いま考えていること 115(2002年10月;11月)
――総合デフレ対策――

昨晩金融改革を含む総合デフレ対策が発表されました。これが発表されるまで特に銀行を中心とする金融改革案に対しては自民党や金融機関からの猛反対がありました。首相のリーダーシップが感じられない歩みでしたから、学者に何が分かるというような批判も幅を利かせました。今朝の自民党の受け止め方は何か肩すかしを喰らわされたような感じで不満が強いようです。金融改革のスケジュールが具体性を失ったので、デフレ対策も具体性に欠け、先生方の待望した補正予算についても具体的な提案はなく先送りされていますから、振り上げた拳の収めどころを見失っているような感じです。まだサッと読んだばかりですが、方向については結構元の竹中提案が息吹いているように思います。銀行の不満も日本の銀行がアメリカの銀行と比べて如何に脆弱な基盤−−資本−−の上に載っているかを露呈して、大阪府などもペイオフに伴って独自の銀行評価を下して出きるだけ強い銀行に預金を移し始めていますから、この本質的な弱さはどうしても克服しなければならない課題になって銀行にのしかかっています。首相は金融改革スケジュールのゴールは予定通りと言っていますから、一時的に自分達の主張が通ったというものの、銀行は改革に追い込まれていきますから、わたしは必ずしも竹中敗れたりとは思っていません。否それどころか銀行はさしあたり自分の言い分を通したのですから、今後その枠内で改善を迫られ、失敗に伴う責任追及からもはや身をかわせないところに自らを追い込んでしまったようです。
(11月17日追記)このところの論調を見ていますと、「金融機関の不良資産処理の考え方は正しいのだが、このデフレ下の現在、実施すべきでない」と言う議論が見られます。これは所詮不良資産処理は放置して、補正予算で従来通りの公共投資をすべきだと言う近視的デフレ克服論者が、世論調査で小泉内閣に65%の支持率を与えているのを見て、慎ましやかにうわべだけ表現の仮装を試みているとしか思えません。ただ小泉さんも今度の不良資産処理によって日本経済が本当に再生すると確信されるのなら、30兆円の国債枠にとらわれずに必要な方面に予算を大胆に組むべきだと思います。必要な方面とは再生の痛みに応える失業対策、介護対策、都市生活者に視線を向けた都市再生プラン、外国に移転不可能な、生産に高度の教育と技術を要する独創的日本産業育成のための研究投資などです。国民消費を増やす為にと言う減税策で、贈与税の軽減はそんなに効果があるとは思えません。さらに言えば一般に減税しても消費には回らず、貯蓄に振り向けられるでしょう。将来への不安がある以上そう簡単に消費が拡大するとは思えないのです。のど自慢番組を見ていても地方に立派な会場があり、確かに「箱もの」は増え建設業者を潤し、役人の天下り先は増えたことでしょうが、日常どの程度の利用があり、維持に必要な収入は得られているのか心配です。もし維持のために赤字が蓄積しているというような事態があれば、道路と同じ運命をいずれはたどるでしょう。むしろこれから人口も減る時代に入りますから、それにふさわしい健全な縮小経済計画と生産人口減のカバーをむしろアジアや中国の経済発展、人口増とどう組み合わせて、相共に利益を得られる形に設計するかが政治の最大の課題になるでしょう。その為にもこの際思い切って金融・産業の不良資産・不良企業の整理・淘汰を涙を流しながらでも進め、維新的再出発をすることが必要だと思います。
京都で迎賓館の建設に反対する声がいろいろの方面から挙げられましたが、わたしはこの迎賓館建設でおそらく建設業者だけでなく京都の伝統的な工芸の技術者にも活力を与えたのでないかと想像しています。本当にこの迎賓館が内部調度に至るまで日本の精髄を尽くした一流の迎賓館として建造されているならばという前提ですが(安物なら要りません)。こういう出費は決して無駄遣いではありますまい。

