いまのところその他の新聞には
   掲載されていないようです。
   
  ○ほんの木から「シュタイナーを学ぶ本のカタログ」(2400円)が出
   ました。シュタイナー関係の入手可能な本212冊を1頁に1冊
   づつ、書影写真入りで紹介したたいへんに便利な本です。この本
   には、うちの店のホームページでも通信販売しているとの紹介を、
   わざわざ載せていただきました。ごくごく少し編集のお手伝いも
   しましたが、無料で宣伝していただいてありがたいことです。こ
   のカタログ本が売れて、うちの店の売り上げも増えるといいので
   すが。
  
  ○1号がよく売れた「ブッキッシュ2号」が出ました。今回はアナ
   イス・ニン特集です。前回同様にうちの店の「新刊セレクト」を
   載せていただきました。今回のほかのメンバーは「書物の森」、
   「模索舎」、「タコシェ」、「のまど」、「ピースランド」です。
   さすがにこの手の書店の売れ行き良好リストは面白くて参考にな
   ります。なお「タコシェ」さんもうちと同様に新本特価を始めら
   れたようで1冊載ってます。ビレッジプレス発行 700円。
   
  ○今回も「<天に唾する>京都の書店のうわさ」はネタがないので
   休載です。大阪の某販促会社が送信してくださる「■■■関西書
   店情報■■■」というメルマガにも、ここしばらく京都関係の情
   報が何も載っていないようですから、平穏無事なのでしょう。こ
   こ数年の閉店ラッシュのおかげで、京都の書店業界がある種の平
   衡状態に達したのだといいのですが。
   

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三月書房販売速報[059]  
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2002/09/16[04-07-59]  (c)SISIDO,Tatuo      

     e-mail版 三月書房 販売速報(仮題) 059号
     
      ※いちおう出版業界向けに制作してます※
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[#00] ちくま新書の「長期停滞(金子勝)」という本によると、現在は
   長期停滞期のおよそ10年目あたりらしく、この先、さらに落ち
   込むことはあっても、80年代のような好景気が来る見込みは、
   ず〜っとないそうです。もしこの予想通りに長期停滞が長引くと、
   これは江戸時代後半以来のことになります。ちかごろ、職人とか
   着物とか町屋とか和食とか有機農業とか温泉とか夫婦別姓とかが
   人気ですが、きっとどこかで関係があるのでしょう。江戸時代の
   ように、50代で隠居できるようになるといいのですが。
   
   「週刊文春」9月19日号には、預金封鎖と新円切り替えの予測
   記事が出ています。さらに個人金融資産を一律カットして一挙に
   財政赤字を処理するかもとありますが、いくら何でもそんな荒技
   は現在の政府には不可能でしょう。しかし、封鎖と新円だけでも
   アングラマネーやタンス貯金をあぶり出すことは可能ですから、
   それだけでもかなりの税収になるでしょう。戦争直後にも新円切
   替がありましたが、その時の話は内田百間や野坂昭如などで少し
   学べます。彼らの本がちかごろ復刊されつつあるのも、何らかの
   潜在意識が働いているのかもしれません。だれでもすぐに思いつ
   く対策は、タンス貯金を500円硬貨か外貨に両替しておくらい
   のことですが、当然その程度のことは当局も知っているでしょう。
   商売人としては、新円切替後も価値が落ちず、うまくいけば上が
   りそうな商品を仕込んでおくのが本筋ですが、新刊屋では再販制
   もあってうまい方法がなさそうです。やはりこういう混乱期は古
   書店のほうが有利に違いありません。平凡社ライブラリーの反町
   茂雄「一古書肆の思い出」が参考になるはずです。
   
   それはともかく、メジャーな週刊誌に預金封鎖の記事が出るよう
   では、いよいよ先送り政策も終点に近づきつつあるのでしょう。
   出版業界でも、銀行がほんの少し貸し渋ったり、貸し剥がしたり
   したら、すぐにこけそうな出版社や取次や書店が少なくないはず
   です。「出版ニュース」の中旬号に連載しているコラムで、ごく
   ささやかな「危機管理」ネタを書くことにして、2、3の出版関
   係者に当たってみましたが、いまだに業界にはほとんど危機感が
   ないようでした。この「危機管理」ネタは9月10日発売号に掲
   載済みです。
   
