e-mail版 三月書房販売速報(仮題)
旧号合冊 第1冊[01号〜10号]

テスト版0の0号(01号) 1998.11.27発行 テスト版006号 1999.02.21発行
テスト版0の01号(02号) 1998.12.14発行 テスト版007号 1999.03.15発行
テスト版増刊号(03号) 1998.12.28発行 テスト版008号 1999.04.01発行
テスト版004号 1998.01.11発行 テスト版009号 1999.04.15発行
テスト版005号 1998.01.31発行 テスト版010号 1999.05.07発行
※各号の最終版を一部修正して掲載しました   ※非営利目的の転送は歓迎します
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三月書房販売速報(仮題)総目次へ

三月書房販売速報[001]    
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  1998/11/27 [00-00-01] SISIDO,Tatuo

   e-mail版三月書房販売速報(仮題)テスト版 0の0号

                    ver.1.03(1998/12/14)最終版
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(#00) これはとりあえずでっち上げたテスト版です。
    当初の送付先は10名程度です。
    気が向かれたら、お知り合いの出版業界の人に転送してください。
    転送を受けられた方は、末尾のアドレスまでメールをくだされば、
    次の号より直接送信します。

  (#00.02) 送信ご希望のアドレスは、会社のものか個人のものかにつ
        いて、なるべくお知らせください。

    何分にも、メールを始めたばかりのため、
    まだどういうふうに続くことになるかは不明です。
    あまりあてにせずに次号をお待ちください。
   

(#01) 毎日グラフ アミューズの12/9号(11/25発売)の
    特集「書店から学ぶ書棚整理」に、三月書房が丸1ページカラーで
    載ってます。同誌の人気特集の古書店特集ほどはおもしろくないで
    すが、ご覧ください。
    記事中、三木成夫の「ヒトのからだ」を300部売ったとあるのは、
    100部以上売ったの間違いです。
    三木の本で300部近く売れているのは「胎児の世界」で、
   「海・呼吸・古代形象」も230部ほど売れています。


(#02) 小沢書店の新刊、吉本隆明と小川国夫の「宗教の論理」は、対談
    5本中4本が再収録の旧作というつまらない編集で、新刊案内には
    少しもそんなことが書いてなかったのでがっかりした。
    これはあまり売れそうにない。

 (#02.03)12/14現在まだ9冊しか売れていない。20人以上が買いかけて
     止められた。 
     筑摩書房の「父の像」は2カ月で50冊と、順調に売れている。


(#03) 先の小沢書店の本、くれぐれも新刊配本をしてくれるように頼んで
    おいたのに、注文扱いにされたために、入荷が数日遅れた。
    日販の係りの話だと、支払い条件の関係で、そういうことをする
    出版社が、増えているそうだ。
    新刊配本でも、注文扱いでも、書店としては実際上、何の違いもな
    い。取次と出版社間の支払い条件はかなり違うらしいが迷惑な話だ。
    ゆまに書房の「塚本邦雄全集」の第1回配本も、その手を食って
    しまい、まだ入荷しない。日販は次回からは、定期配本にしたいと
    言っていたがどうなるか。
    わざとかどうかは知らないが、定期配本のあとで、同じものを重複
    して、注文扱いで送って来た出版社もあった。
    やはり、不景気のせいなのだろうか。

 (#3.02)この件については、早速某出版社氏から、新刊配本はどこに何冊
     配本されたかわからず、配本リストを希望すれば、1件5000
     円も大取次から取られる。注文なら、確実に届くと考えていたか
     ら、とのメールが来ました。
     また、「塚本全集」は二日遅れで入荷しました。
     この全集は1冊一万円近いにもかかわらず、事前予約が7冊あり、
     最終的には10冊を越えそうです。    


(#04) 河原町オーパ、オープン1週間目の日曜日に見学に行ったが、入場
    制限の大混雑だった。ただし、想定客層の若い女性以外の中老年男
    女が大量に来ていたが、こういう人々の大部分は、二度と行かない
    だろう。

    オーム社書店は、心斎橋オーパの紀伊国屋書店のスタート時に比べ
    ると、うんとおしゃれで、場違いではない店になっていた。専門書
    はほとんどなく、たとえば人文書はわずかに12段、しかも、4段
    は大川某や桐山某の新宗教関係で、横に並ぶバタイユが気の毒だっ
    た。

    ヴィレッジヴァンガードは、初めて見たが、噂に聞く本店とは違っ
    て、10坪程度の狭さだから、お客で身動きできず、よくわからな
    かった。ごちゃごちゃと雑貨があり、本も少し置いていた、という
    印象しかない。
 

 (#おまけ00.02)「現代詩手帖12月号」の川端隆之の連載「詩人になる
     方法」の第11回が、いかに近頃、詩集が売れないかというこ
     とについて、経費も含めて、きわめて具体的に記されています。
     思潮社の発行でも、100部以下しか売れないのがふつうらしい。
     にもかかわらず、詩集を出しさえすれば、簡単に売れて儲かって
     しかも有名になれると信じている、おめでたい詩人が、いかに多
     いかということも、詳しく書かれています。

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三月書房販売速報[002]    
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1998/12/14 [00-01-02] SISIDO,Tatuo  

    e-mail版 三月書房 販売速報(仮題)テスト版 0の1号
                                 
                     ver.1.03(98/12/30)最終版
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[#00] 前号は20名ほどに送信してみましたが,返信があったのはおよそ半
    分でした。そのほかに,誰かから転送を受けたからと言って来られた
    のが3名ありました。皆さんが,あっちこっちに転送してくだっさっ
   ているようですが,いまのところ登録読者数は20名弱です.あまり
   増えても面倒だけど,もう少し多くてもいいような気がしますのでよ
   ろしく.今のところ,正規登録読者には特典がありませんが,そのう
   ち何か思いつくかもしれません。


[#01]近ごろ売れているような気がする本
 
    このコーナーは販売データの細かい数字は抜きにして,何となく売
   れているような気がする本の速報です。正確なデータは月末に締め
   て,一週間以上かけてぼちぼちと集計していますから速報性はあり
   ません。そちらの方は、従来通りに「販売情報(仮題)」紙にて,
   てきとーに発表します。

 ▼「骨董鑑定眼」青山二郎著 角川春樹事務所刊
   ランティエ叢書の1冊。小沢書店の文集は高価だが,延べにすれば
   20冊位売れている。これはその抜粋だから売れて当然だ。

 ▼「鈴木翁二のマンガ:3種類」北冬書房ほか刊。
   近年は新刊がなく,在庫切れ寸前の2〜3点しかなかったのに,こ
   こ数カ月間に3点も刊行された。ごく少数だが常に読者がつくから,
   品切にさえならなければ,ロングセラーはまちがいない。

 ▼「借家と持ち家の文学史」西川裕子著 三省堂刊
   この本の徳富蘆花だったか尾崎紅葉だったかのあたりに,三月書房
   が出てきます。もちろん、このことは好調な売れ行きとは何の関係
   もない。

 ▼「こころの旅人深沢七郎」田中眞壽子著 虚無思想研究会扱い
   夏頃に「深沢七郎の世界」という書名で200部のみ自費出版され、
   うちが直扱いで10冊売った以外はほとんど市販されず、一瞬のう
   ちに売り切れた本の増補改訂版である。今度は500部製作したそ
   うだが、これもすぐに売り切れるだろう。定価は500円上がって
   本体2500円になった。

 ▼(1.01)近頃なぜか、吉増剛造の本が新旧問わずよく売れる。永田耕
   衣がよく売れているのは、「部長の大晩年」のお陰に違いないのだ
   が、吉増の方はいまいち理由がわからない。


[#02] ほぼ毎週1回,日販の西日本流通センター(NDC)まで、電車を
   乗り継いで仕入れに行っているが、どうも近ごろ、仕入れに来てい
   る書店が、少なくなったような気がする。いつも2時前後に到着し、
   受付で入場証を貸与されるのだが、その先着順の番号が、以前は大
   体30〜40番台だったのに、この秋は20番台が多く、先週の12
   月4日はついに12番になった。どうやらよその書店は人を減らし
   すぎて、仕入れに回す人手がないのか、あるいは仕入れを抑制しよ
   うとしているのかどちらかだろう。まさか、交通費がもったいない
   というほどではないと思うが,景気が悪いからといって,仕入れの
   手を抜いたら、ますます売上が落ちるだけだろう。

