いま考えていること 170(2004年04月)
――攻撃計画! 主演:ブッシュ大統領――

Bush大統領はイラク開戦よりも遙か前にイラク攻撃を画策していたという報告がいろいろ聴かれるようになってきましたが、2004年4月17日のワシントンポスト紙は「ブッシュは9/11の3ヶ月後に戦争を計画し始めた」というW.Hamilton記者の記事を掲載しました。この記事は最近発行されたBob Woodwardの「Plan of Attack(攻撃計画)」という本の紹介記事ともいうべきものです。この「Plan of Attack」は国内でもAmazonなど書店からオンライン購入できます。邦訳も8月に日本経済新聞社から発行の予定。2004年4月21日午前のTBSテレビはアメリカ議会でも、この本が大きい波紋を広げつつあると放映していました。翌22日の毎日新聞夕刊でも現在アメリカでインターネット書籍販売のベストセラー1位で、政権幹部が会見で釈明に追われていると報じています。Woodward はワシントンポストの副編集長で、たびたびBushともインタビューしており、 この本でもインタビューでBushがどういうことを述べていたかということもたびたび出てきます。注目されるのはPowell長官は当初開戦に否定的で外交的に解決を図っていたことで、相当苦労したなと思います。計画に熱心であったのは副大統領Cheneyだったということも大事なことです。

ワールドトレードセンターへのテロ攻撃のあった2001年の、11月21日にはBushはRamsferdにイラク攻撃プラン立案を始めるよう求め、軍司令官Franksに命じてアメリカを守るためにはサダムフセインを取り除く必要があることを検討させていると伝えています。その年の12月、表だっては、Bushもそのスポークスマンも外交的な解決を求めていたのですが、その裏でBush大統領はたびたび軍司令官Franksと会い、アフガニスタンのタリバン政府攻撃のみならず、イラク攻撃のプランを立てるように求めています。2001年12月FranksはBushをテキサス州クロウフォードの農場に訪ね、表向きはアフガニスタン問題を討議したといっているのですが、この時イラク攻撃の詳細な計画を提出しているのです。2002年に立てられていく戦争計画は、 CIAがサダムフセインは戦争以外に排除する方法がないと結論づけ、またTenet CIA長官がイラクが大量破壊兵器を持っている可能性は極めて高いと大統領に保証したことが火に油を注いだと書かれています。2002年夏にはペルシャ湾岸に飛行場の整備や基地、燃料のパイプラインやアメリカ軍の大軍を支えるための物資倉庫建設の為にBushは7億ドルの支出を承認し、戦争への準備を進めます。3時間半に及ぶインタビューでBushはWoodwardに「国際的な不安と国内の思惑を防ぐために計画は秘密の内に進めなくてはならない」とも「戦争は私の最期の絶対的な切り札だ」と述べたといいます。またこれを推進したのは政権内部の戦争論者の圧力で、ことにcheney副大統領は当時熱病病みのように力でフセインを打倒しようと主張していたと書かれています。

2003年1月始めBush大統領自身はイラクに戦争を仕掛けることを決心しましたが、イギリスのBlair首相の協力を得るために実際の開戦は3月19日になりました。

CheneyとPowellの関係は、Powellは戦争に反対でイラクとアルカイダを結びつけようと画策するCheneyを警戒していたので、CheneyはPowellにイラク戦で早急に勝利することを約束します。PowellはCheneyとその仲間、Libby、Wolfowitz、Feithが陰の政府を目論でいると見ていました。Cheneyは自分達の計画の障害はPowellだと認識していました。

2002年11月8日国連安保理がイラクの兵器査察再開を決議した後、Bushはいらだちを隠せず、2003年初頭Rice補佐官に「情勢はよくない。もう戦争しかない」と語り、大統領選プラン作成担当のRoveが訪れてきたときにも同じことを告げます。その後10日の間にBushはCheney,Ramsfeld,Powellにも告げます。

