アジア映画感想文

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わすれな歌
英雄(ヒーロー)
北京バイオリン
春の惑い
ムトゥ踊るマハラジャ
藍色夏恋
I need you
ミレニアム・マンボ
変面
活きる
少林サッカー
少女の髪どめ
至福のとき
山の郵便配達
小さな中国のお針子
あの子を探して
初恋のきた道
ハリウッド・ホンコン
草ぶきの学校
クローサー
猟奇的な彼女


 ビデオ「わすれな歌」 ★★★★☆

内容は真面目な恋愛映画ではない。けれどなぜかほろりときます。
主人公ペンは、村の美女サダウにアタックし、はじめは呆れ顔だったサダウも、ペンの底抜けの明るさ惹かれてゆく。2人は結婚し、つつましくも仲良く暮らしていた。そして、サダウは妊娠する。しかしペンは徴兵される。ある日、ペンの訓練地へ巡業に来た芸能プロダクションが歌謡コンテストを主催。優勝者と準優勝者は、デビューできるのだという。歌が好きなペンは、妻への想いを歌にたくし、切々と歌う。優勝したペンは、軍隊を脱走し、プロダクションのバスに飛び乗ってしまう。サダウはペンを探しに村から出てくる、というストーリー。タイ映画で、これまた独特の話の展開で、映画全体に漂うけだるさはまさにタイ。しかしなぜか心温かく、ノスタルジックになれる映画でした。(2004年10月)


 ビデオ「英雄(ヒーロー)」 ★★★☆☆−

アクションシーンは幻想的で綺麗だが、雨のような矢や頻繁に変わる場面のために目が疲れた。
戦乱の中国。後に始皇帝となる秦王のもとに、無名と名乗るひとりの男が、一本の槍と二本の剣を持って現れた。それは秦王の命を狙う3人の暗殺者、長空、残剣、飛雪の武器。最強の刺客たちを倒した無名は、秦王への謁見を許され、3人を討った経緯を話し始めた。恋人同士だった残剣と飛雪。その愛と嫉妬を利用して3人を殺した、と語る無名。しかし秦王は、無名の言葉に裏があることを見抜き、問いただす。すると無名は、これまでとはまったく別の物語を語りだした…。というストーリー。中国の歴史背景、伝説等を知っていなければ訳の分からない内容だろう。アクションシーンは幻想的で綺麗だが、雨のような矢や頻繁に変わる場面のために目が疲れる。(2004年10月)


 ビデオ「北京バイオリン」 ★★★★★


親子愛を押しつけがましくなく自然に描いた秀作。涙なくしては見れません!
子供の成功を願う父親は、少年の為に孤軍奮闘、有名な先生についてもらおうとしたり自分が身を粉にして働いて学費を搾り出したりしている。しかし少年は地位や名誉のためにバイオリン奏者になるよりも、父親と一緒にいることを望む。親子愛を押しつけがましくなく自然に描いた秀作。涙なくしては見れません!(2004年10月)


 ビデオ「春の惑い」 ★★★☆☆

静かな展開。正直あまり印象に残っていない。
第二次大戦中の中国・蘇州で、ユイウェンの嫁いだ先は戦争に巻き込まれて没落してしまう。そんな中、ある日、ひとりの男が訪ねてくる。彼はかつてリーイェンと共に医学を志し、現在は上海で医者になっているチーチェン。旧友との再会を素直に喜ぶ夫だったが、彼はユイウェンの初恋の相手だった。というストーリー。静かな展開。正直あまり印象に残っていない。(2004年10月)


 ビデオ「ムトゥ踊るマハラジャ」 ★★★☆☆

インド映画はストーリーのテンポが独特で、おいおい!と思うことがよくあった。
タミルナードゥ州の大地主ラージャーに仕えるムトゥは、馬車使い兼用心棒として人々から絶大な信頼を得ていた。そんなある日、ラージャーが劇団女優のランガに一目惚れ。だがランガはムトゥに恋してしまう・・というストーリー。インド映画はストーリーのテンポが独特で、おいおい!と思うことがよくあった。インドの社会もあまりよく分からないのでムトゥが身分的にどういう立場にあるのか、なども分からず、映画の面白さがイマイチ掴みきれなかった。ちなみに時間が3時間ほどあり、少し疲れる。(2004年10月)


