新:道尾秀介7(直木賞おめでとう2011)
著者一覧:明野照葉2、あさのあつこ5、恩田陸、朱川湊人、水木しげる,
森見登美彦、山崎豊子、横山秀夫2
火坂雅志、山本兼一、藤沢周平、童門冬二、菅広文、宮下英樹、サタミシュウ、井沢元彦、真山仁、小泉喜美子、
高橋ヒロシ、道尾秀介、京極夏彦、山田悠介、誉田哲也、盛田隆二、伊坂幸太郎、佐々木譲、明野照葉
2010/11/11
明野照葉(あけのてるは):降臨 光文社文庫
パンドラのハコ、脳の傷に酒がしみる、それだけは言わないで、充実、見つめてごらん、伝染(うつ)さないで、
降臨、汝の隣人愛すべしの短編集。パンドラのハコ、脳の傷に酒がしみる、それだけは言わないで、見つめて
ごらんは、妄想全快の男性の物語。パンドラのハコは妄想というよりも、見えないものが見えてしまう体質の
男性で、そんな体質だから人ごみに出られない。そんな男性に、同じく見えないものが見えてしまうパートナーが
いるのだけれど、この女性はしっかり者。フェイクは女性ばかりの物語でしたが、この本は男性も登場します。
独特の内容の本です。
2010/11/10
明野照葉(あけのてるは):フェイク 徳間文庫
たみちゃん、ドリーマー、化粧、同級生、えんがちょ、ひっつきむし、辻灯籠の短編集。
物事が思い通りにいかない。「変わりたい、変えたい」という思いが、「そんなことは無かったんだ」
「変わっていく、変わったんだ」という夢というか、妄想というか、思い込みというか、、、
上手く言えないけれど、そんなものとなり、それが、その人(女)の現実になってしまう。
明野照葉は、そういう女性を書くのが抜群に上手いです。
2010/11/24
あさのあつこ:ガールズ・ブルー 文春文庫
人口6万人足らずの地方都市にある、程度の高くないというよりも低い高校に通う17歳の高校生たちの
物語です。目指し、励み、やがては到達する夢も目標もないけれど、何の根拠もないけれど、何とか
やっていけるという自信があった。でも、揺れる。。。思いっきり笑ってた、あの頃を思い出します。
あたしたちの前には、長い長い時間がある。それなのに、今しか着れない浴衣も、今しか感じられない歌も、
今しか愛せないものもある。今だけがよければいいなんて、思わない。でも、過ぎていく時を惜しむことも、
これから来る時に怯えることもしたくない。したくないのだ。。。これ、今の年齢でもそのとおり!って膝を
たたきました。高校生たちの何気ない会話の途中に、主人公の心のうちが上手く書かれ、そして、
登場人物のみんながすごく魅力的です。誉田 哲也(ほんだ てつや)もそうですが、これからっていう世代の
女性を、本当に魅力的に書かれる作家です。
あさのあつこ:ガールズ・ブルーU 文春文庫
とりあえず、一歩、私は踏み出したのだ。その先に何があるか行ってみないとわからない。高校3年生になった、
それぞれの若者たち。それぞれ、一歩を踏み出し始める。日常的な、「あるよなあ」、「あったよなあ」という内容
の物語なので、ストンと心に落ちてきます。
2010/11/13
あさのあつこ:ありふれた風景 文春文庫
思春期から、人生の次の季節に移ろうとする女子高校生の物語。本当の自分を見ようとしてくれる人との出会い。
「余裕があるんだ」そう言われれば、そうかもしれない。自分に対する批判や意見を受け入れるためには、余裕が
いる。自分を保ち、他者へと開いていく。知られたくないと怯えるのではなく、理解してもらいたいと身悶えるのでは
なく、ただ静かに立ち、自分や他人を受け入れる。他人に追い込まれていても、自らを追い込んでいてもできない。
琉璃は、このごろの自分自身が好きだった。いい恋愛小説です。
2010/10/05
あさのあつこ:ぬばたま 新潮社 文庫
乱読傾向とはいいながら、同じ作者を続けて読むことが多いです。この本は、壱、弐、参、四のよっつの
物語と、終話から成っています。不思議で神秘的な山の奥。題名のぬばたまは、ヒオウギの丸くて黒い実の
ことで、黒、夜、夕、宵、月、夢、髪などの枕詞として使われています。いろいろな「色」の黒。
どの物語にも、いろいろな黒があり、そのために「色」が印象に残ります。白、紅、緑、黄。
さらに、色の印象を強烈にしているのが、同じ動作や音や鳴き声の繰り返しです。
どういったらよいのか、、、迫ってくるというか、降りてきます。
2010/09/18
あさのあつこ:えりなの青い空 文藝春秋 文庫