   とここまで書いた後,11日にまたNDC行ったのだが,番号が一
   桁になっていたのなら,話の流れとしてよかったのに,どこかの図
   書館の団体が来ていたりして,残念ながら31番だった。この件は,
   もう少し様子を見た方がいいだろう。

   (1.01) 17日にも行ったが30番だった。
   (1.02)24日は23番だった。

   そういえば、今回の不況をず〜っと前からトレンドとして先取りし
   ていた、あのセゾングループのリブロつかしん店に*谷君という社
   員がいたが、5年以上前のある日、NDCで顔を合わせたことがあ
   る。驚いたことに、その日はつかしんの定休日だったのに、彼は自
   主的に仕入れに来ていた。もちろん、休日出勤でもないし、交通費
   も自腹のようだった。彼の曰く、勤務日は仕入れに来る暇がないし、
   自分の本も探したかったからとのこと。大企業のサラリーマンがサー
   ビスでそんなに働いたら、零細自営業者が迷惑するというようなこ
   とを言ったような記憶があるが、あのころから、リブロはもう余裕
   がなかったのだろう。もちろん*谷君が少し変人だっただけかもし
   れないが。

[#03] アバンティブックセンターが改装したので見てきた。全体の広さは
   同じだから、什器類が新しくなり、コミック売り場が新設された以
   外は、たいして前と違わないような気がする。めったに行かないか
   ら、専門書の品揃えが変わったのかどうかはわからない。もとあそ
   この責任者だった故栗栖君は、コミック売り場は作りたくないと言っ
   ていたが、お客からすれば、コミックも買えた方が便利だろう。今
   のところポリ封してないから、立ち読み客でごったがえしていたが、
   あれでは買いたい人も棚に近づけないから、いずれポリ封するか、
   売場を広げるかすることになるだろう。


[#]おまけ
  
 (1.01)
   あるお客さんの話によると、岩波書店のやや若い知人が、リストラさ
   れそうだと、青くなっているとのこと。いよいよ岩波も本気でリスト
   ラをするのかもしれないが、外から見ている限りでは、解雇を考える
   前に、人件費や経費の抑制をする余地が、まだあるように見えるのだ
   がどうなのだろう。なお、うちの店の広辞苑の売れ行きは予想の範囲
   内で、とくに良いと言うことはまったくない。

 (1.02)
   22日に青林堂の漫画本を買われたお客に、青林堂は音信不通だから
   いよいよアウトかもしれない。買うのなら急いだ方がいいと話しかけ
   たところ、岩波が危ないと昨日聞きましたが、本当ですかと逆に聞か
   れた。

 (1.03)
   三一書房はどうなっているのかと、お客に聞かれることが増えてきた。
   どうなるか分からないけれど、必要な本は押さえておいた方がよいで
   しょうと答えている。倒産の噂が、もっともよい販売促進宣伝になる
   というのも不況時代らしいというべきか。


[#]お知らせ(1.01)
 
  京都の古書店有志による、京都古書研究会のホームページ
  http://member.nifty.ne.jp/rmiura/koshoken にて、同研究会の季刊誌
 「京古本や往来」が公開されつつありますが、その第79号に、小生の
  作文「新刊屋と古本屋」というのが載ってますから、お暇な方は覗いて
  見てください。なお、同81号には、ジュンク堂の福島君の「インター
  ネット」という論文も載っています。

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三月書房販売速報[003]      
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1998/12/28 [00-01-03] SISIDO,Tatuo  

    e-mail版 三月書房 販売速報(仮題)テスト版 増刊号
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[#00:はじめに]

 数年前にアルメディアから出た「物語のある本屋」で、三月書房の部分を
  担当してくれた長岡氏が、この「販売速報(仮題)」を出版関係のメーリン
 グリストに転送することを提案してくれたので、お任せしたところ、わり
 と反響があり購読希望者が少し増えました。さらに、別のマスコミ関係の
 お勉強をされている学生さんのリストからも、転送の申し出をいただきま
 した。

 読者が増えるのはたいへんけっこうなことですが、この販売速報の本来の
 設定読者は出版社の皆様であり、その設定を変更するつもりはありません。
 とはいえ、うちの店の実態をまったく知らずに読み続けられるのも、誤解
 のもとのような気がしますから、過去の紹介記事などを集めて、三月書房
 を知らない人用に増刊号をでっち上げてみました。

 ついでながら「物語のある本屋」もぜひ買うか借りるかしてお読みくださ
 い。まだ、あまり古くなっていませんし、うち以外の書店もみな面白いで
 す。


[##01:朝日新聞読書欄「所変われば」より]

 これは朝日新聞の1998/03/15号の読書欄に取り上げてもらったときの記事
 です。このコラムはなぜかその後リストラされてしまい、もうありません。
 さすがに朝日の読書欄は見ている人が多くて、お客からの問い合わせもい
 くつかありましたが、それ以上に取り上げられた出版社の人に喜んでもら
 いました。

・・・・・・・・・ここから引用です・・・・・・・・・

京都市・三月書房のベストセラー(1月〜3月上旬)

1 遺書(吉本隆明、角川春樹事務所)
2 日本社会の歴史(下)(網野善彦、岩波新書)
3 主題としての吉本隆明(芹沢俊介、春秋社)
4 食べものの話(吉本隆明、丸山学芸図書)
5 ヒトのからだ(三木成夫、うぶすな書院)
6 ある近代産婆の物語(西川麦子、桂書房)
6 斎藤史の歌(佐伯裕子、雁書館)
8 斎藤史 鑑賞・現代短歌3(河野裕子、本阿弥書店)
8 木に縁りて魚を求めよ(林和清、邑書林)
8 からっぽの世界(山田花子、青林工芸舎)

 京都御所の南、古美術店の並ぶ寺町通りにひっそりとある。こぢんまりし
た店舗だが、天井まで本の詰まった書棚は、あるじの思いを雄弁に語る。
「8割のジャンルを捨てる。だから残り2割の分野は大型店よりいい品ぞろ
えにできるのです」と宍戸立夫さん(48)。

 ケルト研究から「ガロ」まで、核になる一冊を見つけると、その周辺の本
を徹底的にそろえていく。ベストテンで上位の吉本隆明の著作は、昔から店
の看板だ。昨年終刊した「試行」も創刊から扱った。(5)の著者三木成夫
は氏が講演で触れ、人気に火がついた。

 最近では現代短歌と、シュタイナー中心の人智(じんち)学関係書に力を
入れている。手作りの在庫目録を見て、遠方から注文が舞い込む。「出版点
数が多いほど本を選べる。小規模店には逆風どころか好都合です」。(6)
の『ある近代…』は注目作。能登半島を舞台に出産の近代化を追った研究書
である。


・・・・・・・・・・・引用終わり・・・・・・・・・・・・・・・

※紙の「販売情報(仮題)」に転載するときに、記者の方に許可をいただき
 ましたが、今回はその延長ということで、改めて許可を求めてはおりませ
 ん。なお、この記事は朝日新聞のホームページでも読むことができます。


[#02:ホームページ検索による「三月書房」について]

 gooとかYahho!などで三月書房を検索してみると、数十件ヒットしますが、
 その内でもっとも多いのは、北九州で考古学関係等の新刊と古書を扱って
 いる三月(やよい)書房という書店の関係です。次に多いのが、東京の出
 版社の三月書房の本が、古書店の目録に掲載されているケースです。うち
 も過去に10点ほど出版したことがありますが、東京の三月書房というの
 は、まったく何の関係もありません。

 うちの店がヒットするのは、検索サイトによりばらつきがあり、それも日
 によって少しずつ違いますが10件程度です。うちの店が出てくるサイト
 については、この速報にて順次紹介したいと考えております。


[#03:レジから激「10坪の店にも戦略」]