   
[#01] 最近売れてるような気がする本

 ◆「吉本隆明資料集(25)」猫々堂
 ◆「吉本隆明が語る戦後55年(09)」 三交社
 ◆「胸中にあり火の柱:三浦つとむの遺したもの」 明石書店
 ◆「精神医療 27号」吉本隆明ほか 批評社
 ◆「三田文学 夏号:特集吉本隆明」三田文学会
 ◆「シュタイナー用語辞典」西川隆範 風濤社
 ◆「シュタイナーを学ぶ本のカタログ」ほんの木
 ◆「戦下のレシピ」斎藤美奈子 岩波アクティヴ新書
 ◆「札幌・小樽カフェ喫茶店案内」沼田元氣 ギャップ出版
 ◆「(歌集)エトピリカ」小島ゆかり 短歌研究社
 ◆「短歌この騒がしき詩型」岡井隆 短歌研究社
 ◆「(復刻)ジュルナール律」塚本邦雄ほか 冬花社  
 ◆「(歌集)日付のある歌」河野裕子 本阿弥書店
 ◆「(歌集)北部キャンパスの日々」永田紅 本阿弥書店
 ◆「富小路禎子の歌」今井恵子 雁書館
 ◆「(歌集)嬬問ひ」高島裕 ながらみ書房
 
 
[#02] これから売れそうな気がする本

 ◆「(対談)呪の思想」白川静&梅原猛 平凡社 ※入荷済み
 ◆「文字講話(1)」白川静
 ◆「京都人だけが食べている その2」入江敦彦 WAVE出版
 ◆「喫茶店大百科図鑑」沼田元氣 ギャップ出版
 ◆「横浜おでかけガイドブック」沼田元氣 青山出版社
 ◆「家族の時間」佐伯裕子 北冬舎 ※入荷済み
 ◆「シュタイナー仏教論集」西川隆範 編訳 アルテ
 ◆「可愛がられるために来た」松井るり子 学陽書房


[#03] <天に唾する>京都の書店のうわさ(その27)

  ○寺町の電気屋街に信長書店というのが出来ました。綾小路通りの
   角で元電気店のビルを改装した4階建てです。各階50坪くらい
   でしょうか。大阪日本橋などに6店ほどあるチェーン店のようで
   す。メインは圧倒的にアダルト系で、写真集、コミック、文庫、
   ビデオ、DVD、ゲームソフト、同人誌、グッズ?と揃っている
   ようですが、この手のジャンルには不案内なので品揃えについて
   は批評できません。場所柄パソコン関係書はかなり揃っているよ
   うでした。ほかにビジネス書や一般雑誌がそれなりにありますが、
   一階の隅っこに「一般文芸書」という棚が1本だけあったのが笑
   えました。コミック類は周辺の談や喜久屋やアニメイトと、パソ
   コン関係書は上新電機とニノミヤ無線の書籍売場と競合すること
   になるのでしょう。アダルト物はどこと競合するのか不明です。
   
  ○ブックストア談が親会社のポーラ化粧品のリストラ策の一環とし
   て、全店が文教堂の子会社になると業界紙に出てました。屋号の
   変更については未定のようですが、文教堂の支店は京都でははじ
   めてのはずです。京都の談は今となってはごく小さな店ですが、
   たしかグループでは最初の店でした。他店にかなり先駆けて、コ
   ミック専門のフロワーをこしらえたり、店の一部を古書店に委託
   して併売してみたりして、なかなか面白い店でした。3階にアニ
   メイトが入店していたこともあります。80年代終わりに、ジュ
   ンク堂が数軒東にできましたが、共存にも成功していたようです。
   文教堂のことはぜんぜん知りませんが、きっと商売上手なつまら
   ない店になってしまうのでしょう。なお、談のグループ(エイシ
   ン)は「出版ニュース」最近号によると、昨年度の売上75億円
   台で、全国36位となっています。
   
  ○大垣書店が烏丸三条西北角の一階に200坪強で出店するそうで
   す。烏丸通りはもともと河原町通りに比べて書店が少ないので、
   充分商売になるでしょう。10年前だと、丸太町角のアオキ書店
   から仏光寺角の大貴書店までの間には一軒もありませんでした。
   その後、三条西入るに明治書房、東入るあたりにアルケミーBS、
   四条角地下に熊沢書店が出来ましたが、烏丸の路面店は初めてで
   す。しかし、烏丸は銀行、証券、保険の、金融関係の支店街で、
   現在は整理統合中のため虫食い状態が激しく、また後背地である
   室町も構造不況から脱出の目がまったくありません。したがって
   大垣の出店は烏丸よりも、ちかごろ景気がよい三条通りの人出を
   あてこんでいるのかもしれません。斜め向かいの新風館にはヴィ
   レッジ・バンガードも入っています。なお大垣書店は現在17店
   舗で、先の「出版ニュース」によると売上28億円台で全国85
   位となっています。これは京都の地場書店としては1位です。2
   位は20億円台のふたば書房で全国117位。
  
