組織状況 |
障害のある人々の国際スポーツ組織は、設立順にあげると次のようになります。まず第一次大戦直後の1924年に耳の不自由な人々が設立した「国際ろう者スポーツ委員会(CISS)」があります。そしてそれ以外は、すべて第二次大戦以後の設立です。まずL・グットマン博士が設立した「国際ストークマンデビル競技連盟(ISMGF現ISMWSF、1960年設立、対象・車椅子)」、世界歴戦者連盟が中心になって設立した「国際身体傷害者スポーツ機構(ISOD、1964年設立、対象・切断、四肢体幹機能障害他)」、米国のケネディ財団の莫大な財政的支援のもとに設立された「スペシャルオリンピック・インターナショナル(SOI、1968年設立、対象・知的障害)」,「国際脳性まひ者スポーツ・レクリエーション協会(CP-ISRA、1978年設立、対象・脳性まひ)」,「国際視覚障害者スポーツ協会(IBSA、1980年設立、対象・視覚障害)」,「国際知的障害者スポーツ協会(INAS-FMH、1986年設立、対象・知的障害)」の6組織があります。上記各組織は、それぞれ独自の大会「障害別・種目別世界選手権大会」、「世界ろう者競技大会(夏季・冬季)」、「スペシャルオリンピック(夏季・冬季)」等を開催すると共に、CISS・SOIを除く5組織はパラリンピックの主催団体にもなっています。なお1982年には、パラリンピックの開催を調整する「国際調整委員会(ICC)」が設立されました。さらにそれが1989年には「国際パラリンピック組織委員会(IPC)」として再組織され、パラリンピックの開催だけではなく各種世界選手権大会等の開催も行っています。 なお、地域別の組織としては、わが国の中村裕博士の提唱により1974年に設立された「極東・南太平洋身体障害者競技連盟(FESPIC,)」があります。そして「第1回極東・南太平洋障害者スポーツ大会」は日本の大分で開催され、現在までに8回開催されています。 |
実施種目 |
上記各国際組織が開催している総合スポーツ大会の最近の実施競技種目を下記に挙げてみます。 |
「世界ろう者競技大会」 |
夏季大会 |
陸上、水泳、バドミントン、卓球、テニス、ボウリング、射撃、オリエンテーリング、レスリング、自転車、バレーボール、バスケットボール、サッカー(男)、ハンドボール(女)、水球(男) |
冬季大会 |
アルペンスキー、クロスカントリースキー(ノルディック)、アイスホッケー、スノーボード |
「パラリンピック」 |
夏季大会 |
陸上、水泳、卓球、アーチェリー、フェンシング、パワーリフティング、車いすバスケットボール、バスケットボール、バレーボール、自転車、ゴールボール、ボッチャ、柔道、射撃、サッカー、車いすテニス、馬術、セーリング(ヨット)、車いすラグビー |
冬季大会 |
アルペンンスキー、クロスカントリースキー、バイアスロン、アイススレッジレース、アイススレッジホッケー |
「スペシャルオリンピック国際大会」 |
夏季大会 |
陸上、水泳、卓球、テニス、バドミントン、バレーボール、バスケットボール、ボッチャ、ボウリング、サッカー、ゴルフ、フライングディスク、ソフトボール、ヨット、乗馬、パワーリフティング、ローラースケート、サイクリング |
冬季大会 |
アルペンスキー、クロスカントリースキー、スノーボート、スノーシューイング、スピードスケート、フィギアースケート、フロアホッケー |
「国際ストークマンデビル車椅子競技大会(ISMWSF)兼ISOD世界選手権大会」 |
陸上、水泳、卓球、アーチェリー、パワーリフティング、キュースポーツ、クワドラグビー、ローンボール |
「極東・南太平洋障害者スポーツ大会(FESPIC)」 |
陸上、水泳、卓球、アイチェリー、フェンシング、ボッチャ、パワーリフティング、バドミントン、射撃、柔道、車いすバスケットボール、車いすテニス、シッティングバレーボール、ゴールボール |
以上のほかに最近わが国が参加した世界選手権大会には、以下のものがあります。 IPC世界陸上競技選手権大会、IPC世界水泳選手権大会、IPC世界卓球選手権大会、 IPC世界射撃選手権大会、IPC世界車椅子ダンス選手権大会、IPC世界自転車選手権大会、 IPC世界アーチェリー選手権大会、INAS-FID世界水泳選手権大会、INAS-FIDクロスカントリースキー選手権大会、INAS-FIDバスケットボール選手権大会、INAS-FIDサッカー世界選手権大会、世界ボッチャ選手権大会、世界シッティングバレーボール選手権大会、世界セーリング選手権大会、世界クロスカントリースキー選手権大会、障害者アルペンスキー世界選手権大会、ボッチャーワールドカップ、車いすフェンシング世界選手権大会、オープンヨーロッパ選手権障害者自転車競技大会 |
アテネ・パラリンピック参加状況 |
最近、2004年のパラリンピック・アテネ大会関係の資料が入手できました。それによりますと、大会参加国は136カ国で国連加盟国(189カ国)の約70%です。つまり,まだ世界の約3分の1の国々では、障害のある人々のスポーツが実施されていないのです。そのうち金銀銅のメダルを獲得した国は75カ国で、これまた参加国の半数です。したがって、障害のある人々のスポーツが活発におこなわれている国は、まだ地球上の半分にも達していないのです。ちなみに、メダル獲得数のトップは中国で以下、イギリス・カナダ・アメリカ・オーストラリア・ウクライナ・スペイン・ドイツ・フランス・日本の順で、わが国の獲得メダル数は金17銀15銅20合計52個で第10位の成績でした。また、アジアでメダルを獲得した国は、中国・日本・韓国・香港・タイの5カ国だけでした。以上から、世界の障害のある人々のスポーツ実施状況が、おぼろげながもらおわかりいただけると思います。 |