いま考えていること 292(2007年11月)
――円高という言葉――
昨日は午後5時現在円相場は1米ドル=110.65−75円になりました。近頃はテレビで見ていても円高だといわれます。
私も外貨MMFを少し持っていますので、為替の動きには関心があります。しかし考えてみるとこの円高はアメリカのサブプライムローン破綻から出てきているのですから世界の他の通貨に対して果たして円は高くなっているのか疑問を持ちます。そこで
今年念頭の為替相場に対してどういう動きをしているのか、いくつかの時点で年頭の値に対する為替相場の差を調べ何%変化したかを計算してみました。下の表に結果を示します。この計算では円高になるほどマイナス値が大きくなり円安になっているとプラス値が大きくなります。
この表を見ますと4月初頭では米ドル・ユーロ・豪ドル・英ポンド・ニュージーランドドルのいずれも円安にふれましたが、9月以降最近に至るまで米ドルが円高になったことがわかります。ことに10月以降も円は米ドル以外の通貨に対してはむしろ円安が進んでいることがわかります。一般論としては円は少しも高くなってはいないのです。長い間日本の通商相手はアメリカがトップでしたから輸出を左右する米ドルに対する為替相場を頭に置く習慣が付いているのですが、そろそろ私達も頭を切り換えないと真実を見誤ります。自分の目で確かめることがいつでも必要です。現在は通商相手の主力はアメリカではないのです。アメリカ以外への輸出はむしろ円安で有利になっていると見るべきでしょう。アメリカドルに対する円高と言うよりはサブプライムローン破綻で米ドル安が異常に進んでいるととらえるべきでしょう。このような状況下では日本が保有する膨大なアメリカ国債の、評価額は円に換算すると下落しているのです。諸外国ではあるいは個人でもアメリカドルではなくユーロでの支払いを要求するケースが増えてきましたが当然の成り行きです。北朝鮮政策や米ドル政策など次第に日本の孤立化が目立ってきました。現在の低金利も国際的な日本の地位を低くしているのかと思います。
皆さんもいつも世界の動きに注目して頂いて、自分で検討し、もし外貨保有するなら米ドル以外から選べと言っておきましょう。このデータから見る限りでは第一位豪ドル。第二位ユーロということになります。利回りも考えるとやはり豪ドルでしょう。
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