いま考えていること 16(1999年01月、追記02月;06月;10月;2000年02月;04月;5月;9月;10月;12月;2001年02月;04月;6月)
――インターネット 1――
<
いま考えていること 15(1999年01月)―― 二つの手紙――で書いたように、北郵便局の担当者の“福祉定期”についての説明で、担当者は「私の説明には間違いありません」といったのですが、私には納得できなかった。こういう今日的な問題の情報は、百科事典には書いてありません。インターネットに限ります。“福祉定期”、”障害基礎年金”、”年金コード”、すべてインターネットの情報検索で簡単に情報が得られました。世界中の新聞の主な記事を見ることも自由です。北朝鮮だってそれはそれなりに朝鮮中央通信は記事をインターネットで流しています。性的情報のインターネット上での氾濫や、今年になってからインターネットを使った異常な犯罪が報じられて、まるでインターネット悪人説が力を得るように見えるのですが、私の経験から、近い将来インターネットは電話並みに普及する道具だと確信しています。誰も電話を利用した犯罪について、電話は「悪だ。要らないものだ」と言う人は居ないでしょう。コンピューターのことは分からないので若い者に委せていますと言う中高年は、疑いもなくリストラ対象候補者でしょう。小学校でもコンピューター教育はどんどん進んでいます。若い国民が全員コンピューターに慣れているという時代が目の前にあります。
アメリカ経済の発展の一要素にインターネット経済の発展があります。昨年3,010億ドルの規模であったインターネット経済が今年は5,070億ドル(+68.4%)に成長すると推定されています。調査の対象になった会社の1/3は1997年以後に創立されており、この新しい会社での雇用人員は30万5000人です。(10月追記)更にInternational Data Corporationの11月3日の発表に拠りますと、2001年にはインターネット経済は1兆ドルになり、2003年には2兆8000億ドルに達すると予測しています。今年既に投資は技術・サービス部門からマーケッティング、セールス、コンテンツ作成部門が優位になっているそうで、この傾向はますます進むといいます。遅ればせながら日本でもインターネット経済の発展が加速していくのではないでしょうか。これが経済そのもののリストラクションを不可避にしましょう。
もう一つ挙げますと、電子メールです。市内電話の料金で瞬時に世界中の電子メールに登録している人に、便りや連絡をすることが出来ます。ショッピングの注文確認にも利用されていますね。こんなに便利な通信手段は疑いもなく普及します。1999年、全世界で電子メールアドレスを取得した人は前年に比べて83%増加したとのことですがこの調子で増加しますと、数年のうちに普及率は電話やテレビを追い越すことになるといいます(Message Online 調べ)。アメリカではインターネット・ショッピングが急速に普及し、営業経費の節減が出来るので商品の価格低下ひいてはインフレの抑制にも効果を発揮しているのです。日本でもNTTが分割される7月再編後,ISDN契約者を対象に年内にもインターネット接続の定額制(月額1万円程度)が実現する空気です。郵政省の発表では、1月末現在大手15社をプロヴァイダーとしているインターネット愛好者数は約1110万人です。また、杉井鏡生氏 の記事を参照すると2000年1月時点で、各国の人口10万人当たりのホスト数は次のようです。
1位 フィンランド 20,362
2位 ノルウエイ 15,074
3位 アメリカ 14,613
・・・・・・・・・・・・・・・
6位 デンマーク 10,625
7位 オーストラリア 9,713
8位 カナダ 9,015
・・・・・・・・・・・・・・・
18位 日本 3,472
2000年4月現在日本でのインターネット人口は1893万人、普及率15.8%だそうです。急速に拡大しています。
新しいところで、2001年7月18日発表のNielsen//Netratingsの調査では現在ネット人口は3590万このうち3010万人がPC利用で人口の24.2%に相当します。581万人は携帯電話を利用してインターネットに接続しています。
2000年9月11日のNielsenの発表では
1位 アメリカ 15,000万
2位 日 本 2,630万
以下3位イギリス、4位ドイツ、5位カナダで、世界20カ国では約3億人