えりなという小学生の物語です。何でもないお話しですが、今の社会とか、大人と子供の感覚の違い
とか、いろいろ考えさせてくれます。あさのあつこは、「弥勒の月」や「夜叉桜」も面白いですね。
有名なバッテリーとかは読んでないですが、、、
い
う
え
2010/08/23
恩田陸(おんだ りく):夜のピクニック 新潮文庫
高校生が80kmの道のりを、朝の8時から翌朝の8時までぶっ通しで歩く「夜間歩行(歩行祭)」が
舞台。主人公の西脇融(にしわき とおる)と甲田貴子(こうだ たかこ)、そして二人に
「ずっと寄り添って来てくれた友人達」が織り成すドラマです。昔を思い出して「そうやったなあ」と
懐かしさを感じる部分がかなりあり、そして、「人間っていいなあ、友達っていいなあ」と感じさせて
くれる本です。殺伐とした事件が多いこの頃。いい気分にさせてくれます。
ただ、解説が少し解説を逸脱しているところがあります。実は、以前にこの解説を読んだために、
この本を買わなかったことがあります。もっと早く出会いたかった本です。
か
き
く
け
こ
さ
2010/08/30
朱川湊人(しゅかわ みなと):かたみ歌 新潮文庫
短編の物語を集めた本ですが、アカシア商店街にある幸子(さちこ)書房(古書店)の芥川龍之介に似た店主が
全篇に登場し、読み終えるとすべてがつながっている物語だなということがわかります。
本の帯や書店の売り文句では「涙腺崩壊、泣きじゃくり」というPRでしたが、読んでも泣けませんでした。(^^;
しかし、とても懐かしい。昭和の子供の頃は、「この世のものではない何か」が身近にあり、それが子供の躾の
基にもなっていましたし、恐くて不思議な場所もたくさんありました。もう、今はありませんよね。
昭和に子供の頃を過ごした方に、昔の子供の頃を思い出させてくれる本です。
今の若者が読んでも、「森トンカツ、泉ニンニク、かーコンニャク、まれテンプラ」とか「タイガースのサリー」は、、
わからないだろうなあ。
す
せ
そ
た
ち
つ
て
と
な
に
ぬ
ね
の
は
ひ
ふ
へ
ほ
ま
向日葵の咲かない夏 道尾秀介(みちおしゅうすけ) 新潮文庫
殺人犯として指名手配中の男が持っていたということで、やはり、それなりの先入観を
持たれてしまった本だと思います。内容で、少し気持ちの悪い箇所がありますし、
終わりもハッピーエンドではないので、好き嫌いが分かれるのではないかな。
そういえば子供のころ、いろいろなものに名前をつけて、それとお話していたなあ。
「使ってはならない、やってはならない」を悪気無しに、無意識のうちにやってたなあ。
そんな、こどもの純真というか、天真爛漫というか、その裏返しの残酷さが書かれています。
ミステリーじゃなく、童話と思って読むと、すんなりと読める本です。
ソロモンの犬 道尾秀介(みちおしゅうすけ) 文春文庫
青春やなあという本です。秋内のじっれったさ、京也の友達思い。秋内の恋は成就するのか。
軽いミステリータッチで構成されています。秋内のじっちゃんの最期の言葉「バ」「ベ」「ウ」。
よっぽど、楽しかったんだろうな。こんな、なんなん?いらんの違うか?というズッコケル箇所も
多くあります。ところで、間宮先生のところは俳優のオオイズミアキラさんの顔が浮かびました。
片眼の猿 道尾秀介(みちおしゅうすけ)新潮文庫
犬はなぜ人の数万倍も鼻が利くのか。答えは、顔の半分が鼻だから。これで、先入観を持って
しまいました。でも、それよりも、片眼の猿のように、自尊心を無くさないように。人を見て、
人だと感じる。それだけのことだけれど、これが難しい。眼に見えているものばかりを重要視
すると、本当の強さ、明るさ、楽しさは味わえないのかもしれません。読み進むうちは、
軽快な内容だなと思いますが、実は重いテーマも含んでいます。
三梨さん、冬絵さん、野原の爺さん、まき子婆さん、トウミとマイミ、帆坂くん、トウヘイ達が
いいなあ。読書感も清々しいです。
シャドウ 道尾秀介(みちおしゅうすけ)創元推理文庫
きちんとしたミステリです。小学校五年生の鳳介と亜紀、その家族である我茂洋一郎、水城徹の
今後を見守りたい。幸せいっぱいの人より、痛みを持っている、痛みを知っている人のほうが、
人に優しい。一位がいつも偉いわけじゃない。そうだよなあ。一位じゃない側の、見た目には
ベベタコに近い側の人の強さと優しさ。よし、楽しんで生きていこうと感じます。
ラットマン 道尾秀介(みちおしゅうすけ)光文社文庫