BushはRiceとHughesにはイラク攻撃についての意見を求めますが、PowellとRamsfeldに相談することはなく「あいつら二人の意見は聞かなくても分かっている」 と語ったと言います。WoodwardによればRamsfeldとは3時間対談したが「防衛問題の技術的専門家」の印象でcheneyやWolfowitz,Feithのように攻撃をイラクに向けて特化してはいなかったそうです。Bushはホワイトハウスでの短い会合でPowellに「私についてくるのか。私はイラク開戦を決意した。私についてきてくれ」と語りPowellもこのときに「大統領、あなたを支持して、がんばります」と答えたのです。

Bush自身も2002年12月21日の時点では、まだイラクの大量破壊兵器保持に確信はもっていなかったのですが、同日ホワイトハウスでの会合でCIAのMcLaughlinが傍受情報や衛星からの撮影写真その他を根拠としてフセインが大量破壊兵器を持っていると報告したので、それを聴いたBushは「よくやった」「思いがけない報告だがこれで一般の人たちも確信が持てる」と発言したといいます。BushはCIA長官Tenetにイラクの大量破壊兵器保持に対する見解を求め、Tenetは「ご心配なく」と答えたのです。PowellがBushに完全に取り込まれてしまったのは、あのよく知られている2003年2月国連で演説した時点で、このときの原稿はホワイトハウスの広報担当Bartlettによるものでした。

この記事から想像すると、この本にはBushを中心としてイラク攻撃が具体化されていく過程がドラマのように展開しているようです。

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いま考えていること 171(2004年05月;6月;7月;9月)
――これからの年金――

たった今ラジオは福田官房長官が国民年金掛け金未納で、国民の信頼を失った責任を取って辞任した事を報じました。福田氏に於いては単なる未納に留まらず、プライバシーを錦の御旗に自分の未払いを公にすることを避けようとした卑劣さが明らかになるに連れて、もはや辞任は避けられないと覚ったからに他なりません。閣僚や高額の議員年金を受け取る議員が相互の支え合いを標榜する国民年金未納では、現在でも47.8%(免除・猶予対象者を含む)の対象者が未払いと言う国民年金はますます払わない人が増えてくることは目に見えています。ましてこれから2017年まで毎年掛け金が上がっていく今度の改訂では馬鹿らしくて払う人がどんどん減るでしょう。標準世帯で現役世代の50%は支給するといっても財源がますます逼迫しますから、とても守られるはずがありません。少子高齢化時代に入り、政府の赤字も絶望的ですから現行方式の年金システムは維持できないことは目に見えています。自民公明案も計算の根拠になっているデータが例えば出生率は1.33から1.39に上がるなど全く架空のことで、希望的前提でスタートしていますから信じる方がおかしいのです。厚労省は1.306で底を打って、以後上昇することを前提条件としているのですが、2003年の出生率の現実は、1.29でした(6月10日追記)。自民党の人たちでもこのことが分かっている人はいると思うのですが、参議院選を控えて、公明党の顔を立てて応援してもらわないと自民党は維持できませんから、公明党案を政府案としているのに過ぎません。

企業も厚生年金の掛け金の半額負担ですが、現状もはや、負担は限界に来ており、負担を減らす為に正社員の採用を止めて委託やパートに切り換える流れです。厚生年金加盟者は2000年度は3,430万人ですが、5月20日参議院厚生労働委員会で吉武年金局長でも2005年には3,180万人、2025年度では2,120万人になると答弁しています。それどころか法人の違法な未加入が増えており、社会保険庁が把握している2002年度に新しくできた95,995法人のうち、巡回指導を行った法人からでも17,193法人が厚生年金に未加入でした。17.9%になります。また企業では厚生年金基金の解散が進み、確定拠出型年金(401K)への転換も現実に進んでいます。

この年金の現状と年金の基礎となっている諸前提条件を考えれば、もはや今までになかった新しい発想で根本から制度を立て直すしか道はありません。共産党は一律5万円の最低保障年金を提案し、その財源については次のようです

