いま考えていること 39(2000年01月;2月;8月追記)
――情報革命――

一部の会社では実質上解体して部門を独立させ、新しい会社として本社はこれを資本的に統括する部門とする動きが見られます。カンパニー制などといわれます。営業の基本方針や運営を各カンパニーに任せ、経営責任を担わせる動きです。これなども私が思うのに、インターネットの普及で、各カンパニーが自分で必要な情報を得ることが容易になったので、その得た情報を基にそれぞれの能力で、本社の決定を待つことなく自分で決め、実行することが出来るようになったからです。本社も情報を傘下のカンパニーに流すのにはインターネットを利用できますし、本社の束縛から独立して自由にやれる条件が整って来たのです。ただ各カンパニーには本社が投下してくれた資本に対し然るべき利潤を上げる責任がずっしりとのしかかっているというところでしょう。ノウハウのすべてを本社経営陣に頼る時代は終わったようです。

風力、水力といった自然のエネルギーから蒸気機関に始まる化石エネルギーの利用がこれまでの工業の発達を進めましたが、そこでは中心になる本社が情報と技術を独占し、経営者はそれらを土台にして経営戦略を立て、配下の各部門を指揮し、成功と共に会社も膨大化していったのですが、今や情報をどこででも誰でも得られる時代になり、むしろ小さい単位で情報を蓄積し、分析し、これを基にして方針の決定と実行のスピードを早め、ものすごく早い世の中の変化に対応する方が賢明だと云える時代に入ったのではないでしょうか。もちろん情報だけでは駄目です。これまで蓄積してきた技術を大事にし、その一層の高度化に努めないことには情報を現実のものとして活かすことは出来ないでしょう。インターネットは道具です、インターネットだけに頭をつっこんで溺れてしまってはならないと思います。しかしこの道具なしにこれからの世の中は過ごせないでしょう。18世紀の産業革命にも劣らない世界を根底から変えてしまう情報革命がスタートしたのです。この道具をどのように企業経営の中で活用することが出来るかどうかがこれからの会社の死活を制します。

2000年8月号のさくら総合研究所レポートは「オールド・エコノミーにも広がる米国のIT活用」です。ここには、国内総生産(GDP)の92%を占める非IT産業でも 1)在庫の削減 2)取引コストの削減 3)調達先や販路の拡大・多様化 4)顧客ニーズへの細やかな対応 5)社内組織・運営の効率化に新しいIT製品・サービスが活用され、米国経済全体が効率化して、持続的な高成長が可能な経済への構造転換に寄与していると指摘しています。
明日の日本経済もこのようなITの取り込みに成功した技術的に高い「オールド・エコノミー」が国内的にも成功し、世界にも受け入れられ発展していくことでしょう。

個人の生活でも居ながらにして情報を取り込むことが出来ますから、これを分析し判断して生活に役立てる時代に入ったといえます。知識の面でも、あるいは、買い物でも世界中から自分の好みに合う物を安くまた速やかに入手できることは少し試みてみると実感できることです。インターネットによる取引が普及しますと、物の値段はますます世界中で差が小さくなりましょうし、その結果として日本の賃金も世界との差が小さくならざるを得ないだろうと思います。

三井物産の寺島実郎さんは「インターネット時代には機能なき中間者は排除される」「オンライン・ネットワークを駆使して、国民の意思を確認する技術的基盤が整いつつある」(毎日新聞朝刊2000年2月20日)と主張されていますが、確かに政治についてもかなりの情報がインターネットで直接得られますし、こちらの意見を政府に直接送ることも容易です。代議制もその内容の変革が避けられないのかも知れません。

それにつけても、使ってみて思われるのは、もっと早くコンピューターが立ち上がってくれないかなあとか、電話料も含めてもっと安くつなげないかとか、スピードがもっと早くならないかとか、あるいはインターネットをしながらテレビも画面に取り込めないかとかいろいろ改良してほしいことが出てきます。政府の予算もこういう将来に備えた新しい分野に投下してほしいものです。たとえば国民がコンピューター教育を受けるのを支援する予算を投入すれば、その後パソコン・モバイル需要、電子取引をはじめ膨大な付加的な刺激を経済に与えるに違いありません。