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grenz

いま考えていること 116(2002年11月)
――秋晴れ――

今朝(11月17日)の散歩は秋らしい快晴の下、見る物すべて輝き、空も真っ青に輝いていました。裏山の桜の紅葉は例年よりも汚く、堀川通りの木々の紅葉も感心できない秋なのですが、ひとまず歩いているだけで素晴らしい秋に出会えた思いです。こういうときは正に「地球での生活は天国の生活そのものだ(Life on the Earth is the life in heaven) 」というわたしのモットーに確信をよみがえらせてくれます。世界の難民の皆さんや意味のない殺戮の日々のニュースを眺めると、時にはわたしのモットーにも迷いを生むのですが。

今日の晴ればれした気分の裏には、6日頃から不調であった家内の病状が快方に向かっていると確信できた朝だったこともあるのでしょう。当初38.6度の発熱があり、来診された医師は「入院されますか」と言われ、それを拒わってから、連日自宅で抗生物質の点滴を続けたにもかかわらず先週水曜日の回診時にも38.6度を記録したものですから、木曜日には「もう十日も経ちましたが痰が切れませんし、入院を決心されますか」と言われたのですが、「わたしの見るところ、もう峠は越したように思います。それに時たま目も開くようになっています。しかし先生の言われるように今日の血液検査結果が悪くなっているようなら、わたしも先生の判断に従います」という様なやりとりをしたのです。幸い当日のCRP値は4.6から4.3に下がっていたので、もう少し自宅で様子を見ようと言うことになっています。昨日から今朝に掛けても平熱で、わたしはいよいよ快復に確信を持てたのです。

別のところにも書いていますが、やはり常時、傍で看護観察していますとかなりのことが素人でも把握できます。入院するとMRSAを貰って来たり、床ずれを起こして来る、あるいは導尿管挿入に伴う感染も経験しているので、どうも入院させたくないのです。それに入院は勧められても3ヶ月経つと、快癒していなくても採算がとれないと言う理由で患者をたらい回しする病院の姿勢やニュースで日常茶飯事化している初歩的な医療ミスは私の医療への信頼を失わせているのです。

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grenz

いま考えていること 117(2002年11月;2003年4月)
――曽我ひとみさんのこと――

拉致被害者の一人、曽我ひとみさんは近く上京して自分の考えを安部官房副長官に話されるという報道がありました。他の被害者の人達と違って曽我さんの夫ジェンキンスさんが元アメリカ兵で、日本に来られても逃亡兵としてアメリカは逮捕すると言っているようです。ジェンキンスさんにとってはアメリカが母国でその母国に帰ることを本心では望んでおられるのではないでしょうか。曽我さんにとって日本が母国であるように。しかしその母国の裏切り者として受け入れられない点が他の被害者の方たちとは異なった事情を背負っておられると言うべきでしょう。今日のニュースでは北朝鮮と日本政府では現在のところ見解が対立していて、早急な交渉の進展は見られないようです。確かに曽我さんは拉致された人であり、筋道からすれば元の日本に帰られるべきだというのは正論だと思います。まして曽我さんのお父さんはご健在で曽我さんの安否を気遣っておられたのですから、帰国された現実にホッとされて居ることだと思われます。

しかし、もし曽我さんがジェンキンスさんや家族のことを心配されていて、過去のいきさつもさることながら、自分の気持ちから敢えて北朝鮮で生活してでも家族の絆を大事にしようとされて、生活は貧しくてもジェンキンスさんも訴追されない北朝鮮への帰還を望まれるならば、そうしてあげるのが良いのではないでしょうか。
現在の対応には北朝鮮は行き詰まっているから、何れは折れて出てくるという思い上がった前提が、政界にもマスコミにも流れています。この前提は正当なものなのでしょうか。国のメンツや政治的思惑からの対応よりも曽我さん個人の心境を一番大事にしてあげなくてはと、今わたしは考えています。

  帰国してまたまた自由奪われる  (毎日新聞 万能川柳
 北九州 満州生)

(2003年4月14日追記)今日の夕刊によれば、ひとみさんは今日の記者会見で、「この半年を振り返り」と題した文章を読み上げ、その中で今年1月に届いた娘の手紙に「おかあさんとこんなに長くはなれたのは初めてだったよね。もうすぐ冬休みです。冬休みになったら、おとうさんにおいしいものを作ってあげます」と書かれていたことを紹介し「この世界で一番の宝物です」と話されました。北朝鮮の夫と娘について「一つ解決したら、新しく悲しい出来事、あまりにも私にとってつらいです。(日本と北朝鮮の)二つの家族をバラバラにしたのは誰ですか?」さらに政府の対応について「これといった進展がなく半年が過ぎた。『頑張りましょう』というだけではなく、目に見える行動をしてほしい。私の気持ちになって考えてほしい」と話されています。私のかねて心配していたことが現れてきたようです。

