三月書房販売速報[128]
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2018/7/23[20-02-128]  (c)SISIDO,Tatuo    *転送歓迎* 

     e-mail版 三月書房 販売速報(仮題) 128号
     
      ※いちおう出版業界向けに制作してます※
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[#00] 今年はいまだかって経験したことがない猛暑で、7月中旬から38度
   前後の日が続いているのは初めてです。神戸の地震の前々年に猛暑
   日が2週間ほど続いたことがありましたが、あれは8月になってか
   らでした(ついでながら地震の前年は記録的な冷夏でした)
   うちの店は正午開店ですが、真昼はほとんど人通りがなく、夕方少
   し来店客があるものの6時閉店なので売上不振はいうまでもありま
   せん。7月上旬に4日連続大雨警報が出たときもほとんど売上があ
   りませんでしたが、アーケードがない商店街なので、こういうとき
   はどうしようもありません。いくらひまでも、うちは現在扶養家族
   がゼロなのでいっこうに困りませんが、20年位前だったら扶養家族
   が多かったので少しピンチになったことでしょう。
   朝6時開店で正午閉店、あるいは午後4時開店で10時閉店にしたら、
   いまより少し繁盛しそうな気がしないでもありませんが、急に営業
   時間を変更するのは告知がむつかしく、正午から4時の間も来る人
   が少しはあるだろうし、その相手をしていたら、営業時間が延びて
   疲れそうなのでやめておきます。うちが本屋でなければ、一月ほど
   夏休みにしたいところですが、この業界はほぼ毎日新製品の入荷が
   あるので長期休みは不可能です。
   もひとつついでながら6月18日の北大阪地震の被害はまったくありま
   せんでした。神戸地震のときは店の棚から1冊だけでかい本が転げ落
   ちましたが、今回は同じ場所にいまだにある同じ本も含めて1冊も
   落ちませんでした。うちのあたりは南海地震が起きてもたいした被
   害はないはずですが、直下型地震はいつどこで起きるかわからない
   ので安心はできません。「方丈記」「明月記」のころには頻繁にあっ
   たようですが、秀吉の伏見城が崩れた地震以降、京都では大きな地
   震はなかったはずです。
   

[#01] 最近売れてるような気がする本(順不同)

  ◆「私の前衛短歌」永田和宏 砂子屋書房
  ◆「評伝 島成郎」佐藤幹夫 筑摩書房
  ◆「スペクテイター〈41号〉 つげ義春」幻冬舎
  ◆「脈 97号 沖縄を生きた島成郎」脈発行所
  ◆「原発とジャングル」渡辺京二 晶文社
  ◆「大正炭坑戦記―革命に魅せられた魂たち」河野靖好 花書院
  ◆「『君たちはどう生きるか』に異論あり!」村瀬学 言視舎
  ◆「古都の占領」西川裕子 平凡社
  ◆「(歌集)カミーユ」大森静佳 書肆侃侃房
  ◆「(文庫)日本ボロ宿紀行2」上明戸聡 鉄人社
  ◆「(文庫)貧乏漫画」つげ義春他 筑摩書房
  ◆「ドクダミの贈りもの」小澤千世子 涼風書林
  ◆「ぽかん 7号」編集・真治彩/発行・ぽかん編集室
  ◆「こないだ」山田稔 編集工房ノア
   5月25日入荷で、すでに60冊以上売れている。前著「天野さんの傘」
   は100冊以上売れているので、これも100冊近くまでは行くはず。   
   
   
[#02] これから売れそうな気がする本(順不同)

  ◆「(歌集)水中翼船炎上中」穂村弘 講談社※入荷済
  ◆「古本屋台」Q.B.B. 集英社※入荷済  
  ◆「(歌集)※第4歌集」永田紅 青磁社
  ◆「文学を食べる」小山鉄郎/ハルノ宵子・画 作品社
  ◆「いじめの解決 教室に広場を」村瀬学 言視舎
  ◆「(歌集)ランプの精」栗木京子 現代短歌社
  ◆「天職に生きる仕事術」森本武 K's point※入荷済
 

[#03]  短歌本の売上げ(TOP12) 2017/06〜2018/05

  01 10冊 「私の前衛短歌」永田和宏 砂子屋書房
  02  9冊 「(歌集)南の窓」栗木京子 ふらんす堂
  03  8冊 「(歌集)風のおとうと」松村正直 六花書林
  04  7冊 「短歌タイムカプセル」東直子他編著 書肆侃侃房
  05  6冊 「(歌集)午後の庭」永田和宏 角川書店
  05  6冊 「(歌集)景徳鎮」大辻隆弘 砂子屋書房(a)
  05  6冊 「松平修文歌集」砂子屋書房(b)
  08  5冊 「(歌集)窓の匂い」前田康子 青磁社
  08  5冊 「(歌集)鉄の蜜蜂」岡井隆  角川書店 
  08  5冊 「(歌集)シネマ」ながらみ書房(c)
  08  5冊 「(歌集)白猫倶楽部」紀野恵 書肆侃侃房
  08  5冊 「吉川宏志歌集」邑書林(d)
   ※(a)通算11冊、(b)通算14冊、(c)通算8冊、(d)通算60冊以上?
   