 ビデオ「藍色夏恋」 ★★★★☆

思春期の心情を見事に表現した映画。もっと若い時期に見たかった(笑)!!
主人公はモン=クーロウという中学生の女の子。モンは友達のリンに付き合い、リンが片思いするチャンをこっそりと追いかけたり、リンに代わって手紙を出したりしてした。ところが、チャンはモンを意識し出し、チャンはモンに積極的にアプローチ。二人は付き合うことになる。しかし、二人ともまだ思春期真っ只中。本当に好きという感情も確固としたものではないし、好きだというのはどういう気持ちかも分からない。モンはリンとの友情が壊れることを恐れ、チャンに対して「私は女の子が好きなの」と言ったり先生に対してキスを求めてみたりする。結局良く分からないまま二人は別れる。というストーリ−。
中学生ごろの女の子の微妙な心情を見事に表現していると思った。(2004年4月)


 ビデオ「I need you」 ★★★☆☆

日本のトレンディードラマの影響をかなり強く受けた香港映画。軽いノリで見ればそこそこ楽しめる。
OLのキンキー(サミー・チェン)と上司アンディ(アンディ・ラウ)は仕事を通じて次第に仲良くなっていく。しかり、実業家ロジャー(レイモンド・ウオン)の出現によって、アンディは、今までのキンキーに対する躊躇の感情が嫉妬に変わる。最後はハッピーエンド。本当に日本のトレンディードラマだ。(2004年3月)


 ビデオ「ミレニアム・マンボ」 ★★★☆☆

少しストーリーが分かりにくかった。だから、いや、にもかかわらず芸術性は高い?
映画のキャッチフレーズは「誰かと愛し合えば必ず傷つくのに一人ぼっちでいられない。もっと上手く、もっとバランスよく生きられたら泣くこともない。もっと人から愛されたら人を愛するなら、こんなに寂しくても苦しむこともない」なかなかいい事を言っている。ストーリーは、主人公のビッキー(スー・チー)の彼氏の葉オは遊び呆けていて仕事もしない。耐え切れなくなった彼女は、彼女を妹のようにかわいがっていた友人ガオの元に逃げる、しかし彼女の恋愛は上手くいかないという感じ。(2004年3月)


 映画「変面」 ★★★★★S

とても面白い。3回見た。女の子演技がすごくいい!中国の貧しい地方の状況にびっくり。
大道芸人王(朱旭)は、年をとり、跡取りがほしくなったので、子供を買いに行く。男の子だと騙されて女の子を買わされる。女の子は、はじめは男の振りをして一生懸命に彼の手伝いをしていたが、とうとう女の子だとばれてしまう。女だと分かったとたんに冷たくなる王。彼女は必死に彼に気にってもらおうと色々な事を試みる。しかし彼女が良かれと思ってすることは全て裏目裏目に出てしまう。ある日王は人さらいに間違えられて、死刑判決を受ける。女の子はあらゆる手段を試みて、王を救出する。王と女の子は仲むつまじく幸せに暮らしていくというストーリー。
汚れてすさんだ世の中で、誠実に生きようとする女の子に猛烈に感動した。ストーリーも単純、捻ったところもないのに観衆に感動を呼び起こすのは、演技の上手さゆえだろう。(20004年2月)


 ビデオ「活きる」 ★★★★★

おそらく年配の方向けの映画。人生は喜怒哀楽の連続。それでも時間は流れていく。
中国の激動に巻き込まれる夫婦を描いている。主人公富貴は、中華民国時代に大富豪の跡取りとして生まれた。しかしギャンブルに明け暮れる日々。借金のために家を売られてしまう。彼は、仕方なく人々から軽蔑される仕事である影絵師になり巡業で家を出る生活になる。巡業中に国民党軍と共産党軍の戦いに巻き込まれ、命からがら逃げ出してきた富貴は、妻の家珍と細々とささやかながらも幸せな生活を過ごす。このまま幸せが続くかと思われたが、ある日息子の重徳は区長の車に引かれて死んでしまう。悲しみに明け暮れる夫婦。しかし、重徳の妹鳳霞と暮らしていく。鳳霞は見合いで結婚する。鳳霞は子供を生むが、時は文化大革命真っ最中。まともな医者おらず、鳳霞はそのまま出血がとまらず死んでしまう。鳳霞が生んだ孫は重徳そっくりだった。若い頃から喜びや悲しみを経験してきた彼らの人生は、これからもずっと続いていく。かなり壮大な人間ドラマだった。(2004年2月)