 これは「新文化」1997/01/23号に載った拙文の再録です。タイトルは編集
 部がつけました。

・・・・・・・・・・ここから再録・・・・・・・・・・・・

 昨年の新刊本の発行点数は六万点を超えたらしいが、これはうちのように、
わずか十坪の本屋にとっては、たいへんに喜ばしいことである。これだけ発
行点数が多ければ、今流行の千坪級の書店であっても、すべてにきっちり対
応することは困難である。十坪であれ千坪であれ、何らかの基準で選択しな
ければ、棚に並び切らないということに変わりはない。量では絶対に勝てな
くても、質でならば、百に二つか三つは勝てる分野があるのでは、というの
がうちの店の希望的戦略である。

 仮に百の分野があるとしても、百貨店的な大型店の場合とちがって、うち
のような小さな店は、九十の分野は初めから無視するにかぎる。そうすれば
千坪の店と比べても、競合するのはせいぜい百坪にすぎないことになる。こ
の程度の差ならば、いくつかの限られた分野でなら、どの大型店よりもまし
な品揃えをすることも可能である。大型店よりもましな分野があれば、必ず
そこを目当てにお客は来てくれるし、いったん来てもらえれば、ほかの分野
の本もついでに買ってもらえる。

 このような戦略によって、今までのところは、まずまず順調に続いている
が、もしも、何らかの原因で新刊発行点数や、既刊本の在庫点数が減少した
なら、商品選択の幅が狭められて、たちまちまずいことになるだろう。その
意味でも、消費税導入時に、既刊本の多くが絶版にされたのは痛かった。と
ころで、千坪の店なら不可能でも、三千坪の店ならば、それこそ本当にすべ
ての流通本を並べることが可能である。そんな店を相手に、品揃えで勝負と
いうのは無意味だが、ではどうしたらいいのかは、まだ何も考えてない。


・・・・・・・・・・・再録終わり・・・・・・・・・・・・・・

[#04:レジから激「これぞ小書店の強味」]

 これも「新文化」1997/04/24号に載った拙文の再録です。「レジから激」
 というコラムは各地の書店関係者4人が、半年間に6回書くものでした。
 今回再録したのは、その1回目と4回目のものです。

・・・・・・・・・・・ここから再録・・・・・・・・・・・・・・・・・

 
うちのように小さな店の利点は、仕入れも販売も返品も、ひとりですべて
を把握できることである。なにしろわずかな売上だから、POSなどなくて
も、何が売れているかは簡単につかめる。しかし、何が売れているかよりも、
もっと重要なことは、なぜ売れているのかを知ることである。

 ある本がよく売れているときに、著者がいいのか、テーマがいいのか、誰
かがほめていたのか、それとも何か特別な理由があるのか知りたい。それが
わかれば、その本の追加を積極的に仕入れることも、さらにはその本を手掛
かりにして、関連書を揃えることもできる。こういうことはデータを検討す
るよりも、お客に聞くほうがうんと簡単で確実である。

 お客に聞くといっても、わざわざ質問せずとも、どういう人がどういう買
い方をされるかを見ているだけでいろいろなことがわかる。また、たいてい
の場合、お目当ての本に関しては、お客のほうがよく知っておられるので、
客注を受けたときなどにたずねると、いろいろ教えてもらえることが多い。

 日常業務として、新刊情報を目につく限りはチェックしているつもりでも、
知らぬ間に出版されている本はけっこう多いものである。そういうときに一
番ありがたいのが、お客からの問い合わせである。お宅にならあると思った
のにと言われたら、調べて仕入れないわけにはいかないし、またそういうこ
とを繰り返すことによって、うちの店に対して、お客側がどういう品揃えを
期待しているかがわかってくる。そして、そのように、自分で仕入れて、自
分で販売していればこそ、わかることやできることがあり、それが、われわ
れ小書店の強みだと言えるだろう。

・・・・・・・・・・・・再録終わり・・・・・・・・・・・・ 
[#005:終わりに]

あまり長くなると読みづらいので、今回はこの程度にしておきますが、最後
に簡単なデータをおまけしておきます。

三月書房は
1950年3月開店
京都市中京区寺町二条上がる西側
店売面積 10坪
関係者は家族のみ4名
土地建物自前で家賃ゼロ、人件費なし、借金なし、宣伝費ゼロ、クルマなし。
帳合は鈴木書店と日販  直接仕入れ若干
売上比率 本VS雑誌=およそ85vs15 店売vs外売=およそ90vs10

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三月書房販売速報[004]     
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1999/01/11 [01-01-04] SISIDO,Tatuo      

    e-mail版 三月書房 販売速報(仮題)テスト版 004号

                    1999/01/31(ver.1.02)最終版
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[#00] はじめに

 この今年最初の販売速報は通算4号目となります。この4号と同時に、2
 号の最終版を同送しましたが初版に比べると、5割ほど増量になっていま
 す。購読者側がどう思っておられるかは知りませんが、発信側としては7
 分出来のものを送信して、あとでぼちぼち増補改訂するというのは、実に
 楽な方法で気に入っています。なお、3号目の増刊号は一度も増補しませ
 んでしたから再送はしません。

 まだ、パソコンに不慣れなうえに、昨年末はWin95の上にアップグレ
 ードしたWin98が、かなり剥げ落ちて不安定になっていましたから、
 増刊号などが一部の定期購読者には届いていない可能性があります。念の
 ために2度送りしたので、ダブった方々も多かったはずです。すみません。
 正月休みにWin98の再インストールに成功しましたから、現在は順調
 ですが、年末年始にメールをくださった方がおありでしたら、受信出来な
 かった可能性があります。思い当たることがおありの方は、ごめんどうで
 すが、もう一度お送りください。


[#01] 「e-mail版人智学関係書在庫目録(テスト版)」完成のお知らせ

 何年も前から、ワープロとコピーによる人智学関係書在庫目録を配布して、
 通信販売などに役立てていますが、今回そのデータを一部修正し、ワープ
 ロからパソコンにコンバートして、メールで送信できるようにしてみまし
 た。2、3の方にテスト送信をして、受信状態を教えていただき、半角記
 号などを修正した結果、何とか読めそうなものが出来上がりました。この
 速報と同じメール形式で300行弱ですが、この程度の量でもすでに、現
 在の紙の目録よりも少し情報量が多くなっています。

 このメール版目録を、インターネットで見つけた、いくつかのシュタイナ
 ー関係のサイトに送信してみましたところ、親切な人がおられて、すぐに
 主宰されている下記のサイトに張り付けてくださいました。デコボコのメ
 ール目録を送り付けたのに、html化していただいたのを見ると、けっこう
 きれいで感激しました。いずれはうちもホームページを開き、短歌他のい
 ろいろなメール版目録作って、希望者に送信しようと予定しています。

 とはいえ、インターネットで通信販売を受けても大丈夫なのかどうかまだ
 よくわかりません。郵送による紙コピー目録の場合は、商品先送りで同封
 振替用紙にて後払いしてもらっていますが、いままで一度も事故がありま
 せん。ネットの場合は先払いにしてもらった方が無難かもしれませんが、
 そうすれば今度はお客の側が躊躇されるでしょう。
 この件はしばらく様子を見ながら研究する必要があるようです。

 □シュタイナー教育リンクと情報□
  http://www.geocities.co.jp/Berkeley/5210/data04.html

  このリンクは今までに見つけた限りでは、この分野でもっとも網羅的な
  もののようです。このリンク表の下の方にある、{お店・出版・放送}
  の{京都府 三月書房 シュタイナー関係書籍、図書目録。詳細情報}
  の詳細情報をクリックすると、三月書房の人智学関係書在庫目録(テス
  ト版)が丸ごと読めます。


[#02] 紙の「三月書房販売情報(仮題)第48号」発行のお知らせ
 
 「三月書房販売情報(仮題)第48号」は現在製作中で、数日後には発行
 できそうです。この販売情報もメールでという希望が来ておりますが、現
 物は罫線や半角文字を多く含み、さらにはグラフや新聞記事のコピーなど
 をのりとはさみで貼りつけ、時には手書き文字も加えて、製作しています
 からそのままではメールで送れません。スキャナーで画像化して送ること
 はできるかもしれませんが、まだスキャナーを持っていません。将来的に
 は紙の方を止めて、メールの方に一本化出来るかもしれませんが、まだメ
 ールアドレスすらない出版社が多い現状では先のことになるでしょう。