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いま考えていること 118(2002年12月)
――民主党のいま――

小泉改革に対決して自民党の中にまるで野党のような批判勢力の発言が見られる今日この頃です。これは頼りになる野党がいないことと直接結びつくものではありませんが、国民の一人としてみると、これだけの大きい政治・経済の変化に直面している現在、小泉政策にこれといった実現性のある対決内容を示す野党がないことを強く意識させるのです。思うとまことに淋しい限りです。この現状の中で鳩山さんの自由党との連携の話を耳にしますと一段とこの寂しさが増してきます。鳩山さんのこの動きは全く自分本位な無意味な動きとしか思えません。小沢さんには一代の風雲児としての頭脳の働きも見られましたが、致命的なのは余りにも自分本位で党内世論や国民の声をまとめ上げるだけの広い心がないことです。このことは以前から指摘してきたのですが、鳩山さんにも行き着くところ同じような独りよがりが見られます。中野寛成氏のようなもはや第一線から脱落された人物を幹事長に選ぶ感性のずれを意識されない鈍さ、思えば鳩山氏から発せられたユニークで国民の声を代弁するような政策は今日まで全く見られなかったのです。鳩山さん、もはやあなたの思いと国民の思いとのずれはあなたの思惑を遙かに越えているのです。ことここに至ってはあなたの代表辞任しかありません。後をどうするかは民主党の党員のみなさまの英知にしか賭けようがありません。国民にとっては頼りになる野党がないことに最大の問題を感じているのです。小沢・鳩山両氏の共通項は経世議員に見られるお坊ちゃん的甘さであり、草の根議員の奮起を願わずにはおれません

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いま考えていること 119(2002年12月:2003年5月) ――これからの政策を見るキーワード――

12月5日に厚生労働省はこれからの少子高齢化社会を眺望した厚生年金のプランを発表しました。現行のままで行くと保険掛け金は23.1〜26.6%に達するので、現役世代の負担上限を20%とすると給付は40年時点で現在の59%給付が45%給付に低下せざるを得ないということで、少子高齢化を考慮に入れたプランとしては初めてのものではないでようか?私の若いときは共済年金掛け金として支払ったお金は、支給対象の老年者がまだおらず、お金は余って共済組合の保養所や宿泊所の建設に投下され、それらの施設からの利潤で将来の年金の給付も安泰だという説明もされていたものです。昨日も大もめにもめた道路関係4公団民営化委員会の結論をめぐってこれから道路族を中心とした攻防が展開されて行くことでようが、この問題も「少子高齢化」を最も重みのあるキーワードとして考えて行かれなければならないでしょう。この問題に限らずすべての今後の政策案に「少子高齢化」がベースとして織り込まれているかどうかを見ることがこれからの政策を読むキーワードになるでしょう。少子高齢化は遙かな未来の話ではなくて数年の内に人口減少は確実に進行し始め、国力は減衰の過程をたどり始めます。それにどう備えるのかを無視して、これまでの政策の延長線上の政策展開では益々急速に国力は減衰し、使い果たされる結果、私たちの子孫が国も自分も背負いきれない事態になりかねません。

(2003年5月追記)総務省の発表によると2003年4月1日現在の15歳未満の子供の数は1801万人昨年より17万人減。総人口に占める割合は14.1%で過去最低を記録、さらに今後2005年には14%を、また2014年には13%を割り込むと予想されています。

いま考えていること 62(2001年01月)−21世紀を迎えて−これからの日本−もご覧ください。

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いま考えていること 120(2002年12月) ――道路関係4公団民営化ドラマの楽しみ――