ということです(12月1日のNielsen発表では推定2億9901万)。中国は1,700万人ですが2000年中には世界第2位に増加すると見られています。Nielsen//Netratingsの調査では現在家庭のネット人口は全世界で4億5900万だといいますが、2001年5月31日のIDC報告では、インターネット利用者は2005年までには世界総人口の15%(10億人)に達し、電子商取引の売り上げは五兆ドルに上る見込みです。
2000年10月4日IT PROのUS NEWS FLASHはGartner Group の調査を紹介しています。それによるとアメリカでは現在インターネットの世帯普及率は50%で、2005年には75%になるといっています。アメリカでも収入や学歴による普及格差が大きくなってきています。
2000年9月から12月に野村総研は日本・アメリカ・韓国・シンガポール・スエーデンでインターネット個人利用率の調査を訪問によって調査しました。サンプル数は限られていますが、大体の傾向は分かります。
スエーデン 60.7%
アメリカ 48.9
シンガポール 39.2
韓 国 31.2
日 本 22.8
となっています。韓国は3年前は11.4%でした。しかもISDN回線DSL回線利用率は次の通りです。DSL回線の普及は驚異的です。
ISDN DSL
スエーデン 8.8% 1.0%
アメリカ 2.8 1.8
シンガポール 2.0 0.0
韓 国 3.8 51.6
日 本 31.3 0.0
株式会社インプレスによると2001年2月末の日本のインターネット人口は 3,263万6,000人、このうち2割が携帯・PHSからの利用者。78.7% がISDN利用で、現時点ではDSL利用はこれからと言うところです。
インターネットを国内だけで利用する手はありません。日本人は全員中学校で英語は習っているのですから、中学程度の英語は物にし、恐れないようにしましょう。「現在形」「過去形」たかだか「現在完了」位なもので「過去完了」などはまず出てきません。海外とのショッピングも簡単ですが、時には問題が生じます。こういうときに簡単な英語での電子メール通信はどうしても必要ですが、これも中学程度の英語で、充分意志の疎通が可能です。経験では、私取引先はみな誠実な対応をしてくれています。和訳にあたってのボキャブラリー不足などは、例えばバビロンを利用すれば十分カバーできます。もう一つ必要なのはキーボード操作です。一本指でも書き込みはできますが、ずいぶん時間が掛かって、億劫になります。時には回線に繋いだ状態で書き込みをしますから、電話代が嵩むことだって起こります。キーボードのアルファベット配置には早く慣れて両手でたたけるようにしましょう。ボケ防止にクルミを掌で揉み揉みしているのと同様に、我々年寄りのボケ防止にもなるかも知れません。
何をするときにも通じることですが、インターネットについてもガイドブックを読んでばかりいるよりも、まず試行錯誤的にやってみることです。失敗にめげずに工夫していれば必ず普通には使いこなせるようになります。苦心惨憺しつつ、3年くらいの時間を掛けている内に「勘」と言う奴が付いて来るのです。「勘」が付いてきて始めて少々のトラブルには柔軟に対応できるようになります。どうか時間を掛け、焦らないでコンピューターと仲良くなってください。
電子情報技術産業協会(JEITA)の発表では、2000年のパソコン出荷台数は、前年比25.4%増の1,155万台で、過去最高になりました。これまで3〜4割程度だった個人向けが5割近くにまで伸びた点が特徴です。
私の機器はNECのPC-98ですが、デスクトップ型なので、CPU交換やメモリー増設が容易で未だに使っています。ISDNを使って通信速度を高めていますが、プロバイダーはbiglobeとkyoto-inetの二つに加入しています。最近になってはっきりしてきたことは、通信速度がこの二つのプロバイダーで驚くべき違いがあるのです。biglobeですとアットいう間に入ってくるインターネットを介した情報がkyoto-inet では唸らなければならないほど遅く、プログラムをダウンロードするのに必要な時間も全く違うのです。kyoto-inetは使用料がすごく安いのですが、これでは電話代に大きな違いがでます。「安もん買いの銭失い」とはよくいったものです。
追記:いやあ驚きましたね。昨日夕方帰りの車の中から次男が電話してきました。到着したパソコンは箱から取り出しはしたが、まだ組み立てていないというのです。それが今朝9時の電話ではもうパソコンが動き、ついてきた限定使用のインターネットにも繋がっているというのです。次男からの購入機種選定の依頼を受け、知人に相談を持ちかけて教えてもらったのが、次のメールです。
PC9821−NXシリーズ