強烈な出来事の場合、視覚から入る情報が強いインパクトを与え、それが大きな勘違いとなり、
その勘違いにより、もしかすると永遠に続くかもしれない痛みを心と体の奥底に抱え込んでしまう。
この永遠の痛みの塊は、じわじわと人を包み込む。しかし、勘違いに気がついたときに暗闇に一筋の光が
差し込み、この光によって痛みの塊に一筋の亀裂が入る。すると、今まで気づかなかった本当の
家族や仲間というものが見えてくる。ラットマンに気がついたならば。人は、一人じゃないんだ。
熱い人々が登場する物語ではありませんが、いい本です。
背の眼(上下) 道尾秀介(みちおしゅうすけ)幻冬舎文庫
道尾(ホラー作家で私)、真備庄介(霊現象探求所を主宰)と北見凛(真備の美貌の助手)の三人が、
背の眼の写った心霊写真の謎を解明するために、福島県の白峠村を訪れる。しかし、それは物語の
始まりにすぎず、村では子供が失踪する事件が連続して発生していた。京極夏彦氏のシリーズに
似たところもありますが、かなり一気読みさせてくれます。亮平くんも、いい存在感を出していますし、
最後に「この世の不思議なこと」を感じさせてくれます。
骸の爪 道尾秀介(みちおしゅうすけ)
道尾(ホラー作家で私)、真備庄介(霊現象探求所を主宰)と北見凛(真備の美貌の助手)の三人が登場する
第二段です。滋賀県の仏所「瑞祥房」が舞台。しかし、背の眼ほどのワクワク感が無いのが残念。
2010/12/13
水木しげる(みずきしげる):水木しげるの日本妖怪紀行 新潮社 文庫
水木しげるさんの絵と説明文、そして探訪ガイドがついた本です。「ゲゲゲの」が流行語大賞に選ばれたので、
購入しました。京都に住んでいると、妖怪、魔界などに縁の深い場所が多くありますが、全国にもいろいろあり
ますね。世の中の明かりが、太陽と月と星だった時代は発想がすばらしいです。
む
め
2010/09/29
森見登美彦(もりみとみひこ):きつねのはなし 新潮社 文庫
短編集なのですが、すべての話がつながっています。京都が舞台なので、京都在住の私は、それと
なく楽しめます。きつねのはなし、果実の中の龍、魔、水神の4編が収録されています。
きつねのようだけれど、それにしては蛇のように胴の長い、そして人間のような顔をしたケモノ。
京都の魔界がお好きな方にはいいけれど、正直に言って、好き嫌いがある本かな?と思います。
2010/07
山崎豊子(やまざきとよこ):沈まぬ太陽 新潮文庫
知り合いの山Gさんから本を紹介していただきました。
国民航空社員で同社の労働組合委員長を務めた恩地元と、彼を取り巻く人々の描写を通して、
会社の倫理、人間としての倫理を表現した作品です。1985年8月12日、日航ジャンボ機の
御巣鷹山・墜落事故がモデルのようですが、あくまでもフィクションとされています。
この作品の「週刊新潮」への連載や映画化に日本航空は不快感を持ち、雑誌連載中は日本航空
機内での週刊新潮の扱いを取りやめたり、映画会社の角川に対して訴訟を行うような様子もあり
ました。全5巻で、1−2はアフリカ篇、3は御巣鷹山篇、4−5は会長室篇です。
感想としては、、、、痛い、、重い、、う〜〜といった感じです。
アフリカ篇と会長室篇で恩地元の人となりが変化していますが、それほど御巣鷹山篇は強烈です。
恩地さん、なんで?という結末ですが、それはそれでいいのかなあ。読んでよかった一冊です。
あ、、、御巣鷹山篇は、かなり号泣します。山Gさん、ありがとうm(_ _)m
ゆ
2010/08/16
横山秀夫(よこやまひでお):クライマーズ・ハイ 文春文庫
1985年8月12日、日航ジャンボ機の御巣鷹山・墜落事故が発生。それまで部下を持たない
独り遊軍だった悠木和雅(ゆうきかずまさ)は全権デスクを任命される。御巣鷹山・墜落事故の
全権デスクとしての40歳の悠木、そして安西燐太郎と衝立岩を登攀する57歳の悠木。
この親子でも通用する年齢の違いの悠木自身を軸に物語が進みます。
組織について、仕事について、親子について、家族について、そして仲間について。
この年になって読み返して「本当によかった」一冊です。この本は、心にガツン!!とくる一冊。
男泣きに泣けました。そして、読後も爽やかです。こういった本に出合えたことが幸せです。
2010/09/12
横山秀夫(よこやまひでお):半落ち 講談社文庫
梶聡一郎の事件に関わる、6人の男たち。お前は、誰のために生きているんだ。誰のために?
