いま考えていること 274(2007年07月)
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いま考えていること 276(2007年07月2008年6月)
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アメリカの民間銀行は連邦準備銀行に無利息で一定額以上預けなければならないのですが、もし準備預金が不足すると連邦準備銀行から借り入れます。このときの借入利息が「公定歩合」です。アメリカでは今回の公定歩合引き下げは6.25%が5.75%になったのですが、民間銀行はこの連邦準備預金からの借り入れを嫌って1921年から「FF市場」を開始し、余裕のある銀行は有利息のこの市場に貸し出し、反面、準備預金の不足している銀行はこの市場から無担保で借り入れるという市場です。この「FF市場金利」が「FFレート」なのです。FRBはこのFF市場への証券の売買を通じて金融をコントロールしてきました。この「FF市場金利」がフェデラルファンド(FF)金利で、今回も5.25%に据え置かれています。
いま考えていること 277(2007年07月)
――参議院選の結果――
自民党は惨敗しました。「年金」や「政治と金」で破れたと言われています。これらが直接影響した要素であったとは思いますが、原因はその様な技術的な問題ではありません。自民党の敗北は安倍さんの政治手法に対する全否定だと捉えるべきでしょう。国民の怒りの爆発です。技術的問題は技術の上での欠陥を是正すれば解決しますが今回の敗北はその様なレベルのものではありません。民主党の政策も決して満点ではないのですが、何よりも安倍政治はノーだという判断が手っ取り早く民主党支持の票になって現れたのです。数に委せた強引な安倍政治の進め方は、安倍さんの性格や政治上での修練度の表れであり、それに対して人々は危惧しノーと言ったのです。安倍さんの根元的なものの是正は期待すべくもないものです。
今回の敗北は本日の株価にも直ちに反映して日経平均は200円近く下がっていますが、例えば法人税を引き下げて消費税を引き上げることは夢となりましたから財界がこの敗北を歓迎しないのは分かりますが、法人減税はそのままにして定率減税はサッサと止めるようなことをしていては国民は怒ります。国際的に見て日本の法人税が高いから下げようと言っても、一般国民にだけ犠牲を押し付け財界の言いなりになる手法では通じません。かっての銀行救済で基準金利を下げ、銀行預金金利もほぼゼロに下がりました。この結果国民は大損害を被り、銀行は空前の利潤を得るまでに回復しました。しかし、現状、日銀も基準金利引き下げができず、経済界に対する影響力も限られたものになっています。参院選中公明太田代表は自公が敗北すると株価が下がると発言しましたが、本日の日経平均低下でも全ての株価が下がっているわけではなく、わたしの持株の多くは先日来のアメリカの株安に引きずられた株価低迷の反動でむしろ大幅に値上がりしています。民主党が勝ったのであって共産党が勝ったわけでもなく、経済そのものは堅実であまり自民党敗北の影響を長くは受けないでしょう。円高も日銀の基準金利が低い内は一時的なものでしょう。
わたしは京都に住んでいますので共産党候補が自民党候補を抑えて勝利するムードもあったのですが、それは実現しませんでした。無理ないのです。京都でも共産党に最も活気があったのは大山郁夫氏や蜷川虎三氏を社会党と共に民主戦線統一候補として推していた時でした。今回沖縄で糸数さんの応援で共産党も入った野党共闘の姿勢を取り、勝利しましたが、やはりこの統一戦線的な共闘がないと共産党もジリ貧になるのでしょう。
いま考えていること 278(2007年08月)
――日本外交はあるのか?――