 ビデオ「少林サッカー」 ★★★★☆

こういうあほなノリは個人的に好きだ。少し中国の厳しい現実も述べられていたりして面白かった。
少林拳を広めるために街に出てきたシンは、かつての仲間を集めてサッカーで少林拳を普及させることを考える。シンの熱い心に、情熱を失っていたかつての仲間達もやる気を出す。試合を勝ち進み、決勝戦でハイテクトレーニングやクスリによって人間離れした力を持つデビルチームとの戦う。
 CGをこんなあほなことに使ってもったいないと思ったが、ドラゴンボール並みの力のぶつかり合いを見て大笑いさせてもらった。折角学んだ拳法も、都会では役に立たないということ、親に学校にも行かせてもらえず拳法をやらされたのに何も役に立たない、そんな切実な現実も少し知ることが出来てとても面白かった。(2003年12月)


 ビデオ「少女の髪どめ」 ★★★★★S

こんな時代だからこそ優しさ・思いやりを考えさせられる。とてもよかったです。
イラン映画。「運動靴と赤い金魚」で有名なマジッド・マジディ監督の映画。17歳のラティフは建築現場で働く暴れん坊の少年だ。政府は難民を働かせることは禁止しているが、ラティフの仕事場のオーナーはアフガニスタン難民に理解を示しておりひそかに雇い、働く機会を作っている。
ある日ラーマトという少年が仕事をすることになった。ラティフは、今まで自分がしていた楽な仕事をとられた腹いせにラーマトに乱暴を働いていたが、ある日、ラーマトは少女であることを知ってしまう。ラティフはそれ以来、ラーマトをこっそりと助けるようになる。ラーマトが仕事に来れなくなってからは、自分の給料を渡し、とうとう最後には自分の身分証明書を売ってしまう。
ラーマトの一途さ、優しさ、不器用さがとてもよかった。ここまで誰かのために自分は一生懸命になれるだろうか?と考えてしまった。(2003年12月)


 ビデオ「至福のとき」 ★★★★☆−

チャオはしがない労働者で現在失業中。お見合いで太った女性に一目ぼれし、あの嘘この嘘をついてなんとか気を引こうとしていた。チャオは旅館経営者で大富豪だと言っていた。女性は前の夫の子のウー・インを旅館で働かせてくれと頼む。ウーは目が不自由で、女性はウーを厄介払いしたがっていた。チャオは、仲間に相談し、工場跡を目の見えないウーに旅館だと思わせることにした。ウーはそこでマッサージを始め、チャオの仲間が客の振りをしてマッサージをしてもらいに行きウーを騙していた。ウーは仕事に生きがいを持つことで生きる喜びを見出し全てが順調に行くかに見えた。しかし、嘘はいつまでもつき通せず縁談は破綻。ウーは一人で生きていくために旅る。
目が不自由なために家族にいじめられ、人生に希望が見出せなかったウーが仕事を通じて生き甲斐を感じていくこと。嘘を嘘だと知っていながらもチャオの優しさを感じて騙され続けていたことなどに感動した。(2003年12月)


 ビデオ「山の郵便配達」 ★★★★★

シンプルなストーリー、深い内容。美しい映像、味のある演技。これぞ中国映画!
主人公の父は、ある村の郵便配達員。3日間山を歩き続けて、郵便物を届けている。
父は仕事を引退し、息子が受け継ぐことになった。息子は父と一緒に山を歩く、というストーリ。
たったそれだけの内容なのに自分と親の関係もダブるからであろうか?とてもよかった。(2003年12月)


 ビデオ「小さな中国のお針子」 ★★★☆☆−

自由のない文革時代の中国で、自我に目覚めていく女性。でも何だか違う。自由って何?
文化大革命が行われている中国で思想教育を施されるために、マーとルオの二人は山岳地方の小さな村で青春時代を過ごすことになる。そこで出会った少女「お針子」は文盲・無教育・無教養。マーとルオは、村長の目から逃れて西洋文学を彼女に読んで聞かせる。
「お針子」は、バルザックに傾倒していき、次第に自我に目覚めていくが、自我に目覚めた彼女が味わうのは悲しすぎる現実。
彼女はある日村を出て行ってしまう、というストーリー。
ストーリーは大まかにはとてもすばらしいと思う。ただ、多分監督のセンスもあるんだろうと思うが、ところどころでちょっとちゃうんじゃないの?って感じることが多かった。例えば、マーとルオは、西洋文学の本を、同じ思想教育を受けるために村に来た若者から盗む。「お針子」も「じゃあ本を盗めば」とそれを当然のように言っている。監督の言いたい自由というのは、もしかして何をしても許されることを言っているんじゃないか?と感じた。
あと、ストーリーとは関係ないが、マーとルオの衣装のタンクトップが赤と青の対称色で山岳地帯の背景と見事にミスマッチしていた。一昔前のアイドルのようでセンスない!と思った。(2003年12月)