それを思い出させてくれて、再認識させられる。無私。絆。感極まります。いい本です。
横山秀夫って、すごいな。
わ
を
昔に読んだ本の再読も多かったです。文字もいいけれど、絵(マンガ)もいいなあ。
・天地人 上下 火坂雅志
ご存知、直江兼続。NHK大河ドラマになりました。兼続の友である、石田光成役は若手人気俳優が演じました。石田光
成も少しは人気が出るかなあ。義の人ですし。
・直江兼続の義と愛 火坂雅志
・環境問題ウソとホントがわかる本 大和書房
・利休にたずねよ 山本兼一
この本で、利休に対する考え方が「利休=茶道のお師匠さん」から「利休=武将」に変わりました。面白い本です。
・密謀 藤沢周平
藤沢周平の本は、どれをとっても面白いです。特に殺陣のシーンはすばらしい。
・直江兼続 童門冬二 PHP
・京大芸人 菅広文 講談社
久々に、電車の中で読んでいて笑いました。
・16歳の教科書 講談社
・ココロの授業 比井田和孝 ごま書房
・センゴク天正記4 宮下英樹 マンガ
戦国時代を描いています。主人公は仙石秀久で、センゴクを慕って長野県の小諸城まで行きました。今は本能寺の変
あたりで、黒田官兵衛が登場しています。個人的には、天正記の前の「センゴク」が好きです。
・桶狭間戦記2 マンガ
今川義元と織田信長の幼少期から桶狭間までを描いています。他の本でも書かれていますが、義元もすばらしい武将
です。
・クリティカルシンキングが良くわかる本 秀和システム
ロジカルシンキングとの違いなども説明されています。ようわかりません。
・あなたも知らない県民力 本郷陽二 実業の日本社
・私の奴隷になりなさい サタミシュウ 角川文庫
映画化されました。
・英傑の日本史 信長、家康、秀吉編 井沢元彦 角川文庫
この作家の発想というか説は、とても面白いです。他にもいろいろ読ませていただいています。
・センゴク天正記5 マンガ
・恋愛脳 黒川伊保子 新潮文庫
・東大阪元気企業 ロダン21 小学館
・Last Parade 中村まさる サンクチュアリ出版
・ハゲタカ上下 真山仁
・ハゲタカU上下 真山仁
一気に読みました。モデルとなった企業は、なんとなく想像できますが、、、今年、化粧品で事件がありました。企業体
質は変わっていないなあ。
・センゴク天正記6 マンガ
・弁護側の証人 小泉喜美子
道尾秀介の推す本でしたので読みました。
・WORST外伝 高橋ヒロシ マンガ
・クローズ外伝 高橋ヒロシ マンガ
・続クローズ外伝 高橋ヒロシ マンガ
・その後のクローズ 高橋ヒロシ マンガ
クローズは、男の子には好かれるマンガだと思います。でも、今の男の子は、そうでもないかなあ。登場人物は男子だ
けでケンカばっかりですが、卑怯な、卑劣な、卑猥なシーンはありません。
・龍神の雨 道尾秀介
・鬼の跫音 道尾秀介
・姑獲鳥の夏 上下 京極夏彦
とにかく分厚い本ですが、一気読みでした。
・もうりょうの匣 京極夏彦
・リアル鬼ごっこ 山田悠介
・ストロベリーナイト 誉田哲也
・ソウルケイジ 誉田哲也
・月光 誉田哲也
・アクセス 誉田哲也
・ジウ 誉田哲也
・ジウU 誉田哲也
・ジウV 誉田哲也
誉田哲也は、どれも面白いです。本によって好き嫌いがあるかなあとも思いますが、ジウなんかはお勧めです。なお、
誉田哲也が描く女性=少女は、抱きしめたくなるほど応援したくなります。
・ストリートチルドレン 盛田隆二
・陽気なギャングが地球をまわす 伊坂幸太郎
・笑う警官 佐々木譲
・汝の名 明野照葉
・女神 明野照葉
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