 それに、不特定多数向けで速報性があるメールと、読者がある程度把握で
 きるが、速報性のない郵送とでは、必然的に内容にも差異が生じますし、
 また積極的にその差異を利用した方がいい場合もあるでしょう。というこ
 とで、当分はこの2本立てで行くつもりです。なお、毎度お知らせしてい
 ますように、紙の販売情報の購読は、原則として受取人払いの封筒をお送
 りいただいた出版社様に限らせていただきます。1分間に手差しで3枚し
 かコピー出来ないうちの器械では、60枚の両面にコピーするだけで、 
 40分もかかるので、これ以上むやみに増やしたくありませんから。
 
 (#02.01)[48号]は19日に発行した。目次は下記の通り。

  p.1]e-mail版三月書房販売速報(仮題)テスト版送信開始のお知らせ
  p.2]たいへんよく売れた本:1998年のTOP10
    1998年出版社別総合売上冊数:TOP50
  p.3]かなりよく売れてる本:98/12末までの1年間
    わりとよく売れてる本:同上
  p.4]1998年の≪吉本隆明≫本
    昨年の≪三木成夫≫本の売上
    「毎日グラフアミューズ12月9日号」より


[#03] 昨年うちでもっともよく売れた本は、

 筑摩書房の吉本隆明著「父の像」で60冊だった。第2位はうぶすな書房
 の三木成夫著「ヒトのからだ」44冊だったが、この本は一昨年の刊行で
 通算すると126冊も売れている。以下は集計中で、近日発行の「販売情
 報」にて10位まで発表します。
 (※注)この集計では文庫、コミック、新書、ブックレット類と、一括採
     用品を除いています。 

  (#03.01)3位以下は、「アフリカ的段階について(吉本)」春秋社
             遺書(吉本)」角川春樹事務所
            「齋藤史の歌(佐伯裕子)」雁書館
            「体力(河野裕子)」本阿弥書店
             以下略   

 ◎おまけ。下記は1993年から97年までの第1位です。

   ▼93年 吉本隆明著「時代の病理」春秋社 68冊
   ▼94年 河野裕子著「現代うた景色」京都新聞社 104冊
   ▼95年 沢田治著 「新聞幻想論」自主刊行物 86冊
   ▼96年 「吉本隆明氏に聞く」深夜叢書社 53冊
   ▼97年 三木成夫著「ヒトのからだ」うぶすな書院 82冊


 (#03.02)昨年の出版社別売上冊数上位16社は下記の通り

   1.岩波書店   2.講談社  3.筑摩書房   4.新潮社
   5.中央公論社 6.小学館  7.河出書房   8.文藝春秋
   9.朝日新聞社 10.平凡社  11.角川書店   12.集英社
   13.砂子屋書房 14.宝島社  15.ベネッセ   16.双葉社

 上位3社は近年不動。10位までは小変動はあっても例年ほぼ同じで、
 文庫や新書を出しているところが上に来るのは当然である。
 この中では、ふつうの文庫も出し始めた小学館が前年9位からアップし
 たのが目立つ程度である。
 珍しくもない出版社が並ぶ中で、唯一目立つのが砂子屋書房で、前年の
 19位から13位に来ている。いずれ計算して発表するが、文庫新書コ
 ミックなどを除いたランキングだったらさらに上に来るだろう。
 

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三月書房販売速報[005] 
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1999/01/31 [01-02-05] SISIDO,Tatuo      

      e-mail版 三月書房 販売速報(仮題)テスト版 005号

                       ver.1.01(1999/02/05)
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[#00] はじめに

 現在、この販売速報の直接送信先は40名強で、そのうち30名強が、何
 らかの形で購読の申し込みをいただいた方、残りの10名弱は、こちらが
 見つけたアドレスで適当に送信している方だ。

 紙の販売情報を直送している出版社は40社程度だが、まだネットに手を
 出していないところが多いのか、e-mail版の方はなかなか申し込みがこな
 くて、両方とも送っているのは10社強しかない。

 この状況は、10年近く前にうちがFAXを使い始めたころと似ているよ
 うだ。FAXの導入は、出版社の場合、営業系よりも、印刷所や著者と原
 稿類をやり取りをする、編集系の方が先だったようだが、e-mailの場合も
 同じなのだろう。
 近頃は、出版社も取次もやたらにファックスを送ってくるが、これは書店
 にFAXがほぼ行き渡ったからだろう。緊急情報以外は、e-mailの方がお
 互いに便利だと思うが、大部分の書店にe-mailが行き渡るのは、まだ、先
 のことだろう。


[#01] 書籍の返品率について

 世間では昨年の書籍返品率が40%台の後半とか言われているが
 うちの店は下記の通りの20%で、まったく変化なしだった。
 ただし、うちの店の計算には常備寄託品の返品は入れていない。
 取次の計算のように常備分も入れると、約25%になるはずだ。
  
  1993年18.9%
  1994年20.2%
  1995年20.1%
  1996年19.7%
  1997年19.5%
  1998年20.0%

 うちの店の返品が少ないのは、原則としてパターン配本をすべて断り、
 また、出版社や取次の都合で送品してくる、長期委託などのセットを
 受けないようにしているからだろう。

 ただし、20%と言っても、うちでかなりの割合を占めている客注品は、当
 然ながら、ほぼ返品ゼロであることを考えると、店売用の商品だけに限れ
 ば、30%以上返品していることになるはずである。
 この件は、データ未整備のため、正確な数字はわからない。


[#02] 世間の年間ベストセラーをうちは何冊売ったか?
 
 12月7日トーハン発表の「1998年年間総合ベストセラー」を、
 うちでは何冊売ったかというと、毎度のことながら、実にひどい成績だ。
 ただし、うちの店に向かない本がほとんどで、並べたことがあるのは、
 4、6、8、の3点だけだから、売れてないのが当然だし、また並べたと
 ころでほとんど売れる見込みはない。
 客注があればもちろん取り寄せて売るが、どれもなかったようだ。
 それにしても、こういうよーな本の販売競争から脱落していると、
 配本が不公平だと怒る必要もほとんどないし、気楽でいい。

 1)新・人間革命(聖教新聞社)・・・・・・・・・・0冊
 2)幸福の革命(幸福の科学出版)・・・・・・・・0冊
 3)ビストロスマップKANTANレシピ(扶桑社)・0冊
 4)大河の一滴(幻冬舎)・・・・・・・・・・・・6冊
 5)小さいことにくよくよするな!(サンマーク)・・0冊
 6)他人をほめる人、けなす人(草思社)・・・・・・1冊
 7)ダディ(幻冬舎)・・・・・・・・・・・・・・・0冊
 8)ループ(角川書店)・・・・・・・・・・・・・・2冊
 9)ケータイ着メロドレミBOOK12(双葉社)・・0冊
 10)バイオハザード2公式ガイドブック(アスペクト)0冊


[#03] 三月書房が出てくるウェブサイト 
  
 「塔短歌会の巻」http://www.asahi-net.or.jp/~ea8t-mnk/

 塔短歌会は京都に本部を置き、永田和宏&河野裕子夫妻を中心として、
 全国でもトップクラスの活動をしている結社だ。創設者の故高安国世先生
 の代から、うちの店には大量のお客さんをご紹介いただいている。

 その、塔短歌会がホームページを開かれたのは数年前で、短歌界では最初
 期のひとつだった。開設当時は、短歌専門誌にも紹介されたりして、ネッ
 ト歌会だのなんだのと急速に発展しそうな話だったが、うちがやっとネッ
 トに接続して覗いて見たそれは、表紙は立派だが、中身の電算化があまり
 はかどってなくて、やや停滞状態だった。

 それはともかく、主宰者の永田氏の歌論的随筆のようなコラムの「新樹滴
 滴」だけは2年分ほどがアップロードされている。先頭ページで、「塔資
 料室」を押して、「新樹滴滴」の一覧が出てきたら、97年4月のを選んで
 いただくと、「三月書房の歌」というのが読めます。思いがけないことに
 三月書房というのは、歌に詠みやすいのだそうで、何首も詠まれていると
 のこと。そのいくつかが紹介されていて、京都に来たときには、歌枕探訪
 のつもりで行ってみるようにと、会員の方に奨めておられます。


