遺言
遺言などまだ早いと思っていましたが、昨年私と同年令の菩提寺の和尚が亡くなり、人ごとでなくなり、改めて考えてみることにしました。
資産についても考えてみると人さまざまですから、自分独自の持つ条件に応じて死後の遺産の相続についても設計しておくことが必要だと思います。財産関係は正規の遺言書とし、細々したことは別に遺言状としました。こちらは法的なものではありません。(遺言状と遺言状に分ける必要なしとのメールがありました。不備な点の指摘もありましたので、これを受けて目下再考中ですが、遺言の内容も変化は避けられずその都度自筆で書き直さなければなりません。この作業はかなりの緊張を要し、長文は避けたいのです。その点では遺言書と遺言状に分けた方が良いと思います。遺産相続に関係したものを遺言書にして、自筆で書き、メモ的なことは遺言状としてハードディスクに入れてプリントアウトしておけば維持・修正が楽です。私の遺言状には生命保険の受取人の変更その他遺言書に入れるべきものがあるようです。整合と修正を図りましたが内容的には大きい変化はありません。)
わたしの法定相続人は家内と子ども3人ですから相続税の基礎控除額は5400万円になります。幸か不幸か不動産は所有しておらず、現金・預金・有価証券・美術品くらいなもので、生命保険もすでに満期で受けとっていますから死亡保険金はありません。どう計算しても相続財産は基礎控除額5,400万円にすらなりません。大げさに遺言書というほどのものではありませんが、作ってみて少なければ少ないでやはり書いておく方が良いと言うのが今の感想です。
遺言書は自筆遺書とし我が家の保管庫Bに保存します。この自筆遺書も死後家庭裁判所に速やかに届け、必要な検認手続きをとるように指示しておきます。遺産の分割は検認終了の時点から可能になります。公正証書にするほどの財産ではありませんし、信託銀行にお願いしても手数料がかなり掛かってくる(公正証書作成費用の他申込時数万円、維持費年6000円程度、執行時数十万円)からです。子ども達を信頼します。
但し、最近次の文章も目にしました。『「多少の手間と費用がかかるが、保管が確実で遺言執行の手続きもスムーズな公正証書遺言書を選ぶ人が、最近は多い」 (AERA:2004年3月8日号)』参考にして下さい。
財産分与で、わたしの場合大きな条件になるのは、家内がアルツハイマー病で思考力も表現能力もまったく失われていること(身体障害者1級;介護度5;重度心身障害者として在宅時は福祉医療費受給)、三人の子どもについては結婚時に長男と次男には多少のお祝いを贈りましたが、長女には何も贈らず、しかも結婚後も毎週2回夕方にやってきて食事を準備しその夜は食事を共にして、私の見落としている雑事を処理し、家内の身の世話もして泊まっていくということがあります。長女に結婚祝いをしなかったのは、娘が「京都夜回りの会」を主催していて、結婚時も友人や親戚に郵便振替用紙を送って、「お祝いはいらないから会になにがしかのカンパを」と呼びかけていたからです。長女には寄与分として他の子どもよりも少し多めに遺産を分与したいと思います。また長男には転職後の京都市立芸大大学院入学に伴う援助もしてきていることも考慮します(特別受益)。
予め家内に伝えておけませんから、私の場合は突然死ぬと細々したことで遺族の知りたいことが分からなくなります。葬儀についての要望とこれらのことを遺言書とは別に書いたのが遺言状です。こちらは注釈メモ程度のものでワープロ打ちですが、いろいろ書いておかなくてはならないことがあるものです。
厚生労働省の推計によれば2012年のわが国男性の平均寿命は79.94才、女性は86.41才で、かなりの差があります。この差から老齢を迎えられると奥さんはご主人が亡くなった後の自分の長い生活を思い、自分のしたいことをしたいという欲求と自分の老後生活の経済設計とをご主人の生活の充実よりも優先されたとしても無理はないと思うのです。これが私の妄想であれば幸いですが!。世の男性たるものこの点を配慮しておかないと、あなた自身の老後の生活をエンジョイし、生きている間奥さんからも充実したサポートを受けられないかもしれません。あなたが幸せな老年を送ろうと思えば、あなたが亡くなった後、奥さんの生活が維持できるよう考えておいてあげる責任があると思います。奥さんに安心をプレゼントするためにも遺書は早めに書くことが必要だと思います。
家内は現在預金1010万円と通常の投資信託約21万を自分名義で持ち、私の死後も終身の傷害基礎年金(現在月額81,925円)の他、遺族共済年金として新しい遺族年金案によって試算すると月々約16.8万円合計25万円程度は生涯受給できると思います。これは共済年金のうち給与比例と職域加算分の3/4を家内が受給できるものとして計算したものです。医療と介護が欠かせない家内には現金を相続させ、三人の子どもには主として有価証券と美術品を相続させ、残余は家内の相続にします。家内の後見人には長男を指名しておきます。十分とは言いませんが金持ちでない私の生活では、家内の老後についてまず合格点が頂けるかと思います。後は子ども達に委ねます。
マッカーサーの占領政策で庶民に最も大きい影響を及ぼし、また、戦後50年の今、ジワッと実質的に効いてきているのが、家族制度の破壊です。私などは収入のない親父を支え、弟の学費を算段するのは、長男として当然のことと別段の意識すらすることなくやって来ましたが、子供達の世代は全く異なる思潮の中で大きくなりました。この世代の中には利用できるものは利用して後は知らん顔という者もあり得ますから、親も終生自分のしたいことは自由に振る舞えるだけの資産は確保するべきで、簡単に情にほだされて生前贈与しては駄目だと思います。苦労もせずに贈与された資産などキットあっという間に霧散するでしょうから、子供達の自立を促す手段としても必要な資金は親から与えるのでなく、子供自身の甲斐性でまかなわせるのがよいのです。死ねばいずれは遺産として子供のものになります。
注にわたしの遺言書と遺言状の例を公開します。不備な点があれば教えてください。現在有効な遺言はこれから多少変化しています。
自筆で遺言を書いたからと言ってこれで終わりではありません。開封せずに家庭裁判所の検認を受ける必要があるのです。この手続きについても、注に記しておきます。
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