今朝の毎日新聞に特集記事“小泉「道路」の決算”がありました。この記事は「この中心テーマで、小泉首相からは、明確な発信がついになかった。このことが「迷走」劇の素地となったことは間違いない。」と締めくくっています。この記者さんは分かってないなあというのが私の感想です。先の銀行を中心とする金融改革案も首相が竹中氏に丸投げしたという批評が大きくマスコミや自民党内でクローズアップされましたのは記憶に新しいところです。確かにこれまで政府の審議会というと中央教育審議会を始め論点は政府−所轄官庁が用意し、しかもほぼ結論は出ていて、悪くいえば空虚な形の上での民主主義を整えるための儀式の感じがありました。その他、公聴会、最高裁判事の信任投票も本質は同じですね。道路関係4公団民営化でも同じ手法を取ろうとして今井委員長は委員会事務局案を原案として持ち込もうとしましたが反撃にあって目論見は敗れました。小泉内閣になってから大きく変わっているのはこの点で、金融、道路とも審議会に完全に白紙からの討議を委ねる方針と見ます。私も、いったん人に委ねたらその人たちに任せて審議させ、結論を答申してもらってから自分の目と頭で検討し最終結論を出すので、小泉さんの手法も良く理解でき賛成です。「丸投げ」という批評は本当の民主主義が分かっていないのです。丸投げどころか、実をいえば委員選定の過程で自分の意図することに布石を打ってあるのです。道路関係公団民主化案の具体化責任者に、最も官僚の意向をバックに、提示された民営化に異論を対置させると思われる扇国土交通相を任命したのでこのドラマは一段と面白くなってきました。小泉さんの人事の考え方はなかなか面白く、また大局的に見てうまいと思うことがあります。少し例を挙げますと、拉致被害者問題に中山さんという素晴らしい方を当てていること、自民党の税制調査会長に相沢英之氏を当てていること、こちらは今触れた扇さんと同種で、守旧派の相沢氏は本来政府案に反対論を唱えそうな人だと思うのですが、この相沢氏を税制原案の責任者に任命して自分の土俵に取り込む人事です。これから展開される来年の税制への自民党案と政府税調の取り組みも興味あるもう一つのドラマです。

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いま考えていること 121(2002年12月) ――韓国大統領選挙、その他――

昨夜から、注目の韓国大統領選の結果廬武鉉候補が勝利の報道がトップになっています。政治的にも結びつきの大きい重要な隣国ですから関心が高いのでしょう。私も詳しく事情をわきまえている訳けではありませんが、もう一人の候補李会昌氏が勝てば朝鮮半島の緊張が増し、政策的にアメリカ同調の路線が強まると思うのでまずその点で廬氏の勝利を歓迎します。廬氏の経歴から見ても努力家であることが読みとれますし、弁護士としても人権派であったという点も従来型の地域の利害を優先させる政治家ではなさそうです。おそらくアメリカに対してもそう簡単に追従する大統領ではないでしょう。ITや経済の面でも日本をリードしている韓国に戦後生まれの新しい顔が生まれました。きっと日本の政治風土にも良いヒントを与えてくるかも知れません。日本の政界とのつながりは弱いと言われますが、ヨットを趣味にしていた弁護士時代、英国王立ヨット協会公認の指導員資格を持つ滋賀県のヨットスクール「BSCウオータースポーツセンター」(滋賀県志賀町)校長井上良夫さんを師と仰ぎ、日韓親善ヨットレースを交互に開いていたこともあるということで、今回の選挙中も井上氏は激励にソウルに駆けつけています。政界との関係よりもこの様な人間同士のつながりの方が両国の相互理解には大切でしょう。

話は変わりますが、今朝注目されたのは奈良県上牧町議会が「政党助成制度の廃止を求める意見書」を採択し、地方自治法第九十九条によって政府に意見書を提出したことです。「今直面している国民の難局を考えれば、お茶を濁した程度の国会議員給付の返上では我慢ならず、毎年300億円を超えている政党助成金を廃止して福祉に当てよ。政党助成金制度のもとで導入の根拠になった政治の浄化は一向に進んでいないではないか」という主旨です。私も同感で、一早く廃止さるべきものです。導入された1995年とは全く社会事情は変化しています。民社党の熊谷氏と保守党との野合による新党結成の動きもこの政党助成金の査定時期との関係があるのでしょう。保守党の野田氏も野心家ですね。

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