[#04] ショタレ本の割引セールについて

 「新文化」の数週遅れを、日販西日本センターのお客様休憩室で読んでい
 ると、いくつかの書店が、独自にショタレの割引セールを実施しているよ
 うだった。まだ、実施している書店は少ないようだが、現行の取引基準で
 も、解釈によっては可能らしい。うちでも割引セールに回せそうなショタ
 レは、段ボールに数杯はあるから、もう少し研究してから、ぼちぼちと、
 店の隅っこの方で始めてみようかと考えている。

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三月書房販売速報[006]     
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1999/02/21 [01-03-06] SISIDO,Tatuo      

    e-mail版 三月書房 販売速報(仮題)テスト版 006号

                    ver.1.02(1999/03/06)最終版
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[#01] 最近売れてるような気がする本
 
 ◆「逝きし世の面影」葦書房
   うちではすでに10冊以上売れているが、世間でも予想以上に売れて
   いるらしい。それにしても、なぜ「エコノミスト」は中途で連載を打
   ち切ったのか。なぜ、毎日新聞社が出版しなかったのか。廃社寸前の
   同社にあって、「エコノミスト」は頑張っている方なのだが、やはり
   余裕がなかったのだろうか。

 ◆「赤塚不二夫1000ページ」扶桑社
   久しぶりの復刊はうれしい限りだ。どの家庭も孫の予定数位は備蓄し
   たらいいと思う。地域振興券で買い込むのに最適の商品だろう。ただ
   よくわからないのは、「現在の観点からは不適切と思われる表現も
  (中略)そのまま掲載しました」と断ってあるにもかかわらず、話の特
   集発行の旧版に比べると、一部が削除されれいることだ。例、476
   ページの右上のおまわりのせりふ。オリジナル通りと言っておいて、
   そかに削除するのは、だまって削除するよりもたちが悪いのではない
   か。

 ◆「ブント私史」批評社
   60歳前後の元左翼世代には、懐古本の一種として売れること間違い
   なし。まだ出たばかりだが、出足は順調だ。

 ◆「ユリイカ増刊 白洲正子特集」
   須賀敦子に続いて、白洲正子も亡くなった。この頃は少し出しすぎの
   感もあったが、それでもコンスタントに売れていた。追悼号やいずれ
   でる遺作が売れるのはいいが、現存者で彼女たちに変わる人がなかな
   か見あたらないのが寂しい。次は多田智満子さんあたりに頑張っても
   らいたいが、他はちょっと思いつかない。

 ◆「熊谷守一画文集 ひとりたのしむ」
   道に面したショーウィンドウに飾っておくとすぐ売れる。もう、10
   冊以上売れた。現在3冊で回しているが、棚差しの1冊だけになると、
      ほとんど売れない。
   やはり去年出た世界文化社の2点もよく売れている。ついでだから現
   在絶版の「へたも絵のうち」をどこかが復刊してほしい。


[#02] 三月書房が出てこないウェブサイト 

  「書店員日記」
   http://www02.so-net.or.jp/~kazuto00/diary/_1999/021.html
   三月書房をgooなどで検索したら、このサイトが見つかった。うちの
   お客さんのウェブ日記に、三月書房での買い物が記されていたりする
   のがいくつかあるから、これもその類かと思ったが、うちの名前は見
   つからなかった。日記の日付の3月と、筑摩書房か何かの書房とが、
   and検索に引っかかったのだろう。

   そんなわけで三月書房は出てこなかったが、この日記はたいへんに面
   白いものだった。この方は八重洲BCの宇都宮支店で、バイトをしてる
   女性らしいが、SF、アニメ、漫画、ホラー、ゲーム、インディーズ、
   その他の超オタクで、店でもそのあたりの棚を担当しているようだ。
   こういう優秀なオタクの人を雇うと、棚が充実する上に、本人がバイ
   ト代分くらいは社員買いしてくれるので、店は二重に得である。
   大型店は、園芸オタクとか、資格受験マニアとか、釣りキチとか、猫
   好きとかをそれぞれの棚の担当として、バイトに雇うとよいだろう。
   
  [#02.2] 3月6日にこの日記を覗いてみたら、残念なことにこの方は
    2月末で退職されてました。理由は明らかにされていませんが、レ
    ベルが違いすぎて、あほらしくなられたのかもしれません。なお、
    この日記は3月より、「SF系人妻日記(仮題)」に変わるそうです
    が、今のところ過去の日記は全部そのまま残されています。


[#03] 潰れた出版社の返品について

   ジャパン・ミックスが昨年末に潰れたのを知ったのは、今年になって
   からだったが、在庫を日販に返品したら逆送された。あの悪評高い支
   払い保留というのは、こういうときのために用心して、プールしてい
   るのだと思っていたのだが、そうではなかったらしい。タイミングが
   少し遅かったのかも知れないが、早く返品しろと教えてくれることも
   めったにない。

   潰れ方もいろいろあり、一発で吹っ飛んでしまうのもあれば、リブロ
   ポートのように、1年かけて整理するのもあり、用美社のように知ら
   ない間に夜逃げしているのもある。倒産同然でもなぜか続いているの
   もあれば、知らぬ間に経営者が変わっていることもよくある。休眠会
   社の取次口座が売買されることもあるようで、名は同じでもまったく
   別の出版内容になることもある。かなり前だが、白馬書房というのは
   数年のうちに3回以上変転したような記憶がある。ここは現在の経営
   者が優秀で、のちに書肆風の薔薇、さらには水声社と名前を変えつつ、
   好調に活動されている。

   青林堂も休止したようだし、三一書房はこれからどうなるのかよくわ
   からない。お客にもよく聞かれるから、今準備中のホームページには
   出版社の倒産情報のコーナーを作ろうかと考えている。


[#04] 日販の王子DCのスリップレスについて
   
   王子DCからも注文品が入るようになったが、スリップレスのために、
   誤送品の処理がめんどくさくてたまらない。注文票が挟んであれば他
   店品などは一目瞭然で、簡単に返品できたのだが、まったく覚えのな
   い商品が入っても、短冊がなく伝票に補充品と書いてあるだけだった
   ら、いちいち担当者に交渉しなくては返品できない。他店品以外にも
   巻数違いとか、冊数違いとかの間違いがよくあるが、これもも短冊が
   ないとわからない。NOCSの類いで電算発注すれば何か記録が残るよう
   になっているのかもしれないが、まだ導入していないのでよくわから
   ない。いずれにしろ、文句を言っているのはうちだけではないはずだ
   から、そのうち何か対策を出してくれるだろう。


[#05] おまけ

   某取次の人の話だと、京都の大学生協の書籍の売上げが、書店以上に
   落ちているらしい。景気が悪く、バイトも不自由になれば、街の書店
   で買わずに、生協の割引販売を利用しそうなものだが、携帯電話か何
   かによほど金がかかるのだろうか。

   某大学の記者クラブ詰めの、某新聞の記者にこの話をしたら、大学図
   書館の利用が最近大幅に伸びているらしいと教えてくれた。そういえ
   ば、市立図書館もいつも座れない位に混雑しているが、こちらは、ホ
   ームレスに近いような方々が、休憩所として利用されているためのよ
   うな気がする。大学図書館は本代を節約つつ、勉学に励む学生で混雑
   しているのならいいが、バイトにあぶれてひま潰しに来ているだけの
   学生が増えているのかもしれない。


[#06.01] お知らせ

   今日25日発売の「季刊銀花」117号の129ページ〜「喜代春さ
   んと歩く:京都、中京寺町」に三月書房が出てきますから、立ち読み
   でもしてみてください。

   この号では、その記事よりも、「遠野・風琳堂物語:ある出版人の試
   み」という記事の方が面白いです。風琳堂さんは、もともとは車で全
   国の書店に営業して回って、直販しておられました。数回うちの店に
   も来られたことがあります。ただし、いまいち売れない本ばかりでし
   た。作っておられる本よりも、目録付属の行商日記の連載の方がよほ
   どおもしろかったような記憶があります。確か、当時は名古屋あたり
   に本拠があったはずですが、現在は岩手に移転され、今度は全国の図
   書館を回る行商をしておられるようです。
 
   また、190ページに紹介されている、小生の知人の坂本秀童子さん
   の「謄写技法」というミニコミは、タコシェで売っていますから、買
   ってあげてください。平均千円は安いです。うちでは扱っていません
   が。