2007年8月28,9の両日に南北朝鮮首脳会談が開かれることになりました。明らかに北朝鮮の核廃棄を契機に、ムードとしては米朝間にも南北朝鮮の間にも緊張緩和ムードが生まれ、核放棄の代償としてエネルギー支援の具体化も動き出しています。これに対し日本は拉致問題の進展がなければエネルギー支援には加わらないという態度です。他にも書いていますが、わたしは小泉さんの2度の訪朝で小泉・金の間では拉致問題の一応の解決がみられたものと解すべきものと思っています。責任を担当部局にのみ負わせる金委員長の態度にわたしも決してうなずいてはいないのですが、過去の問題として一応棚上げしようというのが、拉致を認めた金主席の態度からは窺えますし、当時の両者の理解であったと思うのです。拉致された人々とその家族の皆さんの苦衷は十分理解出来るのですが、小泉・金の間ではやはり日朝国交回復がより大事な当面の問題であるという共通認識があったのだと思います。言うまでもなく朝鮮は隣国であり、過去の日韓併合をベースにして朝鮮を植民地とした我が国は多大の苦痛を朝鮮民族にもたらしたのが歴史の真実です。この併合問題の解決は現在、放置出来ないものです。歴史の課題として日朝の正常化が主たる課題で、拉致問題は従とせざるを得ないと思います。のどに突き刺さったとげのように事ごとに拉致問題を振り回していては何も解決出来ないばかりでなく、拉致問題の解決のための外交交渉さえ開けないことは明らかです。最初に書いた南北会談にも表向き我が国政府は賛意を表していますが、南北会談でも韓国が拉致問題を取り上げるように主張しているのが現在の外交姿勢です。核問題と民族統一問題を前進させようとする会談で、北側を刺激するような日本の拉致問題を韓国が議題にすると日本政府は本気で考えているのでしょうか。このような愚かな発想しかできないところに先般の参議院選大敗の原因が横たわっていることに気づかない愚かさが窺えるのです。
いま考えていること 279(2007年08月)
――老人として――
若い時、毎日着実な前進をしていることを実感していたのに比べて、この頃は毎日これといって前進もみられず、中心は家内の介護に置いているのでややもすればルーチンな操作の繰り返しの日々です。家を空けて外出もままならず、まして旅行で消光することも不可能です。読書するにも白内障の手術後目が疲れやすくなっていてペースは遅々たるものです。まして書いてあることの理解も怪しいものです。経済的にも最近の老人を対象とした地方税算定の根本の変更だとか来春からは高齢者医療保険の発足で70〜74歳は最低でも2割の負担になり、扶養家族であった家内も別個に保険料の納付が始まるとか暗い話ばかりです。このような悲観的な側面ばかりを気にしていては気分も晴れず健康にも良くないでしょう。
ではどうしてこのような考え方から抜け出すか。少し考えてみました。ふと思い出されたのが中学校時代に習った江戸時代の儒者熊沢蕃山のことです。蕃山の歌に「憂きことのなおこの上につもれかし 限りある身の ちから ためさん」というのがあります。蕃山も決して恵まれた儒者ではなく最後はむしろ失意の内に生涯を閉じた人ですが、この歌には勇気が感じられます。積極性が感じられます。今の我々老人も楽をすることばかり考えないで苦難に正面から立ち向かい、それを受け容れていくような姿勢がいるのではないでしょうか。
人間一生修業だとは良く一芸の達人から聞かされます。そういう人たちは皆前向きで一般にお元気です。いらいらしたり少しでも手を抜くことばかり考えているわたしも、むしろ向かわなくてはならない困難を克服していくことが自分を変革する修業と考えてみようと思っています。
いま考えていること 280(2007年08月)
――色々な角度からものを見ることの大切さ――
2007年8月14日、朝のNHK第一放送「時の話題」で加倉井弘氏が食糧自給率の話をされていました。話の中で印象に残ったのは貧しいアフリカの国々は食糧自給率が100%という國もあり、それは貧困だから食料の消費が伸びないからで、日本もかって戦後の配給時代、一日の配給量が一人一日1050カロリ−であった時には自給率100%であったとの言葉でした。確かに農家の高齢化に伴って農村が疲弊し、我が国の自給率がすごく悪くなっていて危機的な状況にあることは確かですが、我々が今の豊かな世界中の美味を享受している状況では食糧消費の増大の上から自給率の低下は免れないのだなあという感想です。消費構造の変化を考えないで専ら食糧自給率の数字の低下が危機的だとしか考えていなかったわたしには、改めて物事というものは角度も変えて総合的に考えないととんでもない認識に陥ることを痛感させられました。何によらず一面的に考えていると誤った認識に陥るのです。心しなければなりません。安倍さん率いる自公政権の失敗もここにあったのではないでしょうか。
