何故メンタルヘルスケアが必要か?

 近年うつ病やパニック傷害を始め軽度の自律神経失調に至るまで種々の精神疾患が増加しています。年間の自殺者数は1998年を境に急増し、がん、心疾患、脳血管疾患、肺炎、事故、に続き第6位を占めその数はここ7年ほど年間3万人を超えています。

 10年ほど前までは40代の自殺が多かったのですがここ10年社会の高齢化が進むにつれ又バブル崩壊が重なり50代60代の経済的理由による自殺者が増えてきました。

 また自殺未遂者についての調べでは75%はうつ病を主とした何らかの精神疾患が見られた(厚生労働省人口動態統計より)ということから類推して、自殺の原因としては健康問題、経済的理由、職場環境、家庭環境などの生活問題が挙げられるのですがその殆どが
うつ病を発症しているとも言われて居ます。

 ごく一部の先天的なものを除き殆ど全ての精神疾患は増え続ける種々の悪性ストレスに過剰に暴露されること、またその暴露に耐えられないことから発症します。

 厚生労働省健康状況調査 によると、仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスを感じている労働者の割合は年々増加しており、働く人の6割以上が仕事のストレスを抱えていて、仕事上の過重なストレスによる労災認定件数も急増しているそうです。

 例えば平成16年度の精神障害による労災認定は130件あり請求件数は524件に達しています。

 昭和58年度〜平成9年度までの15年間の精神障害による労災認定数はわずかに11件であったことを考えるとその急増ぶりが良く分かります。

 現在の精神科医療の概要について見てみますと、平成15年の統計では精神科を受診されている方は全国で約258万人、国民の約50人に一人の割合です。これはその時点での受診者数ですから過去に受診された方を含めると更に大きな数になります。また精神科を受診することに抵抗を感じる方が多い現状では、実際の精神科疾患の患者数はその数倍以上と考えられます。入院された方の数は約35万人です。

 ここで生活に及ぼすストレスには二種類あることを知っていただきたいと思います。一つは良性のストレスであり人類史上に於ける自然科学、社会科学の発展の殆どが人間の欲望から生ずる良性のストレスによるものと言っても過言ではありません。

 これに対し悪性のストレスは人間の社会活動を低下させ個人を死へと追いやる場合が多いのです。たとえ良性のストレスであってもその程度が強くなり過ぎると悪性のストレスへと変化することも多いので注意が肝要です。以後使用するストレスという言葉は特に断らない限り悪性のストレスを指すものとします。

 職場に置ける(悪性)ストレスの原因は種々あります(下記)が普通一般の会社、役所に置けるストレスは@自身の仕事が思うようにはかどらないこと、A上司からの有形無形の仕事に対するプレッシャー、B過剰の時間外労働、C同僚との人間関係から生ずる葛藤の四つが殆どです。

 このような状態(ストレス過剰)になったとき「こころの病(主としてうつ病)」にかかり「自殺願望」が生じたとしても至極当然と言えるでしょう。


一般的な職場に置けるストレスの原因

@自身の仕事が思うようにはかどらないこと

A上司からの有形無形の仕事に対するプレッシャー

B過剰の時間外労働などの働き過ぎ

C同僚との人間関係から生ずる葛藤


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