[###.01] さっきフジテレビから電話があり、「目覚ましテレビ」とか言う
   番組で、貴店の売れ行き良好書を、5点紹介させてくれと言ってきま
   したが、少し話してみて、お門違いのようだったから断りました。
   なぜ、うちに言ってきたのか知りませんが、もったいなかったとは
   ちっとも思いません。でも、もしかして、この速報の読者の方が推薦
   してくださったのだったらごめんなさい。

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三月書房販売速報[007]     
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1999/03/15 [01-04-07] SISIDO,Tatuo      

    e-mail版 三月書房 販売速報(仮題)テスト版 007号                             

                    最終版の2(99/04/02)
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[#01] 最近売れてるような気がする本

 ◆「『同和』中毒都市」かもがわ出版
   最近部落問題関係で売れるのは、阿吽社の本とかもがわ出版の本がほ
   とんどである。以前よく売れた明石書店や解放出版社の本は、行政関
   係などの採用以外は、あまり売れなくなっている。
   なお、この本の著者の寺園敦史さんが、この続きを「マリード」とい
   うメルマガにて配信されていますが、京都市の中毒ぶりがたいへんよ
   くわかります。
   申し込みは tera0815@ea.mbn.or.jp 

 ◆「奇抜の人」平凡社
   埴谷は過去の人になりつつあるが、それでも全集の定期は5名あり、
   この本もまた予想よりは出足がよい。白内障の手術などで、ほとんど
   執筆されていない吉本氏の、割と長いインタビューはなかなかの読み
   物になっている。吉本氏といえば、「ほぼ日刊イトイ新聞」でときど
   き連載中の、昨秋のロングインタビューが気楽な雑談で面白い。
     http://www.1101.com/makanai/index.html

 ◆「あしたひらかむ」雁書館
   関口ひろみの第一歌集。最近の第一歌集としては、大口玲子「海量」
   と並んでよく売れている。
   
 ◆「靖国」新潮社
   「論座」で著者と吉田司が対談していたが、それを読むとこの本が、
   面白いらしい理由がよくわかった。いつリストラされても不思議でな
   い「論座」だが、ちかごろ少し面白くなってきたような気がする。た
   だし売れ行きはあいかわらずよくない。
   ついでながら「アエラ」もやや好調だが、とくに先週号の元新潮社の
   斎藤十一氏のインタビューが珍しくてよかった。新潮社も昨年は大赤
   字だったようだが、斎藤氏の回顧録を出したら売れるだろう。


[#02] これから売れそうな本

 ◆「北斗の印:吉田一穂」(生誕百年記念展図録) 北海道文学館発行
    <売れ行き予想10冊。限定入荷で追加不能>

 ◆「ミシェル・フーコーと共同幻想論」 丸山学術図書
    <吉本氏単独の本なら40冊は堅いが、共著者の中田平という人の
    出番の方が多いから、取りあえず30冊売れればというところ>

 ◆「可能性としての戦後以後」 加藤典洋著 岩波書店
    <5冊超は確実だが、10冊を超えるかは疑問>

 ◆「日本社会で生きるということ」 阿部謹也著 朝日新聞社
    <10冊は超えないだろう>

  うちの場合、ふつうは5冊売れれば上等で、10冊売れる本はなかなか
  ない。しかし、たいていの場合、初版数千部の本だから、5冊とはいえ
  全体の0.1%程度は売っていることになる。固い本を置いている書店は、
  全国で500から1000店位と言われているから、これで計算が合っ
  ているのではないだろうか。

 [#02.01]
 ◆「ヘーゲル<精神現象学>入門」 長谷川宏著 講談社
    <5冊ちょい位か>


[#03] 日販が「週刊金曜日」を扱うことになったことについて。

   直販と限られた書店での販売のみだった「週刊金曜日」が、4月2日
   発売号から、ふつうに日販の雑誌ルートでも扱われることになった。
   発刊の時はたいそうな鼻息で、書店や取次の流通マージンを、中間搾
   取と決めつけたはずだったのにどうしたことなのだろう。うちの店で
   は扱っていないし、一度も読んだことがないからよくは知らないが、
   朝日新聞に毎号載る広告を見ている限り、日販が扱いたくなるほど売
   れるとは思えない。定価も500円のままだから、「中間搾取」を考
   えると自殺行為としか思えない。トーハンも扱うのだろうか。

   (303.03)4月2日金曜日に日販から、申し込んでいないのに、1冊
    入荷した。今後のことは知らないが、買い切りではない。
    読者に対する、一般書店での販売開始のお知らせは見あたらなかっ
    た。いずれにしろ、買い切りならばともかく、委託でばらまけば、
    3ヶ月持たないだろう。

   ところで、「週刊金曜日」の所謂<正常ルート>登場を祝って、6年
   前の「三月書房販売情報(仮題)」に書いたものを再録します。
   この記事は、「創」など一部の業界誌では小さな評判を呼び、本多氏
   としては珍しく弱気な言い訳を読むことができたりして、楽しかった
   思い出があります。

++++++++ここから再録++++++++++++++++++++

 
「週刊金曜日」の販売に関しては、こちらから売らせてほしいと頼むつも
りはなかったし、相手のほうからの依頼もなかったので、無関係に終わりそ
うである。だから、ほっておけばいいようなものだが、たまたま読んだ「京
都大学新聞7月1日号」に、本多勝一氏の書店業界に対するお粗末な意見が
載っていたので、ご参考までに右頁にコピーを載せておきます(コピー略)。
これは、4月3日の講演後の質疑応答の一部です。ここで本多氏は、ある程度
書店売りもする予定だが、郵送に比べて高くなり、当然中間搾取も入ると述
べています。われわれ書店は、正当な仕事によって適正な利潤を得ているつ
もりなのですが、この反動的左翼人は、低いことでは定評のある書店のマー
ジンをすら搾取であると考えておられるらしい。よーするに、この人の理想
は、某共産党機関紙や某宗教信者団体の新聞のように、組織の末端の人々の
勤労奉仕により、無償で配られることなのでしょうか。

 それにしても、中華人民共和国ですら市場経済に向かいつつあるという時
代に、この日本社会において、商品として小売業者に販売を依頼するのなら
ば、当然のこととして必要な流通経費のことを、中間搾取と認識されている
ようでは、ジャーナリストとしての適性が疑われるのではないでしょうか。


    (「三月書房販売情報(仮題)7号:1993/09/10発行」より再録)

++++++++再録終わり+++++++++++++++++++++

[#04] 「毎日ムック:書店の大活用術」発売のお知らせ

   「アミューズ」誌にて数回特集された、書店の活用術の総集編がムッ
   ク版になりました。全国100店近くの書店が紹介されていて便利で
   しょう。「三月書房」も出ていますが、写真のレイアウトが変わった
   以外は、昨年12月の本誌に載った記事と同じです。
   
   (#04.02)このムック、うちではあまり売れていないが、4月1日に
    再版が入荷したから、全体としたら売れてるのかも知れない。
    ただし、ムックは返品を再版のふりして送ってくることもあるから
    あてにはならない。

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三月書房販売速報[008]     
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1999/04/01 [01-05-08] SISIDO,Tatuo      

    e-mail版 三月書房 販売速報(仮題)テスト版 008号

                     ver1.01(99/04/14)最終版
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[#00] 「朝日新聞読書ページ」にこのメール速報が紹介されました。

   朝日新聞03/28号より引用

  
「(略)京都の寺町通りにある小さな本屋さんが、出版関係者向けに電
  子メールで情報誌を発行しています。日々の仕入れや店の売り上げ話の
  ほかに「これから売れそうな本」の紹介も。
   人文書や歌集などに力を入れるお店なので、取り上げる顔ぶれはかな
  り個性的。「うちなら5冊」「30冊は確実」など店長のコメントに、
  プロの眼力を感じます。ちなみに最新号での一冊は今週の書評『日本社
  会で生きるということ』でした。(蜜)」引用終わり


  この記事の全文は、朝日新聞のホームページでも読めます。
  この記事を見たと言ってくれた方は少しおられましたが、購読の申しこ
  みはまだ1件もありません。店名もアドレスも載っていないので、不思
  議ではありませんが、新聞社では問い合わせに対して、アドレスのみは
  教えてくれているらしいので、そのうち誰か申し込んでくれるでしょ
  う。
    