食糧自給率の問題に戻りますと、江戸時代のように日本の総人口を3000万に減らすこともできなければ、一日1050カロリーの栄養失調状態に戻ることもできないのですから、食糧自給率を努力によってある程度高めることはできても根本的には我が国民の食料は輸入に頼らざるを得ないのです。外交も多角的に展開して平和を守り、輸入ルートを確保しなければ生きられないでしょう。あるいは海外で土地を借りたり購入したりして農業生産を海外で自ら展開することも考えなくてはならないでしょう。明日は敗戦記念日ですがエネルギーもその他全て我が国は資源そのものが乏しいのですから、全世界に対して平和に徹して生活の安全保障を維持していきたいものです。
いま考えていること 281(2007年08月)
――公定歩合の引き下げとは――
2007年8月17日アメリカのFRBが公定歩合を6.25%から0.5%引き下げたと報道されました。サブプライムローンの破綻による金融不安を緩和するためだそうです。日本ではもはや「公定歩合」というものは実質お蔵入りしているとのことですから、経済学者でない素人の私は混乱してしまいました。そこでインターネットを検索しながら一応の理解納得のためにまとめてみました。間違いがあればご指摘くださると幸いです。
日本銀行の「公定歩合」というのは法律上の言葉でなく、日本銀行法の「基準割引率と基準貸付利率」のことを指しています。規制金利時代は預金金利などが「公定歩合」に直接連動していたのですが1994年金利自由化が完了し、この直接連動はなくなり各種金利は金融市場の裁定行動によって決まります。では「公定歩合」はどのような役割をしているのかというと2001年に導入された補完貸付制度(ロンバート型貸出制度)の適用金利で、補完貸付制度(ロンバート型貸出制度)というのは、銀行があらかじめ日銀に差し入れている国債など担保の範囲内で日銀から無担保で短期資金を借り入れられる制度です。金融機関は限度内とはいえ、無担保で低金利で日銀から借り入れができるので金融不安を回避できます。この「無担保コールレート(オーバーナイト物)」の上限を画する役割を果たすのが「公定歩合」のようです。
今回の処置は「公定歩合」の引き下げによって銀行の経営に有利に働きますが、「FF金利」も引き下げこそあれ、引き上げの可能性が少なくなった、と見られ、株価の反発につながったようです。
いま考えていること 282(2007年09月)
――パソコンの整備――
2台使っていたコンピューターの内インタ−ネットやメールに接続していた古い方が完全に壊れてしまったので、もう一台の方で2台分の仕事をすべてさせようと、その整備にこの1週間ほど大部分の時間を費やしました。もう忘れてしまっていた作業もする必要があったのでうまくいくかと少し不安でもありました。
結果はほぼ完全に整備が終わりましたのでやれやれです。説明や画面に表示されてくることも、必ずしも必要十分なすべてが書かれているわけではなく、かなり勘を働かせて修正しなければならない局面にもいくつか直面しました。たとえばホームページをホストコンピューターに転送するのにBIGLOBEではFTPアカウントとFTPパスワードを使うことに変わっていたのです。また光フレッツにしていたものですからインターネットに接続するときに必要なユーザーIDが単に***ではなくて***@biglobe.ne.jpを入力する必要があるなど忘れていたこともありました。幸いその都度勘がひらめいて局面の打開ができました。勘がひらめいたことに妙な自信を持ちました。やはり長年試行錯誤を繰り返しつつパソコンと付き合ってきたのでやはり意識の下で何かが蓄積されてきていたのでしょう。
2台使っていますとそれなりに便利なことも多く、また1台くらいOSとしてWindows Vista(R)を使うものも使用してみようと思い、 FMV-DESKPOWER CE55XNをCPU:Core(TM)2 Duoプロセッサー E6600(2.4GHz),ディスプレイ:19型ワイドスーパーファインVX液晶という状態で導入することにして注文しました。今回はうまくいきましたがわたしも老齢なのでボケるとそうも行かないでしょうから、今の内に新しいパソコンを整備しておこうという気持ちもあるのです。