5兆円の財源を確保するためには、公共事業費や軍事費など歳出のいっそうの見直しとともに、歳入の見直しが必要です。この間に引き下げられた法人税率や所得税の最高税率を見直し、法人税にゆるやかな累進制を導入し、外国税額控除などの大企業向け優遇税制をあらためることで、安定した年金財源を確保します。そのさい、中小企業の負担は、現在の負担より重くならないようにします。

 政府や財界は、企業負担を増やすと国際競争力がなくなるといいますが、わが国の国民所得は約380兆円(2000年度)、うち企業の税負担は18・6兆円、社会保険料の事業主負担は28・2兆円であり、「税と社会保険料」全体の負担は国民所得比で12・3%にすぎません。イギリス16%、ドイツ17・7%、フランス23・6%など、ヨーロッパ諸国にくらべて、日本の企業負担はきわめて低い水準です。月額5万円の最低保障年金を実現するための財源を、仮に法人税などの増税でまかなうとしても、この比率は 1%程度上がるだけです。

この提案も国民にとって優れたものですが、現在の政界での共産党のウエイトを考えると、共産党案を実施させることは残念ながら考えられません。なお、共産党案では従来の厚生年金、共済年金、国民年金はそのまま残し上積み分とする考えのようです。

緊急を要する年金制度の改革を思いますと、ヨーロッパ(2002年1月現在スエーデン25.96%・デンマーク25.96%・イタリア20.96%・フランス19.6%・イギリス17.596%・中国17.96%・ドイツ16%)に比べ消費税率の低いわが国でも税率の引き上げは早晩現実のものとなるでしょう。経済同友会の提案は一考に値すると思います。同友会案を参考にして、私なりに設計しますと、議員も含めて全国民に共通の基礎年金として65歳以上に月額7万円を一律に支給します。その財源は保険料徴収ではなくて、全額税率9%の年金目的消費税とするのです。この方式ですと保険料の未収といった問題は無くなります。消費税の増税になりますが、今までの国民年金保険料は無くなりますし、米などのどうしても生活に欠かせないものには免税・減税を適用する必要はあります。上積み分の所得水準に応じた報酬比例部分は確定拠出型つまり401K方式にして現行の13.58%を据え置いて企業の負担分6.79%を今後も拠出し、勤労者自身の負担する6.79%と併せて、この部分は私的年金積み立て運用でその運用は勤労者が考えなければならなくなります。議員年金も国:議員個人=50:50にし、確定拠出型の私的運用にします。

自営業者は経営者なのですから、自分で上積み分の用意はするべきですが、税制上の利点を持つ401Kに加入できるようにし、自分の力に応じた積み立て運用をして、老後の年金の上積みを計ればよいと思うのです。加入は自由な意志に任せればよいのです。所得捕捉の問題は生じません。

2006年からは現在の「65歳以上の年金受給者の公的年金等控除の上乗せ措置」が廃止され、われわれ老高齢者の所得税住民税が大幅に増税されます。さらに年金目的消費税が出来ますと老齢者も消費に応じて次世代の年金を負担することになり、辛いことですが、少子高齢をにらむとそれも仕方がありますまい。一番問題は年金勘定の大きさを眺めると、ここに書いた案のように上積み部分を民間に委ねることは、官僚にとっては認めることの出来ない領域侵犯、領域解放ですから、猛烈な抵抗、郵政民営化どころでない猛烈な抵抗を呼ぶだろうと思います。また現在の年金受給と著しく変わりますから、移行措置の組み立てが大問題です。これについては専門の官僚諸君にまず頭を絞ってほしいと思います。もちろん国民の立場に立って。

