いま考えていること 127(2003年03月)
|
アメリカはまだイラク危機の平和的解決に可能なすべての手だてを尽くしていない。アルカイダとフセイン大統領との関係もはっきりしていないのに両者を無理に結びつけようとしている。軍事行動を起こす前にさらに精力的な国際的支援が必要だ。
国際的な危機に直面した一人のクリスチャンとして、また、大統領として私は正義の戦争の原則をよく知っているが、本質的に一方に偏したイラク攻撃はこの原則に合致しない。
イラクとの戦争は中東を不安定にし、アメリカ国土へのテロリスト的攻撃を増加させるだろう。もし我々が国連を無視して戦争に乗り出すならアメリカの威信は著しく損なわれるだろう。
まず「国際連合憲章」を見てみたのです。この憲章の全文引用はここでは何か重苦しいものになりますので、関心のある方はリンクして読んで頂くことにして、第一章第一条と第二条に国連の目的と原則が簡潔に記されているので、引用しておきます。
第1章 目的及び原則
第1条
1. 国際の平和及び安全を維持すること。そのために、平和に対する脅威の防止及び除去と侵略行為その他の平和の破壊の鎮圧とのため有効な集団的措置をとること並びに平和を破壊するに至る虞のある国際的の紛争又は事態の調整または解決を平和的手段によって且つ正義及び国際法の原則に従って実現すること。
2. 人民の同権及び自決の原則の尊重に基礎をおく諸国間の友好関係を発展させること並びに世界平和を強化するために他の適当な措置をとること。
3. 略
4. これらの共通の目的の達成に当たって諸国の行動を調和するための中心となること。
第2条〔原則〕
この機構及びその加盟国は、第1条に掲げる目的を達成するに当っては、次の原則に従って行動しなければならない。
1 この機構は、そのすべての加盟国の主権平等の原則に基礎をおいている。
2 すべての加盟国は、加盟国の地位から生ずる権利及び利益を加盟国のすべてに保障するために、この憲章に従って負っている義務を誠実に履行しなければならない。
3 すべての加盟国は、その国際紛争を平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決しなければならない。
4 すべての加盟国は、その国際関係において、武力よる威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。
5 すべての加盟国は、国際連合がこの憲章に従ってとるいかなる行動についても国際連合にあらゆる援助を与え、且つ、国際連合の防止行動又は強制行動の対象となっているいかなる国に対しても援助の供与を慎まなければならない。
6 略
7 略
いま考えていること 129(2003年04月;9月)
|
いま考えていること 130(2003年05月)
|
2005年から世界の各国で実施される減損会計の導入も日本だけは見送ろうと言う動きも与党に見られますが、これも同じ発想で、将来への見通しを欠いた小手先のごまかしです。政治は現実との妥協ですから私のような気質のものが考えるのと一致しないのも当然でしょうが、まだしも竹中さんは彼なりの見通しと確信を持って走っていると見ています。
銀行と企業の株の持ち合いこそ、改めなければならない問題点であり、見通しを誤った企業の大きな損を孕んだ厚生年金基金代行返上の動きもやらなければどうしようもないでしょうし、その結果市場での需給バランスが崩れて株がどんどん下がるのも致し方ないことでしょう。私の持ち株も大幅に評価損が大きくなってはいますが、見方によればどんどん今経済界の膿が出てきているので、改革への歩みの証明だとも思えます。一部の会社では新しい設備投資が見られます。問題がはっきりし、将来の展望がなければ新規の投資が起こりはしないでしょう。私は未来に向かって必ずしも悲観的出ない動きが起こってきていると見ています。まだまだ時間はかかるでしょうがこの様に膿の排出が表面化してきていることはむしろ目出度いことだと思っています。膿は出し切りその芯まで除かないと傷は治らないのです。実態と堂々と向き合い、それを認識し対応することから、物事は新しい局面に進むことは経済現象も自然界の現象も同じことです。ごまかそうと言う意識は馬鹿げています。
鋭さと指導力を失いつつある小泉さんの経済財政諮問会議での指導に監視的に注目したいのと、株の市中への流出を防ぐ手段が講じられれば代替的に株を保有する機構の保有株数が大きくなり、将来株価の上昇局面を迎えてもその時この機構からの放出が予想されますから、かなりの期間にわたって株価の抜本的上昇は期待できないでしょう。株投資は現在危険です。回復の鍵はなすべき構造改革は反対を押し切ってでも速い足取りで進め信用を回復するような国際的に常識となっている会計も恐れることなく採用して、魅力を回復することです。将来に対して魅力を回復出来れば外国からの投資も増え。国内の投資も必ず回復します。これしか株価の蘇生はないのです。
自民党などの一部から株価対策として、企業の保有株式について現行の時価評価のほか取得時点の価格での評価も選択可能とすることや不動産など固定資産の含み損を強制的に会計処理させる減損会計の導入時期を05年度から2年程度延期する意見が出ていますが、アンケートは4月下旬〜5月上旬に実施し、欧米や香港などの48の海外機関投資家や中央銀行などから回答を得ています。
いま考えていること 131(2003年05月;6月)
|
(6月4日追記)エビアン。サミットでブッシュ大統領は強いドル路線に変更は無いと語ったと言いますから、日欧諸国は輸出の立場から一安心したのかも知れません。しかし、アメリカに対する直接投資は昨年度は00年の6分の以下の水準に落ち込んだと米商務省は3日発表しています。イラク情勢の緊迫化が解消された今年は 多少持ち直すかとは思いますが、現在のアメリカの利息の水準はユーロ以下ですから海外からの投資はそんなに増えないでしょう。さらに寺島さんの言われるように石油のユーロ決済でも現実のものとなると、ドル安に向かう条件はますます強まるでしょう。ドル高はブッシュの単なる希望に過ぎません。
(6月10日追記)米議会予算局(CBO)は9日、財政予想の中で、03会計年度(02年10月〜03年9月)の財政赤字が過去最高になり4000億ドルを超すという見通しを明らかにしました。これは税収が減る一方、イラク戦争に伴う軍事費や失業保険給付の増大などで、歳出が大幅に増えているためです。一方、経常収支も年間5000億ドルを超える赤字額となっており、経常赤字と財政赤字の「双子の赤字」が、再び米国経済の懸念材料となってきているのです。経済的にはアメリカは決して強い国とは言えません。この経済的な弱さは致命的で、遠からずアメリカの足下を脅かさずには置かないでしょう。ユーロのウエイトが世界貿易でさらに強い立場を取るようになると、ドル安傾向に拍車がかかるでしょう。経済大国日本はこのアメリカの赤字を支えてきたのですが、保有するドルの価値低下はわが国にも大きな損失をもたらします。
いま考えていること 132(2003年05月;9月;10月;11月)
|
(10月16日追記)10月12日NHKニュースは、イラクで、10日イラク中部のクーファでの金曜礼拝で、イスラム教シーア派の有力な指導者サドル師が、独自の政府の樹立を宣言するなど、アメリカ主導下のイラク統治評議会が進める政権づくりに反対する姿勢を強調したとほうじましたが、カイロ発14日の時事通信によると、サドル師はナジャフを新たな首都とし、省庁を有する新政府を作る。「既にイラクの内外の人々から強力を得ており、こうした人達が閣僚や知事、議会を構成することになろう」と語っています。