いま考えていること 283(2007年09月)
――海上自衛隊の給油活動――
10日に召集された臨時国会で最大の焦点となっている、ことし11月1日で期限が切れるインド洋での海上自衛隊の給油活動を継続させるための措置について、NHKが、今月7日から3日間、全国の20歳以上の男女(回答者数1821人)を対象に行った世論調査の結果によりますと、「賛成」が27%、「反対」が27%の同率で、「どちらともいえない」が38%でした。
安倍さんは給油活動が継続できなければ退陣する意向を示しました。すでに昔日の面影もなくなって失速した状態にある安倍さんが何故退陣の意向を述べたのか?わたしの見るところ先日のAPECの会議で、アメリカのブッシュ大統領に給油活動の継続を約束して自ら継続を「国際公約」に仕立て上げたために失敗すれば退陣で責任をとろうとするのでしょう。はじめに書いた世論調査結果がせめて賛成が50%を超えていればと思っていたのですが、27%ではすでにインド洋給油活動は国民多数の頭から失われていると言うべきで、このような環境で継続をいっても国民の受け取り方は「安倍さんは戦後レジームからの脱却を口にはするが、していることはブッシュ追随なのだ。」ということになるでしょう。本気で今までの路線を修正し、国民の不満・不安を解消する方向をとるというのなら、インド洋での継続が果たされなくても政権維持を真剣に考えなければならないのに、多額の費用を要ししかもアフガニスタンの人々には何の利益ももたらしていないインド洋作戦を優先する神経が理解できません。これでは安倍さんの退陣宣言はわたしからすれば「どうぞ」としか言いようがありません。
参議院で民主党の反対に遭いインド洋給油延長法案が否決される見通しから、新たに法案を作って、その新法では自衛隊派遣に対し行われる国会の事後承認規定を抹消してしまうことさえ自民・公明両党は言い出していますが、そんなことをしてしまえばシビリアンコントロールの原則を壊してしまい、かって大陸で日本陸軍が侵略の既成事実を作り上げ政治のコントロ−ルのらち外に事態を導き、ついには国を滅ぼしてしまった歴史の後を追うことにもなりかねません。
これからの民主党の動きにも関心を払う必要があります。いわば自民党政治の否定が、実力以上に民主党を肥やしたのですから、民主党も国民の監視がないと舵取りは怪しいものです。国民の支持も乏しくアフガニスタンの人々にとっても役に立っていない、もっぱらブッシュの戦略をバックアップする給油法案を民主党を中心にきっぱりと否決し、安倍さんを退陣に導くこと以外に国民を救う道はないのではないでしょうか?
いま考えていること 284(2007年09月)
――安倍さん倒れる――
安倍さんがこんなに無責任な人とは思っていませんでした。やはりこれまで指摘してきたようにおよそ総理大臣という素質を持ち合わせない人物であったのでしょう。昨日所信表明演説をしていよいよ代表質問という今日に辞意を明らかにするというのはおそらく前代未聞のことでしょう。人物として判断力に欠け断行するタイミングも計れない程度の人だったのだと思います。能力にふさわしく野垂れ死にで幕を降ろした感じです。辞任の弁でも明らかに自分の無能力を吐露していましたが、まだ 自分が辞めて新しい総裁総理を選べば自民党の手でインド洋での自衛隊活動を続けていけるような判断ですが、この判断がおかしい。昨日この欄で記したようにまずは退かれることはめでたいことですが、次の総理総裁はなにをやるべきか、国民生活の諸問題をも含めて誰に総理総裁をゆだねるべきか。一から出直してぜひ衆議院選挙で国民にはかってほしいものだと思います。過日の参議院選での民主党圧勝も自民党にそっぽを向いた人々がさしあたり民主党に入れた票が多いと思うので、本当に民主党支持があったのか確かめる意味からもまず選挙によって民意を尋ねるのが先決問題だと思います。次の総理の仕事はインド洋問題などよりもまず選挙管理内閣の運営です。選挙の結果自民党が圧勝すればインド洋での給油続行もよいでしょう。
次期総裁に小泉さんを担ぎ出す動きもあるようですが、小泉さんは出馬しないでしょう。いや出られないでしょう。その理由はかっての小泉内閣の政策立案には現慶応大学教授竹中平蔵氏の寄与が大きく、竹中氏が動かなければ小泉さんは裸の王様だと思うからです。