(7月3日追加)経済同友会案と共産党案は共通点が見られ、貧富の差を軽減する所得再配分の面からも望ましい案だと思いますが、決定的に異なるのは財源です。また共産党はヨーロッパの人たちは年金を享受し老後に年金生活に入ることを楽しみにしている、それはいわば共産党案のような仕組みになっているからだといっています。しかしヨーロッパで20%あるいはそれに近い消費税が課せられていることには触れず、消費税増税反対をスローガンの一つにしています。ヨーロッパの社会保障の在り方に消費税が高いことも寄与しているのではないのでしょうか。公共投資が日本ではヨーロッパに比べて多くこの財源を社会保障に振り向ければ財源はあり、不足分は大企業や富裕層からの増税で賄おうと言うのですが、インフラ整備の現状の分析をきちんとして議論しないと独断になり、他党の反対で国会でも否決されて、結果的に年金制度の具体的改革を実現できないままになるくらいなら、消費税も財源にして全国民に老齢になれば5万円程度の基礎年金は支給する方が具体的な方策です。低所得者への消費税の負担のウエイトが重いから消費税増税に反対だといいますが、生活必需品への消費税免除で対応できると思います。その上に現在の厚生年金、共済年金のような企業も負担した拠出年金を納付額に応じて上積み支給すればよいのです。消費税反対にこり固まっているから硬直しているのかも知れません。消費税増税を認め、低所得者の負担を如何に税制上軽減するかの議論に共産党も参加してほしいものです。

(2004年09月20日追記)「生活必需品への消費税免除で対応できると思います。」と書いたのですが、三菱総研は、MRI マンスリーレビューで消費税率10%と、食料品など生活必需品を減税した複数税率(10%と5%)の年収に対する消費税負担率を試算。「低所得の年収307万円の場合、税率10%と複数税率の負担率は1.3%、約4万円しか差がなく、低所得者層には効果が薄い」としていますす。導入しない場合より税収は3兆円ほど落ち、官民ともに税金を集める事務作業も複雑化するので単一税率がよいとも指摘しています。

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いま考えていること 172(2004年05月)
――経済の現状――

経済の素人の言い分ですが、皆さんが個々にお考えになるときの一つの手がかりとなればと思っています。

昨日の株価の暴落はアメリカの雇用統計が予想よりも良く、FRBの利上げが思ったよりも早そうだというので、外人の日本株売却が進んだのだと言われています。また鉄鉱石・石油など一次産品の価格高騰が引き金になってアメリカではデフレよりもインフレの心配が出てきてFRBの利上げが俎上に登ってきたともいわれています。一つの問題は、日本でも最早デフレは終わってこれからはインフレに向かうのかということです。もう一つは米国の公定歩合値上げの影響と意味です。

最近東京都心では一部では地価の下落どころか上昇が見られるようになってきました。これは収益還元価格というもので、単に路線価云々ではなくて、その土地からどれだけの収益が見込まれるかで評価が決まるようになってきたからです。一部でこのように地価上昇が見られるからといって、資産デフレが終わったとは誰も考えてはいないでしょう。一部鉄鋼価格や石油価格が上がりだしたから、インフレに方向転換したとは言えないのです。外務省発表の経済指標でも、下がり続けてきた消費者物価はわが国では2004年2月どうやら変化はゼロになっていますが、アメリカではむしろこれまでの上昇率が鈍ってきていますし、ヨーロッパ諸国・中国・韓国でもむしろ物価上昇沈静化を示しています。ましてわが国ではこれから少子高齢化の時代に入りますから、地価を始めそう簡単に物価が上昇するとは考えられません。私はインターネットもデフレに寄与していると思っていますし、いよいよインターネットが生産、家計などすべてに価格下落効果を発揮する時代に入ってきたと見ていますから、なおさらです。しかも経済のベースになる金融界の不良資産問題は未処理ですし、金利も新生銀行が1%の金利を誇らしげに新聞広告する現状です。銀行も日銀もまともな機能を発揮できない現状なのです。基調はデフレがまだまだ続くと思っています。

現在日本の公定歩合は2001年以来0.10%、米国では2003年6月以来1.0%です。英国は今年2月3.75から4.00%に引き上げられていますが、独・仏・伊では2003年6月から2.00%に引き下げられたままです。このように眺めますと米・日の金利、中でも日本の金利の低さが目立ち、これでは中央銀行として機能麻痺の状態です。昔は株価が下がるとみんなが公定歩合の引き下げを迫ったこともまだ記憶に新しいところですが、現在は一日で日経平均が500円も下がっても無策の状態です。米国では1.0%ですからまだ金融政策の余地は日本よりも大きいのですが、おそらくグリーンスパン議長は基本的には中央銀行の収支を改善し、金融政策の面での裁量権を回復するべく、公定歩合引き上げの時期を探っているのだと思います。