いま考えていること SO(1999年01月;06月;10月)−インターネット−もごらんください。

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grenz

いま考えていること 40 (2000年02月)
――慢性胃炎・廃用性萎縮――

1年に一度胃カメラの検査を受けますが、いつも慢性胃炎だといわれます。そのたびに自分の胃には何か病気があるのだと思ってきました。慢性胃炎の漢方薬も売られています。でもこれは病気ではなく、慢性胃炎だと医者から言われたら安心して良いと今朝(2000年2月2日午前5時38分)のNHKラジオ第一放送で、独協医科大の寺野 彰先生は言っておられました。慢性胃炎は、慢性の胃の炎症のことではなく、たび重なる胃粘膜のただれの後遺症で胃粘膜が変化してしまったもので、病気ではなく老化に伴うごく自然な胃壁の変化が起こっているということなのだそうです。ですから薬もなく治ることもないとのことです。

廃用性萎縮という言葉もあまり日常には聞きませんね。これは筋肉など使わないでいると萎縮して機能を失うと言うことだそうです。現在、車にばかり乗って歩かない人は、きっと年を取ると足腰の衰えに悩まされることが考えられます。筋肉だけではありません、脳の働きや肺の働きにも廃用性萎縮が起こります。この事は若いときから心に掛けておかなくてはなりません。

それにしても医学の用語は素人にはわかりにくいですね。誰でも慢性だの胃炎だのと言われると自分は病気だと思ってしまいます。生きている以上は限りある命ですから、老化は仕方ありません。慢性胃炎などといわずに“これは老化で誰にも起こる胃の衰えです”とでも言っていただけると随分受け取り方も、またその後の生活のあり方も変わると思うのです。廃用性萎縮についても“使わないと駄目になりますよ”とでも言っていただけると、そうだなと理解できるのですが。

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grenz

いま考えていること 41(2000年02月)
――介護保険への希望――

いま厚生省のホームページには次の記事が見られます。 ・・・・・・・・
○ 厚生省といたしましては、制度の円滑な施行・今後の制度運営に役立てるため本日(1月20日)から4月末日までの間、広く国民の皆様から、介護保険制度に関する御意見等を専用FAXや電子メール等でいただくことにしました。
 制度に関する御意見、御心配、苦情、何でもお受けいたします。

○ なお、いただいた御意見等は、今後の施策、制度運営に反映するとともに、「より良い介護保険に育てる会」に報告いたします。また、いただいた御意見等は厚生省において公表させていただきます。(いただいた記載内容は、住所、電話番号を除きすべて公開される可能性があることを御承知おき下さい。)。・・・・・・

これを読んで私は次のようなことを考えました。

現在委嘱された民間のケアマネージャーが介護度認定をできるだけ高く認定して、介護サービスを受けやすくしているケースがあるというテレビニュースを見て、これが純粋に介護される人の立場で行われているのであれば良いのですが、サービス業者がケアマネージャーを出していて、今後の営業的立場から高度に認定しているのであれば問題だと思うのです。必要以上のサービスの提供は結局介護保険料の値上げになりましょう。また、地域によっては未だに介護施設も不備、ヘルパーも不足で、結局家の人が面倒を見なければならなかったり、世間の眼を気にして受けられるサービスも受けずに家人の奉仕にゆだねられることもあろうかと思うのです。介護の施設・へルパーの充足が計られ、全国どこにいても差がないという状態にし、大変なことではありますが、みんなの意識の変革も必要です。しかし、そうなるまでには少し時間も掛かりましょう。こんなことを考えながら、私は早速次の意見を厚生省に送りました。お読み下さった皆様もご意見があれば送りましょう。