いま考えていること 285(2007年09月)
――これが本当なら――
まずこの文章本誌が追い詰めた安倍晋三首相「相続税3億円脱税」疑惑(全文保存)を一度読んでみてください。この記事についてはかねて立花隆氏が予告しておられたので私も昨日早速週刊現代を買ってきて読んでみました。週刊現代が発刊されたので何かその反応が一般の新聞や放送にも現れるかと思っていましたが、寡聞にしてどこにもその反響がみられません。もしこの記事が正確でなければ安倍さんの事務所からも誤報に対する反応があるとも考えられるのですがこちらもまだみられません。
政治資金をめぐる不正の記事は日常新聞紙上で事欠きませんし、政治資金規正法の曖昧さがいろいろな不正な金の使い道の政治家だけが利用可能な隠れ道を提供していることは想像に難くありませんが、週刊現代の記事が正しいとすると一国の総理さえがこの隠れ道を利用して巨額の相続税を迂回させて(まさにマネーロンダリングみたいな話です)脱税行為を犯していたことになるのですから、これでは国会での施政方針演説の代表質問に答えるどころではなく、しどろもどろに政治を投げ出し、人目を避けて病気入院を決め込むのも理解できます。インド洋の給油活動の継続を自らの手で国際公約に仕立て上げ、その成立に全力を挙げるといっていたあの強気の姿勢が前代未聞の失踪をはかるという行為に転じたのも理解できるのですが、今のところ問題視しているのが「週刊現代」だけというのも、安倍さん辞任声明の真意としてすっきりはするのですが、一般マスコミのこの静かな沈黙はどう考えればよいのかと思っています。
いま考えていること 286(2007年09月)
――国際柔道連盟――
1952年に日本が国際柔道連盟に加盟以来、初めて日本人理事がいなくなりました。教育・コーチング理事であった山下泰裕氏が先日の選挙でアルジェリアのモハメド メリジャ氏に61:123の大差で破れたからです。その前に国際柔道連盟会長であった朴容晟氏が辞任しMarius Vizer氏が会長後任に選ばれたときから山下氏の再任は危ぶまれていました。
Vizer氏は他のスポーツ同様柔道も日本流の修行精神から離脱して、いわば商業主義的にたとえば柔道着もさらにカラフルな色も取り入れ、スポンサー会社の名前もゼッケンに取り入れて広告料も稼ぎ、テレビへの放映権もより高額に売りつけるなど本来の日本柔道が持っていた礼の涵養といった精神性の強調をやめてふつうのスポーツにしようという考えのようです。これに伴って試合ももっと世界各地で大会を開き大勢の観客の観戦を通じて収入も増やそうと考えているようです。
これに対して日本では古来の武道精神の涵養手段として今も柔道は重視され、高校の正規科目として取り入れる動きさえありますから猛反対が起こっており、まさに柔道界の危機だといわんばかりです。
私はすでに柔道も187カ国に各国の柔道連盟があり、いくら柔道の発祥が日本だからといって本来の精神性を世界の人たちに強要することは無理だろうと思っています。純粋な柔道を保持しようとするなら最初から柔道のオリンピック種目採用など推進することはなかったのではないでしょうか。また日本にそういう独自の精神性を重んじる道場を保持して外人でも精神性を望む人たちには提供すればよいのです。いったん国際化し、世界の人たちの手にゆだねられた今日、世界のスポーツの論理で柔道がどのように変貌しようとそれはごく自然なことではないでしょうか。日本も国際的に平等に参加することを望むなら、自分の主張を述べるのは勝手ですが、いったん決定すれば、それがどのように本来の日本魂から変容していても従うべきではないでしょうか。オリンピックがスポーツの祭典だというのなら、柔道も他のスポーツと同様スポーツとして異質では有り得ません。剣道・柔道を日本魂の涵養手段として学校の必修科目に取り入れることも安倍政治の復古調の波から生まれました。戦争中動員先で多くの海軍の兵士が「精神入れ替え棒」で殴られて半死になっていたのを目にしました。最近の相撲界の死亡事故も国技の名を借りた暴力沙汰でした。教育やスポーツへの精神性導入には危惧を感じます。柔道がどう変容していこうと、学校ではあくまで国際基準に沿ったものをフェアーなスポーツとして教えるべきです。