2004年5月17日米財務省発表の国際資本統計によりますと、3月末の日本が保有する米国債残高は6398億ドル(約73兆円)。外国の保有米国債の37.6%を持ち最大の保有国です。2位はイギリスで9.0%(1538億ドル)(日経2004.05.18夕刊)。現在は米国債の金利から利益もありますが、米国で利上げが起こると債券価格の低下が起こりますから、日本の資産は大きく減価します。その影響は10日の日経平均の暴落どころではなく、台風がわが国市場を駆けめぐるでしょう。予測では0.25%の金利引き上げで、絶対値を見ると小さいようですが、倍率で影響しますから公定歩合1%に対しては25%で大きく響きます。わが国はさらに低金利ですから、近い将来日銀が公定歩合の変化に動くと大変な嵐を覚悟しなければなりません。アメリカではすでに市中金利の上昇が見られ、住宅ローン金利が上がってきた為消費傾向が減退気味だといいます。

現在の日本の株式市場は、外人売買の影響を大きく受け、ことにアメリカの経済の動きをまともに反映します。昔から言い習わされてきた相場格言例えば「野も山もみな一面の弱気なら阿呆になって買いの種まけ」なども良く吟味しないで無批判に信じると大きいダメージを受けるかも知れません。

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いま考えていること 173(2004年05月)
――拉致問題2――

昨日の小泉さんの訪朝の結果は最悪のものだと拉致家族の会の人たちは言っています。今回の訪朝で小泉さんの意図したものと家族の会の人たちが希求したものが根本的に違っていたのだと思います。家族の会の人たちが希求された肉親の情報収集及び問題の解決に向かっての具体的な前進ということを考えれば、お嘆きはもっともだと思います。

しかし、先のいま考えていること 165(2004年02月)―拉致問題―に書きましたように、蓮池さん達5人の帰国にあたり政府は2週間という帰国期間を約束しておきながら、「情」の世界で処理した為に、それ以後日朝関係は全くの袋小路に入ってしまい、6カ国協議に僅かに接触を保てるだけで、二国間の外交関係を始め、基本的な国交回復の道を失っていました。小泉首相はやはり一国の長として、今回の訪朝の最大の目的は、約束を破ったことに対して訪問する行為で謝罪し、平壌合意を具体化する道を拓くことにあったのだと思います。おそらく金正日主席にしても、首相訪朝で5人を今一度朝鮮に戻すという要求は帳消しにでき、五人の家族を日本に返す気持ちになったのだと思います。ここまでは山崎氏らの大連訪問をきっかけとして双方の了解が外交的にも進んでいたはずで、首相の訪朝を実現することによって最期のセレモニーが執り行われたのでしょう。北朝鮮にとっても拉致問題でこれ以上紛争することは望んでいないのでしょう。それよりも両国の国交を回復し経済的にも援助を得ることの方が重要であり、緊急の課題であったのです。このように見ることが許されるなら、今回の訪朝は必ずしも失敗ではなく、両国関係回復の第一歩であり、辿らなければならない王道であったと思います。

(5月26日追記)今朝の毎日新聞に後藤田正晴氏の見解が出ていました。必要な部分を摘記します。

そもそも論になるが、第1回会談における外務省事務当局の責任は重いね。拉致というのは国家の権力犯罪ですよ。主権侵害の中でも最たる悪事だ。これを口頭ではあるものの、向こうの最高責任者が認めて謝罪した時に、どうして「拉致被害者の一時帰国」なんてことになったのか。一時帰国ということだとその間、日本が国家犯罪を容認することになる。この出発点の間違いが今日の混迷をもたらしているような気がしてならないね。

全く同感です。

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