VALUESTAR NX 省スペースCRTモデル VE35D/57C
選定の理由は,Windows98一太郎他の組込仕様で、17型モニター付で、
搬入後、詳細な絵入りの組立マニュアルをみて順に繋げば、動きます。
内装56Kモデム経由で、 加入インターネットプロパイダーへの接続も附属ソフトで簡単に出来ます。
このクラスからハイパーフォーマンス機となり、CPU350MHz、
システムバス100MHzの高性能機です。OS立ち上げ時間が相当速くなります。
HARDDISKが6.4Gの大容量であり、大量データの収納に活躍するでしょう。
これで、実勢価格は24万円を切っており、実に隔世の感大であります。 |
<
WINDOWS 3.1を使っていた頃は、インターネットにつなぐのにも、独特のソフトの組み込みが要り、条件設定にも苦心惨憺し、また、再インストールをたびたびしなければならなかった苦い思い出があるので、本当に嘘のような時代です。性能は私の使っているパソコン並で、それでいて値段のこの安さ、驚くべきものがあります。
次男は、完全な文科系の人間で、コンピューターはもちろん、器械には全般的に弱いのです。
いま考えていること 39(2000年01月)−情報革命−もお読みください。 |
いま考えていること 17(1999年01月;03月追加;05月追加)
――金融再生委員会――
<
国会が始まりましたが、予算、ガイドラインと重要な議案が目白押しですね。これからの論戦に注目していきたいと思います。政府の方針には基本的に賛成ではないのですが、小淵内閣は思いの他に倒れずに続くかもしれないという気がしてきました。私はかねて現在の一番解決しなければならない問題は、金融機関の不良債権問題だと貯蓄のところにも書いてきましたが、柳沢委員長率いる金融再生委員会は問題解決に本腰を入れているように思えます。この委員会のことは現在国会の論戦でもそれほど注目されていませんが、成果を収めれば金融問題、ひいては経済問題全体を改善の方向に導き、小渕内閣の成果として内閣の人気を下支えする可能性を否定できないのです。興味深く見ていきたいと思っています。
昨日公的資金注入に伴う申請15行の頭取会見なるものが行われ、いよいよ公的資金が投入されることになりましたが、2月末、早くも柳沢委員長自身再度の投入をほのめかす始末。実体としての不良債権処理は行われず、国からのつなぎ資金を元に帳簿上の引当金の増加が本質であることが、明らかになりました。これでは本質的な解決にはほど遠く、不動産価格の低迷が益々深刻化するであろう現時点では、不良資産は帳簿上増え続けるでしょうから何も解決はしないでしょう。”再生”の文字が宙に舞う日も遠くありません。
5月、幸福銀行が小さい銀行だからかも知れませんが、経営者が安易に申請しようとした公的資金の導入は認められず、幸福銀行は廃業をすることになりましたね。NHKの朝のビジネス展望で櫻井さんはどうやら再生委員会も本気で駄目な銀行は整理する決意が固まったようだ。この調子では、2001年のペイオフを前に、怪しい銀行は預金全額の保護が行われている今の内に整理してしまうつもりと思われると言っておられましたが、注目されます。
|
いま考えていること 18(1999年01月)
――卒業研究――
<
十年あまりも前に勤め先の学校で、論文の盗作問題が起こりました。アメリカの研究者の著書がそのまま盗用されているというのです。調査委員会ができて私も専門外でしたが、委員に任命され、一夏、休みも返上という状態で論文と原著の照合で過ごしたことがあります。結果は残念ながら盗作といわれても反論できない内容で、その方は辞任されました。しかし、調査していくうちに、これは盗作というよりもこの方は論文の書き方の指導を受けておられず、引用の仕方もご存じなく、自分の意見と原著者の意見が全く混線してしまっている、かわいそうな人だなあというのが、私個人としては正直な気持ちでした。
引用が正確になされていたら、おそらくこんな大きい問題にならず、辞任されることもなかっただろうと思ったのです。この方は東京の有名な大学の学部を出られ、その後京都の大学院で修士号を取られた方でした。東京でも、京都でも指導された先生が論文の書き方を十分指導しておられなかったのだと思います。大学を出てから生涯研究者の道を歩む学生は少ないでしょうが、企業に就職してもレポートを書いたり、文章を作成しなければならないことは、きっとあるでしょう。その時の基礎として卒業研究を論文にまとめさせ、内容についても、形式についても徹底的に指導しておくことは、大学教員として非常に大切な仕事だと考えています。