  ○京都新聞が毎週「京都の本の文化はいま」というコラムを連載中
   です。最初は出版社関係などでしたが、12回から15回までの
   4回は新刊書店でした。とくに目新しい話はありませんでしたが、
   大龍堂さんがほぼ毎日メルマガを出し続けて千号を越えてるとい
   う話は、感心するしかありません。それからうちと同じ回に載っ
   ている恵文社一乗寺店が、80坪に7人のスタッフを置いている
   というのが、いまどきぜいたくですごいと思いました。数百坪の
   店に社員が一人とか半人(掛け持ち)で、あとはバイトやパート
   ばかりという、いまはやりのローコストオペレーションとは正反
   対です。これなら大型店に負けなくても当たり前でしょう。もっ
   ともこの記事には、7人の雇用形態は書いてなかったので断言は
   できません。なお16回からは古書店の部になっています。
    

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三月書房販売速報[060]  
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2002/10/19[04-08-60]  (c)SISIDO,Tatuo      

     e-mail版 三月書房 販売速報(仮題) 060号
     
      ※いちおう出版業界向けに制作してます※
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[#00] 「ハリー・ポッター4」は初回230万組とのことですから、全
   国の書店数が2万店とすると、1店平均約110組ということに
   なります。あるいは全国の書店売場面積を100万坪強とすると、
   坪当たり2組ちょいということになります。うちの店は10坪で
   すから20組前後は売るべきなのでしょうが、申し込んだのは僅
   かに3組だけです。書店の中には仏教書とか建築書とか法律書と
   か医学書とかの専門店もありますから、ゼロの店も少なくないか
   もしれませんが、それでも3組というのは全国でも最下位クラス
   でしょう。獲得した事前予約者は1名だけです。
   
   別に販売を拒否しているわけではないのですが、3巻目が5冊程
   度しか売れていないので、今回は買い切りということもあって3
   組が妥当なとこです。もともと世間のベストセラーはぜんぜん売
   れないのでいまさら驚くことではありません。これがうちの店の
   規模や立地から見た本来の実力であり、ご近所相手にふつうにやっ
   ていたらとっくにつぶれていたことが確実という、わかりやすい
   例のひとつです。うちのお客はわざわざ遠方から来てくださる方
   が大部分なので、こういうどこでも買える、重たい本は見向きも
   されません。
   
   230万組460万冊もの本を、一日で売り出すのは業界始まっ
   て以来のことらしくて大騒ぎですが、そのしわ寄せがその他の本
   の配送にかぶって来そうで心配です。例えばアスキーの吉本隆明
   新刊は、23日頃に取次搬入と聞いていますが大丈夫でしょうか。
   こちらは40組予約しました。この本の新刊配本は数日後になる
   ので大丈夫だとしても、来週の注文品はきっとべた遅れになるこ
   とでしょう。
   
   発売日以前に書店に搬入することになるため、協定日厳守という
   ことで、業界全体がピリピリしているようです。取次協会からの
   文書によると、違反した場合は「静山社様及び取次各社にお詫び
   文を持って訪問していただきます」とありました。これがどの程
   度の抑止力のあるペナルティなのか、あるいはフライング販売す
   ると大儲けできるのかどうかについてはまったくわかりません。
   
   業界紙によると「東京都書店商業組合青年部は10月8日、…、買
   切・通常正味という取引条件について、発行元の静山社に抗議す
   ることを決めた。」そうですが、少し遅すぎたのではないでしょ
   うか。こういう交渉は予約を集める前にするべきもののような気
   がします。ちょっとだけ自慢しておけば、8月中旬に出た「出版
   ニュース」のコラムにて「5%くらい下げる余地があるのでは」
   と指摘しておきました。
   
   
[#01] 最近売れてるような気がする本

 ◆「(対談)呪の思想」白川静&梅原猛 平凡社
 ◆「家族の時間」佐伯裕子 北冬舎
 ◆「たましいの場所」早川義夫 晶文社
 ◆「(歌集)恋愛譜」小林久美子 北冬舎
 ◆「山河慟哭」前登志夫 小沢書店
 ◆「林静一 叙情の世界展(図録)」制作・大塚巧藝社
 
   1〜9月の売上(図書券を除く)は前年比4000円のマイナス
   ですから、完全に横這いですが、何となくやや下降気味な感じで
   す。「売れてるような気がする本」もあまり見あたりません。
   