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丹羽 雄哉 殿

 私は71歳で現在家内(アルツハイマー病で寝ている)の看護が仕事
になっています。同居は家内と私だけです。妻の介護度は4になっています。
 ケアマネージャーがそろそろプランを立てる頃ですが、私の見るところ
では、週2回のベッド上での入浴ですと恐らく限度額よりもかなり下で押
さえられると思います。ケアマネージャーは、さらに追加したケアを勧める
かも知れません。しかし、すべての人が必要以上にケアを求めると、保険財政を
圧迫することになりましょう。
  一方、幸い私がまだ元気で時間的にも余裕があるので家内のオムツの
交換その他を私がしているのですが、正直言って老齢の私には、かなりの
肉体的負担になっていることも事実です。提案したいのは限度額と使用額
(家内の場合ですと恐らく30万と10万程度)の差の10%を介護支援金
という形で家族に支給するよう法改正できないかということです。10%と
いうのは負担する場合が10%であり、またこの程度ですと現金目当てに介
護プランを縮小することもあるまいと思うからです。
  この改正は介護度認定の問題点をクリアして、公正な認定ができるように
なってからでよろしいから、考えていただけませんか。以上

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grenz

いま考えていること 42(2000年04月)
――コンピューターがころんだ――

私のパソコンのOSはwindows98 second edition でAMD-K6 3Dプロセッサーを搭載しています。ハードディスクは2台格納していて、1台は2つのドライブ(A、B)に分けてファイルシステムとしてはFAT32システムを使っています。もう1台の方はFAT16システムでドライブCとしています。この状態でwindows95対応のアプリケーションソフト(98にも対応と書いてある)を走らせた途端、画面が真っ暗になり再起動も何もできなくなりました。windows98se を導入したときに作っておいた「起動ディスク」を入れてもsafeモードですら走らず、完全にお手上げになりました。幸いデータファイルはBドライブに作っていたので AドライブだけをMS−DOSのフォーマットコマンドで抹消しました。これまでこういうトラブルはなかったものですから、windows98seは勿論すべてのアプリケーションはアプグレード版を使っていましたから、このように裸になったAドライブには組み込むことができず、すべて新しくレギュラー版を買ってきました。この出費が約15万かかりました。ドライバーを入れ直したり、Bドライブに残っていたデータと関連づけることも含め1ヶ月の日時が空しく過ぎていきました。

モデムはwindows98seが搭載しているドライバーを使って比較的簡単に接続でき、今こうしてインターネットにもモデムでつないでいるのですが、ISDN接続はドライバーがアプグレード版でないwindows98seと相性が悪いのか走らず、結局ターミナルアダプターもwindows98対応のものに買い換えました。

結論的に今回のトラブルを振り返ると、アプグレード版はこういう大きいトラブルには対応できず、レギュラー版を買わなければならないということ、言い換えますと、古いOSをグレードアップして、今まで入れていた古いソフトを使うとグレードアップしたOSを破壊することがあり、その破壊はドライブをフォーマットしなければならないレベルのことがあり、一端そうなると、フルバージョンの新しいOSをフォーマットしたディスクにインストールせねばならず、アプリケーション ソフトやドライバーも全てこの新しいOSに対応したフルバージョンをインストールしなければならないということです。大変お金がかかります。どうか今使っておられる状態を大切に守られ、OSのグレードアップをされたときには、旧OSで使っておられたソフトが確かに対応してくれるか慎重に検討してください。


修復の過程でデジタルカメラの選択について気づいたことがあります。多くの人は買うときに画素数への関心は高いのですが、記憶媒体やコンピューターへの取り込み方法について関心は薄いようです。例えばリコーの製品は記憶媒体にはスマートメディアを使っていますが、取り込みはシリアルインターフェースを使いカメラと本体をケーブルで接続しなければなりません。これに対して、私は使っていませんがコダックのDC200は記憶媒体は普通のフラッシュメモリーなのですが、取り込みにもこのカードをカメラから抜いて直接コンピューター本体のPCカードアダプターに挿入しても可能のようです。