 ビデオ「あの子を探して」 ★★★★★S

中国の農村の貧しさ、それでも一生懸命生きる子供達にモーレツ感動!
大好きなチャン・イーモウ監督の作品。主人公13歳のウェイは、小学校に臨時教師として勤めることになる。
生徒の一人であるチャンがある日、町に出稼ぎに行ってしまった。ウェイは生徒が一人でも学校をやめると金を貰えない。
ウェイはチャンを連れ戻すために町に行くことにする。
出演者が素人さんってこともあるかもしれないが、演技が迫真。無駄がなくストレートに演技が伝わってきた。
舞台は中国の山村で、みんな貧しくて生きるのに必死。貧しくて学校自体が成り立たない。教育水準も低い。チョークがない。
いかに僕達の世界の当たり前が恵まれているかを感じた。
これは絶対に御薦めです!(2003年12月)


 ビデオ「初恋のきた道」 ★★★★★

めちゃくちゃ純愛。こんな恋愛がしてみたい
チャン・イーモウ監督作品。主人公が自分の両親の出会いから結婚までを述懐している。
主人公は都会で働いているが、父の死を聞き久しぶりに故郷に戻ってくる。
母は村の伝統的な葬式をやると言い張って譲らない。なぜ母は葬式の様式にこだわるのか。
父と母の出会いは、父が教師として村に来たことから始まった。
文化大革命のために父は村を去ることになるが、
母は何年も毎日一本道の前で父の帰りを待つ。
むちゃくちゃ感動した。人間ハートが大事やなぁ〜と一人で納得(2003年12月。


 ビデオ「ハリウッド・ホンコン」 ★★★☆☆

エロくてグロくてロマンチック。その内容はまるでグリム童話。
中国映画の新鋭といわれるフルーツ・チャン監督の映画。
香港のビルが立ち並ぶ町並みの外れにあるスラム街に突然現れた美女。
彼女は一般人には手の届かない、ハリウッド・ホテルに住んでいて肉屋の家族やチンピラ達を巻き込んで
様々な騒動を巻き起こす。
テンポが良くて飽きずに見ることができたが、見終わった後は少し後味の悪さが残った。
内容上仕方ないか。映像も綺麗。雰囲気も出ている。いまいちテーマが分からなかったのが残念。
ただおしゃれさだけを追求した映画だったのか?(2003年12月)


 ビデオ「草ぶきの学校」  ★★★★☆

子供の世界をうまく描写していて、子供から見た大人の世界も上手に表現できている。
昔こんなことあったなぁ〜って誰にでも思わせることができるとても優れた映画だと思った。
この映画で描かれていたように確かに子供は理不尽に誰かを馬鹿にしたりいじめたりすることもある。
そして、子供の視点からわずかに垣間見る大人の世界は謎だらけだ。(2003年11月)


 ビデオ「クローサー」 ★★★☆☆+

 ストーリーはしょぼいが、女優がかわいいので見ていて飽きない。
「トランスポーター」のスー・チーや「少林サッカー」のヴィッキキー・チャオが出ている。
主人公の女3人がかわいかったりセクシーだったりするので面白かった。ストーリーはあまり覚えていないが^^;。
アクションシーンがハリウッド映画のような殴って蹴ってというようなものでなく
控えめだったのでそれも好印象だった。(2003年8月)


 ビデオ「猟奇的な彼女」 ★★★★★

感動して久しぶりに泣きそうになる。
韓国で実際にあった話を元に作られた映画らしい。
彼女は超美人で正義感あふれる女の子なのに「ぶっ殺されたい?」が口癖」。
電車の中でべろべろによった彼女を介抱してキョヌと彼女との出会いが始まる。
すごく強がっている彼女だが本当は心に影を持っていた。
何度ものすれ違いの後二人が結ばれるストーリー。
 まず、チョン・ヒギョンの演技が最高!強くて、正義感があって、気の向くままで、か弱い彼女を見事に演じている。
キョヌ役のチャ・デヒョンも最初は「なんや、情けない奴やなぁ」と思っていたけど、彼の優しさに見ているほうも惹かれてくる。
彼女と別れてから、自分を変えようと頑張りだす姿に共感した。
 久しぶりに面白い映画を見た。感動のあまり、いつもの性欲や煩悩がふっとぶ^^。(2003年8月)