   
[#02] これから売れそうな気がする本

 ◆「超『戦争論』上・下」吉本隆明 アスキー・コミュニケーション
 ◆「贋世捨人」車谷長吉 新潮社
 ◆「(歌集)〈テロリズム〉以後の感想/草の雨」岡井隆 砂子屋書房
 ◆「(歌集)キンノエノコロ」前田康子 砂子屋書房 
 ◆「ひきこもれ」吉本隆明 大和書房
 ◆「夏目漱石を読む」吉本隆明 筑摩書房
 ◆「(歌集)春疾風」花山多佳子 砂子屋書房
 
 
[#03] Amazon.co.jp.の和書バーゲンについて

   「新文化」のサイト記事によると「アマゾンジャパン、非再販本
   の販売を開始。10月15日から『バーゲンコーナー』を設置し、24
   社の非再販本60点を販売。今後も常時50点以上をラインアップす
   る予定。」とのことです。

   ネット通販専門書店の新本特価販売はこれが初めてではありませ
   ん。BK1が青弓社他の「謝恩セール」を実施していたことがあっ
   たはずです。しかし常設コーナーはたぶんはじめてでしょう。ネッ
   トでの特価本の販売では、うちのほうが2年近く先行しています
   が、当然のことながら、売れ筋はほとんど重複しないでしょう。
   アマゾンのラインアップを見ると、辞典、学参、趣味、実用書、
   エンターテイメントなどが中心で、ひところダイエーなどのスー
   パーがよくやっていた特価本セールと似たような感じです。うち
   の店と重複する本は筑摩書房や新潮社の数冊だけのようでしたし、
   それもどちらかといえばあまり売れ行きがよくない本ばかりです。
   販売価格はうちと同じで、50%引きが大部分のようです。もち
   ろん送料はあちらのほうがはるかに安いですが。
   
   特価本は注文を受けてから1冊づつ仕入れるわけには行きません
   から、アマゾンあたりがサイトに載せるには、おそらく最低でも
   各百冊は在庫がいるでしょう。うちの場合だとよく売れている小
   沢書店の本でも最初は多くても10冊がいいとこですし、追加は
   1冊から仕入れています。そのかわり現在の扱い点数は500種
   以上はあるでしょう。アマゾンがうちと同じ特価問屋から仕入れ
   ているのか、出版社から直で仕入れているのかは不明です。しか
   し、この売り方だと、出版社から直で仕入れることも可能でしょ
   うし、利益率もよいでしょう。
   
   ちかごろネット書店の競争が激化しつつあり、アマゾンとBK1
   は1500円以上送料無料とか、紀伊国屋が年会費を撤廃とか、
   なかなか凄いことになってきています。うちは送料は高いですが、
   ネットで売れるのはよそでは扱ってなかったり、仕入れに時間が
   かかったりする本ばかりですから、大きな影響は受けないはずで
   す。特価本もネットの主力商品の一つですが、アマゾンのような
   売り方相手なら棲み分けは完全に可能です。むしろ出版社の特価
   本に対する考え方が積極的になるよいきっかけになるのではと期
   待しています。
   
   
[#04] <天に唾する>京都の書店のうわさ(その28)

  ○新刊屋に関しては何もネタがありません。

  ○アミューズ編「神田神保町古書街ガイド 2002〜3年」は、
   神保町全ファイルのほかに、おまけとして「中央線古書店探訪」
   と「京都の古書店」がついています。京都の古書店がこんなに特
   別扱いを受けるのは、他地方の古書店が目録やネットに重点を移
   しつつある中で健在ぶりが目立つからでしょう。
   取り上げられているのは、洛中の部が平安堂書店、京阪書房、ア
   スタルテ書房、文苑堂書店、藝林荘。洛東の部が竹岡書店、水明
   堂、中井書房、書肆遅日草舎。叡山本線の部が書肆梁山泊、あー
   す書房、福田屋書店、山崎書店、欧文堂、萩書房2。(文苑堂書
   店さんと、藝林荘さんはうちと同じ商店街です)。
   全店店主の写真とインタビューつきですが、どなたさんもみな濃
   いいキャラが感じられて愉快です。こういっては何ですが、多店
   舗展開している新刊書店の店長さんたちの写真やインタビューで
   は、ちっとも面白くならないでしょう。
   京都駅前のように新刊書店の面積ばかり広くても、まともな古書
   店が一軒もないようでは、いつまでたっても魅力的な街にはなり
   ません。河原町三条あたりもレコード店の元気がなくなり、散歩
   の楽しみが減りつつありますが、古書店が変わらずにあることだ
   けが救いです。
   

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