  歌集類の売上も減少の一途です。他店のことは知りませんが、うちの
  場合は〈吉本〉本と同様に、中心的な購買者が“団塊世代”より上な
  のが確実に響いています。とくに短歌関係は“カルチャー講座”の最
  初のブームのころに作歌を始めたご婦人方が一番の上客でしたが、こ
  の方々も80歳以上になって、購買意欲が目立って落ちています。若い
  読者も少しはいますが、絶対数が少ない上に経済状態も比較的よくな
  いようで、あまり多くは買ってくれません。それに以前は俳句や詩に
  比べると多かった、歌人以外の純読者が“団塊世代”より下にはほと
  んど見あたらないようなのも響いています。
  
  
[#04] <天に唾する>京都の書店のうわさ(その90)   

 ○「三省堂書店京都駅店」が6月17日で閉店。三省堂書店は大阪の地下
  街やそごう、そして梅田のルクア大阪など、どこもあまり長く続かな
  かったような記憶があります。京都駅は2003年のオープンだったから、
  それでも比較的長続きした方かもしれません。これで関西の三省堂書
  店は「ステーショナリー天王寺」のみになったようですが、ここは文
  房具屋であって本屋ではないらしい。


[#05]  近ごろちょっとまずいことになったらしい出版社など
  
  前号以降、「ダイナミックセラーズ出版」は破産手続の開始決定、
  「日本芸術出版」は今年3月下旬頃から連絡が取れない状況とのこと
  
  「筒井書房」が倒産、「東海出版社」と「バルク・カンパニー」と
  「ヘルメス出版」が廃業、そして、「椎名誠文学館」は5月14日付け
  にて出版事業の廃止を発表しました。ここは返品をすべて入帖してく
  れるそうですが、うちの店には何も残っていません、というか、たぶ
  ん一度も仕入れたことがないようです。
  

[#06]  etc.…

 ○本の雑誌社の新刊『ニッポンの本屋』に載せていただきました。うち
  の店の本棚の写真は2014年刊の『別冊本の雑誌17 本屋の雑誌』の再
  録がほとんどですが、記事と写真の一部は新しいものです。うちの店
  はここ40年ほどほとんど改装したことがなく、小汚い古店ですが、さ
  いわいなことにほとんどすべて本棚で埋まっているので、ボロ隠しに
  はなっています。もしも、すべての本を撤去してしまったら、見られ
  た姿ではないでしょう。
  

 ○大阪屋栗田が楽天の子会社になっても、こちらには何の関係もないと
  思っていたら、同社のサイトがリニューアルされて「ごんた堂」が消
  えてしまった。ここの新刊情報は、もっとも使い勝手がよくて、20年
  近く愛用していたので、たいへん不便になってしまった。これは元の
  大阪屋の無料サービスで、数日先の予定を含む30日間の新刊情報が書
  籍と雑誌がそれぞれ一覧表になっていて、日付と出版社で並べ替えも
  可能というすぐれものでした。これによって、毎日の新刊のチェック
  をしていましたが、6月1日から使えなくなり、今のところこれに変わ
  るサイトがみつからないのでとても困っています。
  楽天ブックスやhontoには毎日の新刊リストがありますが、出版社別の
  並べ替えができず、日販のは出版社別の並べ替えはできますが、日付
  による並べ替えができません。大阪屋栗田の新サイトはまだ未完のよ
  うに見えるので新刊情報が復活することを期待しています。
   
 ○河出が2014年秋に刊行を開始した『日本文学全集』全30巻がいまだに
  完結しない。最初の予定では2018年3月完結のはずだったが、あと2冊
  (源氏物語の中と下)を残して、2017年9月以降出ていない。うちの店
  にも一人だけ購読者がおられるが、うちが廃業する前に完結して欲し
  いものです。
  全集の完結が遅れるのは珍しいことではなく、『筑摩世界文学大系』
  は25年もかかったし、人文書院の『ブルトン全集』のように途絶した
  ままのも少なくありません。
  それにしても、この出版業界の状況下で“現金一時払い特価”商法を
  設定した呑気さには少しあきれます。2014年以降に閉店した書店にて
  一時払いをしていたお客は、閉店以後も無事に配本を受け取れている
  のでしょうか?栗田、大洋社などの取次と取り引きしていた書店は無
  事に定期を大阪屋に移行できたのでしょうか?
  この問題については「出版ニュース」2002/09/中旬号にて、指摘した
  ことがありますのでご参照ください。無料で読めます。
  
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この「販売速報(仮題)」はe-mailの性質上,簡単に改訂することができ
ますが、その度に全読者に送信するのは、お互いに煩わしいので、最終版
をおよそ1ヶ月後にHPに掲載します。

   ◆1998/11/27 創刊準備号(通巻01号)発刊
   ◆「バックナンバー(01〜127号)」はHPにて公開中です。
     
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