    (0.01)4月13日、朝日新聞社経由の申し込みは1人だけ。


[#01] 最近売れてるような気がする本

   3月はなぜか突然売上げが回復した。理由はまったくわからないが、
   地域振興券のおかげでないことだけは確かである。振興券は3月27
   日開始だったが、景気は2月末から回復している。よそも回復してい
   るのか、たまたまうちだけなのかは知らないが、そう長くは続かない
   だろう。誰に聞いても、これから一段と悪くなるだろうと言う人ばか
   りだ。振興券といえば、うちでは、全額を3回で使い切った常連が一
   人おられた以外は、まだ一枚も受け取っていない。

   (1.01)4月になったら、また不景気にもどった。振興券は5人ほど来
    たが、各1〜2枚だった。

 ◆「13歳論」村瀬学 洋泉社
    10冊寸前で在庫を切らしてしまった。

 ◆「日本社会で生きるということ」阿部謹也 朝日新聞社
    予想より出足がよく、これも10冊前に在庫を切らしてしまった。
    どちらも、もっと多く仕入れる機会はあったのだが、3月の景気回
    復が予想外だったために、仕入れがやや控えめだったようだ。

 ◆「ヘーゲル<精神現象学>入門」 長谷川宏著 講談社
    これも予想より出足がよい。早く追加が入らないと、これも10冊
    前に在庫が切れそうだ。

 ◆「星とともに走る」四方田犬彦 七月堂
    四方田犬彦の本はほぼ同時期に、平凡社とマガジンハウスからも出
    た。中身も似たような雑文集に見えるが、もっとも定価の高いこの
    本が、一番出足がよい。これは、うちが強い「ガロ」の連載だった
    からか、それともマイナーな出版社のため、他の書店では見つけに
    くいのか、単に内容が一番面白いのか。

 ◆「ミシェル・フーコーと共同幻想論」吉本隆明 元丸山学術図書
    予想通り1ヶ月で20冊強、3ヶ月で30冊位という出足。
    4月1日現在、実売19冊。

 ◆「詩人・評論家・作家のための文学論」吉本隆明 メタローグ
    これも予想通り、1ヶ月で30冊強、3ヶ月で40冊強という出足。
    4月1日現在、実売20冊。


[#02] これから売れそうな本

 ◆「書聖王羲之」 石川九楊 新潮社
    本当はすでに5冊以上売れているべきなのだが、発売7日目にして
    やっと、NDCの店売で拾えた。近頃、NDCはなかなかよいもの
    がたくさん転がっている。

 ◆「まだら文」杉本秀太郎 新潮社
    これも本当は5冊以上売れているべきなのだが、発売10日目に
    やっと1冊入ったきりである。これは、お客の話では、他店でもあ
    まり見かけないとのこと。かなり初版が少数だったのだろう。入荷
    は遅れているが、結果的にはあまり影響はなく、10冊以上売れる
    はずである。

   (1.01)予約分は2週間ほど遅れて入荷した。とりあえず5冊は売れ
     ている。

 ◆「ヴォツェック」岡井隆 ながらみ書房
    第20歌集。少し間隔が近すぎで、やや出しすぎのようである。そ
    れでも5冊は超えるだろう。

 ◆「音山」湯浅学 水声社
     5冊は固い。


[#03] スコラがつぶれた
   
   スコラで売れていたのは、12巻の予定で、現在8巻まで出ていた
   「陰陽師」位のものだった。在庫を残そうか考えたが、どうせすぐに
   角川あたりから再刊されるだろうから返品した。いつもはすぐに返品
   してしまう日販の店売が、在庫を残しているから、新社になって継続
   する可能性があるのかもしれないが、聞いてみた感じでは、そうでも
   なさそうだった。


[#05] 「三月書房販売情報(仮題)49号」発行のお知らせ

   49号は3月23日付けで発行しました。

    p1 [かなりよく売れてる本]と[わりとよく売れてる本]
    p2 [1998年の現代短歌の本]
        ●出版社別売上 1位は砂子屋書房 228冊
        ●現代短歌関係書 最近12ヶ月の売上TOP19
                1位は「斎藤史の歌」24冊
    p3 [三一書房について]
        この時点では、「三一書房にみる日本の黒い霧」健友館発
        行は未刊だった。
       [ホームページ開設<準備中>のお知らせ]
        とにかく、3月は店が忙しかったから進んでいません。
    p4 [昨年の出版社別文庫売上げ:TOP20](略)
       [季刊銀花より]

  ※毎度お知らせしてますように、紙の「販売情報(仮題)は」返信用封
   筒を送ってくださった出版社様にお送りしています。

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三月書房販売速報[009]       
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1999/04/15 [01-06-09] SISIDO,Tatuo      

    e-mail版 三月書房 販売速報(仮題)テスト版 009号
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[#01] 最近売れてるような気がする本

 ◆「保田與重郎文庫」(全24巻)既刊2冊 新学社
    新学社は京都の学参ドリルの直販専門の出版社だが、その方面では
    大手らしい。保田與重郎の弟子だった社長の個人的趣味で、以前か
    ら日本浪漫派関係の出版を少ししている。12号まで出た「イロニ
    ア」という雑誌のバックナンバーは、今でもうちではよく売れてい
    る。講談社版の保田與重郎全集も、事実上はこの出版社の制作だっ
    たとも聞いている。だから、この文庫の編集は信頼できるし、解説
    陣も充実しているし、装訂もすばらしく、当然ながら、売れ行きも
    好調である。

 ◆「武井武雄画噺」 銀貨社
    聞いたことのない出版社の本だが、実にきれいな本で、定価も安い。
    現在3冊出ているが、これはお買い得である。
    この手の本の新刊情報は、「銀花」か「サライ」あたりで知ること
    が多いが、この本をどこで知ったかは忘れた。まだ売れ行きはたい
    したことないが、ロングセラーは間違いがない。

    この保田與重郎文庫とか、武井武雄画噺のようなよい本が、マイナ
    ーな出版社から、買いやすい値段で、たいした宣伝もなしに、さり
    げなく出版されている間は、出版業界もうちの店もまだ大丈夫だと
    思う。

 ◆「モンド・ミュージック2001」 アスペクト
    潰れたリブロポートから2冊出ていたシリーズの3冊目。早くに5
    冊売れたあと追加が入らなくて、在庫が切れている。アスペクトは
    漫画なんかも、湊谷夢吉のような、古くて渋いものを出したりして
    いてなかなか良いのだが、ほとんど出しっぱなしで、売り切ったら
    重版する気がないようだ。追加は返品待ちになるらしくて、やたら
    に遅いか結局入らないかの、どちらかになってしまうことが多い。


[#02] これから売れそうな本

 ◆「野口体操自然直伝」 羽鳥操著 柏樹社
    野口三千三の本はもともと、20年以上前から売れ続けている上に
    数年前からは、三木成夫の関係書としての売上げも、上積みされる
    ようになってきた。この羽鳥という弟子筋の人の本は2冊目だが、
    1冊目は無名の著者にもかかわらず、たちまち20冊以上売れて、
    少し驚いた記憶がある。読んでないから知らないが、この2冊目が
    売れるかどうかは、1冊目が面白かったのかどうか次第だろう。と
    りあえず10冊は固いか。

 ◆「匂いを讀む」 吉本隆明著 光芒社(元丸山学術図書)
    これは吉本氏が元気だった10年位前から、季刊の業界誌に毎号2
    ページづつのペースで連載されていたもので、マニアの間ではコピ
    ーが回覧されていた。近頃は講演、対談、インタビュー本がほとん
    どで、執筆本は珍しいから売れるだろう。とりあえず1カ月で30
    冊は固い。

    ところで、丸山学術図書と言う社名は、確かに面白くはなかったが
    なぜわざわざ、風流ぽい名前に変える必要があったのかは知らな
    い。光芒社というのは、目で見るとわかる社名だが、耳で聞くのに
    は向いていないように思う。
   