もう一つは、ことに理科系の卒業研究でみられることですが、先生の研究の全く下請けを学生にさせているケースです。いわば働き手としての役割です。現在の学生のレベルでは先生方の研究のレベルからは遙かに離れているので、先生の研究内容を十分理解させる努力と技術的な訓練が必要です。これを無視して先生の研究の推進力(労働力)としてのみ考えるのでは、大学の教育機関という役割を無視しています。もちろん研究者としての課程を踏みつつある院生などでしたら、私も昔のようにいわば徒弟的に見習うことの意義を、大変重要なものだと思っていますが、そうでない一般学生の卒業研究では、これまで、習ったことの理解度を重点に小学校以来、受身的に試験をされてきた学生が、その過程で身につけた知識を土台に、初めて能動的に自分が持っている全知全能を未知の対象にぶつけ、それを解決しようとするプロセスを体験することに意義を求めるべきだと思っています。その意味では卒業研究のテーマは慎重に学生の能力に応じたものを選んでやらなければならないと考えています。それが先生方の研究にも貢献するものであればそれに越したことはありませんが、自分の研究の推進にプラスするかでなく、あくまでも一人一人の学生の能力開発に役立っているかが意識されていなくてはならないといいたいのです。 |
いま考えていること 19(1999年02月)
――朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)――
<
昨年末の北朝鮮のミサイル発射があってから、日本でも人工衛星を利用した情報収集をしようとか、アメリカと共同で戦域ミサイル防衛(TMD)構想の推進などが政府サイドから出てきて、国民の間に北朝鮮に対する危機感を煽る動きが激しくなりました。北朝鮮では食糧事情も悪く、飢えているのに、とんでもないことを考える国だというわけです。私も王朝のような世襲制の国家体制、日本人の誘拐問題に対する北朝鮮の態度や、事ごとに交渉を自分に有利に進めようとしてフェアーでない駆け引きを展開し、平気で嘘をつく北朝鮮流のやり方には憤りを感じています。しかし、国家体制といえば我が国でも近い過去まで、そういう政治体制の下にありましたし、あまり偉そうには言えますまい。こういうときほど冷静に物事の本質を考えないと大きな誤りを犯すように思います。
まず、アメリカの核の傘の下にある日本を、北朝鮮の側から突然攻撃することは、その後の展開を予想すればとても出来ることではありません。とても勘定に合わないからです。また米日合わせた海軍力、空軍力に於いても比較にはなりません。本当に危機を感じ防衛を考えざるを得ないのは日本ではなくて、北朝鮮ではないでしょうか。在韓米軍(俗に国連軍を称している)は紛れもなく脅威の存在ですし、イラクに対してもアメリカは公然とフセイン体制の転覆を口にする国なのです。何かの口実を設けて先制攻撃を加えるのもアメリカの通常のやり方です。いくら日本の外相がアメリカは国際法を守るから、といっても、私達の世代はかっての戦争でアメリカが国際法で禁じている都市の市民に対する無差別爆撃を、日本中にジャンスカ見事にやってのけた国であったことを忘れてはいません。その強いアメリカに対し対等の立場で交渉し、また、自衛の実を形だけでも備えようとすれば、国力に見合わなくても、力の象徴である核爆弾を持ち、ミサイルを持ち、人工衛星を持つことは強力な駆け引きの切り札カードになるからこそ、それらの開発に力を入れているのでしょう。今のところオウム事件でクローズアップされたサリンのような致死的化学物質の製造や細菌戦の準備は報じられていませんが、満州における日本の石井部隊の例もあることでそのうち問題に上ったとしても驚きません。それもこれも私は北朝鮮は積極的攻撃のためではなくて、むしろ広い意味での自衛と交渉上のエースカードとして、開発を進めているのであろうと考えています。我が国では新ガイドラインが国会の議案に上っていますが、日本がアメリカの作戦の後方支援をやり、武器の輸送もやって兵站基地の役割を演ずるとなれば、日本もこれらの手段による攻撃の対象となるのも当然の成り行きでしょう。
といっても北朝鮮のこういう戦略に賛成しているのではありません。真の国家の尊厳はこういう物騒なもので保たれるものではなく、高い文化、豊かな自由な国民、尊敬に値するリーダーの存在によるものだからです。早く北朝鮮の政策にもそういう変化が出ればよいのにと思っています。しかし政府のようにはカッカしないで冷静に考えると、北朝鮮の現在の戦略にもこのように一理があるのです。我が国の軍備やアメリカとの同盟関係を考えると、一概に北朝鮮はけしからんとは言えないと思うのです。あまりカッカとしないでおきましょう。 |
|