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grenz

いま考えていること 43(2000年04月;05月増補)
――陰の介護保険――

介護保険ができて今までのような「お仕着せの介護」は終わったとか、地方分権が進むなどとプラス面を言う人がいますが、これは本質を見誤ったものです。厚生省のゴールドプラン21で確かに介護のハード面、たとえば老人ホームなどは保険とは関係なく、今よりも増設されていくでしょうが、ソフト面はこれまでよりも窮屈な粗末なものになっていくでしょう。保険ができてこれからの老後の介護はバラ色で安心といえるどころか、粗悪化していくことを覚悟しなくてはなりません。実際2000年5月9日、厚生省と自民党は5年後の要介護認定者数を同省推計より70万人減らし250万人程度にする事を固めました。今までは政府や自治体の福祉事業として本人の必要に応じて展開されていた介護が、4月からは介護業者と本人との契約とそれに伴う負担という形で行われることになったのです。介護保険証とは何かといえばどの範囲までは1割負担で済むかという"適用限度額認定証”だと言ってよいでしょう。この範囲を表すのが「介護度」です。この範囲を超えれば原則的には全額自己負担になります。 必要に応じて制限なく受けられたショートステイも、介護度4の家内の場合、京都市からの保険証では年間39日に制限されています。ただ、この年間日数については、その後介護業者のそれでは経営が成り立たないという声や国会での討論を通じて厚生省が改め、家内の場合も訪問介護などの振り替えと市町村に短期入所を受け入れる整備ができていることを前提に半年間で13週間に延長してもよいことになったようです。一般にケアプラン外のサービスは全額を負担することを覚悟しなければなりませんが、このはみ出し振り替え分については、全額をいったん支払い、後日9割相当額が償還されることになっています(受領委任払いという方法が自治体によりますが採用されています。自治体へ申請すると証明書が発行され、これを事業者に提示すると1割を払うだけでよいという制度です)。また、自己負担限度額(月額通常は37,200円)を越えると行われるという払い戻しも適用されないようです。

サービスはサービス事業者との契約の形ですが、有り体に言えば「いやならやめておけ。お金を出せる人は契約を」ということでしょう。国の財政の大幅な赤字と急速な高齢化・少子化に伴う将来の財政基盤の劣化に伴って保険という形での国民からの経費の徴収が始まったというのが本質でしょう。国民保険という形で健康保険とも一体化され、健康保険料を納めないと介護の方も制限されて来ます。

このほか、経費の徴収という点でマスコミも議会もふれていない陰の負担の徴収があるのです。それは「居宅療養管理指導」という名の1割負担です。これはケアプランの中には含まれず、しかし経費の残り9割は介護保険から支出されると言うものです。
具体例を記しましょう。家内は毎週内科医の、また月に一度は歯科医の来診を受けています。家内は福祉医療費受給者ですから、今までの負担は1回500円の車代だけでした。ところがこれからは医師・歯科医に定期的に往診を受けているだけで月額それぞれ940円を追加負担しなければなりません。また歯科衛生士に来てもらっているのですが、これまでは負担がありませんでした。しかし、これからは月4回までの制限付きで1回500円プラス交通費の実費を支払わなければならなくなりました。実際にしてもらえることはこれまでの分に何も付け加えられることはないのです。私も医師の二重取りではないかと言う気持ちがしたのですが、唯一納得したのは、再認定時に医師の所見を書く必要があるので、いわばその資料収集報酬というケアマネージャーの説明でした(認定時の主治医意見書作成には新規の在宅者の場合5,000円、継続の場合には4,000円が別途当該医療機関に振り込まれます)。医療の一部を介護保険の負担に振り向ける考え方は、療養型の病院が介護保険の範疇に入っているのと共通しているのかもしれません。

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