    どーでもいいが、出版社の社名変更で、最悪だったのは、「ジャズ
    批評社」の「(株)松坂」への変更で、いまだに不便なことこの上
    ない。


[#03] 青林堂が復活した
   
   昨秋、音信不通になって以来、今度こそもうだめだろうと思っていた
   青林堂が復活した。日販は支払いを止めていたらしいが、取引を中止
   にはしてなかったようで、先週の日販速報に住所変更のお知らせが載
   ったから、連絡してみると、在庫リストをすぐにファックスしてくれ
   た。残念ながら、売れそうなものはほとんど残っていなかったが、
   10冊ほど注文したら、1週間位で入荷した。
   売れ筋は、すでに青林工藝舎のほか、文春、マガジンハウス、アスペ
   クト、ゼスト、筑摩文庫他に移っているから、何点かは重版するとし
   ても目録はかなり寂しくなっている。「ガロ」をもう一度出すのもた
   いへんだろうが、出さなくては再開した意味がないだろう。何はとも
   あれ、松沢呉一の新刊も出たことだから、しばらくはやっていけるめ
   どがついているのだろう。


[#04] インターネットの普及率について

   インターネットの「ほぼ日刊イトイ新聞」にて、糸井氏による吉本氏
   の気楽なインタビューが、公開されていることを先月知ったので、目
   次ページとURLをコピーして、お客に配ってみた。

    http://www.1101.com/makanai/index.html

   吉本氏の新刊がちょうど2冊出たばかりだったから、吉本ファンの数
   十人に尋ねることができたが、自力で接続して読めると言われたのは
   20代の男女各1人の他は、4〜50代の男性2人だけだった。ほか
   に、子どもに頼んでみると答えた50代が2人いたほかは、みなだめ
   のようだった。ただし、仕事でパソコンを使ってはいるが、インター
   ネットに手を出してはいないという人が少しあった。

   統計ともいえない、単なる印象だけだが、パソコンは4〜5人に1人
   が使っているが、インターネットを常用しているのは、10人弱に1
   人位ではないかという感じだった。

   これが、読者の平均年齢、おそらく50歳位の、吉本読者の現状だが
   世間の他のジャンルと比べるとどうなのだろう。

   なお、まったくパソコンと縁のない人々のために、プリントアウトを
   用意したが、何しろ1回分が5ページ前後で、現在7回目だから、著
   作権はともかくとしても、費用と手間が馬鹿にならないから、進呈せ
   ずに貸し出して、自分でコピーするなりしてもらうことにしている。

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三月書房販売速報[010]    
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1999/05/07 [01-07-10] SISIDO,Tatuo      

    e-mail版 三月書房 販売速報(仮題)テスト版 010号
                      
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[#00] 現在の配信状況について

   半年足らずで10号になりましたが、現在の直接送信先はとりあえず
   58名となっています。ただし、このうち10社ほどの出版社は、あ
   ちこちで見つけたアドレスに、一方的に送信しているだけですから、
   実際に読まれているのかどうかは不明です。一度も返信のない出版社
   は、いずれリストから削除する予定ですから、お心あたりの方は、一
   度ご連絡ください。
   その他の50名ほどの皆様からは、お申し込みメールをいただいてい
   ますから、解除希望のご連絡をいただかない限りは、送信を続けさせ
   ていただきます。

   ご参考までに58名の内訳は、出版社関係35名、ライター、マスコ
   ミ関係8名、書店関係4名、その他は学生並びに職業不明の方々です。
   またオフラインで現実にお会いしたことのある方は、およそ25名ほ
   どです。


[#01] 最近売れてるような気がする本

 ◆「貘さんがゆく」 茨木のり子 童話屋
    童話屋は「葉っぱのフレディ」が大売れしているらしいが、うちで
    はまだ2冊しか売れていない。あれはなぜかビジネス書らしいから
    うちで売れなくても不思議ではない。そしてこの「貘さん」が初回
    入荷の5冊を数日で売ったことも、うちでは不思議ではない。山之
    口貘はここ数年人気があって、関係書も数点出たし、詩にメロディ
    をつけたCDアルバムも出ている。残念なのは、現在、本人のまと
    まった本が、現代詩文庫程度のものしかないことである。ついでな
    がら、娘さんが書いた「父山之口貘」というのはたいへんよい本だ
    ったから、文庫にでもなるといいと思う。

 ◆「だめ!」 河出書房
 ◆「だめ連」 作品社
    だめ連というグループがあることは、この2冊が出る前に、偶然ア
    ナキズムのサイトを検索していて見つけたから知っていた。旧来の
    アナキズムとはほとんど関係がないようだが、「だめ」連が売れて
    だめでなくなってしまっても、アナキズム的な組織でいられるかが
    問題だろう。もちろん、「だめ」でなくなったら商品価値がなくな
    って、売れなくなるだけかもしれないが。

 ◆「まだら文」 杉本秀太郎 新潮社
    入荷状態が悪く、初版を7冊売ったところで、在庫を半月以上切ら
    している。お客の話では他の書店でもほとんど見かけないらしい。
    この本は、近頃稀な箱入り本だが、こんなに立派な箱をつけてしま
    うと、重版するかしないかを決めるときに、不利な扱いを受ける可
    能性があるのではないだろうか。

 ◆「匂いを讀む」 吉本隆明 光芒社
    吉本氏の本は、今年早くも3冊目だが、この本もごく普通の売れ行
    きだから、1月で30冊というところだろう。来月も徳間書店から
    「少年」という聞き書きものがでるようだが、上半期はこの程度に
    しておかないと少し出しすぎのような気がする。

 ◆「可能性としての戦後以後」 加藤典洋 岩波書店
    この加藤典洋のほか、竹田青嗣、小浜逸郎、村瀬学、芹沢俊介あた
    りはものにもよるが、とりあえず5冊は売れるし、10冊を超える
    ことも珍しくはない。この本も10冊は固いだろう。ただ、小浜、
    村瀬、芹沢は、10年ほど前に比べると売れ行きは落ちている。以
    前なら20冊を超えるのも珍しくなかった。


[#02] これから売れそうな気がする本

 ◆「夫の右手」 求龍堂
    故香月泰男の夫人が書いた本。香月泰男のシベリア画集は、70年
    前後に大量に売れた記憶があるが、以後も手に入る本は、確実に売
    れている。この本も、熊谷守一や武井武雄の本と同じで、道から見
    えるショウウインドウに飾っておくとよく売れる。よーするに、近
    所に多数ある美術骨董店を回遊している通行人が、よく買ってくれ
    るのである。
    この線では白洲正子や青山二郎などもよく売れるから、近頃は、こ
    の手の本や、別冊太陽、季刊銀花、遊楽などの雑誌の在庫がどんど
    ん増えてきた。


[#03] 堂島のジュンク堂について
    あまり気が進まなかったが、ジュンク堂を見てきた。大型店に関し
    てはこちらも素人だから、なにがなんだかよくわからない。本当の
    ところはお客として、週に一度とか月に一度とか、定期的に通う以
    外には、全体像を掴むことは不可能だろう。短所を指摘するのは容
    易いが、長所とのバランス加減が、一見しただけではわからない。

    ジュンク堂については、テナント料が下がっているからとか、人件
    費を押さえているからとか、大阪屋と一蓮托生だとか、いろいろ聞
    いてはいるが、お客には関係のない話だろう。一つだけ知りたいと
    思ったのは、レジ以外のフロアに、ほとんど店員が見あたらない上
    に、通路が狭くて、壁のような本棚が林立し、高価な専門書がぎっ
    しりあって、どう考えても、万引きの天国にしか見えないのだが、
    いったいどういう対策を取っているのだろうかということである。
    タワーレコードのように、全商品に磁気タグを付けるというよう
    な、金もかかるがわかりやすい対策ではなくて、なにか企業秘密が
    あるのだろう。まさか、費用対効果で考えると、対策費よりも、少
    しぐらいなら盗られた方がましだという、古典的な計算が頼りだと
    いうようなことはないと思うのだが。

    それにしても、工事中とはいえ堂島地下街はかなり寂れていた。ゴ
    ールデンウィークだというのに、曾根崎地下あたりの百分の一位の
    人出しかなかった。さらに、地続きの大阪駅前第1〜4ビルの寂れ
    方は恐ろしい位で、梅田の一等地とはとても信じられない。ジュン
    ク堂が入ったビルも、まだ地下には空きテナントが多かったから、
    孤軍奮闘というところだろう。スケールは違うが、京都のアヴァン
    ティ・ブックセンターみたいな状況になるのではないだろうか。
   

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